マーケットレポート

マーケットの視点

“世界経済回復の方向性は不変、目先の株式市場の動揺は改めてチャンス、グローバル株急落・ピーク更新内需株を狙う

・ 先週は急転直下の首相交代劇が実現。支持率低下が続く民主党政権に対する不安、普天万問題で30日に社民党が連立離脱することになったことで31~1日にかけて鳩山首相の退陣論が強まり、底流に燻り続けていた「政治とカネ」問題をも同時に解決することで政局混乱を収束しようとするべく、2日に鳩山首相が「私も引くが、幹事長も引いてもらいたい」と記者会見で延べ辞意表明、同時に小沢幹事長も辞任することとなった。菅直人氏が4日午前中に民主党代表選で民主党代表となり、午後の衆参両院本会議での首相指名選挙で第94代、61人目の首相に選出された。菅直人新首相の正式就任は8日の予定で、新内閣人事及び民主党幹部人事はあらかた6日までには決定された模様であり、8日には正式に新政権がスタートする。まさに電光石火の新政権誕生で、6月14日までの今通常国会を会期延長せずに終了させて、昨今の民主党支持率低下の背景でもある鳩山首相の指導力不足、小沢幹事長の権力二重構造への不安を一気に払拭し、夏の参院選を6月24日の「公示」、7月11日の「投票開票」と当初予定通りに実施し“単独過半数議席”を確保することで民主党基盤を一段と磐石なものにすることを狙う方向で進んでいる。

・ 日本の政局急変の中で、3日の日経平均株価は前日比“310.95円高”と12月3日の“368.73円高”以来の、10年に入って最大の上昇幅を記録し「9914円19銭」と1万円台復帰に大きく迫った。大幅上昇の背景は、前日のNYダウがエネルギー関連の急反発、「4月の住宅販売保留指数」が前月比6.0%増、前年同月比22.4%増の“110.9”と6カ月ぶりの高水準となったことも支援材料となり“225.52ドル高”と大幅上昇となったことに加え、菅新首相の誕生により円安政策に拍車がかかるとの思惑で円安傾向が進んだことで急落していたグローバル関連の買戻しが急ピッチで進んだため。週末4日は前日の急反発からの一服、米国の「5月の雇用統計」の発表を控えていたことなど、菅新政権の組閣が翌週となることが伝わるなどで様子見ムードが広がり前日比“13円安”の「9901円19銭」で引けた。前週末比“138.21円高”と3週間ぶりの上昇とはなった。しかし、週末の欧米株市場は急落して終わっている。週末4日のNYダウは“323.31ドル安、3.2%下落”の「9931ドル97セント」と10年に入って3度目の1万ドル割れ、ナスダックも3.6%下落、英FTSE・1.6%下落、DAX1.9%下落、CAC40・2.9%下落と軒並み大幅な下落となった。要因は、ハンガリーのオルバン首相の報道官が「同国がギリシャのような債務危機を避けられる見込みはわずか」と発言したことで欧州の債務危機がハンガリーへと拡大する懸念が台頭したことと、楽観視していた「米国の5月の雇用統計」の内容が予想外に悪く、雇用回復の遅れが目立っていたためだ。

・ 今週は、先週末の欧米株市場の急落、南欧諸国の景気停滞への不安、ハンガリー発の欧州債務危機の再燃、5日に閉幕したG20が国際協調の要という輝きが薄れたことなどで、マーケットは世界的にも厳しいスタートになろう。週明けの日経平均株価は急落して始まるだろう。8日に菅新政権が正式に誕生、また、経済産業省が1日に公表したわが国の新たな産業政策の指針となる「産業構造ビジョン2010」案は念願の“法人税引き下げ”を盛り込んだ内容で、日本の閉塞感を打破するための成長戦略案であり本来であれば大いに注目されるはずだが、再び外的ショックに掻き消される展開になりそうだ。週末に発表される中国関連の重要指標も、弱い数字が出れば悲観され、強過ぎる数字が出れば金融引き締め懸念が強まるという、まさにタイトロープを渡るような結果の発表でなければマーケットは満足し難いだけに、厳しい1週間となりそうだ。しかし、世界経済の先行きにとってここが正念場。今後、世界各国で政策効果が薄れてくることは既に百も承知であり、特に、米国は11月に中間選挙を控え、経済の自律回復に向けては株式市場が壊滅的な状態になることでの消費に対する逆資産効果は是が非でも回避する必要がある。新興国を牽引役に、1年を通じて見れば世界経済回復の方向性は不変であり、引き続き外需に支えられることでわが国企業の10年度以降の業績回復も揺るぎないものと予想する。従って、目先の株式市場の動揺は改めてチャンスと捉えるべきだろう。毎度のことながら、日本株市場は円高を伴っての下落となることからグローバル関連株の急落、あるいはナイトーマンスリー6月号の特集「業績分析」の『二期連続ピーク更新企業』の割安内需関連の出遅れ割安銘柄がターゲットだ。


先週のマーケットの動き


各国マーケットの動き
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今週の主要スケジュール

今週のスケジュール
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◆内外経済指標より

先週発表 … 前半は堅調な発表続いたが、週末の「5月の米国雇用統計」が予想外に悪い内容

 先週発表の内外経済指標に関しては、国内は31日に「4月の鉱工業生産指数」、3日に「1~3月期の法人企業統計」が発表され、米国では1日に「5月のISM製造業指数」、3日に「5月の非製造業指数」、4日に「5月の雇用統計」と重要指標の発表が相次いだ。

 経済指標の発表に関しては、国内外とも概ね堅調な結果の発表が続いたと言える。多少気になる点としては、国内の「1~3月期の法人企業統計」は上場企業3月期決算の好調で既に認識されていたことだが、1~3月期の企業業績は「売上高は10.6%増収と9四半期ぶりのプラス、経常利益は2.6倍増益となり、11四半期ぶりの増収増益」となったが、1~3月期の設備投資が12期連続で前年同期比減少となり、これで1~3月期GDPに関して下方修正の可能性が高まったが、高い伸びであることには変わりなく、GDP回復の方向性には変わりない。また、国内の4~6月期の鉱工業生産見通しが前期比ベースで大幅に鈍化する見通しであり、中国、米国とも5月の製造業指数が市場予想を下回ったことから、世界的に回復初期を越えて、生産一服状態に入りつつある段階に差し掛かっている模様だ。

 31日に発表された「4月の鉱工業生産指数<速報値>」は、前月比1.3%増の“96.0”と、コンセンサス予想の同2.5%増を大きく下回ったものの2カ月連続して前月比増加となった。半導体製造装置が前月比56.9%増、フラットディスプレイ製造装置が同50.7%増、数値制御ロボットが同343.6%増など機械設備関連が大幅に伸びたが、エコポイント対象製品の切り替えで液晶テレビが前月比3.8%減、輸送用機械工業全体も同0.3%増と伸び悩んだ。また、資本財、耐久消費財以外では、化学2.6%減、鉄鋼1.9%減、非鉄2.7%減と素材関連の前月比減少が目立っている。更に、同時に発表された生産予測指数は4月が前月比0.4%増、5月が同0.3%増と増加基調を辿るものの、伸び率は大幅に鈍化する見通しであり、世界的な生産活動の一服感に加えて、欧州の財政危機や円高の影響による海外需要を慎重に見始めた結果でもあり、現時点では世界的な景気回復トレンドに大きな変化は出てこないだろうが、今回の警戒感が現実のものになるか杞憂に終わるかの判断は、7月頃までの状況を見守る必要がある。四半期ベースの前期比伸び率は09年4~6月期6.5%増、7~9月期5.3%増、10~12月期5.9%増、10年1~3月期7.0%増に対して、4~6月期は2.2%増と大きく鈍化する見通しで、大きな流れとしては回復初期を通過し、自律的な回復段階に移るステップに入ると位置づけられる。なお、前年同期比の伸び率では、10年1~3月期が27.5%増と7四半期ぶりのプラスとなった後、4~6月期も22.0%増と二桁増ペースは続く見通しだ。


鉱工業生産指数、在庫指数、稼働率指数の推移(87年1月~10年6月)
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鉱工業生産指数、在庫指数、稼働率指数の推移(05年1月~10年6月)
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 1日発表の「中国の5月のPMI指数」が3カ月ぶりの減少となったことで好調な生産動向も一服感が出始めたとの観測も出たが、数値は前月比1.8ポイント低下の“53.9”と15カ月連続して50を上回っており警戒すべきことではない。“新規受注件数”の悪化が要因であり、この先数カ月様子をみる必要がある。同じく1日に発表された「米国の5月に製造業ISM指数」も3カ月ぶりに悪化、前月比0.7ポイント低下し“59.7”となった。但し、依然として50を上回る高水準にあり、今回の市場予想59.4を上回ったこともあって懸念する段階ではない。米国の場合の要因は、“在庫”が前月比3.8ポイント低下し45.6となったことが響いており米国企業が在庫積み増しに慎重になったことが窺える。中国、米国の製造業とも09年以来、政策インセンティブ効果で急速な需要回復、生産回復が続いてきたことから、ここに来て多少、先行きを慎重に構える姿勢が見えてきているということで、景気回復の大きな流れに変調が生じることはないだろう。一方、3日に発表された「米国の5月の非製造業ISM指数」は、“55.4”と前月比横這い、市場予想55.6前後ともほぼ一致しており、ウエイトの高い非製造業の堅調ぶりが示されたことでの安心感はある。

 但し、31日に発表された「ユーロ16カ国の景況感指数」は前月比2.2ポイントもの低下の“98.4”となった。低下幅は08年8月以来の大きさとなっており、南欧諸国の財政危機を発端とする動揺、ユーロ安・株安が欧州地域の消費者マインドの影響を及ぼしている模様だ。特にギリシャ、スペインなど南欧諸国の低下が目立っているようだ。消費者関連の悪化に対して、ユーロ安による輸出競争力向上による輸出拡大がカバーする格好で緩やかな回復を続ける見通しとなっている。具体的な国別の景況感指数では、ギリシャが前月比7.2ポイント低下の“61.9”、スペインが同3.9ポイント低下の“88.7”、その一方でドイツは同1.3ポイント上昇の“105.8”となってり。経済共同体は、今回のような事態の捉え方として、『厳しい地域をはあるが、好調な地域で全体をカバーする』と捉えるか、『厳しい地域が全体の足を引っ張る』と捉えるか、大きく評価が分かれるところだ。現時点では後者の方の評価となっており悲観的な捉え方になっており、前者のように前向きに評価するようになれば、マーケットでの認識の仕方が変わってくるだろう。

 また、全米リアルター協会(NAR)が2日発表した「4月の住宅販売保留指数」は3カ月連続上昇、コンセンサス予想の前月比5.0%増を上回り同6.0%上昇の“110.9”と09年10月以来の高水準となった。前年同月比では22.4%の上昇で、この背景は、住宅税控除措置の期限を控えた駆け込み需要が住宅販売を押し上げたと推測される。住宅税控除措置は4月末までに住宅購入の契約し、6月末までに手続きを完了することが必要で、税控除措置による需要の先食いを踏まえ、住宅市場は一時的に弱まるとみられているものの、今後は経済や労働市場の回復が住宅市場の下支えになるとの見方が出ている。NARの首席エコノミストであるローレンス・ユン氏の見解では「雇用の増加が続けば、政府の刺激策がなくても住宅市場は持続可能な水準に戻るとみられる」としている。

 4日に発表された米国の「5月の雇用統計」は、完全失業率が“9.7%”と前月比0.2ポイントの改善、非農業部門雇用者数は前月比43万1000人増と00年3月47万2000人以来の大幅な増加数を記録、これで5カ月連続の増加となった。但し、今回は、国勢調査を実施するために政府が臨時職員を前月比41万1000人増加させたためで、民間部門の雇用者数は4月の前月比21万8000人増加に対して5月は4万1000人の増加に止まった。完全失業率は市場予測の9.8%に対しては好転したものの依然として高水準であり、非農業部門雇用者数は市場予測の50万人を下回り、民間部門に関しては厳しい情勢が続いているとの判断には変わりない。10年1~5月累計の雇用者数の増加は98万2000人となったものの、08~09年にかけての減少数約840万人に対しては11.7%を取り戻したに過ぎず、回復傾向にあるとは言え、回復力は鈍いままにあるとの認識は変わりない。また、失業者全体に占める失業期間27週間以上の“長期失業者”が占める比率が46%に達してきており、企業の雇用に対する慎重姿勢が和らぐまでにはまだ相当に時間がかかりそうなことから、高水準な失業率が継続し、米国経済は“ジョブレスリカバリー”の状態がしばらく続くことになろう。



米国の完全失業率、非農業部門雇用者数・前月比増減数の推移
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今週発表 … 今週は、マーケットを大きく左右する内外経済指標の発表が続く1週間となりそう

 今週の内外経済指標は、国内は8日に「5月の景気ウオッチャー調査」、「4月の景気動向指数」、「4月の国際収支」4月の鉱工業生産」、9日に内閣府の「4月の機械受注動向」、日本工作機械工業会の「4月の工作機械受注」、10日に「1~3月期GDPの改定値」、「5月の消費動向調査」、「5月の企業物価指数」が発表される。海外では、米国関連で9日に「地区連銀経済報告(ベージュブック)」、10日に「4月の貿易収支」、「5月の財政収支」、11日に「5月の小売売上高」、「6月のミシガン大学の消費者信頼感指数」が発表される。また9日にユーロ圏で「ECB理事会」が開催され、中国の「5月の貿易収支」、10日に中国の「5月の消費者物価指数、小売売上高、固定資産投資、鉱工業生産」と中国関連の重要指標の発表が相次ぐことになり、マーケットを大きく左右する内外経済指標の発表が続く1週間となる。


今週の主な決算発表予定


今週の主な決算発表予定
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