上海街角だより

上海「お墓」事情

 日本でも報道されることのある中国の土地・不動産価格の高騰。

 住み慣れた住宅を売却したり貸し出したりして郊外に転居するお年寄りが居る一方で、上海でマンションなどを購入した新・新上海人などと同居するために転居してくるお年寄りが居たりと若者に負けず劣らず入れ替わりの激しい上海の高齢者たちですが、そうした人たちの中で悩みを抱えている人も多く見られます。


 中でも深刻なのは「お墓」事情。

 上海にお墓が無く、「このままでは死ぬに死ねない」と将来に不安を持つお年寄りも多いようです。


 今回は、そうした上海の「お墓」事情について紹介していきます。


「お墓が無い」原因の一つは上海の土地事情です。

 上海市内の既存の墓地は、元々上海で暮らして来た人たちのお墓で既に満杯に近い状態で、このため新上海人、新・新上海人が墓地を手に入れるのは非常に難しい状態になっています。また、たとえ空いた用地が見つかったとしても需要と供給の関係から元の価格の二倍、三倍と高騰することも珍しくなく、一般的な不動産よりも遥かに深刻な価格高騰が起こっています。


 上海市内には現在43箇所の墓地が存在しているそうですが、こうした墓地に関しては市の厳格な規定があり、必要とされる設備、許認可なども多く、必要とされる投資金額も必然的に大きくなることから新規の開発が非常に難しい状態にあります。

 需要はあっても、より少ない投資で同等かそれ以上の利益が期待できる住宅、商業不動産の方が、一般的なデベロッパーにとっては確実で慣れていることもあり、優先順位が高くなるのは当然のことです。


 また、道教、仏教などの中国の人たちの民俗や生活意識も墓地事情には関わってくるため、単純に利用されていない土地があるからといってそこを墓地にするわけにもいかないということもあります。

 香港ほどではありませんが、上海でも風水などを気にする人も多く、またお参りする際には近い方が嬉しいけれど、生活している中では近くにあるといい気分がしないというのは日本などとも同じで、必然的に郊外の遠い場所しか新しい墓地は作られない状況になっています。

 さて、それでは現在の上海の墓地はどうなっているのかというと、大きく分けると二系統に分かれます。

 それは「郊外・近郊エリア公園大型墓地」と「既存改装・新設の都市型省スペース墓地」です。

 共に日本でも、特にバブル崩壊と前後して多く見られたものですので、日本の人たちには特に細かく説明する必要も無いかもしれませんが、前者を後押しするのは万博を契機に大幅に充実した上海の地下鉄網と北京五輪を契機に整備が進められた高速鉄道です。

 それまでとは比べ物にならないくらい広がった上海からの日帰りエリアの範囲内には、観光地など元々の特色を備えた郷里などもありましたが、すべての場所が人を引き付ける特徴を持っているなどということはあり得ない話で、そうした特長の無い場所にとっては新たな価値を生み出す公園墓地の開発はネガティブ要素を補ってあまりある話です。

 交通的な恩恵を受けず歴史からも人々の関心からも埋もれてしまった古刹・旧蹟などが、こうした開発によって掘り起こされ、墓地のセールスポイントになるケースもあるようです。


 一方で後者ですが、墓地の広さ、位置、墓石の質・形状など、墓地価格の高騰の原因ともなっている要素を抑えることで価格を下げ、また「全然、知らない場所にお墓を建てるのはちょっと」という感覚を持つ人たちの関心もあって、日本人が思う以上に受け入れられているようです。


 都市化に伴うお墓の悩み、意外に日本と良く似ていて、それでいてまた違った部分もありと、これもまた現代の上海のひとつの姿です。




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