マーケットレポート

マーケットの視点

世界株市場総じて好調に終える中、日本株は“往って来い”だが、新年相場に期待高まり年末年始は強気スタンスで

・ 2010年末の世界株市場は好調なうちに幕を閉じようとしている。先週は、米国3市場、欧州でも英・独市場、そして韓国市場が引き続き年初来高値を更新、中でも独DAXは12週間連続での更新で08年5月以来の7000ポイント台を固め、英ETSE100は5日連続更新で08年5月以来の6000ポイント台乗せを達成している。欧州委員会の予測によると2010年のドイツ経済は実質GDP3.7%増と東西ドイツ統一以来の最高の成長率となり11年も2.2%増と好調を維持、欧州最大の製造国であり、ユーロ安メリットを大きく享受している。とりわけ自動車産業が元気であり、ドイツの自動車業界は高級ブランドのダイムラー・ベンツ、BMW、そしてVWが中国で先行したこと、ブラジルを中心に南米での展開力が新興国高成長の恩恵を受け好調、18年に世界販売1000万台の達成で世界トップに躍進する計画を打ち出すなど、気炎を上げている。英国株市場は、資源株のウエイトが比較的高く、足下の資源価格の高騰を反映している。また、米国株市場で目立った動きは、年末商戦などで宝飾、ブランド類など高級品の販売が引き続き “カネ余り”の恩恵と株高を映して好調であり、これを受けての好調な株価推移となっていることだ。一方、先週の日経平均株価は、さすがに7週連続の上昇を続けたこともあり、それを主導した外人投資家がクリスマス休暇に入ったことで一休み、8週ぶりに前週末比“24.64円安”の「1万279円19銭」で引けた。象徴的なのは、24日の一日の変動幅“26.83円”で、これは1986年2月10日の“20.35円”以来の小幅さという珍記録が生まれたことだ。

・ 年末最後の1週間も好調なままに終わりそうだ。日米とも年末数日間が上昇トレンドで終わる確率は7割以上となっている。日経平均株価は、09年末の「1万546円44銭」まであと“267.25円”と迫っており、充分に昨年末株価を上回って終える可能性はあり得る。2010年を振り返ると、高値「1万1339円30銭」(4/5)まで7.5%の上昇、そこから安値「8824円06銭」(8/31)まで22.2%の下落、その安値から先週の高値「1万370円53銭」(12/21)まで17.5%の上昇、という1年であった。一方、先週末までの海外株市場は、NYダウが11.0%上昇、NASDAQ:17.5%上昇、S&P500:12.7%上昇、独DAX18.5%上昇、英FTSE100:11.0%上昇、韓国総合20.6%、印SENSEX:14.9%上昇と、香港ハンセン4.4%上昇と仏CAC:0.9%下落はほぼ横ばい、上海総合13.5%下落以外は世界の主要株式市場は軒並み好調な1年間であったと言える。NYダウは恐らく2010年末まで堅調な推移を辿ると予想され、09年の上昇率18.8%に続き2年連続の二桁上昇となれば、00年以降では初めてのこととなり、95~99年の5年連続二桁上昇以来の連続記録となる。一方、日経平均株価も09年は19.0%上昇とNYダウと同程度の上昇率だったが、10年は先週末までで2.4%下落と明暗を分けた格好となっている。

・ この違いは、円高に尽きる。実際の円高ダメージはほとんど意識されないほどであったが、“円高イリュージョン”が日本株を圧した1年であり、このため、日本企業において『新興国需要』や『新技術需要』など注目すべきテーマが豊富に存在していたにも係らずに、ほとんど株価に好影響を与えることがなかったと言える。11年は、これらの注目テーマの仕切り直し相場の展開を予想する。先週までに出揃った米金融機関のS&P500の11年見通しは1400~1450ポイントと先週末の1256ポイントに対して15%前後の上昇を予測しており、3年連続二桁上昇となる明るい展望だ。その最大の背景は「企業収益の拡大」としている。この事情は日本も同じで、日本の11年度企業収益は“3年連続2桁増益”が確実だろう。26日の日経朝刊に恒例の「社長100人アンケート」の結果が掲載されている。前回の10月アンケートに対して、企業マインドは底を脱した明るい内容となっており、新年11年のスタートダッシュ相場への期待が高まる。具体的には、「二番底」懸念が49.6%→31.5%へと後退し、回避出来る理由が「新興国経済の堅調さ」69.2%、「円高の一服感」40.4%、11年度損益見通しが10年度比で「大幅改善」6.3%、「やや改善」42.6%と合計48.9%。損益改善の理由は「海外需要の拡大」78.6%、「国内需要の拡大」30.0%となっている。新興国需要、米国年末商戦の好調を反映して夏場以降のエレクトロニクス関連の在庫、生産調整が急速に進んだ模様で、例えば、過剰在庫感の緩和で液晶パネルの価格下落テンポが鈍くなってきているというニュース(日経朝刊12/22、24面)、日本電気硝子によると10~12月の液晶テレビ販売が回復に転じ10月に入って台湾の液晶パネルメーカーが生産調整を解除しているという。これらの好転の動きは、日本株市場の先行指標ともなる、例えば電子部品受注に反映されてくることになり、11年早々にも日本株市場を押し上げる要因として大いに期待されよう。10年末・11年初めにかけて強気なスタンスでマーケットに臨みたいところだ。


先週のマーケットの動き


各国マーケットの動き
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今週の主要スケジュール

今週のスケジュール
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◆内外経済指標より

先週発表 … 日銀金融政策決定会合において、改めて包括的緩和の時間軸政策を強調

 先週は国内で22日に「11月の貿易統計」、海外では米国で22日に「7~9月のGDP成長率(確報値)」、「11月の中古住宅販売件数」、23日に「11月の個人所得・消費支出」、「11月の耐久財受注」、「12月のミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)」、「11月の新築住宅販売件数」が発表された。経済指標以外では20~21日に日銀金融政策決定会合が開催された。米国ではミシガン大学消費者信頼感指数が堅調に推移していることからもわかるように、米国経済に楽観的な雰囲気が浸透してきており、他の経済指標にも光明が見え始めた印象を受けた。

 国内では22日に、「11月の貿易統計」が発表され、貿易収支は1628億円の黒字となったが、前年同月比では55%の大幅な減少となった。輸出、輸入に分けると輸出額では5兆4411億円、同9.1%増となったが、輸入額が家電の駆け込み需要によって電気機器の輸入額が同14.3%増、前月と比べても9.8%増と一時的に急増したことで総額として5兆2783億円、同14.2%増と輸出額の伸び率を上回ったことが貿易収支減少の要因となった。また、電気機器以上に輸入額の押上げ要因となったものが鉄鉱石や非鉄などの原材料であり、輸入額は前年同月比40%増となり新興国のインフラ需要による需給逼迫感と過剰流動性資金の流入によって、価格が急騰している商品市況の影響を大きく受けたと言える。しかし、新興国のインフラ需要が輸出面でも貢献し、原動機や建設機械など一般機械の輸出額は1兆1120億円、同20%増であり、10年3月からの輸出額は1兆円以上で推移し極めて好調である。これまで、為替面が円高基調で推移してきた過程の中でそのデメリットはあるものの、それを跳ね返し海外の旺盛な需要が十分にカバーしていることが分かる。従って、既に円高に歯止めがかかっており、円安基調に転じれば輸出額の急増が予想される。


輸出額、輸入額の前年同月比伸び率の推移
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 22日、23日には米国の「11月の中古住宅販売件数」、「11月の新築住宅販売件数」が発表された。中古住宅販売件数は468万戸、前月比5.6%増、新築住宅販売件数は29万戸、同5.5%増となり、両販売件数とも増加となったが、コンセンサス予想は中古住宅が471万戸、新築住宅では30万戸であり、これを下回る結果となった。中古住宅価格の中央値は17万600ドル、平均値は21万8800ドルであり、両価格とも前月比では微増、在庫月数は9.5カ月分で前月比1カ月分の減少となった。別図の通り、中古住宅販売権数は4月に住宅購入減税策が終了し7月には384万戸と400万戸を下回る状態であったが、その後450万戸水準まで改善しており、健全な状態へと回復する見通しである。一方の新築住宅は在庫月数が前月の8.8カ月分から8.2カ月分へと減少したが、サブプライムローン問題発生以前の3~4カ月分の水準と比べると依然として過剰な在庫状態が続いており、新築住宅販売件数の回復には時間がかかろう。

新築住宅、中古住宅販売件数の推移
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 20~21日には日銀金融政策決定会合が開催された。今回の会合でもっとも注目されたのは、現在の日米を中心とする長期金利の上昇に対する見解であろう。日銀の認識としては、包括緩和政策決定後に一時的に金利が低下したものの、直近では金利上昇に転じており、米国の先行きに対する悲観的見方が後退したことによって各国の金利も米国金利に追随して上昇したと述べた。一方、金利上昇による企業や家計などの資金調達コストへの影響が見られるが、この点については引き続き注視して行くとの方針を示した。今回の会合で改めて強調した点は、“中長期的な物価安定の理解に基づき、物価の安定が展望できる情勢になったと判断するまで、実質ゼロ金利政策を継続していく”ということであり、これから考えると、やはり直近の金利上昇には不安を抱いており、今後、米国金利に影響された必要以上の金利上昇に対しては何らかの対応策も予想される。


今週発表 … 日米コンセンサスともに意外な予想はなく、現状の緩やかな回復が続く見通し

 今週と来週は、国内で28日に「11月の労働力調査」、「11月の全国消費者物価指数」、「11月の鉱工業生産(速報値)」、海外では28日に「10月のS&Pケース・シラー住宅価格指数」、「12月のCB消費者信頼感指数」、30日に「12月のシカゴ購買部協会景気指数」、11年1月3日には「12月の製造業ISM指数」、5日に「12月の非製造業ISM指数」、7日に「12月の雇用統計」が発表される。コンセンサスでは完全失業率が5.1%、有効求人倍率が0.57倍、生鮮食品除く全国消費者物価指数が前年同月比0.6%減、鉱工業生産が前月比0.8%増、米国ではCB消費者信頼感指数が前月比2.2ポイント上昇、シカゴ購買部協会景気指数が前月比1.5ポイント下落、製造業ISM指数が前月比0.3ポイント上昇、非製造業ISM指数は同0.5ポイント上昇、米国の完全失業率は前月比0.1ポイント改善し9.7%、非農業部門雇用者数は前月比13万5000人増となっている。日米ともに意外な予想はなく緩やかな回復が続く見通しだ。



今月の主な決算発表予定


今週の主な決算発表予定
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