マーケットレポート

マーケットの視点

久々に力強い上昇を示したが依然として物足りない日本株、新興国好調に米国年末商戦堅調が加わり強基調を継続へ

・ 久々に力強い日本株市場の上昇が実現した。先週1週間では“297.58円、3.06%上昇”、11月に入っては3週連続の上昇、“819.94円、8.91%上昇”と、欧米株市場がNYダウは“0.77%上昇”、ナスダックが“0.43%上昇”、英FTSE100が“1.02%上昇”、仏CAC40が“0.70%上昇”と11月第1週分の上昇分を第2週で吐き出し、第3週となった先週は前半安を後半高でカバーし“行って来い”になっていること、香港ハンセン、上海総合、印SENSEXのアジア主要株市場は先週3%前後の下落となり、香港ハンセンに関しては11月第1週の上昇率が“7.71%”と大きかったことで先週末まで11月の上昇率は“2.21%上昇”を維持しているが、上海総合は“3.03%下落”、印SENSEXは“2.23%下落”と下落に転じている。一方、輸出好調の恩恵が評価されている独DAXは先週も月、木、金曜日と年初来高値を更新し先週末まで“3.67%上昇”、やはりサムスン電子の業績好調ぶりが顕著なことに加えて内需企業の業績好転も寄与することで韓国総合も先週末まで“3.08%上昇”と堅調な推移となっている。ちなみに、韓国は16日に今年7月以来の利上げを実施、政策金利を0.25%引き上げ2.5%とするなど“先進国”グループの中では新興国同様の「出口戦略」に転じるほど順調な景気回復を辿っている。また、中国は29日に預金準備率を0.5%引き上げることを19日に発表したが、これは16日実施に続き11月で2度目の引き上げとなる。11日に発表された中国の「10月の消費者物価指数」が“4.4%上昇”と08年9月以来の高い伸びとなり追加利上げ懸念が広がり、19日に利上げを実施するとの事前観測が根強かったものの上海総合は18、19日と2連騰するなど、日本株の強さが目立ったばかりでなく、世界株市場全般も先週後半は総じて上昇するなど依然として堅調なトレンドは続いている。

・ 日本株上昇に関しては、基本的には商品市況下落、米国金利が急速に反転に向かうなどマネーの流れが変わり、これまでの『新興国株買い・日本株売りの反対売買』~「海外勢の円買い・日本株売り・債券買いのポジションの巻き戻し」が一つの背景。そして、10月最終週以降に発表が相次いだ10.9期(中間)決算がとりわけ自動車、電機を中心にグローバル業種の業績が予想以上にすこぶる好調な結果であり、円高圧迫で日本株市場が世界的に最も出遅れが目立っていたところに、為替が11月1日に15年半ぶりの80.21円/米ドルまで円高進展後、反転に向かって18日に1カ月半ぶりとなる83.79円/米ドルまで戻るなど、円高一服感が強まったことで、自動車、電機、建機などが株価上昇の牽引役となっている。18日には「1万13円63銭」と6月22日「1万112円89銭」以来の日経平均株価1万円台の回復となったが、「日経500平均株価」採用銘柄を対象にした場合のこの間における上昇率上位は、1位KYB45.8%、2位ダイハツ32.6%、3位コマツ28.3%、7位日産自18.0%、10位日東電16.5%、12位ソニー16.1%、16位ゼオン15.5%、17位日揮15.3%、18位富士重15.1%、19位いすゞ14.2%、21位ホンダ14.1%などグローバル関連が目立っている。この点は、再三再四、この場で指摘した通りの展開になっている。また、15日にゴールドマン・サックスがアジア地域の市場別アロケーションで日本株のウエイトを「ニュートラル」に引き上げ、16日にはクレディ・スイスが、11 年3月末の日経平均株価「1万1000 円」との強気見通しを示すなど、ようやく日本株に対する強気のスタンスが目立ってきた。

・ 一方で、年末に向けて再びドル安・円高が進み株安になると指摘する弱気な見方もある。今後の最大の焦点は米国景気の行方であり、今年の年末商戦の結果だろう。年末商戦は来週26日の感謝祭から実質的なスタートになる。厳しい情勢見込みは事前に承知のことであり、小売り各社は対策として価格設定など用意周到な商品戦略を準備しているだろう。また、消費者は生活防衛を心掛けてより安い価格を求めてネット販売へと消費行動が流れて行く反面、夏以降の株式市場の好調もあって、過去2年間の倹約疲れから脱する動きとなる可能性は充分に高い。すなわち、予想外に年末商戦が盛り上がることによって米国株市場の一段高、米ドル堅調となる展開が期待される。一方、新興国では利上げが相次いでいるとはいえ、この利上げが好調な経済に水を差すこともないだろう。今や、自動車、建機、エレクトロニクス製品は新興国市場が世界的な成長牽引役である。これに加えて、米国市場の年末商戦が無難に過ぎるとなれば、慎重な見方に傾いているグローバル企業の今下期業績が上方修正となる可能性は格段に高まる。グローバル関連株が日経平均株価1万円台回復までマーケットを引っぱって来たとは言え、依然として予想PER等のバリュエーションが割安なものが多い。また、メガバンクや不動産などの内需株も言われなき株価水準にまで売り込まれたものが多いだけに、上昇期待は大きい。


先週のマーケットの動き


各国マーケットの動き
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今週の主要スケジュール

今週のスケジュール
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◆内外経済指標より

先週発表 … 米国ではデフレ懸念がより一層強まるが、世界的な批判もありFRBは難しい舵取りに

 先週は国内で15日に「7~9月のGDP成長率」、海外では米国で15日に「11月のNY連銀製造業景気指数」、「10月の小売売上高」、16日に「10月の鉱工業生産・設備稼働率」、「11月の住宅市場指数」、「10月の卸売物価指数」、17日に「10月の住宅着工許可件数」、「10月の消費者物価指数」、18日には「11月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数」、「10月の景気先行指標総合指数」が発表された。

 15日に国内で「7~9月のGDP成長率」が発表された。結果はエコカー補助金制度の打ち切り、たばこの値上げを前にしての駆け込み需要の効果で、コンセンサスの前期比年率2.6%増を大きく上回る同3.9%増となった。内訳としては予想通り個人消費、中でも耐久財が同52.5%増と大きな牽引役となり民間最終消費支出が同4.7%増、民間住宅が住宅エコポイント制度の効果もあり同5.4%増、民間企業設備投資が同3.2%増、政府最終消費支出が同0.5%増、公的固定資本形成が同2.2%減、輸出が同10%増、輸入が同11.2%増であった。しかし、焦点となるのは10~12月のGDP成長率が発表される2月14日であろう。7~9月は政策効果の打ち切りに反応して予想以上の駆け込み需要が生じたが、10~12月では12月からのエコポイント制度縮小に対応し11月に再度、駆け込み需要が生じるが、エコカー補助金や猛暑の効果があった7~9月に比べると効果は小さいだろう。また、輸出の伸びも鈍化しており10~12月のGDP成長率が5四半期ぶりのマイナスに転じると予想される。


GDP、民間最終消費支出前期比年率換算伸び率の推移
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 海外の米国では15日に「11月のNY連銀製造業景気指数」、18日に「11月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数」が発表された。NY連銀製造業景気指数は統計上、過去最大の下落幅となり前月比26.9ポイント下落の「-11.1」となったが、フィラデルフィア連銀製造業景況指数は同21.5ポイント上昇の「22.5」となり、両指数とも大きな変化幅でありながら正反対の結果となった。NY地区では新規受注が前月比37ポイント下落となったことが主因であり、出荷が同26ポイント下落、受注残が同23ポイント下落、雇用が13ポイント下落と他の項目も大きく下落した。一方のフィラデルフィア地区では新規受注が同15ポイント上昇、出荷が同15ポイント上昇、受注残が同13ポイント上昇、雇用が同11ポイント上昇と全ての項目が上昇となった。NY地区の下落は一時的な可能性もありうるため、今後発表されるシカゴ購買部協会景気指数、製造業のISM指数で米国全体のトレンドを把握することが適切だろう。

NY連銀製造業景気指数、フィラデルフィア連銀製造業景況指数、
 シカゴ購買部協会景気指数、製造業ISM指数の推移
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 17日には「10月の住宅着工許可件数」が発表された。結果は、住宅着工件数が51万9000戸、前月比12%減、建設許可件数が55万戸、同0.5%増となった。住宅着工件数のコンセンサスは60万戸であったため予想外の大幅な下落であり、建設許可件数は前月比微増となったが、コンセンサスの57万戸に対しては未達となり、どちらもネガティブな結果となった。住宅着工件数が大幅に減少した主因は集合住宅が同44%減の8万3000戸となったことであり、一戸建て住宅は同1.1%減の43万6000戸と40万戸以上はキープした。図のように着工件数、許可件数ともに2010年になってからは60万戸前後で推移しており、急激な回復は困難ではあるが、当面は現状を維持していくと思われる。


住宅着工件数、建設許可件数の推移
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 17日に発表された「10月の消費者物価指数」は前月比0.2%増、食品・エネルギー除くコア指数は同横ばいとなり、デフレ懸念がより一層強まる結果となった。医療サービス、交通はそれぞれ同0.2%増、同0.3%増と増加したが、新車が同0.2%減、中古車が同0.9%減、衣料品が同0.3%減と自動車や日用品にデフレ傾向が強まったといえる。また、ガソリンについては、9月は同1.6%増であったが、10月は同4.6%増と大幅な増加となっており、消費者物価指数増加率の約9割にガソリン価格の上昇が寄与した格好だ。現在、将来のインフレ期待を見越して長期金利が上昇しているが、足元ではデフレ懸念が次第に強まってきており、更なる量的緩和も予想される状態ではある。しかし、FRBの大振りな追加金融緩和策に関しては、新興国を中心に海外からに批判の声が多いことに加えて、一段のドル安を招くことや将来のインフレを懸念して国内でも追加金融緩和策の見直し求める意見も出ており、FRBの舵取りは難しい局面に入っている。


消費者物価コア指数、卸売物価推移コア指数伸び率の推移
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今週発表 … 米国では中古、新築住宅販売動向に注目、国内ではデフレが緩和に向かう見通し

 今週は国内で25日に「10月の貿易統計」、26日に「10月の全国消費者物価指数」、海外では米国で23日に「7~9月のGDP成長率(改定値)」、「10月の中古住宅販売件数」、24日に「10月の新築住宅販売件数」、「10月の耐久財受注」、「10月の個人所得・消費支出」、「11月のミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)」が発表される。国内のコンセンサスは生鮮食品除く消費者物価指数が前年同月比0.5%減、米国のコンセンサスはGDP成長率が前期比年率2.4%増、中古住宅販売件数が前月比1.1%減、新築住宅販売件数が前月比2.0%増、耐久財受注が前月比0.1%増、輸送機器除く耐久財受注では同0.7%増、個人所得は前月比0.4%増、個人消費支出は前月比0.5%増となっている。国内では依然としてデフレ傾向が続くが若干緩和方向に向かう予想である。


今月の主な決算発表予定


今週の主な決算発表予定
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