マーケットレポート

マーケットの視点

欧州問題、中国リスクと不安定要素も根強く膠着相場続きそうだが、むしろ主力銘柄の膠着した株価こそチャンス大

・ 先週の日経平均株価は、予想通りに16日の終値が「1万67円15銭」と5営業日連騰で5月20日終値「1万30円31銭」以来、約1カ月ぶりに1万円台を復活、17、18日と日中には1万円台に乗せるが、17日が前日比“67.75円安”、18日が同“4.38円安”と小幅続落し1万円台は維持し切れなかったものの、堅調な推移が続いた。15日にEUの欧州委員会がスペイン、ポルトガルの財政再建計画を承認したことや、スペインの国債入札が無難に済んだことなどで、欧州の債務問題が落ち着きを見せたことに加え、為替市場も111~112円/ユーロへとユーロ安が一服したことが支えとなった。欧米株市場も、米ナスダックが18日まで7連騰、NYダウが4連騰、仏CAC40が8連騰、英FTSE100が17日まで7連騰、独DAXも17日まで4連騰を記録した。ただ、日米欧株市場とも急落過程を抜けてようやく底堅い動きに転じたものの、株価回復力は鈍い。直近高値から直近安値までの下落幅に対する先週高値までの戻り率は、ユーロ安が輸出拡大の追い風になる独DAXが89%と突出、インドSEBSEXが82%、韓国総合81%と大きいが、下落幅が大きかった仏CACも48%に止まり、NYダウが46%、ナスダックが41%、英FTSE100が35%、日経平均株価は34%と非常に戻りが鈍い。日経平均株価は、何とか海外株市場に追随する動きとなったものの、結局は実質的な参院選に入ったことによる様子見気分が強まった。先週1週間通じての出来高が14日14.7億株、15日15.4億株、1万円台復活の16日でも17.3億株、17日15億株、18日15.6億株と全く低調なままに推移、一日に高安幅も6営業日連続で100円未満という動きに止まったことに表れている。

・ 海外株市場は、欧州債務問題を発端とする景気の二番底懸念は回避出来そうなムードにはなったものの、その影響が残ることで2011年の欧州各国の経済成長率が大きく鈍化する見方が強まったこと、米国に関してもバーナンキ議長の発言などから景気回復トレンドが続くものの、住宅関連指標の回復に翳りが出始めて景気回復の足取りを懸念する声が再び高まってきていることが株式市場の回復力を鈍らせている。日本株市場に関しては、最も左右する為替が円高一服となったことは支援材料だが、海外景気に黄色信号が点滅したままにあることが尾を引いている。また、上海総合指数が休場明けの17、18日と続落していることが、中国国内で賃上げ騒動の工場ストライキが続発していることと合わせて中国リスクの台頭を招き、日本株市場の足を引っ張っている側面もあるものと推測する。なおかつ、19日には中国人民銀行が26~27日にカナダ・トロントで開催されるG20に対して機先を制するように発表した「人民元相場の弾力性を高める」声明に対する評価を見守る必要が出てきた。

・ 21日から人民元の弾力化政策が始まることで変動幅は緩やかながらも人民元高が進み、一時的には円高へのツレ高となることになろう。中国からの輸出後退懸念もわが国のグローバル企業の株価を抑えることになりそうだ。一方、欧州債務問題は落ち着いたとは言え依然として不透明感は根強く、7月後半の欧州銀行のストレステストの結果公表まで不安定な状態が続くことになろう。米国に関しても、4~6月期の決算発表を迎え10年度後半にかけて業績回復テンポが足踏みする懸念が指摘される可能性は高い。また、国内では7月11日の投開票に向けての参院選がスタートするが、選挙の結果はともかく、今回発表された民主党マニフェストの評価の是非が分かれていることが株式市場の曇天色を更に強めることになりそうだ。従って、成長セクターの主力株の中にでさえ、19日日経朝刊17ページの「低PBRで配当性向の高い銘柄」リストにあるように、業績回復の方向性は不変ながらも株価水準が低位に置かれたままにあるPBR1倍割れや低PERに放置されたままにある銘柄が目立つ反面、17日日経朝刊15ページの「信用倍率が高い銘柄」リストにあるように主力銘柄の信用倍率が高水準にあることで戻り売りに押されることがマーケット全体の株価の重石になっている。このため、7月中旬頃まで当面は膠着した相場展開が続く可能性が高そうだ。しかし、05年の人民元の切り上げ時の経験則から円のツレ高はそれほど長くは続かないこと、わが国企業の4~6月期決算は予想以上の好調な内容になっていること、新しい民主党のマニフェストは現実路線に転換していることから“成長重視”政策の実現可能性はむしろ高まる内容になっていること、などが日本株市場で徐々に評価されて行くことになろう。18日に閣議決定された『新成長戦略』は依然として軌道修正が必要な部分も散見されるが、菅新政権の“柔軟な対応”で日本の経済成長力復活の道筋が鮮明に見えてくる内容にブラッシュアップされることが期待される。今こそ膠着相場を抜け出すことを前提にした銘柄選択のタイミングでもあるだろう。


先週のマーケットの動き


各国マーケットの動き
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今週の主要スケジュール

今週のスケジュール
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◆内外経済指標より

先週発表 … 10年度設備投資計画が3年度ぶりのプラス、企業の先行き不透明感も薄れつつある

 先週は国内で14日に「4~6月の法人企業景気予測調査」、米国では15日に「6月のNY連銀製造業景気指数」、「6月の住宅市場指数」16日に「5月の住宅着工・許可件数」「5月の鉱工業生産・設備稼働率」、17日には「5月の景気先行指標総合指数」、「6月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数」が発表された。経済指標以外では国内で14~15日に「日銀金融政策決定会合」が開催、18日に「6月の政府月例経済報告」が発表され、国内では景気が順調に回復しつつあることを再確認、米国では、住宅購入減税が打ち切られたため住宅市場関連指標が悪化したが、「NY連銀製造業景気指数」、「鉱工業生産・設備稼働率」などは良好な結果となり、経済指標の結果はまだら模様になった。

 まず、14日には国内で「4~6月の法人企業景気予測調査」が発表された。今回の大規模全産業の4~6月現状判断BSIは4.0となり09年7~9月の0.3以来、3四半期ぶりにプラスに転じた。大規模製造業の現状判断BSIは10となり、やはり海外需要が好調である製造業が全体を牽引する形となってはいるが、今回は大規模非製造業の現状判断BSIが0.9と07年7~9月以来11四半期ぶり、リーマン・ショック以後初めてプラスに転じたことで、業績の回復がより確かなものになってきているといえる。また、大規模全産業、製造業、非製造業ともに7~9月見通し、10~12月見通しのBSIもプラスの状態を維持することから先行きの不透明さがより薄まってきたと感じられる。


大企業の現状判断BSI、見通しBSIの推移
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 このことは10年度の設備投資計画からもうかがえる。前回の3月18日発表分では、10年度の全産業ソフトウェア、土地購入額を除く設備投資額は前年度比5.5%減であったが、今回は同9.7%増と3年度ぶりのプラスとなっている。前回発表分では10年度上期は前年同期比2.4%増、下期は12.8%減、年度合計では5.5%減であったが、今回は10年度上期が同16.4%増、下期が同3.7%増と下期の設備投資額も前年同期比増加の計画であることから、企業の設備投資意欲も強まってきている。

 国内経済指標以外では18日に「6月の月例経済報告」が発表された。6月の基調判断は「景気は、着実に持ち直してきており、自律的回復への基盤が整いつつある」と5月の「景気は、着実に持ち直してきている」から上方修正、08年7月の「景気回復は足踏み状態にある」から約2年ぶりに「回復」の文言が示された。5月からの変更点は、設備投資で「下げ止まりつつある」→「下げ止まっている」、住宅建設で「持ち直している」→「持ち直してきたが、このところ横ばいとなっている」、公共投資で「このところ弱含んでいる」→「総じて低調に推移している」となり、内需の弱さが目に付くが、少なくとも、企業が設備投資をすることで収益基盤が整い、自律的な回復への方向も定まりつつあると考えられる。

 一方、米国では15日に「6月のNY連銀製造業景気指数」と「6月の住宅市場指数」、16日には「5月の注宅着工・許可件数」と「5月の鉱工業生産・設備稼働率」、18日には「5月の景気先行指標総合指数」と「6月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数」が発表された。結果としては、「NY連銀製造業景気指数」が前月比0.46ポイント増、「住宅市場指数」が同5ポイント減、「鉱工業生産」が同1.2%増、「住宅着工件数」が同10%減、「住宅建設許可件数」が同5.9%減、「景気先行指標総合指数」が同0.4%増、「フィラデルフィア連銀製造業景況指数」が同13.4ポイント減と同じ日にポジティブ結果、ネガティブ結果が発表されることで方向感が定まらない1週間になった。しかし、4月末に政府の住宅購入減税の政策が打ち切られたため、住宅関連の指標はその反動が現れたこと、フィラデルフィア連銀製造業景況指数は企業の受注、出荷、在庫項目に関してはポジティブな結果となったことから米国の実体経済の回復に不安感は感じられない。


今週発表 … 週末のG8・G20首脳会合では、欧州債務問題、中国人民元の行方が焦点

 今週は、国内では24日に「5月の貿易統計」、「5月の企業向けサービス価格指数」、25日に「5月の全国消費者物価指数」、米国では22日に「5月の中古住宅販売件数」、23日に「5月の新築住宅販売件数」、24日に「5月の耐久財受注」、25日に「1~3月のGDP成長率確報値」が発表される。コンセンサスでは「貿易統計」が前年同月比17%増、「企業向けサービス価格指数」が同0.8%減、「全国消費者物価指数」が同1.3%減、「中古住宅販売件数」が前月比7.1%増、「新築住宅販売件数」が同15%減、「耐久財受注」は同1.0%減、「GDP成長率」は前期比年率3.0%増で改定値に対して横ばいとなっている。経済指標以外では22~23日に米国でFOMCが開かれる。注目すべきは25日からカナダで開かれるG8・G20首脳会合である。議題としてはギリシャを筆頭とするユーロ圏の財政問題、そして首脳会合直前になって発表された中国人民元の弾力化についてであろう。各国、足並みを揃えることを期待したいところだ。


今週の主な決算発表予定


今週の主な決算発表予定
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