マーケットレポート

マーケットの視点

05年7月以来の「一日値幅100円未満連続記録」となったが、大相場だった05年後半にあやかり強気姿勢で臨みたい

・ 先週の日経平均株価は3日続伸して1万600円台乗せを伺う動きも見せたが、20、21日と2日続けて100円超の下げで合計“282.58円安”となり、結局、先週末は前週末比“224.52円安”の「1万274円52銭」と新年に入ってからの上昇分を全て帳消しにして終わった。理由は、19日にゴールドマン・サックスが10~12月期の純利益を23億9000万ドル、前年同期比51%減と好調な決算が続く中で水をさすような結果を発表したこと、20日に中国の10~12月期の実質GDPが前年同期比9.8%増と発表され景気の過熱感が強く、19日にブラジルが基準金利を10年7月以来、半年ぶりに0.25%引き上げ年11.25%としていたこともあり、再び中国での利上げが強く意識されたこと、など。しかし、週末の米国株市場はNYダウが上昇し「1万1871ドル84セント」と昨年来高値を更新して終え、ナスダック、S&P500も下落したとは言え昨年来高値近辺のままに位置しており、中国株も週末の上海総合指数は上昇して終えている。従って、世界株市場は崩れた訳ではなく経済、企業収益のファンダメンタル面での裏付け要因に支えられ、日本株を含め強基調にあることは変わりない。

・ 日本株市場に関して言えば、11月2日以降の急ピッチな上昇が続いた後、次の方向を見出し切れずに模索、テクニカル的な調整局面を迎えているような段階にあったところに、都合よくGS決算と中国利上げを利用した下落になったと言えそうだ。一日の値幅が100円未満という連続記録が1月4日から20日まで12日間続いたが、これは05年7月の13日以来の珍記録であり、12月1日から20日までの33営業日のうち29日間も一日値幅100円未満の日が続いた。また、騰落レシオが買われ過ぎの目安となる120%を超えた状態が12月2日から32日間続いていた。短期的に見て、この2カ月で充分に“利”が乗った水準にまで上昇した株価が多く出現しており、次に備えて一旦は現金化してもおかしくない状態にはあった。なおかつ、昨年のこの頃、インテルの好決算を契機とするようにNYダウは1月18日、日経平均株価は1月15日を頂点にして2月8、9日の“1万割れ”まで急落が続き、再び年初来高値を更新したのがNYダウは3月17日、日経平均株価は3月26日と、2カ月かかったために、今年も繰り返すので「下がって当然だ」と指摘する声が多かった。しかし、一年前はオバマ政権が発表した「新金融規制案」、国内では沖縄基地移転問題で鳩山新政権に対する期待が瓦解し始めたこと、欧州での南欧諸国の財政問題の勃発など、暗雲が垂れ込めていたが、今年は違う。世界景気は二番底懸念を払拭し踊り場脱出が見て始めており、企業はほぼ完全にリーマン・ショックから立ち直って自信を取り戻し、11年度業績も続伸かつ中長期を見据えた成長戦略を打ち出している。従って、先週末の日本株市場は過剰反応に過ぎないだろう。

・ ところで、前回の一日値幅100円未満記録となった05年は、7月まで「1万2000円」の壁を中々越えられずにジリジリしていた膠着相場が続き、その後、7月29日にコマツが業績上方修正を発表し“ストップ高”となり、アッと驚く小泉首相の“8月8日の郵政解散”で1万2000円の壁をようやく突破、“9.11衆院選”での自民党の圧勝を発射台に05年末「1万6000円」突破まで急上昇した年である。この時は年後半だけで“4527.42円、39.1%”もの上昇を達成している。従って、今回もファンダメンタル面での安心感があるだけに、きっかけ次第で大相場は充分にあり得よう。ゴールドマン・サックスが14 日に公表したグローバル・ポートフォリオ戦略で、今後1~3カ月の株式を「小幅のオーバーウエート」から「完全なオーバーウエート」に引き上げ、国別では米国と日本を推奨。メリルリンチが18 日に発表した「1月の機関投資家調査」によると、投資家の世界株に対する選好度合いが過去3年半で最も高くなり、株式をオーバーウエートしている投資家からアンダーウエートしている投資家の比率を引いた値が12月の「40%」から上昇して1月は「55%」となり、07 年7月以来の高水準となった。地域別では米国株が12月の「16%」から1月「27%」へと08 年11 月以来の水準に、日本株が12 月の「-13%」から1月には「+5%」へとプラスに転じている。また、東証が発表する投資家主体別売買動向では1月第2週分で海外投資家は11カ月連続買い越し、かつ個人が11カ月ぶりの買い越しと揃い踏み。また、日本でゴールドマン・サックス証券がアナリストを採用し日本株の調査対象数を15%増やして300社とするなど、日本株営業への注力姿勢を見せている。米国企業に続き今週から本格化する日本企業の決算も、新興国需要が牽引し米国年末商戦の盛り上がりで好調な結果となるのは間違いないだろう。先週末からの日本株下落はむしろ買い場と考える。


先週のマーケットの動き


各国マーケットの動き
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今週の主要スケジュール

今週のスケジュール
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◆内外経済指標より

先週発表 … 1月発表の地域経済報告では7地域が下方修正だが、先行きは好転する見通しを示す

 先週は国内では主要な経済指標の発表は少なく、海外に集中した。具体的には中国で20日に「10~12月のGDP成長率」を筆頭に「12月の消費者物価指数」など12月分の重要経済指標が発表され、米国では18日に「1月のNY連銀製造業景気指数」、「1月の住宅市場指数」、19日に「12月の住宅着工・許可件数」、20日に「1月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数」、「12月の中古住宅販売件数」、「12月の景気先行指標総合指数」が発表された。経済指標以外では国内で17日に地域経済報告である「さくらレポート」、21日に「1月の政府月例経済報告」が発表された。

 17日に日銀が「さくらレポート」を発表した。前回の10月発表では関東甲信越、東海、中国の3地域が回復速度の減速を理由に下方修正、北海道、東北、北陸、近畿、四国、九州・沖縄の6地域が横ばいであったが、今回の1月発表では東北、九州・沖縄を除く7地域で下方修正された。10月発表ではエコカー補助金制度終了が影響し多くの地域で下方修正が予想されたが3地域に留まった。今回の1月発表では海外での情報関連製品の在庫調整による輸出鈍化が影響し、生産の減速感が他の地域に広がったといえる。しかし、足元の景気は上向きであるとの見方もある。早川大阪支店長は「景気の踊り場脱却は、そう遠くない。薄明かりが見えつつあるというのが共通認識だ。」、前田名古屋支店長は「景気は比較的早い段階から上向いてくる。後で振り返れば、1~3月から上向いていたという可能性が高い。」と先行きの明るい見通しを示す声も聞かれる。実際にエコカー補助金制度終了の影響が直撃した東海でも外需が牽引する一般機械の生産が増加基調で自動車減産のマイナス面をカバーしており、九州・沖縄では新型車の立ち上げによって生産が上向いてきていることを考えると政策終了に伴う駆け込み需要の反動に敏感になりすぎる必要はない。

 海外では18日に「1月のNY連銀製造業景気指数」、20日に「1月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数」が発表され、NY地区の総合指数は前月比2.0ポイント上昇の11.9、フィラデルフィア地区の総合指数は同1.5ポイント下落の19.3となり、総合指数の結果は正反対となったが、新規受注などの個別指数の動向は非常に似た感じとなった。新規受注はNY地区が同10.4ポイント上昇の12.4、フィラデルフィア地区は同13.0ポイント上昇の23.6、出荷もそれぞれ同18.2ポイント上昇の25.4、同8.2ポイント上昇の13.4となり両地区とも“受注増→生産増→出荷増”となる好調さが窺える。しかし、肝心の雇用についてはフィラデルフィア地区では同13.3上昇の17.6と他の指数の上昇に追随しているが、NY地区では前月に対し11.8の急上昇となりつつも、前月の12月分では-3.4とマイナス領域であったことを考えると幾分物足りなさが感じられる。企業が慎重姿勢から抜け出し、雇用に踏み切るかどうかを来月発表の数字で確認したいところだ。


NY連銀製造業景気指数、フィラデルフィア連銀製造業景況指数、
 シカゴ購買部協会景気指数、製造業ISM指数の推移
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 20日には「12月の中古住宅販売件数」が発表されたが、結果は前月比12.3%増の528万戸とコンセンサスの490万戸を大幅に上回り、さらに住宅購入減税の効果が失われて以降、初めて500万戸の水準にまで回復した。銀行が住宅ローン残高を下回る価格での売却に合意したことにより住宅価格の中央値が前月に対し1400ドル下落したことや、QE2後に30年住宅ローン金利が4.2%台から4.8%台へと急上昇するなど住宅ローン金利が上昇傾向になったことに警戒した消費者が慌てて住宅購入に踏み切ったことが大幅増加の原因である。2011年に入り30年の住宅ローン金利は4.7%水準で安定的に推移し金利上昇への警戒感は多少和らぎつつあることや12月分の急激な増加の反動が影響することで、1月分の販売件数では前月比減少が予想される。しかし、図に示したリーマン・ショック後の販売件数の推移からわかるように、販売件数は住宅購入減税政策の効果が切れた10年7月を底とし、その後は回復傾向を辿っている。所得環境や労働市場の急激な悪化が発生しない限り、当面は緩やかな回復を続けるだろう。

米国中古住宅販売件数と伸び率の推移
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今週発表 … 投票権を持つメンバーが入れ替わったFOMCではタカ派メンバーの発言に注目

 今週の経済指標は国内では27日に「12月の貿易統計」、28日に「12月の労働力調査」、「12月の全国消費者物価指数」、海外では米国で25日に「11月のS&P ケース・シラー住宅価格指数」、「1月のCB消費者信頼感指数」、26日に「12月の新築住宅販売件数」、30日に「10~12月のGDP成長率(速報値)」が発表される。コンセンサスでは国内の完全失業率が5.1%、有効求人倍率が0.58倍、生鮮食品を除く消費者物価指数は前年同月比0.5%減、海外米国の新築住宅販売件数は前月比3.5%増の30万戸、10~12月のGDP成長率は前期比年率で3.5%増となっている。経済指標以外では国内で24~25日に金融政策決定会合、その後に続き米国で25~26日にFOMCが開催される。FOMCでは毎年投票メンバーが入れ替わり、11年の投票権を持つメンバーにはタカ派のフィラデルフィア連銀のプロッサー総裁とダラス連銀のフィッシャー総裁が含まれることから両氏の発言には注目したい。


今週の主な決算発表予定


今週の主な決算発表予定
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