日本株マンスリーレポート

マーケットレポート

マーケットの視点

日本株はこの2週間で早めの調整充分、好材料の発表も続くことから決算発表を機に再騰に転じると予想する

・ 先週の日本株市場は軟調な展開が続いた。前週末比では“187.72円安”と3週連続の下落となり「1万914円46銭」で引け、3週間で“371.63円安、3.3%下落”と決算発表の本格化を控え調整色を一段と強めた。先週は21日に上昇した以外に4日間とも下落したが、その変動要因を振り返ると以下の通り。19日は「ゴールドマン・サックス訴追ショック」、20日は香港ハンセン指数が大きく戻したものの「中国政府が不動産価格抑制の姿勢を強めていることを受けて上海総合指数が警戒売りから不動産株を中心に下落しツレ安」、21日は「米国企業の好決算に反応したことと上海総合指数が5営業振りに反発したこと」で“189.37円高”となったが、22日は「92円/米ドル台円高かつ対ユーロも円高、トヨタの格下げ、JFEが再び決算発表で次期見通しを公表しなかったことでの鉄鋼株の下落」、23日は「対ユーロで円高が進んだこととG7・G20における金融規制問題の行方に対する警戒感」などが背景。新年度相場に入り決算発表を目前に方向感を見失い、外部のマイナス要因にのみ反応するという日本株市場のいつもの悲観展開に陥ってしまった。先週1週間では米国株市場はNYダウが5営業日連騰、ナスダックも火曜日以降4営業日連騰、S&P500は水曜日以外4日間上昇を記録し3市場とも週末に昨年来高値を更新している。NYダウ、ナスダックは既に8週間連続の上昇、S&P500も過去8週間中7週間が上昇している。また、欧州株市場も昨年来高値圏に踏み止まっており、再び日経平均株価だけがこの2週間で置いて行かれた展開となっている。

・ 今週からわが国企業の決算が本格化する。既に先週までの2週間、米国企業の決算は申し分のない好調な内容の発表が続いている。S&P500の主要企業ほぼ100社が決算発表を終えたが、約85%が予想を上回る好決算となっている。半導体市場の活況に象徴されるように、特にインテル、IBM、アップル、マイクロソフトなどハイテク企業の好決算が目立つが、決してハイテクのみならずマクドナルド、スターバックスなどの外食産業、食品のペプシコ、コカ・コーラも北米の低迷を新興国の好調でカバーし増収増益を達成、また、金融各社も軒並み収益急拡大に転じ、ネット販売最大手のアマゾンは46%増収、純利益69%増益で1~3月期としては過去最高の業績を記録している。米国企業の好決算に対する株式市場の反応としては、事前に予想された通りに個別には決算発表を機に売られる銘柄が目立ったものの、市場予想を上回る決算がほぼ全般に及んでいることから米国株市場は前述の通りに堅調な展開が続いたものと考えられる。一方、わが国企業は、既にこの2週間、日経新聞の観測記事で主要企業の10.3期決算が第3四半期決算発表時の公表値を上回ることが多く伝えられている。焦点は11.3期見通しだが、①10.3期が後半に進むにつれて尻上がりに業績好転していること、②為替市場が依然として不安定な動きとなってはいるものの一時のように90円/米ドルを大きく上回るような円高は想定し難いこと、③新興国が軒並み出口戦略に向かってはいるが高い経済成長率が期待されることは変わりなく新興国需要拡大の恩恵は引き続き大きい、④欧米需要も持ち直しに転じる、などを考えれば、資源高を背景とする原材料価格の上昇などのコストアップを充分に吸収して業績急回復基調が続くことになることは間違いないだろう。特に、2月上旬からの株価戻り過程で勢いの良かったグローバル企業群の株価はこの2週間で相当な調整を完了していると言え、今回の決算発表ではむしろ決算の発表を機に再騰に転じても不思議はない。

・ 先週21日にIMFは世界経済の2010年成長率を前回1月の3.9%成長から4.2%成長へと上方修正した。09年4月には1.9%成長、同年10月3.1%成長としていたことからは様変わりのアップテンポとなってきている。二番底懸念どころか、更なる上方修正も期待されるところだ。また、個人消費への影響が大きいとして最大の不安材料となっている雇用回復の遅れに関しては、米国に関して先週20日の日経夕刊で「北米自動車 雇用増の動きGM4000人、ホンダは400人 生産急回復で」、日本も22日の日経朝刊で「来春大卒採用 NEC3倍、日本電産2倍 IT関連など技術者確保」と報じられた。1~3月期のGDPに関して、今週発表予定の米国は“3.4%成長”、5月20日発表予定の日本は“5.0%成長”、また中国は中国人民銀行の予測では前期比伸び率の年率換算で“12.2%成長”と報じられた。WSTSの世界の半導体市場予測は5、6月に上方修正されることは必至など、今後も好材料は目白押しだ。


先週のマーケットの動き


各国マーケットの動き
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今週の主要スケジュール

今週のスケジュール
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◆内外経済指標より

先週発表 … 日米とも確実な景気回復の足取りを示す経済指標の発表が注目される

 先週は、米国企業の10年1~3月期の好決算の発表がマーケットを賑わし、週末にかけてはG7・G20、IMF総会のニュースが注目を浴びた1週間だった。その中で、内外経済指標の発表にも景気回復の足取りが確実なものになっていることを示す内容が引き続き相次いでいる。

 国内関係で最も注目したいのは、21日に発表された日銀の「1~3月期の主要銀行貸し出し動向アンケート調査」と日本政策金融公庫が発表した「1~3月期の全国中小企業動向調査」。前者によると、企業向け資金需要判断DIは前回の09年10~12月期の調査「‐17」から「‐10」へと5四半期ぶりに改善した。新興国需要の拡大、円高の一服、株式市場の持ち直しなどを背景に企業マインドは積極さを取り戻しつつあり、先行きの設備投資の本格回復を示唆するものとして注目される。また、日本政策金融公庫が発表した「1~3月期の全国中小企業動向調査」によると、中小企業の業況判断DI(前年同期に比べて「好転した」と答えた企業の割合から「悪化した」を引いた値)は09年10~12月期の「‐28.4ポイント」から今回「-10.8」へと大きく改善している。業種別には自動車部品業界の改善が大きく寄与しており、景気の本格回復にとって大きな課題である中小企業の景況感にも好転の兆しが現れている。原油市況の上昇など原材料価格が再び高騰していることから、4~6月期見通しは1.6ポイント悪化の「‐12.4」と5四半期ぶりの悪化としているが、小幅な悪化見通しであり、現状の景気回復が続けばむしろ改善傾向を辿る可能性は高い。

 22日には「3月及び09年度の貿易統計」が発表された。3月の貿易統計は、輸出額が6兆49億円、前年同月比43.5%増、輸入額は5兆560億円、同20.7 %増で、差し引きの貿易収支は9489億円の黒字となりリーマン・ショック後では最大の黒字額となった。輸出は、中国向けの同47.7%増を中心にアジア向けが同52.9%増と急増傾向が続き、米国向けに関しても自動車が同2倍、半導体などの電子部品が同1.6倍になるなど同29.5%増と大幅に回復している。また、09年度の貿易収支は5兆2332億円の黒字と、08年度の7648億円の赤字から脱却、07年度の10兆7955億円以来、2年ぶりの黒字になった。年度ベースでは09年11月まで14カ月連続減少が続いたことで輸出額が前年度比17.1%減となったが、資源価格安の影響で輸入額の減少幅が同25.2%減となったことで貿易黒字を計上するところとなった。09年度の中国向けの輸出額は統計が比較可能な79年度以降で初めて米国を上回って日本にとって輸出・輸入とも最大の貿易相手国になり、また、全体の貿易額(輸出額と輸入額の単純合計)に占めるアジア比率は08年度45.5%→09年度50.2%と初めて50%を上回ることになり、いよいよ中国を中心とする新興国経済の発展が日本経済の推進エンジンとなる姿が鮮明になって来た。とりわけ、自動車、家電製品、日用製品など本格的に消費市場としての期待が高まっており、更に、今後はインフラ整備投資拡大に伴う機械設備など資本財輸出の拡大も貢献してこよう。


船舶・電力除く民需の機械受注額推移
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 一方、米国では住宅関連の経済指標が市場予想を大きく上回った。住宅関連全米不動産協会が22日に発表した「3月の米中古住宅販売件数」は、季節調整済みの年率換算で535万戸、前月比6.8%増と市場予想の529万戸を若干上回り4カ月ぶりの増加となった。前年同月比では16.1%増と二桁増加を記録し、在庫水準は前月比0.5カ月分減少し販売の8.0カ月分となり、販売価格の中央値は17万700ドルと前年同月比0.4%上昇している。また、米商務省が23日に発表した「3月の新築一戸建て住宅販売件数」は、季節調整済みの年率換算で41万1000戸、前月比26.9%増と5カ月ぶりの前月比増加で市場予測の33万戸を上回り、しかも増加幅は1963年4月の同31.2%増以来、実に約47年ぶりの大幅なものとなった。米政府による住宅の初回購入者に対する税還付措置の期限が4月末となっていることからの駆け込み需要が大きいと判断されるが、09年7月以来の水準まで回復し、前年同月比も23.8%増となった。米国住宅市場の先行きは金利の先高感など予断は許されないものの、最悪期を脱出した感触は感じられる。


今週発表 … 国内の鉱工業生産、米国の1~3月期GDPとも好感される公算大

 今週発表の内外経済指標では、国内が30日発表の「3月の鉱工業生産<速報>」、「3月の労働力調査」、「3月の全国消費者物価指数」と重要指数の発表が集中する。また、米国では同じく30日に「10年1~3月期のGDP<第1次速報値>」の発表が注目される。更に、今週は国内の主要企業の決算発表がスタートすることになるが、日経の事前の観測記事にあるように米国企業決算と同様にほとんどの主要企業は予想を上回る好内容の決算を発表することになろう。また、27~28日の「米国FOMC」、30日の日銀の「経済・物価情勢の展望(4月)」の内容が非常に注目される。既に先週末のG7・G20会議で世界経済に対する認識は明らかになっており、ギリシャ問題の決着も固まりつつあり、ハプニングはないものと予想される。

 国内の「3月の鉱工業生産<速報>」のコンセンサス予想は“前月比0.7%増”と2カ月ぶりのプラスの予想となっている。2月が12カ月ぶりに前月比マイナスになったが、再び持ち直す予想となっている。前回の経済産業省による予測調査では“前月比0.9%増”、クイック・コンセンサスによると予想値の幅は1.2%増~横ばいとなっており、マイナス予想はない。国内外の需要増加を背景に順調な国内生産の回復が続いている模様だ。四半期ベースでは、4四半期連続での前期比増加となり、リーマン・ショック直前の08年4~6月期の85%水準、同年7~9月期並みの水準にまで戻る予想だ。

 また、米国の「10年1~3月期のGDP<第1次速報値>」の市場予想は3.4%増と09年10~12月期の5.6%増に対しては伸び率が鈍化するが、3四半期連続の増加でありまずまずの伸び率となる見通しとなっており、足下の米国経済の堅調ぶりを裏付けることになりそうだ。



今週の主な決算発表予定

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