マーケットレポート

マーケットの視点

先週は世界株、商品市場が上昇トレンド一服の反面、日本株は堅調で今週以降も強基調、自動車・電機に注目したい

・ 先週のマーケットは、株式市場、商品市場とも一転、調整色を滲ませた展開となった。週間では、とりわけ上海総合指数4.60%、インドSENSEX30指数4.04%の下落率が目立ち、他の主要な世界株市場はNYダウ2.20%、ナスダック2.36%など総じて2%台の下落率、商品市場でも金価格が9日に4日連続で史上最高値を更新し12月物でザラ場高値“1424.3ドル/トロイオンス”、終値“1410.1ドル/トロイオンス”まで上昇したが反落し週間では2.28%下落、WTI原油価格も10日にザラ場高値“88.06ドル/バレル”が08年10月9日以来の高値、終値“87.81ドル/バレル”の年初来高値となったが週間では2.27%下落となった。また、銅のLME市況も11日に8966ドル/トンまで上昇し08年7月の史上最高値8940ドルを更新した後、12日は反落し8615ドルと結局、週間では0.46%の下落で引けている。さすがに前週まで「過剰流動性」による余剰マネーに押し上げられての上昇トレンドが続いただけに、一旦、調整局面を迎えた。NYダウも先週は10日以外は下落し10日も前日比“10.29ドル高”に止まるという展開となった。先週浮上した不安要因としてマーケットを大きく押し下げた要因は以下の三点。①10日に発表されたネットワーク機器大手の米シスコシステムズの決算が8~10月売上高が前年同期比19%増収となるなど実績は市場予想を上回ったが、11~1月売上高が同3~5%増収、11.7期が前期比9~12%増収の見通しと発表され、ともに市場予想の13%増収を下回った、②11日に発表された中国の「10月の消費者物価指数」が“4.4%上昇”と08年9月以来の高い伸びとなり追加利上げ懸念が広がった、③欧州債券市場でアイルランド、ポルトガルの国債利回りが急騰しユーロ導入後の過去最高水準となり、更にギリシヤ、スペイン、イタリアも急騰し、欧州の財政問題が再燃、の三点がマーケットを圧迫した。

・ 米シスコシステムズの先行き見通しに関しては、8~10月期受注が想定を5億ドル下回ったことでIT投資が再び足踏みするとの見方が提示されたものだが、これが金融危機後の急落から急回復した水準からの単なる反動減に止まるものなのか、経済全体の停滞によるIT投資抑制を反映した動きなのか、この時点では見定めが難しいが、いずれにしても米国の国内要因の要素が強いことと、米国景気の一部分の不安要素でしかなく、当面の焦点はむしろ年末商戦の動向だろう。中国に関しては、利上げ観測が2011年末まで5~6回の利上げがあるとの見方も浮上している。利上げによる対策のみならず、インフレ進行による中国内の不安増長を回避するためには投機マネーの流入を抑制する必要があり、そのために違法な資金流入を規制する動きが強まるとの見解もある。しかし、中国にとって、積み上がる経常収支、外貨準備高など、経済成長を加速させる潤沢な資金には余裕があり、むしろ現在の中国にとっては国内不安を沈静化させること、クラッシュ回避のための予防策の方が重要な施策と言える。欧州の財政危機再燃に関しては、背景として欧州中央銀行ECBが米FRBと対照的に金融政策が緩和的でないために財政面で厳しい状況にある国々の借り換えコストが上昇することを懸念している。但し、EU、IMFなど危機発生時の資金供給に関しては充分に用意されていることから杞憂に近い。

・ ようやく反転に転じた日本株市場は堅調な展開が予想される。世界的な批判の声もあり、米FRBがこれ以上の金融緩和には動き難いのではということなどを背景に金利が反転に向かっているなど、当面は円高進行に歯止めがかかった状態が続く見通しが一般的であり、心理的な円高圧迫要因がなくなることは大きい。9日に年初来高値銘柄数が年初来安値銘柄数を9月29日以来、久々に上回り、12日まで続けた。具体的な銘柄は業績好調の富士重、いすゞやKYB、ナブテスコ、タチエスなど自動車関連が多い。米国ビッグ3の業績急回復が伝えられ、中国、インド、ロシア、東南アジアの新車販売が猛烈な勢いで伸びており、10年4~9月期の自動車部品35社合計の経常利益が3081億円と過去最高の07年4~9月期3462億円の89%水準にまで一気に回復、アイシン、ニッパツ、KYB、ブレーキ、タチエスなど13社が過去最高、富士重の11.3期通期の純利益も過去最高見通しなど、自動車は下期の為替想定を80円/米ドルとしても、なお余裕を感じる。電子部品各社は欧米の年末商戦の不発を理由に下期を相当厳しく見ているが、米小売業界はあの手この手を講じての“セール”を準備している。従って、意外に在庫一層となり2月の中国の春節需要に繋がることで現在の生産調整は短期間で終了し、下期が想定を上回る堅調な結果になると予想する。もちろん、電子部品のユーザーはハイテク大手である。すなわち、円高が止まることでの日本株圧迫要因がなくなり、自動車、電機を中心に業績面での下期の慎重姿勢は過度であることが明らかになるとすれば、日本株回復に勢いが増すことが充分に予想される。


先週のマーケットの動き


各国マーケットの動き
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今週の主要スケジュール

今週のスケジュール
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◆内外経済指標より

先週発表 … 政策効果の剥げ落ちた結果が如実に現われた景気動向指数と機械受注統計

 先週は国内で8日に「9月の景気動向指数(速報値)」、9日に「10月の景気ウォッチャー調査」、11日に「9月の機械受注統計」と「10月の企業物価指数」、海外では米国で10日に「9月の貿易収支」、12日に「ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)」、中国では11日に「10月の消費者物価指数」など10月分の重要な経済指標が発表された。経済指標以外では11~12日にソウルで「G20首脳会議」、13~14日には横浜で「APEC首脳会議」が開催され、先週はアジア・オセアニアでの動きが注目される1週間となったといえる。

 8日に発表された「9月の景気動向指数(速報値)」だが、先行CIは98.9、前月比0.6ポイント下落で3カ月連続の下落、一致CIは102.0で同1.3ポイント下落となり、一致CIについては09年3月以来1年6カ月ぶりの下落となった。一致CIが下落に転じたことで基調判断にも「足踏みの動きもみられる」という文言が付け加えられ、1年11カ月ぶりの下方修正となった。それぞれ個別の項目を見ると、先行CIでは耐久消費財出荷指数が前月比8.7ポイント下落となっており、9月上旬にエコカー補助金制度が打ち切られたことが大きく影響した。一致CIについては8月分で一致CIの上昇に大きく貢献した大口電力使用量が、9月分では急激な気温低下や製造業の生産量減少によって減少となったことが全体数字の下落した要因の一つとなった。また、エコカー補助金制度の打ち切りは一致CIにも大きく影響し、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、所定外労働時間指数の項目も大きく減少しており、政策効果が剥げ落ちた影響は非常に大きいといえる。


「景気動向指数」~先行CI、一致CIの推移
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 9日には「10月の景気ウォッチャー調査」が発表されたが、先行き判断は前月比0.3ポイント下落、現状判断は同1.0ポイント下落となった。内訳を見ると、先行き判断では家計動向が前月比0.4ポイント増、企業動向が同1.2ポイント減、雇用が2.4ポイント減、現状判断では家計動向が同0.3ポイント減、企業動向が同2.3ポイント減、雇用が同2.3ポイント減であった。判断理由としては、やはり前月から続いている乗用車販売の落ち込みが激しいとの理由が多く、コンビニなどの小売業では10月からのたばこの値上げについて9月の駆け込み需要の反動で客数の落ち込みを嘆いている声も聞かれる。一方の先行き判断では、エコポイント制度の申請条件が12月から絞られるため年末から年明けにかけての稼ぎ時は予想以上に厳しくなるという理由があり、今後も厳しい環境が続くと予想される。しかしながら、ファストファッションなどの低価格帯志向に対する飽きがみられ、高価格帯に目を向ける客も見られるとの声もあることから、消費の自律的回復の可能性にも注目すべきであろう。

景気ウォッチャー調査」~現状判断DI、先行き判断DIの推移
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 11日には「9月の機械受注統計」が発表された。結果として船舶・電力除く民需は7565億円、前月比10%減と大幅な下落となった。8月分では鉄鋼や非鉄で大型案件の受注があり同10%増となり予想を上回る結果を考えれば、9月分ではその反動が予想され、さらにはコンセンサスにおいても同9.7%減であったことを考えると、十分に納得のいく結果であるといえるだろう。四半期ベースでは前期比9.6%増と4四半期連続の増加、さらには2000年以降では最大の伸びとなったが、現状の為替における円高推移、輸出鈍化を考えるとこの先の機械受注動向には不安が残る。9月分と同時に発表した10~12月の見通しでは前期比9.8%減と大きな落ち込みが予想されており、年末にかけては予断の許さない状況が続くであろう。


「機械受注統計」~船舶・電力除く民需の推移
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今週発表 … 米国住宅市場の自律的回復の持続性に目が集まる週

 今週は国内で15日に「7~9月のGDP成長率」、海外では米国で15日に「11月のNY連銀製造業景気指数」、「10月の小売売上高」、16日に「10月の鉱工業生産・設備稼働率」、「11月の住宅市場指数」、17日に「住宅着工・許可件数」、18日に「11月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数」が発表される。コンセンサスでは国内のGDP成長率が前期比年率2.6%増、米国ではNY連銀製造業景気指数が前月比2.7ポイント減、小売売上高が同0.7%増、鉱工業生産が同0.3%増、設備稼働率が74.9%で前月比0.2ポイント増、住宅市場指数が前月比1ポイント増、住宅着工件数が同1.6%減、建設許可件数が同4.2%増、フィラデルフィア連銀製造業景況指数が同4ポイント増となっている。米国の住宅市場では回復速度は緩やかだが、自律的回復の兆しも現われてきており、今週発表される住宅関連の経済指標には注目すべきであろう。


今月の主な決算発表予定


今週の主な決算発表予定
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