マーケットレポート

マーケットの視点

波乱はあるが海外株市場とも強基調は不変、特に、依然として世界的に出遅れ状態にある日本株は上昇継続と予想

・ 先週は一時的な波乱があったものの、世界的に総じては強いマーケット展開となった。11月末、30日の日経平均株価は海外株市場にツレ安、2週間ぶりに1万円の大台割れとなった。欧米株市場が欧州の金融・財政不安、上海総合指数が中国の金融引き締め懸念、で急落したことで“188.95円安”の安値引けとなり、「9937円04銭」と11月17日以来の1万円割れとなったが、1週間で安かったのは30日だけで、1週間を終わってみれば残り4日間は上昇を記録、2日には大台復活、週末の日経平均株価は前週末比“138.76円高”の「1万178円32銭」で終え、これで5週連続の上昇となった。上昇の連続週間記録は2月から4月にかけての8週連続以来の連続記録で、8週間連続の時は“1229.00円、12.2%上昇”となり明けて4月5日に終値ベースの年初来高値「1万1339円30銭」を記録している。また、ちょうど1年前にも09年11月30日の週から10年1月12日の週にかけて7週連続上昇を記録し、7週間で“1900.58円、20.9%上昇”を記録した。今回は“975.87円、10.6%上昇”となっている。今回の上昇に対して騰落レシオが130に近付いていることなどで、上昇一服を指摘する声もあるが、上昇トレンドを描いている時には、7、8週連続を記録したこともあることから、まだしばらくは上昇トレンドを継続する可能性は充分に高い。

・ 先週末に発表された米国の「11月の雇用統計」が、事前の楽観的な見方からは一転、失業率が9.8%と高水準、非農業部門雇用者数が予想の13万人増を大幅に下回る3万9000人増となるなど比較的厳しい数字が発表されたが、それほど悲観的なムードはない。今回の雇用統計の発表を受けて更なる大幅な金融緩和を予想する声は少ない。週後半の米国株市場は3日続伸、特にナスダックは年初来高値を再び更新する強さを見せた。円安気味となっていた為替も若干、円高に戻したが、基調としては変わっておらず、83~84円/米ドル程度の為替推移が続く可能性が高い。また、米国の年末商戦に関する明るいニュースが多い。具体的には、全米小売業協会がまとめたことで、25~28日の小売売上高が450億ドル、前年同期比9.2%増となり、内訳として顧客数が2億1200万人と前年の1億9500万人を上回り、平均購入単価も365.34ドルと前年の343.31ドルを上回るなどの結果となっており、米国景気の順調な回復を後押しする内容である。米国の年末商戦は年間売上高の30~40%をも占める規模であり、具体的な商品としては家電製品が多い。わが国の家電、電子部品メーカーに直接大きな影響を与えるが、順調な滑り出しで始まったことで、最後まで好調が続けば在庫調整、生産調整がスムーズに完了し再び上昇基調を辿ることが期待されよう。

・ 2日にゴールドマン・サックス証券が2011年の日本株相場見通しのレポートを発表しているが、11年序盤にマーケットが“跳ねる”展開を予想している。来期以降も業績は順調な回復トレンドを辿るとし、EPS成長率を11年度20%増、12年度22%増となることを前提に、TOPIX「1080ポイント」、日経平均株価「1万2000円程度」まで上昇すると予想している。また、注目する投資テーマとして、①新興国売上比率の高い輸出企業から米国売上比率の高い輸出企業への戦術的シフトとセクター別では銀行/保険をオーバーウエート、国内ディフェンシブ・セクターをアンダーウエート、②収益が06~08年度のピークを回復すると予想されるにもかかわらず、時価総額がピーク水準を大きく下回っている出遅れ株、③環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を決めた場合のポジティブなインプリケーション、④カジノ関連、⑤M&A関連で高IRR(内部収益率)銘柄や、親会社やプライベート・エクイティによる買収またはMBOの対象となる可能性のある上場子会社、などを挙げている。世界景気は現在の踊り場を脱して、11年には再び上昇トレンド入りに転ずるものと予想される。今後、新年相場見通しが相次いで発表されてくるが、今回のゴールドマン・サックス証券のように明るい見方が多いものと予想する。世界的にみて依然として日本株のポジションは出遅れ状態にあり、当面は強基調を維持する展開が続くと予想する。


先週のマーケットの動き


各国マーケットの動き
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今週の主要スケジュール

今週のスケジュール
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◆内外経済指標より

先週発表 … 米国雇用統計は予想を裏切り大きく下ぶれたが、緩やかな回復基調には変わりなし

 先週の経済指標は国内で30日に「10月の労働力調査」、「10月の鉱工業生産(速報値)」、2日に「7~9月の法人企業統計調査」、海外では米国で30日に「11月のシカゴ購買部協会景気指数」、「11月のCB消費者信頼感指数」、「9月のS&Pケース・シラー住宅価格指数」、1日に「11月の製造業ISM指数」、3日に「11月の非製造業ISM指数」、「11月の雇用統計」、中国では1日に「11月のPMI製造業指数」が発表され、国内、海外ともに重要指標の発表が盛沢山の週であった。

 国内では30日に「10月の鉱工業生産(速報値)」が発表され、結果は前月比1.8%減となり5カ月連続の減少となったが、同3.5%減の予想であったコンセンサスと比較すると減少率は小幅にとどまった。9月7日にエコカー補助金制度が打ち切られた影響で10月の生産は大幅に落ち込むと予想されており、実際に輸送機械工業は同10%減と二桁の減少となったが、一般機械工業がフラットパネル・ディスプレイ製造装置の牽引もあり同3.8%増、精密機械工業が分析機器などの好調が押し上げ要因となり同8.3%増と全体の落ち込みをカバーした。また、前月に発表した10月分の生産予想では輸送機械工業が同9.9%減の予想であり、ほぼ同水準の結果となったが、情報通信機械工業、電子部品・デバイス工業は予想より減少率を縮小させ、一般機械工業は同2.3%増の予想であったが結果としては上ぶれた。一方、11月、12月の生産予測ではそれぞれ1.4%増、同1.5%増と6カ月ぶりに増加に転じ、2カ月連続の増加となる見通しである。輸送機械工業も11月、12月は3.7%増、5.6%増となる予想であり10月の大幅な減少の反動も含まれるが回復する見込みである。現状では米国の年末商戦は好スタートを切っており、さらにはその後に控える中国の旧正月需要も考えられることから、今回のコンセンサス予想のように過度に悲観的な見通しをもつ必要もなかろう。


「鉱工業生産」~生産指数前月比伸び率の推移
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 一方の米国では30日に「11月のシカゴ購買部協会景気指数」、1日に「11月の製造業ISM指数」が発表された。シカゴ購買部協会景気指数は前月比1.9ポイント上昇の62.5、製造業ISM指数は同0.3ポイント下落の56.6となり、正反対の結果となった。シカゴ地区の景気指数の内訳では新規受注が同2.2ポイント上昇の67.2となったことに追随して生産も同1.5ポイント上昇の71.3と大きく上昇した。逆に受注残、在庫は数量の減少によりそれぞれ同0.3ポイント下落、同6.5ポイント下落となったが、受注量が増加していることから回復基調には変化はないと思われる。一方の製造業ISM指数の内訳では新規受注が同2.3ポイント下落、生産が7.7ポイント下落となったが、物流に遅れが生じた結果、入荷遅延が同6.0ポイント上昇となった。このことより物流面では停滞していないことから、11月では一時的且つ受注が落ち込んだ地区が存在したということが考えられ、米国製造業の改善基調に大きな変化はない。

NY連銀製造業景気指数、フィラデルフィア連銀製造業景況指数、
 シカゴ購買部協会景気指数、製造業ISM指数の推移
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 1日には14日に開催されるFOMCの判断材料となる「ベージュブック」が発表された。総括としては10月の中旬から11月中旬まで概ね改善を続けており、フィラデルフィアとセントルイスでは強弱入り混じる状況となったが、その他10地区では良好または緩やかな回復となり、全体としては足元の基調を再確認する結果となった。製造業では、NY、ダラスを除き活況な状態となっており自動車やハイテク製品、鉄鋼業などでは好調となっている。NYでは11月のNY連銀製造業景気指数が大きく減少したが、見通しについては楽観的となっており、財政難のダラスを除き今後は全体的に上向きとなると思われる。消費でもほぼ全ての地区で改善を続けている。前回のベージュブック発表時から今回の発表まで、新車や軽トラックの販売が好調であり在庫も適正水準となっている地区もある。消費者は若干価格に敏感な面もあるが、ブラックフライデー前後では高級百貨店が好調との声も聞かれることから年末商戦には十分に期待できる。ネックとなるのは住宅市場であろう。全体として低水準が継続しており前回より悪化した地区も見られ、シカゴ地区においては在庫が膨らみ苦しんでいる様子である。2011年も住宅市場では強弱入り混じった斑模様が続く見通しであるから、住宅販売件数などの住宅指標も今後当面は横ばい状態が続くであろう。

 3日には注目の「11月の雇用統計」が発表され、非農業部門雇用者数はコンセンサスでは前月比13万人増となる予想であったが、その数字を大幅に下回り労働市場の改善基調は維持したものの同3万9000人増と大きく下ぶれた結果となった。さらに完全失業率も新規失業保険申請件数の減少傾向から雇用環境が回復に向かう雰囲気が漂い始め、求職者数が増加することによって前月の9.6%から9.8%へと悪化した。非農業部門雇用者数については10月分が2万1000人の上方修正した結果、前月は同17万2000人増となり増加幅を拡大させた。これで10月、11月の2カ月間で非農業部門雇用者数は21万1000人増加しており、10月単月の大幅な増加から11月は反動として企業が採用を抑制した可能性も考えられることから11月の回復基調の鈍化は一時的であるとみられる。 


完全失業率、非農業部門雇用者数前月比増減幅の推移
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今週発表 … 法人企業景気予測調査の“貴社の景況判断BSI”には注目

 今週は国内で7日に「10月の景気動向指数(速報値)」、8日に「10月の機械受注統計」、「11月の景気ウォッチャー調査」、9日に「7~9月のGDP成長率(第二次速報)」、10日に「10~12月の法人企業景気予測調査」が発表される。海外で発表される主な経済指標は米国で10日に「12月のミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)」である。コンセンサスでは景気動向調査の先行CIが前月比1.4ポイント下落、一致CIが1.3ポイント下落、機械受注の船舶・電力除く民需の受注額が前月比1.0%減、GDP成長率が前期比年率換算で4.1%増となっている。GDP成長率の第二次速報については先週発表された法人企業統計において7~9月の設備投資額が季節調整値で前期比1.9%増となり、GDPにおける民間企業設備投資は先月発表の第一次速報では前期比1.4%増となっていたことから、第二次速報段階でも大きなブレはなさそうだ。また、10日発表の法人企業景気予測調査では、7~9月分の発表時に大企業全産業の“貴社の景況判断BSI”の10~12月見通しが9.3から0.1へと大きく下方修正されたことから、今回の現状判断にはぜひ注目したい。



今月の主な決算発表予定


今週の主な決算発表予定
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