マーケットレポート

マーケットの視点

欧州不安が払拭出来ずに株式市場の波乱展開が続くが企業業績は大幅好転、PER割安株と設備投資関連に注目

・ 先週初めは、ギリシャの財政危機を発端とする金融市場の大混乱を収束するためにEUが一大結束、緊急の財務相理事会を開き、10日のアジア市場が開くまでの時間制限の中で総額7500億ユーロの金融支援策の合意に漕ぎ着けたことでマーケットには一気に明るさが広がった。先週の月曜日は世界同時株高、下落率の大きさが目立っていた仏CAC40が前週末比9.7%上昇となったのを最大に、独DAXが5.3%上昇、英FTSEが5.2%上昇と欧州市場は軒並み大幅高、米国もNASDAQが4.8%上昇、S&P500が4.4%上昇、NYダウが3.9%上昇となり、日経平均株価も3営業日ぶりに上昇した。しかし、11日に発表された一連の中国経済指標が消費者物価指数など過熱気味だったことから、本格的な利上げ実施を連想させることとなったために中国リスクが台頭した。また、緊急の大型支援策の決定や欧州各国の中央銀行が財政危機国の国債を買い入れし危機感に歯止めをかけようと必死になっても欧州に対するマーケットの不安心理は完全には払拭出来ずユーロ下落が止まらない。投資家のリスク回避姿勢の強さを表すものとして12日のNYMEX金先物価格は1243.1ドル/トロイオンスの過去最高値を記録した。

・ 日経平均株価は11、12日と軟調に推移、12日に米IBMが2015年までにM&Amp;Aで200億ドルを投じてソフト事業の成長加速を促すなどで2015年のEPSを倍増させる計画を発表したことを好感し12日の米国株市場が一旦、大幅高となって安心感が募ったことで13日の日経平均株価も“226.52円高”を記録したが、12日に発表された1~3月期のユーロ圏の実質GDP成長率が年率換算0.8%成長と低水準、財政再建を急ぐことで歳出削減を強化し欧州景気停滞や世界経済の冷え込みを招くとの警戒感、金融支援があったとしても南欧諸国の財政問題の解決は容易ではないなど、結局は欧州不安が消えない。米国株市場は13、14日と続落、14日の欧州株市場も大幅安の展開となった。ユーロ下落が止まらない一方で、一層、リスク回避の姿勢が強まり、14日のNYMEX金先物価格はザラ場で1249.7ドル/トロイオンスの過去最高値を付けた。欧米株市場は月曜日の大幅上昇の貯金があったことで、週間ベースでは前週末比で軒並み上昇となったものの、週末にかけての急落が先行きに不安を感じさせる展開となった。日経平均株価も10日、13日に大幅高となったことで、かろうじて週末株価は前週末比“97.92円高”となり「1万462円51銭」で引けた。

・ 今週の20日に発表する「10年1~3月期のGDP<速報値>」は大幅な伸びとなり、日本株市場を支える要因なる可能性は高い。加えて、先週までにほとんどの主要企業の決算発表が終わったが、事前予想を遥かに上回る好転内容が実に目立っていることに改めて注目したい。先週13日の日経朝刊によると、12日までの決算集計では電機、自動車の収益改善幅が大きく10年3月期は経常25%増益と中間期時集計の“1.3%増益”はもちろん、第3四半期決算時集計の“12.2%増益”に対しても大幅に上振れた格好だ。しかも、11年3月期も“経常38%増益”と連続二桁増益と近年では比較的強気な計画数字の発表となっている。それでも、主要企業の中には需要刺激の政策効果が切れる下期を厳しく見ている、原材料の価格上昇を大きな収益圧迫要因とする、などと慎重に構える企業も多く、今期も増額修正は充分に期待出来る。また、製造業が93.6%増益→64.8%増益と連続大幅増益となること、以前にも指摘したことだが当期利益は全産業が24倍→71.2%増益、製造業が黒転→2.4倍増益と言う回復テンポになり、おそらくは改めて今期PERを算出した時に相当な割安感が目立つ企業が多く出現することになりそうだ。14日の日経朝刊19面に「PER、増益予想で低い銘柄」として取り上げてあるので参考になる。この表の中では、総合商社5社、DRAM急回復のエルピーダメモリ、スマートグリッドの恩恵が大きい富士電機HD、堅実経営で順調に業績を伸ばすケーズHD、世界的な液晶テレビ需要の高成長がストレートに業績を押し上げている日本電気硝子に特に注目したい。また、新興国を中心に世界的な生産能力の増強ラッシュに再び向かいつつあるようだ。従って、収益の本格回復が来期以降となることで決して予想PERは割安ではないが、来期以降の業績様変わりが期待される森精機などの工作機械、半導体製造装置の東京エレクトロン、東京精密、デジカメの続伸にステッパーの急回復が加わるニコンなどの設備投資関連は今期以降の業績変化率が大きいだけに注目度は高い。


先週のマーケットの動き


各国マーケットの動き
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今週の主要スケジュール

今週のスケジュール
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◆内外経済指標より

先週発表 … 中国リスク、欧州不安強まったが、景気ウォッチャー、工作機械受注の回復ぶりは顕著

 先週は、中国では一連の重要指標が発表されたが、国内、米国では目立った経済指標の発表はなく、話題の中心はギリシャの財務問題を発端とするソブリンリスクの高まりが招いた金融市場の混乱を沈静化させると同時にユーロを防衛するために財政危機国に対する緊急支援策が発表されたことことであった。

 南欧問題に対する喧騒の中で発表された中国関連の指標の中で、11日に発表された「4月の消費者物価指数」は“前年同月比2.8%上昇”と08年10月以来、1年半ぶりの高い水準に達し、中国政府が年間目標とする3%に近付いた。また、同じく発表された「4月の主要70都市の販売価格」は“前年同月比12.8%上昇”となり10年3月の同11.7%上昇を更に上回り、住宅バブルの懸念が一層高まった。中国に関しての最大の心配材料である『本格的な利上げ』が強く意識されることとなった。

 また、12日に発表されたユーロ16カ国の「1~3月期GDP成長率」は、“前期比0.2%増、年率換算0.8%成長”とギリシャのマイナス成長が足を引っ張るなど、4月15日に発表された中国の前年同期比12.2%増(年率換算12.2%と試算)、4月30日に発表された米国の年率換算3.2%増、そして今週20日に発表される予定の日本のコンセンサスである年率換算5.4%と比較しての低調ぶりが際立っている。主要国であるドイツは輸出の持ち直しで堅調なものの、欧州全般に景気回復が遅れ気味であることが指摘される。対ユーロの円高と合わせて、例えば2010年の欧州市場の自動車販売台数が再び減少に転じる見通しにあるなど、欧州ビジネスは比較的厳しいものと想定せざるを得ないだろう。その一方で、14日に発表された米国の「4月の小売売上高」は“前月比0.4%増”と7カ月連続の増加であり、しかも市場予測の平均0.2%増をも上回る好調ぶり。更に、「4月の鉱工業生産指数」も“102.3”と前月比“0.8%増”と依然として米国内の製造業の生産は堅調な推移となっており、米国景気は順調な回復トレンドを辿っていることが改めて確認された。

 国内の主な経済指標としては、13日に発表された「4月の景気ウォッチャー調査」と工作機械工業会が発表した「4月の工作機械受注」。「景気ウォッチャー調査」は別図の通り、先行き判断DI、現状判断DIとも昨年12月以降、5カ月連続で前月比増加を続け、しかもその上昇カーブは急上昇を描いている。前月比連続増加記録は、先行き判断DIが09年1~6月の6カ月連続、03年4~10月の7カ月連続の記録以来、現状判断DIは09年1~7月の7カ月連続、05年1~6月の6カ月連続の記録以来であり、この半年間、力強い回復トレンドを辿っていることを物語っている。また、絶対水準も先行き判断DIが“49.9”、現状判断DIが“49.8”と、各々、07年5月の50.0、07年3月の50.8以来の『50超』へと一気に近付いている。なお、内訳として企業動向関連で現状判断DIは51.8、製造業53.9、非製造業50.3ともに50を超え、先行き判断DIでは製造業が50.5と50を超えた。更に、雇用関連が現状判断DIが3月に51.3と既に50を超えていたが、4月は56.0と上昇テンポに弾みが増し、先行き判断DIでも4月が53.6と50を超え、現在の景気回復の流れが先行き、雇用情勢の回復へと進む可能性が高まっていることを示唆している。懸案であった個人消費の本格回復への期待が高まる展開となってきている。


景気ウォッチャー調査と消費者態度指数の推移
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 また、「工作機械受注」の推移は別図の通り、こちらも順調な回復トレンドを辿っている。4月は内需が前年同月比87.3%増の228億円と月間200億円を超えたのは08年11月の250億円以来、外需は同345.4%増(4.5倍)の578億円とやはり08年9月の695億円以来の水準、全体で同220.5%増(3.2倍)の807億円と08年10月の815億円以来の水準であり、中国、インドなど新興国での自動車、エレクトロニクス関連の急ピッチな生産能力増強を映していることに加えて、国内でもようやく大幅に抑制してきた設備投資を再開させる動きが本格化することを予感させる展開となっている。実際、現在発表中の決算において、新興国需要の拡大で設備稼働率がリーマン・ショック以前の水準にまで戻る見通しとなってきており、機会損失を避けるために今期の設備投資を増やす企業がほとんどであり、遅れ気味であった設備投資にも火が着く方向となって来た。


工作機械受注、受注残高の推移
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今週発表 … 国内の「10年1~3月期の実質GDP成長率」のコンセンサス予想は5.4%増と高い伸び

 今週のわが国経済指標発表の目玉は、20日に発表される「1~3月期GDP<速報値>」である。これまでの1月から3月にかけて発表された一連の好調な経済指標の結果、そして企業の決算発表内容の状況から、経済の回復傾向は10年1~3月期にかけて予想以上に強まっていることが充分に窺い知れることから、好結果の発表が期待される。実質GDP成長率のコンセンサスは1カ月前には前期比年率換算で5%増程度だったが、直近では「同5.4%増」まで上昇している。09年10~12月期の同3.8%増から更に加速する見通しであり、4月30日に発表された米国の同3.2%増をも大きく上回る好調ぶりとなる見通しだ。新興国需要の拡大を背景とする輸出拡大が大きく牽引していることに加えて、ヤマダ電機やケーズデンキの好調な決算に表されているように、エコポイント制度が後押しする格好で個人消費が予想以上に好転していることが寄与している。また、住宅版エコポイント制度の導入効果による住宅投資、更には民間設備投資にも明るさが見えて来ていることが、高い成長率につながっているものと推測される。1~3月期のGDP成長率が跳ね上がったことで、2010年度に対する成長率のゲタが高くなり、今後、4~6月期以降が伸び悩んだとしても10年度は堅調な経済成長率が実現する可能性が高まってきた。

 なお、米国では、住宅関連指標の発表があるが総じて堅調な見通しであり、むしろ注目は19日に公開される「4月のFOMC議事録」の内容だ。ギリシャ財務問題によって世界の金融市場が大きく揺れているものの、米国は順調な景気回復を辿る一方で、超低金利策を継続することの副作用を懸念する局面に入ってきていることから微妙な金融政策の舵取りを要求されており、2010年後半以降の米国景気の行方を展望する上で、FOMCの議論内容に注目が集まることになろう。



今週の主な決算発表予定


今週の主な決算発表予定
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