マーケットレポート

マーケットの視点

絶妙なFRBの追加金融緩和策で『過剰流動性相場』継続、実体経済回復への期待高まる。次は日本株急回復の番だ

・ 先週は世界株市場、国際商品市場ともほぼ全面高の大活況となった。主要株式市場では、米国のNYダウ、ナスダック、S&P500は揃って年初来高値を更新、欧州でも独DAX、英FTSE100は年初来高値を更新、出遅れが目立つ仏CAC40も4日の終値は「3913.78ポイント」と年初来高値である4月15日「4065.65ポイント」まで“151.87ポイント、96.3%水準”まで迫り、アジアでも韓国総合、香港ハンセン、インドSENSEXも年初来高値を更新、香港ハンセンは5日まで5連騰、上海総合指数も5日に「3129.497ポイント」と4月16日以来の3100ポイント突破を達成。NYダウは5日まで6連騰となり5日終値「11444ドル08セント」は08年9月8日「11510ドル74セント」以来の高値、ナスダックも10月29日まで8連騰を続け1日に前日比“2.57ポイント安”となった後、5日まで4連騰し5日終値「2578.98ポイント」は08年1月3日「2602.68ポイント」以来の高値となった。すなわち、世界株市場はほぼ全面的に、リーマン・ショック以前の株価を取り戻している。日本株市場は、TOPIXが2日まで2日連続で年初来安値を更新するという“独歩的な”低迷を続けたが、祝日明けの4日“198.80円高”、5日“267.21円高”とようやく急騰に転じ、2~5日の3営業日で“471.27円高、5.15%上昇”となり先週末は「9625円99銭」と3週間ぶりの上昇で引けた。しかし、世界の主要な株式20市場のうち依然としてリーマン・ショック前の株価水準を回復していない6市場のうちの一つ、しかも08年9月12日との比較で豪州1.7%安、スペイン7.1%安、スイス7.1%安、フランス9.6%安、日本21.2%安、イタリア24.3%安と圧倒的に出遅れている。

・ 今回の世界全面活況の背景は、2~3日に開催された米FOMCで予想通りの追加金融緩和策が打ち出されたことだ。「11年6月末までに米長期国債を追加的に6000億ドル購入する」と発表、事前の市場予測である5000億ドル購入を若干上回ったと同時に、資産購入額に関して「雇用拡大と物価安定を促進するため、必要に応じて調整する」と明記したことで、打ち止め感が出ることがなかったことで、『過剰流動性相場』の継続への期待感が一気に高まった。まさに、金融政策がその波及効果の大きさを含めて確実に景気回復を促進するという絶妙なFRBの舵取りが演出した全面活況だ。株式市場のみならず、国際商品市場でも余剰資金奔流が強く意識され、例えば、NY金先物相場でも5日に1397.3ドル/トロイオンスと10月14日の1388.1ドル/トロイオンスを上回り過去最高値を更新、WTI原油価格も86.85ドル/バレルと4月の年初来高値を更新している。バーナンキFRB議長は「株高が消費を刺激する」と指摘、金融緩和策によるドル安批判に対しては「まずは米国経済の力強い成長回帰がありき」と発言するなど、遮二無二でも米国景気回復を実現する姿勢を強く示している。一方、金融政策決定会合の予定を前倒しし影響力の大きい米国の動向に備えるという俊敏な日銀の連携姿勢によって、その信頼性は格段に高まった。米国の年末商戦に対して悲観的な見方が漂っていたが、株式市場好調による資産効果、注目された5日に発表された米国の「10月の雇用統計」の結果が予想を大きく上回る好結果であり、その内容で年末商戦に備えて雇用を増加させたという動きなどから、現在の流れは単なる『過剰流動性』のみならず、実経済の好転を伴う展開になってきているだけに、先行きの期待は大きく高まる。

・ 日本株が急騰に転じたのも、『過剰流動性』の余剰資金が出遅れ目立つ日本株を大きく見直す期待感が高まったためである。米国金融緩和の追加・継続の流れの中では円高は払拭されないが、日本株市場においてその円高マイナスを打ち消すほどの効果が『過剰流動性』にはある。更に、今回の決算発表で通期の世界販売見通しを380万台から410万台へと大幅上方修正したビッグサプライズの日産自や純利益が過去最高となる富士重など、円高を跳ね返して自動車、電機を中心に決算好調が伝えられている。6日の日経新聞3面で「日本企業、収益回復見劣り」と10年7~9月期の純利益が08年7~9月期に対して米国は24%上回っているが、日本は1割強にすぎないと指摘しているが、為替を考慮するとこの指摘は的外れでもある。為替は08年7~9月期「107.6円/米ドル」→10年7~9月期「85.8円/米ドル」と20%の円高になっている。従って、仮に日本の純利益をドルベースに換算すると、この間の日本の純利益は38%上回った計算になる。この収益上昇が日本企業の本当の収益力であり、為替の表面的なマイナスイメージに囚われ過ぎだ。日本株も年初来高値である4月9日「11292円83銭」に限りなく近付いたとしても、何の不思議もないはずだ。


先週のマーケットの動き


各国マーケットの動き
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今週の主要スケジュール

今週のスケジュール
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◆内外経済指標より

先週発表 … 日米そろっての金融緩和政策、両国とも緩和規模拡大の含みを持たせる内容

 先週は米国に重要な経済指標が集まる週となった。1日には「10月の製造業ISM指数」、3日には「10月の非製造業ISM指数」、5日には「10月の雇用統計」が発表された。経済指標以外では2~3日に米国でFOMC、4~5日には国内で日銀金融政策決定会合が開催された。米国経済指標については総じて好感の持てる結果となったが、やはり日米両国の中央銀行の動きに市場の目は集まった。日銀、FRBの動きについては、概ね市場予想通りの内容となり驚くことはなかったが、日米の金融政策方針を改めて確認する1週間であったといえよう。

 1日に米国で「10月の製造業ISM指数」が発表され、結果としてはコンセンサスの54.5、前月比0.1ポイント上昇を大きく上回り、同2.5ポイント上昇の56.9となった。予想以上に上昇した主要因は、新規受注が同7.8ポイント上昇で58.9となり、5カ月ぶりの上昇となったことだ。さらには生産が新規受注と同様に同6.2ポイント上昇と大幅に上昇、雇用は同1.2ポイント上昇し、緩やかながら雇用環境も改善するであろう状態も見て取れる。しかし、輸出が同6ポイント上昇し60.5となったことから、現在のドル安による輸出増が内需の不足分を補っていると考えられ、消費の回復は少々遅れているといえる。


ISM製造業指数の推移
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 5日には「10月の雇用統計」が発表され、こちらもコンセンサスを大きく上回る結果となった。非農業部門雇用者数のコンセンサスは前月比6万人増であったが、結果では同15万1000人増と5カ月ぶりの増加となった。また、民間部門雇用者数は同15万9000人増と10万人を超える増加となり、これで4カ月連続の同10万人増となり労働市場が着々と回復していることを確認できた。一方の政府部門雇用者数は6月から同23万6000人減、同18万3000人減、同14万4000人減、同14万8000人減と4カ月連続で大幅に減少してきたが、10月分は同8000人減とこれでほぼ底は打った模様であり、今後は非農業部門雇用者数全体も緩やかながら回復していくであろう。

完全失業率、非農業部門雇用者数前月比増減幅の推移
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 2~3日には米国でFOMC、4~5日には国内で日銀金融政策決定会合が行われた。まずは、米国FOMCであるが、追加の金融緩和策を発表し規模としては5000億ドルとの予想であり、結果としては予想と大きく変わらず6000億ドルを追加的に長期国債購入に充てる内容となった。これでMBSの償還額と合わせると約9000億ドルの量的緩和策となり、米国名目GDPの約6%に相当する。今後もデフレ懸念がさらに強まってくると購入規模を拡大することも示唆しており、ドルの通貨価値低下が続くことから長期的なドル安基調が予想される。一方の国内においても、米国の量的緩和策決定に対して敏感になり金融政策決定会合の開催を4~5日に早めて開催した。10月5日に発表した5兆円の金融資産買い取りの実施を早期に行うためだ。今週から順次、資産の買い取りを行う予定で、まずは国債購入から始まる。日銀においても景気下ブレ時には随時、買い入れ規模を拡大する可能性は高い。


今週発表 … 週後半からはG20首脳会議とAPEC首脳会議、重要会議が続く

 今週は、国内で8日に「9月の景気動向指数(速報値)」、9日に「10月の景気ウォッチャー調査」、11日に「9月の機械受注統計」が発表される。一方の海外では米国で9日に「9月の卸売売上高・在庫」、10日に「9月の貿易収支」、12日に「11月のミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)」、中国では11日に「10月の消費者物価指数」などの主要指標が発表予定だ。コンセンサスでは国内の景気動向指数の先行CIが前月比0.6ポイント下落、一致CIが1.3ポイント下落、機械受注統計が前月比9.8%減、海外については卸売在庫が前月比0.6%増、ミシガン大学消費者信頼感指数では前月比1.3ポイント上昇となっている。週後半からは韓国でG20首脳会議、横浜でAPEC首脳会議が開催され、G20財務省・中央銀行総裁会議と同様に先進国の金融緩和と新興国のインフレ懸念についての利害関係が焦点となろう。


今月の主な決算発表予定


今週の主な決算発表予定
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