マーケットレポート

マーケットの視点

世界同時株高で始まった2011年相場、依然として割安感の強い日本株市場は本格的なテーマ物色の流れなど先高期待大

・ 世界同時株高で幕開けした世界株市場は、なお、先高感を感じさせる余韻を残している。まず、年末年始に発表された米国経済指標の結果が総じて予想を上回る内容となっていることが安心感を与えている。当面の試金石であった米国の年末商戦が好調裡に終わり、ブッシュ減税の継続によって米国景気が大きく下支えされることへの期待感が高まると同時に、2012年に米大統領選挙を控え大統領選挙の前年は戦後、一度も下落したことがないことも心理的な楽観要因となり、更には大手証券等の米国株に対する強気な見方が相次いで発表されていることも支援材料となっている。その中で、とりわけ日本株市場に対しては一層の先高感を感じる。それを象徴するのは先週末7日の動きだ。日経平均株価は、既に年初来“300.84円高”と急騰し節目の1万500円を突破、その夜に米国で「12月の雇用統計」の発表を控えていることなどから反落を予想する声が多かったにも係わらず、結果的には前日比“11.28円高”と高く引けて終えたことに注目したい。

・ 2010年を振り返ると、東南アジア、韓国、ロシアなど新興国の株式市場の高騰が目立ち、10年後半は米国株市場、そして欧州でも独・英の株式市場が賑わい、日本株市場は蚊帳の外にあったが、現在でも余剰資金が続く状態に変わりないことから、更なるリターンを追及するために、依然として世界的に出遅れ感が際立つ日本株市場へと資金シフトが一層、進む可能性は高い。新興国ではインフレ対策のために利上げリスクが継続する上、米国でも現在はFRBが6000億ドルの米国債券を購入するQE2を実行中だが、その期限となる6月以後は金融政策の方向転換のリスクが浮上しかねない。実際に、海外投資家が日本株の組み入れ比率を上げ始めているとの見方が増えているとの観測も目立つ。また、リターン追求の象徴例として、米国でゴールドマン・サックスが実施したソーシャル・ネットワーク・サービス最大手「フェイスブック」の未公開株の募集に注文が殺到したことが注目される。日本株市場の中でも、新興市場である東証二部指数、日経ジャスダック平均は7日まで8連騰、つまり年末年始の2週間上げっ放しであり、11月18日以降では東証二部指数は27勝6敗、日経ジャスダック平均では29勝4敗という持続的な上昇トレンドが続いており、日本株市場への流入資金が増大すれば、ボリュームアップで東証一部市場の上昇に弾みが増すことになろう。

・ 日本株市場の好循環的な流れを示唆するのが、コマツ、三菱商、日産自、村田製作というシンボリックな銘柄が連日賑わいながら昨年来高値を更新していることだ。コマツは『新興国需要』関連、三菱商は『資源』関連、日産自は『電気自動車』関連、村田製作は『スマートフォン・タブレットPC』関連の各々、真正面の代表銘柄だ。業績面での心配はさほどなく、2011年相場において先行き本格的なテーマ物色の展開になることを象徴するような流れと言えよう。いわゆる、昨年来の『…元年』ブームの流れだが、2010年は円高昂進が掻き消す格好で霧散したテーマ物色が2011年には仕切り直しされる展開となろう。しかも、従来よくあったテーマ先行でバリュエーション無視とは違い、2010年の一年間が“一休み相場”となったお陰で、いずれの対象銘柄もPBR、予想PER、予想配当利回り等のバリュエーション面で依然として割安感が強いものが目立っている上に、10年度業績への増額修正、11年度業績の続伸が予想される状況にあることから、ファンダメンタルの観点からは申し分なくまだ買い進んで行ける状態にあると言えよう。

・ 今週以降、10日のアルコア、13日のインテルを皮切りに米国企業の10年10~12月期決算の発表が始まり、日本企業も24日のKDDI、25日の日本電産など24日の週から10年度・第3Qの決算発表が本格化する。米国企業の決算は新興国効果と米国景気回復を映して総じて堅調な内容だろうが、マーケットへの影響力が大きいインテルの見通しが劣勢との見方もある。一方、日本企業は中間期時点の見通し発表が慎重だったことで、米国年末商戦が予想以上に好調だったことなどを背景に増額修正期待が高まることが予想される。円高に歯止めがかかっていることもあり、海外株市場から日本株市場への資金シフトに流れが強まる展開を期待したい。


先々週、先週のマーケットの動き


各国マーケットの動き
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今週の主要スケジュール

今週のスケジュール
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◆内外経済指標より

先々週、先週発表 … 米国労働市場は緩やかな回復を続けるが、期待する結果には不十分

 先々週、先週は国内で28日に「11月の労働力調査」、「11月の全国消費者物価指数」、「11月の鉱工業生産」が主な指標として発表された。一方の海外では米国で28日に「12月のCB消費者信頼感指数」、30日に「12月のシカゴ購買部協会景気指数」、年が明けて3日に「12月の製造業ISM指数」、5日に「12月の非製造業ISM指数」、7日に注目の「12月の雇用統計」が発表された。経済指標以外では国内で27日に「10月28日、11月4、5日の金融政策決定会合議事要旨」、米国でも2日に「12月14日のFOMC議事録」が発表された。

 国内では28日に「11月の鉱工業生産」が発表されたが、結果は前月比1.0%増、6カ月ぶりの増加となった。10月にはエコカー補助金制度の反動で輸送機械工業が10%減の大幅減となったことが影響し、全体でも同2.0%減、リーマン・ショック後の回復過程において最大の減少となったことを考えると好印象を受ける結果ではないといえる。業種別にみると、輸送機械工業が年明けの需要増をにらみ同4.4%増、中国や韓国の液晶パネル生産による需要が好調な影響を受け液晶素子の生産量が増加したことで電子部品・デバイス工業が同3.1%増となった。また、電気機械工業、情報通信機械工業はそれぞれ同0.1%減、5.0%減となったが、エコポイント半減、対象製品絞込みによる駆け込み需要を睨みエアコン、冷蔵庫、液晶テレビは増加した。11月実績と同時に12月、1月の予測も発表したが、それぞれ同3.4%増、同3.7%増となり増加を続ける見通しである。国内主要業種を見ると輸送機械工業の12月、1月予測は同4.8%増、同7.3%増、液晶テレビが含まれる情報通信機械工業が同6.5%増、同3.7%増の予測であり、政策効果の剥落を感じさせない。さらに前月発表時の12月予測では同1.5%増であったことから、国内メーカーの控えめな姿勢は多少、和らいできたともいえる。


「鉱工業生産」~生産指数前月比伸び率の推移
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 米国では30日に「12月のシカゴ購買部協会景気指数」、3日に「12月の製造業ISM指数」が発表された。シカゴ購買部協会景気指数は前月比6.1ポイント上昇の68.6、製造業ISM指数は前月比0.4ポイント上昇の57となりこれらの指数から窺えるように米国景気の緩やかな回復は続いている。シカゴ購買部協会景気指数の内訳を見ると新規受注が73.6、同6.4ポイント上昇、生産が74.0、同2.7ポイント上昇とどちらの項目も4カ月連続の上昇、8月結果の55.0、58.6から急上昇した。一方のISM指数の内訳は新規受注が60.9、同4.3ポイント上昇となり7カ月ぶりに60台へ回復、生産が60.7、同5.7ポイント上昇となり受注が増加した結果、生産量も増加する好結果となった。ただ、シカゴ地区も米国全体の景況感を示すISM指数も雇用項目はそれぞれ60.2、55.7と生産などの他の項目に比べ回復が遅れており、企業側も採用に慎重な姿勢が続いていると考えられる。

NY連銀製造業景気指数、フィラデルフィア連銀製造業景況指数、
 シカゴ購買部協会景気指数、製造業ISM指数の推移
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 7日には「12月の雇用統計」が発表され、完全失業率はコンセンサスの9.7%に対し9.4%となり大幅に改善、非農業部門雇用者数は前月比10万3000人増、コンセンサスでは同16万人増加であったことより、完全失業率とは反対に予想を大幅に下回る結果となった。完全失業率では就業者数が同29万7000人増加したが、労働力人口が同26万人減少したことで予想以上に改善した結果となり、1月分では12月の反動で悪化が予想される。非農業部門雇用者数の内訳は政府部門が同1万人減、民間部門が同11万3000人増。民間部門の内訳はサービス業が同11万5000人増となり3カ月連続の増加、製造業が同1万人増で5カ月ぶりに増加に転じたが期待ほどではなく小幅に終わった。シカゴ購買部協会景気指数や製造業のISM指数が示すように雇用統計においても企業側の慎重な姿勢が見て取れる。総括として雇用者数は回復基調にあるがその回復力は依然として弱く、デフレ懸念を緩和させる景気回復には不十分であり、現状が続くようだと6月を期限とするFRBの金融緩和策の延長や拡大も予想される。


完全失業率、非農業部門雇用者数増減幅の推移
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今週発表 … 今週発表の経済指標は景気回復基調を維持する予想、イベントでは北米自動車ショーに注目

 今週は国内で11日に「11月の景気動向指数(速報値)」、12日に「12月の景気ウォッチャー調査」、13日に「11月の機械受注統計」、海外では米国で14日に「12月の小売売上高」、「12月の消費者物価指数」、「12月の鉱工業生産・設備稼働率」、「1月のミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)」が発表される。コンセンサスは景気動向指数の先行CIは前月比3.3ポイント上昇、一致CIは同1.4ポイント上昇し5カ月ぶりに両景気指数が揃って増加、機械受注統計の船舶・電力除く民需は前月比1.8%増加、米国の小売売上高は前月比0.8%増、消費者物価指数の食品・エネルギー除くコア指数は前月比0.1%増、鉱工業生産は前月比0.4%増、設備稼働率は75.5%、ミシガン大学消費者信頼感指数は前月比0.9ポイント上昇の75.4である。経済指標以外では12日に米国でベージュブックが発表、イベントでは10~23日に米デトロイトで北米国際自動車ショーが開催される。


今週の主な決算発表予定


今週の主な決算発表予定
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