日本株マンスリーレポート

マーケットレポート

マーケットの視点

世界的に株式市場への安心感が広がる中、内需関連株の出遅れは目立つと同時にグローバル関連株の押し目買いも

・ 先週末の日経平均株価は前週末比“81.75円安”の「1万1204円34銭」と週間ベースでは9週間ぶりに下落して引けた。もしも9週連続上昇となると88年10~12月以来、22年ぶりの記録となるところだっただけに実に惜しい気もするが、05年の8週連続記録の時もそうで、これで上昇相場が終焉を迎えたわけではなく“今後も続き”があることを感じさせる余韻があり、むしろ先行きの上昇期待を高めるには充分な記録達成であったと言える。今回のように、週間での連騰記録を達成するには循環的な物色が継続する必要があり、底上げ相場のような流れが続いたことで前週までの8週連続上昇に繋がり、そして途切れたとは言え先週も堅調な展開だった。具体的には、円安基調によって業績急回復を続けるグローバル関連業種、国際商品市況の再騰を背景とする資源関連株だけではなく、現時点で今期も赤字予想が多い工作機械などの設備投資関連株や、百貨店、スーパーなど発表される決算内容が歴史的に厳しい伝統的な小売り株、そして銀行株へと物色の波が広がってきているためだ。また、3月8日から先週末までの24営業日のうち、東証2部総合指数が下落したのは3月29日と4月6日だけの“22勝2敗”、日経ジャスダック平均も下落したのはその2日と3月25日の3日間だけの“21勝3敗”という驚異的な上昇記録を続けていることから見ても、株式市場への関心度が強く復活していることが窺い知れる。第一生命が4月1日に上場したことも株式市場全体の底上げムードを大きく押し上げる効果となってもいる。

・ もちろん、先週は海外株市場も好調な1週間だったと言え、米国、独英仏の株式市場が昨年来高値となったのみならず、インド、ブラジル、ロシア、オーストラリア株市場など中国株を除くBRICs株市場、資源国の株式市場なども軒並み昨年来高値を更新している。更に、原油市況もWTIが87ドル/バレルを突破し08年10月9日以来、1年半ぶりの高値となり、金相場に関しても東京工業品取引所に上場する金先物価格の「2011 年2月物」が3490 円/グラムまで上昇し、09 年12 月3日に付けた直近高値の3477 円/グラムを上回り83年4月19 日以来、27 年ぶりの高値を付けるなど、ギリシャの財政問題を巡る不透明感から逃避先として金に資金が向かっているという捉え方もあるが、むしろ、リスクマネーが再び“好パフォーマンス”を求めて奔放に世界を駆け巡り始めたと認識される。基本的な背景は、10年以降も世界的に順調な景気回復が続くという安心感だ。ギリシャの財政問題に関しては、ユーロ圏内でギクシャクした印象を受けるが、もしものことがあればユーロ圏全体の信認に関わる問題であり、最終的には“悪いようにはしない”ところに落ち着くことは目に見えており、心配の必要はないだろう。

・ 内外の経済指標とも好調な結果の発表が続いていることがマーケットに対する安心感を与え続けるだろう。象徴的なのは、先週7日の金融政策決定会合後の白川総裁の記者会見の内容だ。日銀は金融政策決定会合で景気の現状認識を3月の「景気は持ち直している」から「景気は持ち直しを続けている」へと一歩、前進させた。また、「日銀短観<3月調査>」の結果を受けて“企業の業況感改善の裾野が広がっていることが確認された”との認識を示しており、企業業績回復への期待はいよいよ高まっている。今回の記者会見の骨子は以下の通りだが、これを読み解く限り、「安心して株式を買いましょう」と言っている気がしてならない。

①景気は持ち直しを続けている。持ち直しの持続傾向がより明らかになってきたことを踏まえ、景気判断を一歩進めた。

②二番底懸念はかなり薄れた。輸出を起点に企業部門の好転が家計部門に波及し、成長率は徐々に高まってくる。

③先行きの自律回復の芽がいくつかみられる。企業部門では収益が着実に改善してきている。 設備投資も2010 年度は実績で数%のプラスになる可能性がある。 家計部門も雇用の悪化に明らかに歯止めがかかってきた。

④景気のシナリオを修正するかどうかは次回会合で包括的に点検したい。 1月の中間評価と比べ明らかにいい方向に動いている。

⑤輸出や生産は、新興国経済が想定以上に強いことなどを背景に増加を続けている。設備投資は下げ止まりが明確になってきた。

⑥物価の先行き、需給バランスの改善が時間的なラグを伴いつつも波及してくる。

⑦企業の業況感は改善のすそ野が広がっていることが確認された。

⑧金融環境は前月と比べ一段と改善が進んでおり、緩和方向の動きが強まっている。


・ 再三、この場で指摘してきたことに対するマーケットの認知度がようやく高まってきたことで、今後も堅調なマーケット展開が続くことへの期待は大きい。具体的には、来週から本格化するわが国企業の3月決算発表で来期の業績急回復が明らかになり、特に当期利益が倍増することで、例えば日経225ベースの予想EPSが『670円』となり、この数字を前提とすれば先週末の日経平均株価の予想PERは33.3倍から“16.6倍”に大幅低下し一気に割安感が台頭するとの指摘だ。これを前提に日経平均株価1万2000円は間近と指摘する声もあるが、以前に指摘したように、業績が急回復過程を駆け上がる時にはPERが急上昇する。すなわち、「EPS拡大+PER急上昇」期に差し掛かるが、その時の予想PERは経験的に『21~24倍』程度であり、その後に「EPS上昇継続+PER低下」の局面に移行する。参考までに05年8月~08年9月までの「日経平均株価、予想EPS、予想PER」のグラフを示すが、見ての通りにその様子は明らかだ。


先週のマーケットの動き
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・ また、ようやく銀行株の出遅れを指摘する声が出てきたことで“言われなき低迷”を強いられたメガバンク株の大幅回復があっても不思議はない。未曾有の不況を経験した中でファーストリテイリングや餃子の王将、ニトリ、ABCマートなど「勝ち組の消費関連企業」が注目の的だったが、昨今、“節約疲れ”という指摘も浮上してきているように、百貨店やスーパーなどの小売り企業の伝統的な内需関連株の復活が期待される。勝ち組消費関連企業の業績がすぐに大崩れすることは考え難いことであるが、これまでのような勢いが継続するとは思えない。その一方で、伝統的な内需企業はリストラ合理化も終盤に差し掛かり、月次ベースの関連指標にも下げ止まり傾向が現れて来ることになろう。業績が急速に回復することは難しいとしても、そろそろ仕込み時のタイミングを迎える局面になっていると考える。更に、景気回復による販売量の回復や原発稼働率の上昇で業績回復が予想される電力・ガス業界の株価も如何にも出遅れが目立つ。別図は昨年12月以来の主な業種の株価推移を見たものだが、見ての通り、内需関連株の大幅な出遅れが明らかであり、今回の決算発表の内容をよく吟味した上で仕込んで行きたいところだ。一時、150%を超えた騰落レシオなどの指摘で過熱感が指摘されているが、例えば04 年3月も150%近くまで上昇したが、TOPIXは更に約7%上昇した経緯もあり、今回は業績の回復期待が高まり続けることから、適度な短期調整の下落を経ながらの上昇トレンドを続ける可能性は高いだろう。また、現在の株式市場には既に業績回復を織り込み済みという指摘も多いが、実際には企業業績がどこまで上昇するかを見切ってないことは明らかだ。従って、今週以降の米国企業、来週以降のわが国企業の決算発表によって、好内容にも拘らずに株価が大きく下落するよう銘柄が出現すれば、絶好の投資チャンスと考えたい。


日銀短観の大企業、業種別の業況判断DI (09年12月以降は改定後もDI値)
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先週のマーケットの動き


各国マーケットの動き
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今週の主要スケジュール

今週のスケジュール
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◆内外経済指標より

先週発表 … 機械受注統計は2カ月連続減となったが悲観する必要はない

 先週は、国内では「2月の景気動向指数」、「2月の機械受注統計」、「3月の景気ウォッチャー調査」、「3月の工作機械受注」、海外では米国で「3月の非製造業ISM指数」、「2月の消費者信用残高」、「2月の卸売売上高・在庫」が発表された。経済指標以外では6~7日に国内で「日銀金融政策決定会合」が開催され、国内では重要な統計発表やイベントが相次いだ1週間であった。

 8日に「2月の機械受注統計」が発表されたが、船舶・電力除く民需の受注額は3カ月ぶりに7000億円を割り込み、6846億円、前月比伸び率はQUICKコンセンサスの3.9%増を大きく下回り、5.4%減の2カ月連続減少となった。コンセンサスを大きく下回ったことでマイナスのイメージを持ちやすいが、元来、機械受注統計は予想が大きく外れやすい代表格であり、2カ月前に発表された09年12月の船舶・電力除く民需の受注額が前月比20%増と急拡大したことが未だに影響しているともいえる。製造業と船舶・電力除く非製造業にわけてみると製造業では前月比0.3%減とほぼ横ばい、船舶・電力除く非製造業では同4%減となり、外需に影響されやすいわが国製造業では比較的良好な結果といえる。さらに製造業を業種別にみるとウエイトの大きい電機、化学、鉄鋼がそれぞれ前月比10%減、27%減、54%減となったが、自動車、その他輸送機械、一般機械は7.9%増、91%増、6.1%増となり、業種によってバラつきが見られ単月の結果に悲観的になる必要はないだろう。同日に日本工作機械工業会から「3月の工作機械受注(速報値)」が発表されたが、こちらは受注総額758億円、前年同月比3.6倍の大幅増となった。受注総額の水準はピーク比の53%の水準であり、昨年の大幅に落ち込んだ受注総額に対しての3.6倍という数字であるから、ポジティブな結果になったとは言いにくいが、これで09年12月から4カ月連続で前年同月比増となり、本格的な回復に向かっているといえよう。


船舶・電力除く民需の機械受注額推移
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工作機械受注額の推移
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 さらに、同日午後には「3月の景気ウォッチャー調査」が発表された。現状判断DIは47.4、前月比5.3ポイント上昇、先行き判断DIは47.0、同2.2ポイント上昇とどちらも4カ月連続の上昇と景況感は着実に持ち直している。現状判断では、「政府のエコポイント制度が4月から改定され、対象商品が大幅に削減されるのを受けて、薄型テレビの駆け込み需要が予想以上に多く、売上全体をけん引している」や「住宅取得資金の贈与に係る非課税枠拡大のほか、住宅版エコポイントの受付も始まり、客の関心も高まっているため、住宅の潜在的需要の喚起につながる」などのコメントが見られ一時的なDIの上昇要因があったことは否めないが、コンビニエンスストアのコメントで「売上が前年比80%台でしばらく続いていたが、当月は同90%台までに回復してきた」など、日常的な消費力が回復に転じつつあるコメントも見られた。基調判断も2月調査の「景気は、厳しいながらも、下げ止まっている」から、3月調査では「景気は、厳しいながらも、持ち直しの動きがみられる」へと上方修正したことから本格的な景気回復への期待が強まってきたといえる。


現状判断DI、先行き判断DIの推移
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今週発表 … 米国の4月の景況感は回復期待がより一層強まる予想

 今週は、国内では12日に「3月のマネーストック」、「3月の貸出・資金吸収動向等」、13日に「3月の企業物価指数」、海外では米国で12日に「3月の財政収支」、13日に「2月の貿易収支」と「3月の輸出入物価指数」、14日に「3月の小売売上高」、「3月の消費者物価指数」、「2月の企業在庫」、15日に「4月のNY連銀製造業景気指数」、「3月の鉱工業生産・設備稼働率」、「4月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数」、「4月の住宅市場指数」、16日には「3月の住宅着工・許可件数」、「4月のミシガン大学消費者信頼感指数」、また、中国では15日に「1~3月のGDP」、「3月の消費者物価指数」、「3月の小売売上高」、「3月の固定資産投資」、「3月の鉱工業生産」などが発表され、海外の経済指標の結果に注目が集まる週になろう。経済指標以外では15日に国内で「地域経済報告(さくらレポート)」、14日には米国で「地区連銀報告(ベージュブック)」が発表され、これら地域の状況を発表する報告書にも目が集まろう。

 米国の経済指標に対するブルームバーグコンセンサスを見てみると、景況感を表す「4月のNY連銀製造業景気指数」では前月比1.1ポイント増加の24.0、「4月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数」では同1.1ポイント増加の20.0、「4月のミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)」では同1.4ポイント増加の75.0と、実際の結果を見るまでは判断できないが、3指標ともコンセンサスで前月比増加の予想が出ており、エコノミスト間でも米国経済回復の色合いが強まっていると考えられる。

 国内では15日発表の「地域経済報告(さくらレポート)」に注目が集まろう。前回の報告では北海道、東北、北陸、中国、四国の5つの地域が3カ月前に対する基調判断を据え置き、関東甲信越、東海、近畿、九州・沖縄の4地域が上方修正した。今回も地域によって基調判断の上方修正、据え置きが混じる結果となるであろうが、金融政策決定会合での基調判断が「持ち直している」から「持ち直しを続けている」と上方修正されたことなど、基調判断の上方修正もたびたび見られることから、前回、1月の報告時点よりは上方修正する地域は多くなると予想する。



今週の主な決算発表予定

今週の主な決算発表予定
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