マーケットレポート

マーケットの視点

今週の焦点は米国企業の決算発表だが民主党の参院選敗北もあり膠着相場継続か、ソニー・エリクソンの決算に注目

・ 先週の世界株市場は一転、軒並み反転上昇し一気に明るいムードが広がった。特に目立ったのは米国株市場、三連休明けの6日から4連騰を記録しNYダウは“511.55ドル、5.3%上昇”し1万ドル台を回復した。欧州株市場もやはり4連騰で先週火曜日から金曜日までの上昇率は、仏CACが“6.7%上昇”、英FTSE100が“6.4%上昇、”独DAXが“4.3%上昇”を記録した。米国では、2日発表の「6月の雇用統計」がマーケットの失望感を招いたが、8日に発表された「週間・新規失業保険申請件数」が45万4000件と前週の47万5000件からは約2万件減少、コンセンサス予想の46万件をも下回ったことで、米国の雇用回復に対する厳しい見方が後退したことがきっかけとなり、また、百貨店のJCペニー、メーシーズ、衣料品のアバクロンビー・アンド・フィッチなど一部の小売り大手の「6月の売上高」が予想を上回る結果となったことで安心感が広がった。欧州ではECB理事会で政策金利が据え置かれ、理事会後の記者会見でトリシェ総裁が金融市場への資金供給の継続を表明したこと、更には、欧州内の金融機関のストレステスト(資産査定)の実施要領が発表されたこともあり、欧州における金融不安が和らいだことが株価反発の要因となった。株価水準が相当に下押ししていたことから自律反発的な色彩が色濃いとは言え、米国株市場の週間上昇幅が10年に入って最大となるなど、米欧株市場は「安くなり過ぎれば買う」という素直な反応だった。日本株市場も、海外株市場の大幅反発に為替市場の円高が止まり若干、円安気味に振れたことが買い材料になっている。先週末の日経平均株価は「9585円32銭」と前週末比“381.61円高、4.1%上昇”で9500円台を回復して終えた。出来高の細さもあり、米欧株市場に比べて今一歩、反発力が弱い。

・ 今週は米国企業の4~6月期決算が発表される。12日にアルコア、13日にインテル、15日にJPモルガンチェース、16日にバンク・オブ・アメリカ、シティと金融機関の決算が続く。S&P500ベースの増益率は、4~6月期が7月2日時点で“27.4%増益”と4月末の22.4%増益からは上方修正されており、2010年通年の増益率も4月末時点からは6ポイント上方修正されて“33.5%増益”と発表されている。総じて、足下の業績は好調な内容が発表される見通しだが、焦点は政策面の後押しが切れた後の10年後半に対するガイダンスの内容となる。慎重な見方を発表する企業が多くなりそうで、その点が心配だ。株価も急速に反発し戻した後だけに、その株価を更に押し上げるような内容は期待し難いものの、足下の好調な内容を評価し堅調なマーケット展開が続くことになりそうだ。また米国で重要指標の発表が相次ぐことに加え、中国でも一連の重要な経済指標及び「4~6月期のGDP成長率」が発表されることから、日本株市場は引き続き外部要因に左右される展開が続きそうだ。また、11日の参院選の結果が民主党の敗北に終わった。民主党は改選前の議席数54を10議席下回る44議席に止まり国民新党はゼロ、自民党は51議席に伸ばし、みんなの党が10議席へと大躍進、結果、参院選の勢力図は与党110議席対野党132議席と、再び衆参ねじれが確定的となった。新たな連立模索の可能性が高まってきたが、民主党内部の党内抗争が表面化しそうなこともあり、わが国の政治不安が台頭してきたことが日本株市場の頭を抑えることになりそうであり、先週反発したが欧米株市場に比べれば反発力に乏しかったと言え、今週も膠着した展開となりそうだ。

・ 日本企業の3月決算の発表は20日の週の後半以降となるが、今週あたりから日経での観測記事が多く出始めることになろう。日本企業の決算に関しては好調な内容が予想されるため、外部要因がマーケット全体を押し下げなければ、個別銘柄の買い材料が続きそうだ。中でも16日にソニーの持分法適用会社ソニー・エリクソンが10年度第2四半期(4-6月期)の決算を発表する。ユーロ安効果に新製品「エクスペリア」の好調が加わり、良好な決算内容が期待されそうだ。ソニー株をはじめグローバル企業の株価は先週大きく反発したといえども、依然、安いままに止まっており、ソニー・エリクソンの決算を契機に更なる大幅反発となる可能性大だ。


先週のマーケットの動き


各国マーケットの動き
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今週の主要スケジュール

今週のスケジュール
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◆内外経済指標より

先週発表 … 「さくらレポート」では国内8地域が上方修正判断だが、先行きへの慎重姿勢は崩さず

 先週は、国内で6日に「5月の景気動向指数」、8日に「5月の機械受注統計」、「6月の景気ウォッチャー調査」、「6月の工作機械受注」、海外では米国で6日に「6月の非製造業のISM指数」、8日に「5月の消費者信用残高」、9日に「5月の卸売売上高・在庫」が発表された。経済指標以外では国内で日銀から8日に「さくらレポート」が発表され、11日には参議院選挙の投開票が行われた。総じて見ると、ギリシャに端を発した欧州財政問題の影響が為替動向や米国経済のみならず、国内経済にも滲みよってきている感があった。

 6日には「5月の景気動向指数」が発表されたが、先行指数は98.7、前月比3ポイント減と大幅な減少、一致指数は101.2、前月比0.1ポイント減と先行指数、一致指数ともに2カ月連続の減少となった。指数を構成する項目のうち、悪化の主な要因となったものは、先行指数では耐久消費財出荷指数、東証株価指数、一致指数では投資財出荷指数、商業販売額であった。耐久消費財では政府の減税対策による消費喚起にも一服感が出ており、TOPIXも5月末終値は前月末比で106.58ポイント安、商業販売額についても天候不順が影響し内需の回復には至らなかった。8月6日に6月分が発表されるが、減少幅が増大するか、緩和するかは現時点では予測は困難であるが、当面は予断を許さない状況が続くであろう。

 8日には「5月の機械受注統計」が発表され、船舶・電力除く民需は事前コンセンサスの前月比3%減を下回り同9.1%減、08年11月分の同9.0%減以来、大幅な減少となった。需要者別にみると製造業が同13.5%減、船舶・電力除く非製造業が6%減となっており、製造業の落ち込みが大きく影響したといえる。しかし、3月分、4月分はそれぞれ同5.4%増、同4.0%増と増加が続いたこと、5月は欧州財政問題が深刻化してきたことで企業側が設備投資を控えたことを考えると、今回の減少に極度に悲観的になる必要もなかろう。同日に「6月の工作機械受注」が発表されたが、こちらは前年同月比2.4倍の834億円となり、未だピーク時に対し6割の水準であるとしても、これで7カ月連続の増加であることから、機械受注統計に対しても今回発表分だけで企業の設備投資動向に翳りが見られたとはいえない。


機械受注額と前月比伸び率の推移
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 また、同日に「6月の景気ウォッチャー調査」が発表されたが、結果としては先行き判断DIが48.3、前月比0.4ポイント減、現状判断DIが47.5、同0.2ポイント減と、2カ月連続減となった。各DIを構成する項目を見ると、先行き判断DIでは家計動向が同0.8ポイント減、企業動向が同0.3ポイント増、雇用関連が同0.5ポイント増と家計動向以外は前月比増加となっており、家計動向の判断理由に関しても9月でエコカー購入補助金が終了することを不安視するコメントが多く見られ、それ以外に関してはネガティブなコメントはあまりなかった。一方、現状判断DIの項目では家計動向は前月比で横ばい、企業動向は同1.8ポイント減、雇用関連では同1.5ポイント増と企業動向に関しての減少が今回の悪化に大きく響いたといえる。企業動向の内訳でも非製造業は同0.3ポイント増とプラスになったこと対し、製造業は同4.2ポイント減と大きく落ち込んだ。判断理由としては1ドル90円前後の為替動向が続き輸出に際しての価格競争力が弱くなっているとのコメントが目立っている。


先行き判断DI、現状判断DIの推移
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 経済指標以外では8日に日銀の地域経済報告である「さくらレポート」が発表された。今回の7月判断では北海道から九州・沖縄の9地域のなかで東海地域以外の8地域で総括判断が上方修正され、さらに関東、近畿、中国、九州・沖縄の4地域で“回復”の文言が付け加えられた。外需の回復やエコポイント制度の効果により景気の上向きを認識できたわけだが、先行きに関しては同エコポイント制度の終了から反動が生じる可能性があり、なお慎重な姿勢を崩していない。

 米国では6日に「6月の非製造業ISM指数」が発表されたが、1日に発表された「6月の製造業ISM指数」が事前コンセンサスの59.0に届かず56.2の結果に終わったことと同様、こちらも事前コンセンサスの55には届かず53.8、前月比1.6ポイント減となった。内訳としては事業活動が前月比3ポイント減、新規受注が2.7ポイント減、雇用が0.7ポイント減、入荷遅延が同横ばい、在庫が4ポイント減と全体的に悪化した。シカゴ地域の景況感を示す「6月のシカゴ購買部協会景気指数」が0.6ポイント減と減少幅が比較的軽微に止まったことより、同指数と関連性の大きいISM指数に関しても楽観的な結果が予想されたのだが、実際には不安感が増幅したといえよう。


製造業、非製造業ISM指数、シカゴ購買部協会景況指数の推移
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今週発表 … 注目すべきは米国の「7月NY連銀製造業景気指数」、今後の方向感も見定める上で重要

 今週は国内で12日に「6月の企業物価指数」、海外では米国で14日に「6月の小売売上高」、15日に「7月のNY連銀製造業景気指数」、「7月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数」、「6月の鉱工業生産・設備稼働率」、16日に「7月のミシガン大学消費者信頼感指数」、中国では15日に「4~6月のGDP成長率」などの主要指数がまとめて発表される。コンセンサスでは企業物価指数が前年同月比0.6%増、「6月の小売売上高」が前月比0.2%減、「7月のNY連銀製造業景気指数」が同1.6ポイント減、「7月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数」が同2ポイント増、「6月の鉱工業生産」が同横ばい、「6月の設備稼働率」が74.2%で同0.5ポイント減、「7月のミシガン大学消費者信頼感指数」が同2ポイント減となっている。国内の企業物価指数は、原材料価格の上昇から企業が販売価格の値上げに動いていることから妥当な予想数字であると思われる。米国では8日に国際ショッピングセンター協会が「6月のチェーンストア売上高」が前年同月比3.0%増となったと発表しており、小売売上高もコンセンサスを下回る大きな落ち込みは避けられよう。注目すべきはNY連銀とフィラデルフィア連銀が発表する7月の製造業の景況感であろう。6月のISM指数が予想以上に落ち込み不安要因が増大しており、先行きの方好感を見定める上で7月の景況感は重要視される。


今週の主な決算発表予定


今週の主な決算発表予定
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