マーケットレポート

マーケットの視点

不意打ち的な円売り介入の効果大、当面は円高進行が阻止されマーケットは一安心、東電の中期計画に注目

・ 先週の9月15日は本年も歴史的な1日となった。ちょうど08年のリーマンショックの大暴落から丸2年経った日であり、14日の民主党代表選が菅首相の完勝に終わったこともあり、最も気になる為替でドル円が14日の海外市場で82円92銭/米ドル、国内でも15日の早朝に82円96銭/米ドル、更に10時半前に82円/85銭/米ドルと95年5月31日の高値「82円59銭」に迫り、同年4月19日の最高値「79円75銭」が視野に入り始めた。その時、まさにカクンと円安に反転、10時50分からの野田財務相の記者会見で円売り介入に動いたことを明らかにした。過去の為替介入は95年以降では、95年6月から日本単独介入、7月に日米協調の“七夕介入”、同年8月の日米欧協調介入、97~98年「アジア通貨危機、日本の金融危機」時の政府・日銀の“円買い介入”、00~02年の「ユーロ安阻止」のための日米欧協調介入、03~04年の「円高阻止」への日本単独の“35兆円介入”の経緯があり、“円売り介入”としては04年3月16日以来、6年半ぶりのことだ。為替介入に消極的な菅首相が再選したことで円高の方向性は変わらないと、マーケットには悲観ムードが漂っていただけに、今回の為替介入は日本の単独介入とはいえ、効果的な結果をもたらした。為替は急反転、15日のうちに85円/米ドル台まで戻り、日経平均株価も前日比“100.23円安”の「9199円08銭」まで下げていたが、一気に上昇転換、後場明け早々には“279.22円高”のザラ場高値「9578円53銭」まで急反発。為替介入は欧米為替市場でも本腰の入った介入姿勢を示したことで85円/米ドル台後半を維持、日経平均株価も3連休を控えながらも16、17日も堅調な推移を辿り、先週末は「9626円09銭」と前週末比“386.92円高”と3週連続の上昇、3週間で“635.03円高、7.06%上昇”、その前3週間の“651.06円安、6.75%下落”分を取り戻し、ようやく8月上旬の水準にまで戻った。

・ 結果的には、民主党代表選が終わったことで機能停止状態にあった日本の政策が再始動したことがマーケット転換のきっかけとなった。“日本防衛”に対して腰砕けと見透かされていいようにやられていたのが、急に立ち上がってファイティングポーズを極めたようなものだ。事前には、為替介入があっても単独介入しかない、単独だと効果はない、と悲観視されていたが、第1ラウンドは見事に当面の円高進行に歯止めをかけた格好だ。なお、介入資金面での問題はなく、しかも日銀は「非不胎化」、介入資金は吸収しないで市場に放置すること、すなわち実質的な金融緩和策を継続することを打ち出し、財務省内部は今回の介入は“断固たる意志”で極端な円高を阻止するつもりのようだ。但し、米国景気は、二番底懸念こそ遠のいたものの、減速傾向が目立っていることは明らかであり、回復足踏みの状態にあることから、いくら腰の入ったわが国の為替介入があっても円高阻止から円安反転に向かい企業サイドが求めるように90円/米ドル台を取り戻すほどのパワーはないだろう。しかし、現時点では85円/米ドル前後を維持することが出来れば充分だ。85円/米ドル前後のレンジで10年度下期を通過出来れば10年度通じては平均87円/米ドル程度の仕上がりが予想され、この水準での企業収益見通しはむしろ想定以上、強含みの結果も期待される。ただ、日本の大規模介入が明らかになったことで、世界的に『自国通貨安競争』の傾向が強まるリスクが高まったことに加え、自動車、各種エレクトロニクス製品の足下の生産調整がどの程度で収まるかが焦点になりそうだ。

・ とは言え、いずれにしてもグローバル関連注目銘柄を引き続き追撃したい。更に、東電が13日に発表した中期経営計画「2020ビジョン」の内容に注目したい。具体的には、海外展開の本格化、海外発電事業を353万kW→1000万kWへ拡大、自社参画の燃料調達比率に関してウランを8%→1/3~1/2、LNGを11%→1/3へと大幅拡大することを打ち出した点である。内需型で成熟イメージの強い東電がアジアを基盤に海外展開による成長力実現へと踏み出したことに注目したい。既に、食品、小売りなどの海外展開が目立っているが、JR東海の海外新幹線開拓、そして今回の東電など、新たな“成長源泉”を海外に求め成長力復活に向かって踏み出すことで、今後、日本企業全般の成長期待が高まるという方向性が見え始めていることに改めて注目したい。


先週のマーケットの動き


各国マーケットの動き
クリックして拡大


今週の主要スケジュール

今週のスケジュール
クリックして拡大


◆内外経済指標より

先週発表 … 地区連銀調査の米国企業の景況感、ミシガン大学調査の消費者心理の9月は厳しい結果

 先週の重要経済指標は主に米国に集中した。具体的には14日の「8月の小売売上高」、15日の「8月の鉱工業生産・設備稼働率」と「9月のNY連銀製造業景気指数」、16日の「9月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数」、17日の「9月のミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)」である。小売売上高や鉱工業生産など8月分の経済指標はほぼコンセンサス通りとなり現状を考慮すれば底堅い結果となったと言えるが、9月分調査である企業の景況感や消費者心理を表すNY連銀、フィラデルフィア連銀、ミシガン大学の指数ではコンセンサスを大幅に下回る結果となり、先行き、景気に対する不安要因が再燃する可能性も考えられる。

 14日に「8月の小売売上高」が発表されたが、全体は前月比0.4%増、自動車・自動車部品除くベースでは同0.6%増となりどちらも2カ月連続の増加、また、コンセンサスではどちらも同0.3%増であったことを考えると好感の持てる結果であり、依然として厳しい情勢が続いている雇用環境を踏まえるとまずまずの結果だろう。内訳を見ると、自動車・自動車部品が同0.7%減、家具が同0.5%減、家電製品が同1.1%減、建設資材が同横ばいとなったが、食料・飲料が同1.3%増、衣料品が同1.2%増と日用品関連の消費が全体を牽引した格好となっている。雇用環境が改善基調にならない限り力強い消費の回復には至らないであろうが、当面は日用品消費が全体の下支えとなり、大幅な落ち込みはないと考えられる。


米国小売売上高全体、自動車・自動車部品除くベースの伸び率の推移
クリックして拡大


 15、16日に「9月のNY連銀製造業景気指数」と「9月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数」が発表された。結果としてはNY連銀製造業景気指数がコンセンサスでは前月比1.9ポイント増の9.0であったが、結果は前月比3.0ポイント減の4.1となった。フィラデルフィア連銀製造業景況指数の結果は前月比7ポイント増の-0.7と改善したが、コンセンサスの0.5に対しては未達、さらに景気判断の分かれ目であるゼロを下回る状態が2カ月連続で続いた。NY連銀製造業景気指数の内訳では新規受注が4.3、同7ポイント上昇となりプラスに転じたが、入荷遅延が前月比11.9ポイント減と大きく減少したことが全体の足を引っ張ったといえる。一方、フィラデルフィア連銀製造業景況指数の内訳では入荷遅延が同6.9ポイント増、雇用が4.5ポイント増と全体の改善に大きく貢献はしたのだが、新規受注、受注残がそれぞれ同1.0ポイント減の-8.1、同1.4ポイント減の-8.5とゼロを下回っていることで先行きの不安は依然として燻ったままだ。NY地区、フィラデルフィア地区と全体の結果はまちまちであったが、いずれにしても米国製造業の厳しい状態は続いているといえる。


「NY連銀製造業景気指数、フィラデルフィア連銀製造業景況指数、
 シカゴ購買部協会景気指数、製造業ISM指数の推移
クリックして拡大


 15日に発表された「8月の鉱工業生産・設備稼働率」は、鉱工業生産指数が前月比0.2%増で10年2月の前月比横ばいを除けば09年7月以降、14カ月連続の増加、設備稼働率は74.7%、同0.1ポイント増とこちらも14カ月連続の増加となった。コンセンサスでは鉱工業生産指数が同0.2%増であり結果と一致、設備稼働率は74.9%であり、結果は若干下回ったが、ほぼ予想通りであった。過去20年間の平均設備稼働率は80%であり、現状の稼働率は依然としてこの水準を下回ってはいるが、リーマン・ショック後に70%を下回るほど急激に落ち込んだ時期と比べると順調な回復基調が続いていることといえる。しかし、製造業ISM指数やNY連銀製造業景気指数など企業の景況感を示す指標の中で、新規受注が急落することが多く見られるようになってきており、この先は予断を許さない状況が続きそうだ。


米国鉱工業生産指数前月比伸び率と稼働率の推移
クリックして拡大


今週発表 … 米国住宅関連の重要指標の発表が集中、「8月の中古住宅販売件数、新築住宅販売件数」に注目

 今週も米国において主要な経済指標の発表、特に住宅関連関係の指標が集中する。20日に「9月の住宅市場指数」、21日に「8月の住宅着工・許可件数」、23日に「8月の中古住宅販売件数」、24日に「8月の新築住宅販売件数」が発表される。コンセンサスでは住宅着工件数が55万戸、前月比0.7%増、建設許可件数が56万戸、同0.2%増、中古住宅販売件数が410万戸、同7.1%増、新築住宅販売件数が29万5000戸、同6.0%増となっている。20日には既に「9月の住宅市場指数」が発表されており、コンセンサスでは14の予想であったが結果は13となり、依然として住宅市場の改善の兆しが見えづらい展開となっている。「8月の中古住宅販売件数」、「8月の新築住宅販売関数」については7月分でコンセンサスを大幅に下回る結果となったが、住宅の在庫増により住宅価格が下落しつつあることや、9月2日に発表した中古住宅販売の仮契約指数が予想以上の好結果となったことから、前月比減少は避けられる見通しだ。


今週の主な決算発表予定


今週の主な決算発表予定
クリックして拡大


国内株取引のリスク
株価の変動、および為替の変動等(外国株式の場合)により損失が生じるおそれがあります。
国内株取引の手数料について
国内株の手数料は多岐に渡っているため、このスペースに表示するのが難しいため、詳細は国内株の「手数料とリスクについて」でご確認ください。
株式は、クーリング・オフの対象にはなりません
詳しくは手数料とリスクについてをご覧ください。