マーケットレポート

マーケットの視点

世界株市場は底を打ったものの依然として鈍い動き、日本株市場は民主党代表選を契機に大幅出直りの公算もあり得る

・ 先週は、世界株市場のほぼ全市場が1週間のパフォーマンスではプラスとなって終わった1週間となった。米国景気の二番底懸念を背景とした8月の厳しいマーケット展開をようやく脱した模様だ。きっかけは、米国経済指標に明るい兆候が見え始めたことに加え、米FRBの追加金融緩和策、オバマ政権の追加景気対策が明らかになったことだが、欧州の金融機関に対する悲観的な見方が再燃するなど、まだまだ楽観は許されない。そのことを物語るのはNYダウの戻りの弱さだ。楽観ムードが漂う中で先週のNYダウは前週末の「1万447ドル93セント」に対して先週末は「1万462ドル77セント」とわずか“14.84ドル、0.14%の上昇”に止まっている。現時点では、8月25日に1万ドル割れをつけたこともあり、底を打ったと考えられるが、決して順調な上昇基調に転じたとは言えない。その他の株式市場も同様だ。先週1週間ではフィリピン株式市場が“4.49%上昇”との大幅上昇、インドSENSEXが4連騰、4日間連続で年初来高値を更新し“3.17%上昇”となり、韓国総合も“1.27%上昇”と小幅な上昇率ながらも年初来高値を更新したのが目立ったくらいで、総じては“1%前後”の上昇率に止まっており、世界株市場に投資資金が積極的に流入しているとは思えない。

・ 一方、米国景気の二番底懸念が後退したこと、わが国でも民主党代表選が小沢氏の勝利となれば積極財政投資に傾き国債増発となるとの観測が浮上し、米日とも長期金利は上昇に転じ日米金利差拡大に歯止めがかかったことで極端な円高進行にブレーキがかかった格好となっており、わが国のグローバル関連株の買い戻しも散見される展開となっている。また、週末に発表された中国の経済指標の中で「8月の輸入」が予想以上に増加したことで、中国経済の好調ぶりが確認できたことで世界景気の先行きに楽観的な見方が広がる可能性が高まったことは事実だ。とりわけ、総合商社、海運、建設機械など増額修正を発表しなお強含みな業績見通しとなっていながら株価が低迷していたセクターに注目が集まることになりそうだ。

・ 14日に決着が着く民主党代表選に対してロイターがエコノミストやディーラーなど54人の市場関係者を対象に7~10日にかけて緊急アンケート調査を実施し、新代表選出後のマーケットの動きを探っている。菅首相選出→「日経平均株価はニュートラルから下落、長期金利は低下、為替はニュートラルから円高に振れる」、小沢前幹事長選出→「日経平均株価は上昇、長期金利は上昇、為替円安」、とみる市場関係者が多く、両者の結果が正反対になっていることが改めて注目される。「政治とカネ」の問題はともかく、マーケットは“小沢新首相”の誕生を好感すると予想する市場関係者が多い。これまでの小沢氏の発言内容から“小沢政権”が誕生すれば、強いリーダーシップのもとで積極財政による景気対策が期待され、円高に対応した経済対策や大型減税、子ども手当の満額実施などの景気浮揚策を推進、さらに日銀に対してより強く、ストレートに円高阻止への圧力をかけ、かつ為替市場への円売り介入を発動する、と期待する向きが多いためだ。現時点では代表選の結果予測は微妙ではあるが、仮に菅首相再選となったとしても民主党分裂を回避するために小沢氏が要職に復帰し民主党の政策遂行に対する発言力が高まることも考えられ、今回の民主党代表選が日本株市場の大幅な出直りのきっかけとなる可能性は充分にあり得よう。

・ いずれにしても、現在の日本の目の前は“断崖絶壁”に近く、円高定着、景気刺激策が途切れることへの不安など、対処すべき問題は明白なものとなっており、ほぼ機能停止の状態になっていたわが国の政策中枢が正常に動き出すことによるマーケットの新展開に期待したい。今度こそ、日本の確実な未来に明確な輪郭を描いて欲しいものだ。米国の追加景気対策として「投資減税」が盛り込まれ、わが国でも法人税率の引き下げが現実化しようとしている。結局、国内経済を浮揚させるためには、国内の産業基盤を強化する必要があることを発端とする政策が必要である。傍目には「企業優遇」という批判もあるが、産業基盤の充実、企業の隆盛が国民生活を向上させ、国家を支えるというのが原点であり、そこに立ち返りつつあるのだろう。すなわち、企業活動を活性化する政策であり、当然、マーケットで好感すべき要因のはずだ。


先週のマーケットの動き


各国マーケットの動き
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今週の主要スケジュール

今週のスケジュール
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◆内外経済指標より

先週発表 … 機械受注、法人企業景気予測調査など国内景気の底堅さを再認識

 先週発表された主な経済指標では、国内で7日に「7月の景気動向指数(速報値)」、8日に「7月の機械受注統計」、「8月の景気ウォッチャー調査」、9日に「7~9月の法人企業景気予測調査」、10日に「4~6月のGDP成長率(第二次速報)」が発表された。経済指標以外では、国内で6~7日に「日銀金融政策決定会合」、10日に「9月の政府月例経済報告」、海外では8日に米国で「地区連銀経済報告」の発表があり、先週は国内に主な経済指標が集まった週であった。経済指標の全体的な印象であるが、景気回復速度の鈍化懸念が浮かび上がる現状において底堅い結果となったといえる。

 8日に「7月の機械受注統計」が発表され、結果としては船舶・電力除く民需が前月比8.8%増と2カ月連続の増加となった。コンセンサス予想の同2.0%増を大幅に上回る結果となったが、設備投資に踏み込むかどうかは企業の経営方針も決定にかかわることであり、現時点では予想を上回ったことをそれほど重要視する必要はないだろう。注目すべきは7月になり米国のマクロ指標に次々と先行きを不安視する結果の発表が相次ぎ、為替は80円/米ドル台の円高が定着し、企業としては国内への投資に慎重な姿勢となっている環境下において、前月比増を維持したことであろう。10月13日に発表する8月分では、7月以上に円高圧力が増していることやエコカー購入補助金制度の打ち切りを考慮して製造業が設備投資を控えること、7月分の反動が予想されることを考えると大幅な減少となる可能性は大きい。当面は単月の結果に一喜一憂せず、長期的な視点で見る必要があろう。


機械受注額の推移
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 同じ8日に「8月の景気ウォッチャー調査」が発表されたが、こちらは現状判断、先行き判断ともに前月比でそれぞれ4.7ポイント下落、6.6ポイント下落となり、基調判断も「景気は、引き続き厳しい中で、持ち直しの動きがこのところ緩やかになっている」と、09年11月以来、9カ月ぶりに下方修正され厳しい結果となった。家計動向関連、企業動向関連、雇用関連の主要項目においても、現状判断ではそれぞれ前月比4.5ポイント下落、同5.5ポイント下落、同4.2ポイント下落、先行き判断でも同6.6ポイント下落、同6.8ポイント下落、同6.8ポイント下落と全ての項目で下落した。判断理由では猛暑の影響があり、スーパーなどでは飲料やアイスクリーム、家電量販店ではエアコンや扇風機の売れ行きが好調とプラスとなる理由もあったが、逆に農作物の生産量が減少し野菜の価格高騰に繋がる、秋物衣料品の販売が不振、人通りが少なくなったなどマイナスの理由もあり、猛暑がマイナス材料となる意見も目立った。また、急激な円高で海外からの受注が減少する、エコカー購入補助金制度が打ち切られるといった他のマイナス理由も加わったことから、全体的に下落となり基調判断の下方修正に繋がったといえる。ただ、国内の景気は回復傾向を続けており、実体経済としては粘り強さを見せていることから、少々、心理面で悲観的になりすぎているのではないかとも思われる。


「景気ウォッチャー調査」
 ~現状判断DI、先行き判断DIの推移
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 9日に「7~9月の法人企業景気予測調査」の結果が発表され、大規模全産業の現状判断は7.1、前期比3.1ポイント上昇と2四半期連続の上昇となった。業種別に分けてみると、製造業の現状判断は13.3、同3.3ポイント上昇で2四半期連続上昇、非製造業では3.8、同2.9ポイント上昇で3四半期連続上昇となったが、前回発表された見通しに対しては全産業で3ポイント下落、製造業で0.5ポイント下落、非製造業で4.4ポイント下落と景気回復は続けているものの海外景気の減速感や円高株安傾向の影響が徐々に現れてきたといえる。現状判断と同時に10~12月と1~3月の見通しも発表されたが、10~12月は図からもわかるように全産業、製造業、非製造業ともに判断指数がゼロ近辺にまで一旦落ち込み、その後1~3月で再び回復に持ち直す見通しとなっている。しかし、調査時点の8月15日は国内の輸出企業を苦しめていた為替動向に対し、全く対応策が見られなかった時期であり、その後、日銀が量的緩和の金融政策を実施すると発表したことや、米国の経済指標も事前予想に対してはしっかりとした結果が発表され、若干ドル高方向に持ち直したことを考えると、現時点では発表されたときの判断指数からは多少上向きになっているはずだ。


「法人企業景気予測調査」 ~大企業事業別「自社の景況判断」の推移
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今週発表 … 米国で重要指標発表が相次ぐが、事前予想には極度の悲観的予想は見られない

 今週は、先週とは逆に海外での重要な経済指標の発表が集まった週となりそうだ。具体的には、米国で14日に「8月の小売売上高」、15日に「9月のNY連銀製造業景気指数」と「8月の鉱工業生産・設備稼働率」、16日に「9月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数」、17日に「9月のミシガン大学消費者信頼感指数」が発表される。コンセンサス予想では小売売上高が前月比0.3%増、自動車除く小売売上高が同0.3%増、NY連銀製造業景気指数が同1.8ポイント増、鉱工業生産指数が前月比0.3%増、設備稼働率が74.9%で前月比0.1ポイント増、フィラデルフィア連銀製造業景況指数が同8.2ポイント増の0.5で判断の分かれ目であるゼロ以上となりプラスへ転換、ミシガン大学消費者信頼感指数が前月比1.1ポイント増と全般的に微増となっており、9月3日に発表された雇用統計のような極度の悲観的予想が相次いだ時期から、回復基調を維持する見通しが多く見られるムードに移行した感がある。しかし、依然として雇用環境は回復に向かっておらず個人消費が力強い回復に転じていないことから、しばらくは様子見の状態が続くであろう。


今週の主な決算発表予定


今週の主な決算発表予定
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