マーケットレポート

マーケットの視点

事件勃発でも日経平均株価1万円台維持、今週も上値追い期待。三菱重・長崎造船所見学で日本製造業の強さを再認識

・ 世界が揺れているにも拘らず、珍しく日本株市場が力強い動きを見せている。21日にアイルランドからの金融支援要請を受けて、EU・IMFは850億ユーロ(9.4兆円)の基金を創設して融資する方向で動き出し、アイルランドの主要銀行の国有化、スペイン、ポルトガルなどへの広がりなど、欧州財政問題が一気に再燃、更に23日には北朝鮮の韓国・延坪島砲撃事件が勃発、緊張感が世界を駆け巡り世界株市場の急落が懸念されたが、日経平均株価は先週を通じて18日以来の1万円台を維持したままま終えた。祝日明けの24日には朝方一気に“210.27円安”の「9904円92銭」まで売り込まれたが、直ぐに切り返して後場も堅調な推移を続け「1万30円11銭」で引け、先週末は「1万39円56銭」と前週末比“17.17円高”とかろうじて4週連続の上昇を保った。欧州株市場は22、23日と急落したが24、25日と持ち直し、米国株市場も25日は感謝祭で休場だったが基本的な同様な展開、中国株市場も同様、ただ、贈収賄事件に揺れる印SENSEXだけは23~26日まで4日続落となった。

・ 為替が、対ユーロは欧州財政問題で再び110円台までの円高に振れたが、対米ドルは9月末以来の84円台までの円安気味となったことでグローバル関連の業績に対する不安感が後退していることが、日経平均株価1万円台の維持を支える大きな要因となっている。今週も日本株市場は堅調な推移が続くと予想され、6月21日終値の「1万238円01銭」を上回り上値を試す展開となりそうだ。11月の最終日を含む週は過去10年間、全て上昇しているとの指摘もあることから心強い。今週は重要な米国経済指標の発表が相次ぐ。30日に「11月のシカゴ購買部協会景気指数」、「11月のCB消費者信頼感指数」、1日に「11月の製造業ISM指数」、3日に「11月の非製造業ISM指数」、そして「11月の雇用統計」が発表されるが、中でも最もマーケットに影響を及ぼす「雇用統計」に対する改善期待が大きい。先週発表された「週間の新規失業保険申請件数」が前週比3万4000 件減の40 万7000 件と市場予想の43 万5000 件程度を下回ったことで米雇用への不安が和らいだためだ。また、当面の最大の焦点となっている米国の年末クリスマス商戦に関する楽観的な見方が強まっている。それを先取りする動きがティファニーとアマゾン・ドット・コムの株価急騰の動きだ。宝飾品大手ティファニーのコワルスキーCEOが24 日発表の8~10 月期決算で「最も重要な2カ月間の年末商戦に入り数週間だが売上高の伸びは予想を上回っている」と述べたことで株価が大幅反発、株式分割調整後では87 年5月に上場して以来の高値を更新した。また、インターネット小売り最大手のアマゾン・ドット・コムの株価も大幅反発し過去52週の高値を更新、99 年9月の株式分割後の最高値水準を付けた。背景は米調査会社コムスコアが23 日に11~12 月のオンライン小売業への消費支出額が324 億ドル、前年同期比11%増になるとの予測を発表した。11 月の最初の3週間が好調な出足だったため、従来予想の7~9%増を上方修正、オンライン支出額は金融危機前の07年水準を超え過去最高になると予想している。米国の年末商戦が予想外に好調であることの日本へのインパクトは極めて大きい。

・ 一方、26日に三菱重工業・長崎造船所を見学する機会を得た。長さ1000m×幅100mという長大なドッグで世界最大級の1200トン・クレーン、600トン・クレーンの下で長さ315m/高さ45m、長さ324m/高さ60mという巨大なコンテナ船と石油タンカーが縦に並んで2隻同時に建造されていた。東京タワーが2塔横たわっているような光景で、まさに圧巻。片や、火力発電用ボイラーを作っている工場、リチウムイオン電池工場などを見た。製造機械等も自前であり、あたかも“日本の物作りの原点”のような長崎造船所である。それもそのはず、同工場は150年もの歴史を有し、起源が日本初の官営造船所であり、岩崎弥太郎が政府払い下げを受けて始まった三菱グループ・製造業の原点である。第37代相馬所長のお話では円高と韓国・中国の追い上げに苦しんでいるとのことだが、見学の印象としてはそうとは思えず、むしろその逆境を跳ね返す日本の製造業の原点、ここから脈々と発展して行った電機、自動車産業を頂点とする日本製造業の強さの出発点を見せて頂いた気がした。株式市場ではこの三菱重工業を含めて世界に誇るべきわが国製造業に対する評価が余りに低過ぎると、改めて強く感じた工場見学であった。


先週のマーケットの動き


各国マーケットの動き
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今週の主要スケジュール

今週のスケジュール
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◆内外経済指標より

先週発表 … 国内、米国ともにデフレ圧力が和らぐ兆しなし

 先週の国内では25日に「10月の貿易統計」、26日に「10月の全国消費者物価指数」、海外では23日に「7~9月のGDP成長率(改定値)」、「10月の中古住宅販売件数」、24日に「10月の個人所得・消費支出」、「10月の耐久財受注」、「11月のミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)」、「10月の新築住宅販売件数」が発表された。依然として国内ではデフレ基調、海外の米国では住宅市場の停滞感が続く結果となった。

 26日の国内では10月の全国消費者物価指数が発表され、結果は総合指数で前年同月比0.2%増、生鮮食品除く総合指数では前年同月比0.6%減となった。9月分の増減率はそれぞれ同0.6%減、同1.1%減であり、10月分の結果を見ると物価動向がガラリと変わったように思えるが、生鮮食品除く総合指数では10月からタバコ、傷害保険料が値上げされたことが影響しており、総合指数ではさらに猛暑の影響で収穫量が激減した青果物の値上げが加わり、特殊的な要因で物価の水準が嵩上げされたに過ぎない。たばこ、傷害保険料によって総合指数の下落幅がそれぞれ0.27ポイント、0.14ポイント縮小していることから、両品目を除くと総合指数では依然として前年同月比減少が続けている。


全国消費者物価指数」~総合、生鮮食品除く総合、
食料・エネルギー除く総合の前年同月比伸び率の推移
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 一方、海外の米国では23、24日に10月の中古住宅販売件数と新築住宅販売件数が発表された。中古住宅では直前のコンセンサス前月比1.1%減を下回り同2.2%減の443万戸、新築住宅では同2.0%増と増加が予想されていたが、結果としては同8.1%減と大幅に減少して28万3000戸と2カ月ぶりに30万戸を下回る結果となった。中央価格では中古住宅が前月比0.5%減、新築住宅が同14%減、在庫では中古住宅が同3.4%減の386万4000戸、新築住宅が同0.5%減の20万2000戸となり販売件数増加に繋がりそうだが、在庫月数で見ると中古住宅では10.5カ月分で住宅購入減税打ち切り直前であった4月の8.4カ月分と比較すると非常に高水準の状態であり、新築住宅では在庫は減少したものの在庫月数では前月比0.7カ月分増加となり、購買意欲の低下が深刻化している状態だ。しかし、11月2~3日に行われたFOMCでは追加の金融緩和策が発表されており、11月分の住宅販売件数では大きな改善は見込めないものの更なる悪化は避けることができよう。

新築住宅、中古住宅販売件数の推移
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 24日には10月の個人所得・消費支出が発表され、個人所得では前月比0.5%増、個人消費支出では同0.4%増となった。コンセンサスでは個人所得が同0.4%増、個人消費支出が同0.5%増であったことから、ほぼ予想通りの結果になったといえる。内訳をみると所得では給与が同0.6%増、消費支出では耐久財が同1.9%増、非耐久財が同0.8%増、サービスが同0.1%増となった。一方で個人消費支出物価のコア指数は前月比横ばい、2010年になり3回目の“前月比横ばい”となり、消費額は増加しているが物価は横ばい状態となる歪な構造になっている。年末商戦に入り百貨店や量販店は予想以上に売れ行き好調の模様ではあるが、牽引役となっているのは富裕層の消費であり、中間層の消費意欲は依然として停滞しておりデフレ圧力は弱まる気配はない。米国全体の消費回復には失業率の改善が必要であり、12月3日に発表される雇用統計には注目だ。


個人所得、消費支出、消費支出物価指数の前月比伸び率推移
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今週発表 … 米国雇用統計に注目、コンセンサスを上回る改善結果となる可能性は大

 今週は国内で30日に「10月の労働力著差」、「10月の鉱工業生産(速報値)」、2日に「7~9月の法人企業統計調査」、海外では米国で30日に「11月のシカゴ購買部協会景気指数」、「9月のS&Pケース・シラー住宅価格指数」、1日に「11月の製造業ISM指数」、3日に「11月の非製造業ISM指数」、「11月の雇用統計」、中国では1日に「11月のPMI製造業指数」が発表される。コンセンサスでは、国内経済指標については完全失業率が5.0%、有効人倍率が0.56倍、鉱工業生産が前月比3.5%減、米国についてはシカゴ購買部協会景気指数が前月比0.6ポイント下落、S&Pケース・シラー20都市総合指数が前年同月比1.3%増、製造業のISM指数が前月比0.7ポイント下落、非製造業のISM指数が前月比0.7ポイント上昇、米国の完全失業率が9.6%で4カ月連続横ばいの予想、非農業部門の雇用者数は前月比14万5000人増となっている。11月20日の新規失業保険申請件数は40万7000件とリーマン・ショック以降の最低人数と改善しており、3日に発表される非農業部門雇用者数の変化幅もコンセンサスを上回る改善結果となる可能性大であり、非常に期待が強まる。



今月の主な決算発表予定


今週の主な決算発表予定
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