日本株マンスリーレポート

マーケットレポート

マーケットの視点

GS訴追ショックで先週末急落したが株式市場を支える基本的な背景は不変、特に半導体の好調、ソニー決算に注目

・ 先週の日経平均株価は、一足先に調整色を強める展開となった。海外株式市場は、NYダウ、S&P500、ナスダックの米国3市場が12~15日まで連日、英独仏の欧州3市場、豪州ASX、韓国総合は14~15日、日本株市場でも中小型株物色の流れで日経ジャスダックが12~15日と昨年来高値を更新したが、日経平均株価は4月8日の前日比“124.63円安”以後、一進一退の動きが続いている。先週末の日経平均株価は、前週末比“102.16円安”の「1万1102円18銭」と2週連続の前週末比下落で引けた。また、5日連続での日足陰線となったが、5~9日の週も9日以外は4日連続の日足陰線となっており、朝方の期待が後場になって売りに押される展開がしばらく続いている。これは、騰落レシオなどテクニカル面での高値警戒感が根強い上に、日米決算発表のタイミングであり、上昇が一段落すると様子見的なムードとなって売りが強まる展開に陥るためだ。これが、他の海外株市場に比べて、リーマン・ショック以前の株価水準までの回復まで遠いもどかしさとなっているが、反面、一本調子の上昇から急激な下落調整に陥ることを和らげており、むしろじっくりとパフォーマンスを狙うには都合がいい展開になってもいる。

・ 先週から本格化した米国企業の1~3月期決算は予想通りに好調な内容が続いている。10~12月期決算発表の再現で、12日に発表したアルコアは市場予想を下回る内容だったが、13日発表のインテル、14日発表のJPモルガンチェース、15日発表のAMD、グーグル、16日発表のバンク・オブ・アメリカ、GEといずれも市場予想を上回る好内容の決算が続いたことが12~15日の米国株市場の連騰を支えた。しかし、16日に唐突に浮上したゴールドマン・サックスに対する訴追が久々に米国株市場に大きなダメージを与えた。米国証券取引委員会(SEC)はサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)で組成した有価証券の販売に絡み、投資家に重要情報を開示しなかったとして、米金融大手ゴールドマン・サックス(GS)証券を証券詐欺罪で訴追し利益の返還や罰金の支払いを求めた。16日は米国3市場とも大幅安、NYダウは前日比“125.91ドル安”の「1万1018ドル66セント」で引けた。100ドル超の下落幅は2月23日の同“100.97ドル安”以来で、ほぼ2カ月ぶりのことだ。まさに、決算好調を受けて1万1200ドル台奪回が視野に入っていただけに、いきなり水を浴びせられた格好だ。しかし、この訴追が出てきたのは、100年来の課題であった医療保険制度改革を実現したオバマ政権が、核安全保障サミットの開催で核問題にも道筋をつけ、今度は一気に金融制度改革の決着に持ち込みたい意向が働いている模様だ。GS証券への訴追で世論を動かし、中間選挙を控えた議会の反対派を封じ込めようという戦略の流れのようだ。金融制度改革は金融の自由度を奪うことにはなるが、反面、金融市場の潜在的なリスクを排除する効果があると評価することも出来、必ずしも株式市場にとってマイナスばかりではない。従って、連騰が続いた米国株市場を一旦、沈静化させることにはなるが、基本的に持続的な景気回復、企業業績の予想以上の好転ぶりを背景に、再び堅調なマーケット展開に復帰する可能性は高いと言えよう。

・ 中でも半導体関連の好調が際立っている。インテル、AMDの米国半導体企業のみならず、欧州でも独インフィニオンが12日に「1~3月期の収益見込みが予想を上回った」と公表、28日発表で「10年9月期通期の業績見通しを引き上げる」とした。オランダの半導体露光装置の世界最大手ASMLも14日に1~3月期決算が黒字に浮上、10年12月期通期の売上高は過去最高を更新する見通しで、モーリスCEOは「半導体業界の回復に対する自信を強めている」と指摘した。インテルのMPUの世界シェアは7割であり、インテルの好調はそのまま世界のあらゆる電子機器の需要が好調であることをも意味する。また、インテルは決算発表と同時に次世代MPUを10年後半から量産化することを明らかにしており、先行きに対する自信を相当に深めている。これは、現在の半導体活況が単純にネットパソコンなど低価格品だけの数量活況だけではないことを背景としており、わが国でも半導体企業のみならず、半導体製造装置、パソコン周辺装置関連企業などへの注目度も高まることになろう。加えて、ソニー・エリクソンの1~3月期の最終利益が7四半期ぶりの黒字になったと15日に発表したことでソニーの決算が俄然注目される。


先週のマーケットの動き


各国マーケットの動き
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今週の主要スケジュール

今週のスケジュール
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◆内外経済指標より

先週発表 … 日本の「地域経済報告」、米国の「地区連銀報告」が景気回復の全般的な広がりを示す

 先週発表の経済指標は国内外ともに好調な内容が続いた。中でも注目されたのは、国内では15日に日銀が発表した「4月の地域経済報告(さくらレポート)」、海外では15日に発表された一連の中国の関連指標、特に「1~3月期のGDP成長率」、米国では14日に商務省が発表した「3月の小売売上高」、FRBが発表した「4月の地区連銀経済報告(ベージュブック)」など。

 国内の「4月の地域経済報告(さくらレポート)」、米国の「4月の地区連銀経済報告(ベージュブック)」とも共通する部分が多く、国内外とも景気回復が全般的な広がりを見せていることを伝えており、これまでの景気回復が持続することへの期待を更に強める内容となっている。まず、「4月の地域経済報告(さくらレポート)」は、全国9地域のうち北海道、東北、北陸、関東甲信越、東海、近畿、中国の7地域で景気判断を上方修正した。前回発表の1月時点では上方修正したのは4地域だったので、景気回復の明るさが全国的な広がりを見せてきていることが示された。景気判断を上方修正した背景として、中国向けを中心に輸出の大幅な伸びが続き、製造業の設備投資もようやく底打ち感が強まり、個人消費も持ち直す兆しが見え始めている。

 一方、米連邦準備理事会(FRB)が発表した「4月の地区連銀経済報告(ベージュブック)」では、総括判断で「全12地区連銀のうち11地区において経済活動が全般的にやや拡大した」と報告し、景気認識の方向性は昨年12月以来、4カ月連続して上向きになっているとした。3月時点の報告では北東部の大雪の影響もあって改善が9地区に止まったとしたことに対して景気回復が全国的な広がりを見せていることが示された。とりわけ、米国GDPの7割を構成する個人消費に関する判断を「増加した」と評価したことが心強い。

 国内、米国とも景気回復の波が全国に及んできていることを示す一方、例えば、国内の名古屋支店では「新興国需要の増加を踏まえ、国内生産拠点などを海外に移して生産体制などを強化する計画がみられる」と表現するなど、生産能力増強のための設備投資については慎重な企業が多いことも指摘され、米国では「労働市場は全般的に弱い状況にある」との懸念が示され、景気回復ペースは緩やかなものに止まっているとされるなど、“着実に景気は回復しているものの、その足取りは依然として鈍い”と認識されていることから、今後も景気回復に向けた金融、財政政策の支援が続くことへの期待も大きい。

 また、電気事業連合会が16日に発表した「3月の電力需要実績(速報、10社合計)」は、産業用大口需要が228億2800万kWh、前年同月比19.9%増と4カ月連続で前年実績を上回り、産業用電力需要の回復ペースがアップテンポになって来ている。主要業種で伸び率が大きかったのは鉄鋼が同50.2%増、非鉄金属が同31.5%増、機械が同26.2%増など。1月以降、主要7業種とも電力需要はプラス基調が続いている。国内の生産活動が順調に回復に転じていることを改めて裏付ける数字だが、絶対水準的には、リーマン・ショック以前の08年3月に比べると鉄鋼は17%減、機械は11%減など、主要7業種ともまだ2年前の水準を下回り、大口電力需要全体では9.4%減の水準に止まっており、更なる回復余地はある。


船舶・電力除く民需の機械受注額推移
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 中国国家統計局が15日に発表した「1~3月期の実質GDP成長率」は前年同期比11.9%増と、09年10~12月期の同10.7%増に続き2四半期連続での二桁成長となり、中国経済の力強い拡大を示す結果となった。成長率の内訳は、公共投資拡大を背景とする「資本形成」が6.9%分、自動車、家具類などが好調な売れ行きを見せていることで「最終消費」が6.2%分の成長に貢献した格好となっており、政府の景気刺激策の効果が持続していることが示された結果となっている。成長の加速に伴い住宅価格が高騰するなど不動産バブルや、消費者物価指数が1月の1.5%上昇に対して、2月2.7%上昇に続き3月も2.4%上昇となるなどインフレへの懸念が高まってはいるが、現時点では中国人民銀行(中央銀行)が直ちに利上げに踏み出すとの見方は少ない。認識として、依然として世界経済の先行きに不透明感があるため、輸出産業に対して政策の支えが今後も必要としているためだ。但し、人民元の切り上げ観測が強まってきていることもあり、物価上昇の抑制に気を配りながらも景気拡大を促す中国政府の政策運営の動向が今後も注目を集めることになろう。

 米商務省が14日に発表した「3月の米小売売上高(季節調整済み、速報値)」は3631億9400万ドル(約34兆円)、前月比1.6%増と3カ月連続の前月比増加、前年同月比では7.6%増となり米国の個人消費は緩やかながらも順調に回復していることが示された。変動が大きい自動車・部品を除いたベースでも同0.6%増となっている。3月はイースター(復活祭)休日が前年より早かったことの効果を見込み市場予測は同1.1%増だったが、これを上回る好調ぶりとなった。1~3月期では前期比1.9%増となり、4月末に発表される予定の「1~3月期GDP」に対する期待が高まる内容となった。


今週発表 … G7、G20、IMF・世界銀行総会での議論の行方に注目

 今週は、国内が3月の消費関連の指標である「百貨店、コンビニ、チェーンストア売上高」が発表される。株式市場の中でも出遅れが目立つ伝統的な消費関連に回復の兆しが見えるかどうかが焦点。米国の経済指標では、23日発表の「3月の耐久財受注」及び22日の「3月の中古住宅販売件数」、23日の「3月の新築住宅販売件数」など一連の住宅関連指標が目立つくらいだが、市場予測では波乱はないものと予想される。なお、週末より米国ワシントンにて23~24日の予定で「G7、G20の財務相・中央銀行総裁会議」、24~25日の予定で「IMF・世界銀行の総会」が開催される予定であり。世界の景気認識、ギリシャ問題、中国人民元などがテーマとなる見通しだが、新展開があるとは考え難いものの、2010年後半の世界経済を左右するテーマであるだけに、議論の行方には大きく注目が集まることになろう。



今週の主な決算発表予定

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