上海街角だより

上海の麺料理

冷たい北風が日常的に吹いて、短い秋が終わって冬が訪れた上海。

寒い季節の定番といえば、日本では鍋物やシチューなどですが、中国ではまず火鍋です。

町のスーパーの冷凍食品売り場には火鍋向けの具材が並び、調味料のコーナーでも火鍋の素が増え、生鮮食材も火鍋には欠かせない黄魚などが並んでいます。

しかし若い独身の社会人や学生などにとっては、お一人様向けの火鍋を出す外食店や、インスタントのいわゆるカップ火鍋などもあるとはいえ、なかなか手が出しづらいものです。


一方、熱々のスープですすりこむ麺料理は、若い人たちには気軽に食べられる料理ですし、年配の人たちも朝食などで口にします。

そこで今回は、上海の麺料理をご紹介します。


上海で目にする機会の多い麺料理は「蘭州拉麺」でしょう。
伸ばした生地を引っ張って(拉)作るから「拉麺」。日本のラーメンの元などともいわれますが、実際のところはかなり異なる料理です。

牛肉麺などが一般的で、朝食や昼食に食べる人も多く、そうした時間帯には人気店では行列ができますが、回転が早いため実際に並ぶとさほど待たずに食べることができます。

日本でもブームになったパクチーがトッピングされたものも多く、旅行で口にしてハマる日本の方も多いようです。


沸騰した鍋の上で生地の塊から包丁で削いで直接湯に投じる「刀削麺」や、きしめんよりはるかに幅が広く長く繋がった「ビャンビャン麺」など、特徴的な中華麺を出すお店もあります。

中国の麺料理は、切らずに長い状態で調理されるものがほとんどです。そのため、日本のラーメンの感覚ですするとリスのように口いっぱいになってもまだ全部ではない、なんてことも普通にあります。


また日本人の目からすると「これは麺じゃないだろう」という形状のものがメニューに「〇〇麺」として載っていることもあります。
これはそもそも日本と中国での「麺」の意味の違いからくるものです。
日本では、蕎麦もうどんもビーフンもパスタも全て麺ですが、中国の場合、麺は「小麦粉を調理したもの」、つまり餃子も中華まんも小籠包もすべて「麺」です。中国の少数民族の回族の料理として有名な羊肉泡莫ヤンロウパオモ (小麦粉で作られたせんべい状の固い「莫」をスープに浸して柔らかくなったものを食べる料理)なども麺料理に分類されます。

そうした中国人の感覚からすると、ラーメンライスや、餃子ライスなどはちょっと考えられない組み合わせです。「おかゆライス」と聞いて日本人が感じる違和感に近いものがあるのです。


写真

「上海で美味しかったものは?」と現地に行った人に聞くと返ってくる答えに多い「生煎」(焼き小籠包)も、広い意味では麺料理です。最近は焼き餃子と鍋で半分ずつ焼いて売っているお店もあります。

また、生煎と並んで人気の小籠包も、色付きの皮や変わり種のネタを入れたものなど新しいメニューも出ています。



さて、それでは小麦粉以外で作られるものはなんなのかというと、中国では「粉」と表記されます。「こな」ではなく「フ(ェ)ン」です。
ビーフンを例に挙げると理解が早いかもしれません。
タイやベトナムなどの料理を出すお店も上海市内にはありますし、そうしたお店で出されるフォーなども中国語メニューでは「粉」と表記されていたりします。

米以外にも豆の粉などで作ったものもあり、夏場に「涼粉」として四川風の辛いものが屋台などで売られています。これは日本でも、四川料理を出すお店で冷菜として扱っているお店が結構あります。テーブルに届くのも早いですから、興味を持った方は他の料理と一緒に頼んでみてもいいかもしれません。
他の麺料理に比べると扱いが比較的簡単なのか、通販やお土産品で「本場の味」「人気店の味」としてタレとセットで売っていたりもします。


そのほか、かつては日本への旅行経験者や日本人駐在などをターゲットにしていた日本のラーメン店が、一般の上海人をメイン客層として展開していたり、うどん店が駅ナカやデパ地下などを中心に進出していたり、と日本の麺料理もかなり見かけます。

うどんなどは、ラーメンの豚骨スープに入れたものや、汁なしタンタンメン風の中国人向けアレンジメニューなどもあって、日本人にとって物珍しいものもあります。

ただ上海は、麺料理に限らずお店の入れ替わりが激しいので、こうした日本からの進出組も、年単位で見れば半分も残ればいいほうです。


「それでもやっぱり上海に来た際には火鍋の方が…」という人にはシメでの麺がおすすめです。
どのお店にもあるシメの麺(乾麺が多いですが、なかには「烏冬麺」といううどんもあります)を食べると、同じ火鍋でも満足度が違います。


今は中国のさまざまな麺料理を食べさせてくれるお店が日本にもありますので、「最近同じようなものばかり食べているな」という人は、そうしたお店を探して行ってみると、新しいお気に入り麺料理と出会えるかもしれません。


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