マーケットレポート

マーケットの視点

円高圧力が強く日本株市場の膠着状態が続きそうだが、会社公表を上回る企業収益の実態が脱出のきっかけに

・ 世界株上昇の波に乗り切れない日本株市場。結局、先週の日経平均株価は3営業日とも下落、週間としては前週末比“154.42円安”と4週ぶりの下落となり先週末の終値は「9471円67銭」と再び9500円の節目を割り込み、相変わらず主要国市場の中では一人負けの力弱い展開が続いている。米国株市場は、月曜日と週末に大幅上昇しNYダウ、ナスダック、S&P500とも4週連続の上昇を記録、9月に入ってから24日までNYダウ、ナスダックは13勝4敗、S&P500は12勝5敗と快調、一方、日経平均株価は9勝7敗と先週の3連敗があってもかろうじて勝ち越してはいるが、最近の大相撲の大関陣のように不甲斐無い成績だ。先週末の欧州株市場も軒並み大幅上昇し、先週末の欧州主要国の株価は、年初来高値に対して独DAXが99.5%水準、英FTSE100が96.1%水準、仏CAC40が93.0%水準にまで戻している。NYダウも96.9%水準、ナスダックは94.1%水準にまで戻しているのに対して、日経平均株価は83.9%水準に止まっている。また、アジア株市場の中では、インドSENSEXが20045ポイントと08年1月15日以来の高値水準であり20000ポイントを突破、なおかつ史上最高値である20873ポイントが視野に入り、韓国、インドネシア、タイ、フィリピン、シンガポール株市場も軒並み、年初来高値を更新する好調ぶりを示している。アジア株市場は経済高成長を根拠とする株価好調であり、米国は景気の二番底懸念が遠のいたものの依然として回復の足取りは鈍く、欧州は再び金融不安が台頭している中での株価堅調であり、日本株市場だけが取り残された格好だ。これは、円高圧力が最大の理由であり、先週21日の米国FOMCの結果、11月2、3日に開催される次回FOMCにおいて追加金融緩和策を実施する可能性が確実に高まったことによるためである。

・ 国内機関投資家は9月の期末要因で身動きが取れず、海外資金に関しても例年、10月には米国の年金ファンドの節税対策売りが集中することで買い意欲は弱いことから、今週も引き続き盛り上がりに欠ける1週間になりそうだ。9月の節目を終えて10月に入ることで、7~9月期の決算発表シーズンを迎えることによって、米国企業の10年後半以降、日本企業の10年度下期に対する業績見通しがマーケットに影響を与え、7~9月期のGDP成長率を21日に中国、29日に米国が速報値を発表する予定であり、マクロ面でも先行きの景気見通しに対する議論が高まることになりそうだ。中国では中旬に開催される「第17 期中央委員会第5回全体会議(5中全会)」における「第12次5ヵ年計画」の内容が注目され、米国では11月2日の中間選挙に向けての動きが具体的に見えてくる。断固たる措置としての日本の為替介入があろうとも、当面は米国の追加金融緩和策への思惑の方のインパクトが大きいために円高圧力は強い。従って、これまで同様に海外株市場が堅調な推移を辿る一方で、日本株市場の膠着状態が続くことになりそうだ。

・ 曇天模様が続く日本株市場の中での投資スタンスとしては、原点回帰で企業収益に焦点を定めることだろう。NYダウ、上海総合のPBRは2.5倍以上、欧州株市場は1.5倍前後であり日経225ベースの“PBR1.1倍”は異常な状態であり、この水準がこのまま続くとは思えず、底上げ相場に移行することが充分に期待される。例えば、欧州株市場並みのPBR1.5倍になるとすれば、日経平均株価は(9471.67円÷1.1)×1.5=12915円と試算される。そのギャップ(1.5倍-1.1倍)の原因は、円高に対する過度の懸念であり、企業自身の円高や政策特需の反動減に対する警戒心からの慎重過ぎる決算見通しの発表スタンスである。今後、中間決算発表などを契機にギャップ解消に向かうことになろう。内藤マンスリー10月号で自動車業界の業績分析を試みているが、余りにも悲観的過ぎる会社予想となっていることは明らかだ。電機業界も同様だが、販売、生産数量の反動減が想定以上に大きくならない限りは、軒並み会社公表が増額修正されることなろう。24日の日経新聞17面のSTOCKα「市場予想のPERが会社予想した回る銘柄」で自動車、電機の銘柄が多く取り上げられているが、これらの株価水準訂正が曇天脱出のきっかけになるのだろう。


先週のマーケットの動き


各国マーケットの動き
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今週の主要スケジュール

今週のスケジュール
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◆内外経済指標より

先週発表 … 米国住宅市場は政策効果がなくなり、本格的回復にはしばらく時間がかかろう

 先週も主要経済指標の発表は米国に集中した。20日に「9月の住宅市場指数」、21日に「8月の住宅着工許可件数」、23日に「8月の中古住宅販売件数」、24日に「8月の新築住宅販売件数」と住宅市場関連の経済指標発表が相次いだ。住宅市場以外では23日に「8月の景気先行指標総合指数」、24日に「8月の耐久財受注」が発表され、経済指標以外では21日にFOMCが開催された。注目の米国住宅市場であるが、現状としては住宅購入減税策の効果が消え再び悪化する状況に陥っており、今月の結果から若干踏みとどまった感はあるが、本格的回復にはしばらく時間を要するであろう。

 20日発表の「9月の住宅市場指数」はコンセンサスの14を下回り前月比横ばいの13となった。他の項目である6カ月後の先行き指数も前月比横ばいの18、見込み客足指数は前月比1ポイント減の9となり、自立回復の兆しが見えづらい状況だ。先々週発表の小売売上高でもわかるように日用品への消費は堅調な動きとなっているが、完全失業率の高止まりで労働市場の回復が足踏み状態であることから、消費者も自動車や住宅などの高価格帯への消費に対し控えめとなっていることが主な要因であるといえる。また、差押さえ物件も増加し建設業の動きも低調であるため、回復にはしばらく時間がかかるであろう。


住宅市場指数の推移
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 21日に「8月の住宅着工許可件数」が発表された。結果は住宅着工件数が59万8000戸、前月比11%増、建設許可件数が56万9000戸、同1.8%増となった。コンセンサスでは住宅着工件数が55万戸、建設許可件数が56万戸であったため、両指数ともコンセンサスを上回る結果となった。しかし、一戸建てと集合住宅に分けると住宅着工件数では一戸建てが前月比4.3%増、集合住宅が同32%増で前月の同36%増に続き2カ月連続の大幅増、建設許可件数では一戸建てが同1.2%減で5カ月連続減少に対し、集合住宅が同9.8%増となっており、住宅市場全体の数字を見ると底を打ちつつあるように思われるが、需要が賃貸アパートにシフトし消費を抑えようとする傾向になっている可能性も考えられる。当面は一戸建てと集合住宅の動きに注目したい。


中古・新築住宅販売件数、住宅着工件数、建設許可件数の推移
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 23日、24日にはそれぞれ「8月の中古住宅販売件数」、「8月の新築住宅販売件数」が発表された。コンセンサスでは「中古住宅販売件数」が前月比7.1%増、「新築住宅販売件数」では同6.0%増と両方とも増加する予想であったが、結果としては「中古住宅販売件数」がコンセンサスを上回り413万戸、同7.6%増となる一方で、「新築住宅販売件数」が28万8000戸、同横ばいとコンセンサスを下回った。「中古住宅販売件数」は7月分で前月比27%減、在庫も8.9カ月分から12.5カ月分へと急上昇した反動が考えられるが、当然のごとく新築住宅よりも価格が低く、8月の中古住宅価格の中央値が17万8600ドル、前月比1.9%減となったことも販売件数増加の要因として挙げられる。新築住宅価格の中央値は20万4700ドル、同0.6%減となったが、現状の雇用環境、所得環境を考えると消費者は新築住宅購入には控えめな姿勢をとり、回復にはしばらく時間がかかろう。


今週発表 … 国内経済は依然として回復基調を維持、米国では景況感や消費者心理に不安感が見える

 今週は、国内で27日に「8月の貿易統計」、29日に「日銀短観」、30日に「8月の鉱工業生産」、10月1日に「8月の労働力調査」、「8月の全国消費者物価指数」、海外では米国で28日に「7月のS&Pケース・シラー住宅価格指数」、「9月のCB消費者信頼感指数」、30日には「4~6月のGDP成長率(確報値)」、「9月のシカゴ購買部協会景気指数」、10月1日に「9月の製造業ISM指数」、「9月のミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)」、中国では10月1日に「9月のPMI指数」が発表される。国内経済指標のコンセンサスでは日銀短観の大企業製造業について最近のDIが7で前期比6ポイント増、非製造業では-2で同3ポイント増、鉱工業生産は前月比1.2%増、消費者物価指数は前年同月比1.0%減、完全失業率は5.1%、有効求人倍率は0.54倍となっている。米国経済指標ではCB消費者信頼感指数が前月比1ポイント減、GDP成長率が前期比年率換算1.6%増で改定値に対して横ばい、シカゴ購買部協会景気指数が前月比0.7ポイント減、ミシガン大学消費者信頼感指数が速報値に対し0.4ポイント増、製造業ISM指数が前月比1.8ポイント減となっている。総じて、国内では回復基調は依然として維持しているが、米国では景況感や消費者心理において先行きの不安に苛まれているといえる。


今週の主な決算発表予定


今週の主な決算発表予定
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