マーケットレポート

マーケットの視点

『過剰流動性相場』の流れで海外株市場は活況、日本株の出遅れが一層目立つ、円高が重石だが決算発表に注目

・ 「過剰流動性相場」の流れの中で、先週の世界株市場は賑わった。先進国市場の中では、独DAXが4月15日の年初来高値を11日に更新後、13~15日と連続更新、15日の「6492.30ポイント」はリーマン・ショック後の最高値であり、08年9月2日の「6518.47ポイント」以来の高値となっている。他の欧米市場も、年初来高値からの下落率でみるとNYダウが1.26%、S&P500が3.38%、ナスダックが2.43%、英FTSE100が2.09%、仏CAC40が5.86%、7~9月期の米国企業の予想以上の好決算もあり先週末のNYダウは「11062ドル78セント」と年初高値まで“141.50ドル”、ナスダックは「2468.77ポイント」と“61.38ポイント”まで迫っている。また、中国株市場も勢いづいている。香港ハンセンは11日まで6日連騰、6日連続で年初来高値更新。13、14日も連続更新、上海総合は15日まで7日連騰し「2971.16ポイント」と3000ポイント復活まであと一息。これらに比べて日本株市場は、14、15日に「80円78銭/米ドル」まで円高が突っ込んだ割には堅調だったものの、年初来高値からの下落率は日経平均株価が15.87%、TOPIXが17.27%と余りも出遅れが目立つ。一時は日本株よりも沈滞していた上海総合も急速な出直りで9.48%となっており、日本株の“一人負け”状態が目立ち、銀行株を中心に金融株不振、電力、鉄道など内需株低迷が顕著なためTOPIXの方が余計に沈んだままだ。

・ 先週から本格化した米国企業の7~9月期決算は予想以上に好調であり、かつ先行きの見通しに対して比較的強気な姿勢が目立った。12日発表のインテルは売上高が前年同期比18%増収で四半期ベースの過去最高、純利益は同59%増益となり、売上高、EPSともに市場予測を上回り業績の失速懸念を打ち消した。CEOが中国など新興国の堅調、企業向けの好調で「市場環境が不確かな中、過去最高の売上高と営業利益を出せた」、10~12月期については「7~9月期より業績が上向く」とコメント。2011年も「パソコン市場は2ケタ成長が見込まれており、実績の乏しい多機能携帯端末やスマートフォンなども強化する」と強気な姿勢だ。また、MPU第2位のAMDも市場予測を上回り、13日発表のJPモルガン・チェースの7~9月期の純利益は同23%増益、EPSは市場予想を上回った。貸し倒れは依然として高水準ながらクレジットカード部門の収益改善、個人向け融資の貸倒引当金の減少が主因。14日発表のグーグルは、主力の検索連動型広告の好調に加え、携帯電話向け広告など新規事業も立ち上がりつつあることで、23%増収、純利益が32%増益と四半期ベースで過去最高、実質EPSは7.64ドルと前年同期の5.89ドル、市場予測の6.67ドルを上回った。今週は、18日には絶好調のアップル、そしてIBM、シティグループ、19日にバンク・オブ・アメリカ、ゴールドマン・サックス、21日にキャタピラ-などの決算が注目されるのが、先行きの見通しを含めて好調な内容が続くことになりそうだ。

・ 今週の日本株市場も、為替を除けば外部環境面では総じて悪くはない状況が続くことになりそうだ。問題は円/米ドルレートである。既に95年4月に記録した史上最高値「79円75銭」を更新するのは秒読み段階。22日に開催されるG20を控え、その動きを封殺されているようにも見える政府・日銀の「円売り介入」だが、心理的には防波堤となって円高進行を鈍らせてはいる。しかし、11月2~3日の米FOMCを通過するまで米ドル下落の流れが急流であり、円/米ドルレートの史上最高値更新は不可避だろう。それが、引き続き日本株市場の頭を抑えることになりそうだ。但し、同時に「過剰流動性相場」の流れも継続することになり、軒並み年初来高値を更新し続ける海外株市場、そして国際商品市場との比較感で一層、日本株市場の出遅れ感が目立つ展開となっており、低きに流れる投資マネーが日本株市場をもターゲットとすることは充分に期待される。対米ドルは想定以上に円高が進行しているが、例えばユーロに対しては114円/ユーロ前後と想定レートの110円/ユーロよりは円安水準にある。来週にはわが国の主要企業の10.9期(中間)決算が一気に発表されるが、中でもグローバル企業群の決算は“円高ダメージ”の割には堅調、あるいは好調な内容が比較的多いと予想する。一方で、株価は“織り込み済み”とは言えない水準に止まっている企業が目立つ。


先週のマーケットの動き


各国マーケットの動き
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今週の主要スケジュール

今週のスケジュール
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◆内外経済指標より

先週発表 … 機械受注統計、さくらレポートより国内景気の先行きがやや不安視される

 先週発表された経済指標は、国内では13日の「8月の機械受注統計」、海外では米国で14日の「8月の貿易収支」、15日の「10月のNY連銀製造業景気指数」、「9月の小売売上高」、「9月の消費者物価指数」、「10月のミシガン大学消費者信頼感指数」が主だったものとして挙げられる。経済指標以外では15日に地域経済報告である「10月のさくらレポート」が発表された。国内では機械受注が予想以上にポジティブな結果となったが、為替動向、輸出の減速を考慮すると先行きに対しては不安となる内容であった。これはさくらレポートの結果からも窺うことができる。一方の米国は驚くほどの結果は発表されていないが、堅調な展開になったといえる。

 まず、13日に発表された「8月の機械受注統計」では、船舶・電力除く民需がコンセンサスの前月比3.7%減を大幅に上回り同10.1%増となり、これで6月分の1.6%増、7月分の8.8%増に続いて3カ月連続の増加となった。さらに基調判断も7月分の“機械受注は、持ち直しの動きが見られる”から“機械受注は、持ち直している”へと上方修正された。9月分は8月分の反動で減少が予想されるが、7~9月の見通し2兆1759億円、前期比0.8%増には前月比32.8%減の5661億円以上であれば達成され、その可能性は非常に高い。しかし、業種別の内訳を見ると、鉄鋼が同2倍、非鉄が3.7倍と、大型案件があった業界が今回の牽引役となっており、現状の為替動向を考えると国内の設備投資には企業も控えめな姿勢を取らざるを得ず、7~9月は前期比増加となったとしても10~12月の見通しは厳しい数字が予想される。


「機械受注統計」~船舶・電力除く民需の受注額と伸び率の推移
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 15日には「10月のさくらレポート」が発表された。前回の「7月のさくらレポート」では9地域中8地域が上方修正、さらに関東甲信越、近畿、中国、九州・沖縄の4地域に“回復”の文言が付け加えられ、非常に力強い回復基調であったが、今回は関東甲信越、東海、中国の3地域が下方修正、他の6地域は判断を据え置き、また、先行きの不透明感が強まってきたとの声もあった。全体的に弱含みとなった主な要因は、やはりエコカー補助金制度の終了であろう。しかし政策による需要底上げ効果も消えつつあるが、アジア向けの輸出に期待する地域も見られ、これまでの勢いは期待できないが、緩やかな回復は続けていくであろう。

 米国では15日に「10月のNY連銀製造業景気指数」が発表され、結果は15.7、前月比11.6ポイント上昇となり10年6月の19.6以来、4カ月ぶりに2桁台へと回復し、コンセンサスの8.0、同3.9ポイント上昇を大きく上回った。内訳を見ると新規受注が12.9、同8.6ポイント上昇、出荷が19.4、同19.7ポイント上昇、雇用が21.7、同6.7ポイント上昇となり総合指数の上昇に大きく貢献した。しかし、同指数は10年3月から下落、上昇の繰り返しであり、一進一退を続けていることから、今後発表される「10月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数」、「10月のシカゴ購買部協会景気指数」「10月の製造業ISM指数」、さらには来月発表の「11月のNY連銀製造業景気指数」に注目したい。


NY連銀製造業景気指数、フィラデルフィア連銀製造業景況指数、シカゴ購買部協会景気指数、製造業ISM指数の推移
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今週発表 … 注目すべきは週末のG20財務省・中央銀行総裁会議、協調行動を取ることが可能か

 今週発表される主な経済指標であるが、国内では目立ったものはなく、米国では18日の「9月の鉱工業生産・設備稼働率」、「10月の住宅市場指数」、「9月の住宅着工・許可件数」、21日の「9月の景気先行指標総合指数」、「10月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数」が挙げられる。また、中国では21日に「7~9月のGDP成長率」を始めとする重要指標の発表がある。経済指標以外では国内で19日に「10月の政府月例経済報告」、20日に米国の地区連銀報告である「ベージュブック」が発表される。コンセンサスでは米国の鉱工業生産指数が前月比0.2%増、設備稼働率が74.8、住宅市場指数が14で前月比1ポイント上昇、住宅着工件数が58万3000戸、前月比2.6%減、建設許可件数が57万5000戸、同0.7%増、景気先行指標総合指数が前月比0.3%増、フィラデルフィア連銀製造業景況指数が前月比0.7ポイント上昇となっている。米国では緩やかな回復は続いているが、住宅市場の回復にはまだ時間がかかりそうだ。週末の22~23日には韓国の慶州で「G20財務省・中央銀行総裁会議」が開かれるが、輸出頼みで自国通貨安を狙う先進国と余剰資金の流入によって自国通貨が過度に上昇することを懸念する新興国との対立が大きな焦点となろう。


今月の主な決算発表予定


今週の主な決算発表予定
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