マーケットレポート

マーケットの視点

猛暑/エコカー/たばこ特需の反動で当面は厳しく、不安定な展開が続きそうだが、その後の上昇転換に期待

・ 先週の世界株市場は、引き続きインド、韓国、アセアン諸国の株式が年初来高値を更新する一方で、欧米株市場は総じて小動きの展開が続いた。週末の日経平均株価は2週連続の下落で前週末比“67.44円安”の「9404円23銭」 で引けた。ジリジリ進む円高でグローバル関連株の下落が目立ったことと、30日の前日比“190.03円安”が響いた格好だ。29、30日に悪材料が重なった。30日に発表された「8月の鉱工業生産指数」が“前月比0.3%減”と市場予想の1.3%増に対して3カ月連続のマイナスとなり、「製造工業予測指数」が9月に同0.1%低下、10月に2.9%低下と鉱工業生産が下落基調に転じることが明らかになった。前回調査では「8月1.6%上昇、9月0.2%上昇」だったので、先行きの見方が厳しくなっている。四半期ベースでは、7~9月期が前期比1.1%低下と09年1~3月期の20.0%低下以来のマイナスとなり、回復感が一服する数字となる。内容は、自動車、電機の反動減のためだ。これは、29日に発表された「9月の日銀短観」で大企業・製造業で今回DIは「+8」と改善を示したものの、先行きDIが「-1」と大きく悪化する方向性と符合する。また、29日に東電が大型投資に備えて最大5549億円を調達する29年ぶりの公募増資を行うことを発表、任天堂がソフト販売低迷・円高・新ゲーム機「ニンテンドー3DS」の発売延期で今期業績を大幅下方修正、10年4~9月期(中間)の純利益が従来予想の700億円の黒字から20億円の赤字に下方修正、前年同期694億円の黒字から大幅悪化、通期も2000億円、前期比13%減から900億円、同61%減へと大幅下方修正した。一方では、日中関係を巡るわが国の政治対応ぶりへの不信感から、景気対策等など政策対応への不安を募らせていることも響いている。

・ どうみても、10月以降は暫く、厳しい事実が明らかになって行くことになりそうだ。7~9月期の景況感は3つの特需で嵩上げされた格好となっている。具体的には、歴史的な猛暑効果、エコカー補助金効果、たばこ値上げの仮需効果で、第一生命研究所によると各々7300億円、6100億円、3300億円の合計1兆6700億円と試算されており、これが10~12月期に反動減となって現れる。やはり猛暑効果が大きかった94年、04年はその反動で10~12月期の実質GDP成長率がマイナスに転じていることから、今回は3特需の反動なので10年10~12月期は厳しい数字を覚悟せざるを得ないだろう。気になるのは、10月下旬以降に発表される10.3期第2四半期(中間)決算の内容だ。上期に関しては、予想を上回る好調な結果が多く期待されるが、下期に関する見方を相当に厳しくみた予想数字を発表してくる可能性が高そうだ。先んじて、米国企業の10年7~9月期決算が発表されるが、主要企業では7日にアルコア、12日にインテル、13日にJPモルガン、14日にグーグル、18日の週に最盛期を迎える。日本企業は、22日にJFE、KDDI、ヤフーの発表が早く、その翌週26~29日に主要企業が集中的に決算を発表するスケジュールとなっている。第1四半期決算発表時に比べて、更に円高が進んでおり、特需反動も大きいために下期の見方が厳しいことは間違いないだろう。米国企業の7~9月期・純利益に関しては7月上旬の前年同期比33%増から直近では31%増と大幅増益ながらも下方修正となっており、やはり10~12月期以降の見方が焦点となりそうだ。

・ 様々な点を考慮すると、当面は明るい話題が期待できそうにない。しかし、恐らく、10~11月がこの先では最も厳しい局面を通過することになり、その後は再び上昇トレンド転換が期待される展開を予想する。エレクトロニクス関連が在庫/生産調整期を脱し、自動車関連も反動減の最も厳しい時期を過ぎるためだ。その一方で、苦しい状況を強いられることは明らかであることから、後手後手に回りながらでも政策対応による浮揚策に大いに期待したいところだ。まずは4~5日の日銀政策決定会合の結果を様子見したい。なお、3日の日経新聞に掲載された「社長100人アンケート」によると、景気「二番底」を懸念する回答が前回調査から15.4ポイントも増え49.6%と厳しくなった反面、10年度損益見通しを当初予想通り“48.9%”、予想通り改善“23.8%”、予想より悪化“7.7%”と、大手企業経営者は収益に対する自信は決して失っていないことに注目したい。


先週のマーケットの動き


各国マーケットの動き
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今週の主要スケジュール

今週のスケジュール
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◆内外経済指標より

先週発表 … 日銀短観と鉱工業生産より、国内の先行き景況感は弱含みの見通し

 先週は国内で27日に「8月の貿易統計」、29日に「9月調査の日銀短観」、30日に「8月の鉱工業生産」、10月1日に「8月の労働力調査」、海外では米国で28日に「9月のCB消費者信頼感指数」、30日に「4~6月のGDP成長率(確報値)」、「9月のシカゴ購買部協会景気指数」、10月1日に「9月のミシガン大学消費者信頼感指数」、「9月の製造業ISM指数」の発表があった。国内では日銀短観、鉱工業生産が示すように先行きに不安な見通しが広がりつつある結果となった。一方の海外の米国では強弱入り混じった結果となったが、過度なネガティブマインドが少々和らぐ格好となったといえる。

 国内で29日に「9月調査の日銀短観」が発表され、大企業製造業の最近DIは8、前期比7ポイント上昇、大企業非製造業の最近DIは2、同7ポイント上昇と両指数とも6期連続の上昇となり、現状としては回復傾向が続いていることを表す結果となった。また、コンセンサスでは大企業製造業が7、大企業非製造業が-2、前回6月調査の先行きDIでは大企業製造業が3、大企業非製造業が-4であったことを踏まえると、予想以上に景気が回復した四半期であったといえる。しかし、今回9月調査の先行きDIでは大企業製造業が-1、大企業非製造業が-2と輸出企業の多い製造業を中心に大幅な下落となった。やはり、エコカー補助金制度の終了に加え、企業の想定レートの89円66銭/ドルから大きく外れた円高基調、海外景気回復の減速感が影響し2010年度下期を悲観的に見ている企業マインドが感じられる。


住宅市場指数の推移
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 続く30日には「8月の鉱工業生産」が発表された。結果として前月比0.3%減と3カ月連続の減少となり、基調判断も前月の「生産は持ち直しの動きで推移しているものの、足踏みの動きもみられる。」から「生産は横ばい傾向となっており、先行きについては弱含んでいる。」へと下方修正された。品目別に見ると、乗用車が仮需を想定して同1.5%増と5カ月ぶりに増加したが、バス、トラック、二輪車などが前月に対し減少したことが響き船舶・鉄道車両除く輸送機械工業が5カ月連続の減少、鉄鋼業が5カ月連続の減少、電子部品・デバイス工業3カ月連続の減少と主要産業の停滞が大きく影響している。また27日発表「8月の貿易統計」の対世界輸出額も前年同月比16%増と10年2月の同45%増から連続的に伸び率が縮小しており、外需の勢いが鈍ってきていることも鉱工業生産の前月比減少の要因として挙げられる。また、先行きに対しても、9月見込みが同0.1%減、10月見込みが同2.9%減となり、仮に予想通りになると5カ月連続の減少となり、リーマン・ショック直後の08年10月から09年2月の5カ月連続減少以来となる。外需の巻き返しと本格的な円高是正がない限りは、当面は現状の停滞感が続くであろう。


中古・新築住宅販売件数、住宅着工件数、建設許可件数の推移
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 一方の海外の米国では30日に「9月のシカゴ購買部協会景気指数」、1日に「9月の製造業ISM指数」が発表され、シカゴ購買部協会景気指数は60.4、前月比3.7ポイント増、製造業のISM指数は54.4、同1.9ポイント減となった。コンセンサスでは製造業ISM指数は54.5の予想であり、ほぼ予想通りの結果となったが、シカゴ購買部協会景気指数は56.0の予想であり、景気回復の減退感はより一層遠のいたといえるだろう。内訳として製造業ISM指数では新規受注は同1.9ポイント減、雇用は同3.9ポイント減となり予断を許さない状況が続いている。シカゴ購買部協会景気指数の内訳では雇用が同2.1ポイント減となったが、新規受注が同6.4ポイント増と大幅に増加しており、雇用指数も今後、改善する可能性も出てきた。シカゴ地区のように、一部地域では製造業の動きが活発になる状況も見られることから、米国経済に過度に悲観的になる必要はなかろう。


中古・新築住宅販売件数、住宅着工件数、建設許可件数の推移
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今週発表 … 週末は米国雇用統計の発表、民間部門の雇用環境改善に期待

 今週は国内で7日に「8月の景気動向指数(速報値)」、8日に「9月の景気ウォッチャー調査」、米国では5日に「9月の非製造業ISM指数」、8日には今週の焦点である「9月の雇用統計」が発表される。経済指標以外では国内で4~5日に「日銀金融政策決定会合」が行われ、週末の8日からはワシントンで「IMF世界銀行年次総会」が開催され、直近の世界経済の見通しが注目される。経済指標のコンセンサスでは景気動向指数の一致CIが0.5で前月比0.1ポイントの減少、先行CIは-0.9、同0.6ポイント減と先行き懸念が増してくる予想となっている。一方の米国では非製造業ISM指数が前月比0.5ポイント増、そして注目の雇用統計では完全失業率が9.7%、非農業部門雇用者数は同5000人増、民間部門雇用者数は同7万5000人増の予想だ。完全失業率は前月の9.6%に対し悪化しているが、これは民間企業の雇用が回復トレンドに入りつつあることから、求職活動を再開する人員が増加するからであり、ネガティブに捉える必要はない。


今月の主な決算発表予定


今週の主な決算発表予定
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