マーケットレポート

マーケットの視点

今回の米日の好調な決算発表はマーケット押し上げ期待と予想、先週発表の「工作機械受注実績、11年見通し」に注目

・ 先週より米国企業の決算発表が始まり、中でも13日に発表されたインテルの10年10~12月期決算はパソコン需要の足踏みや同社がスマートフォン、タブレット端末向けに弱いという懸念を吹き飛ばす好調な内容だった。具体的には、前年同期比8%増収、純利益が同48%増益、粗利益率が67.5%と前期比1.6ポイントアップ、前年同期比2.8ポイントアップと10年4~6月期の67.2%を上回り、全ての数値が過去最高を記録した。製品関連売上高は確かにパソコン関連が同4%増と伸び悩んだが、サーバー関連が同25%増と大きく伸び始めている。スマートフォンやタブレット端末の普及急拡大はインターネット接続が爆発的に拡大していることに繋がっており、更に、クラウドコンピューティングが本格的な離陸期を迎えていることも加わり、世界的にサーバー需要が大幅に押し上げられていることの表れだ。インテルにとって、パソコン向けMPUにとって代わりサーバー向けMPUが成長牽引役となっており、個人向けと違い企業向け製品に向けたMPUは好採算でもあり、粗利益率向上をもたらす好都合ともなっている。出遅れているスマートフォン、タブレット端末向けの新製品を投入することもあり、11年見通しも強気のコメントを発表、現実に11年業績も引き続き好調が続こう。

・ 米国企業の決算発表は、18日にアップル、IBM、シティグループ、19日にゴールドマン・サックス、21日にバンク・オブ・アメリカ、GEなどと続く。いずれも、先週のインテル同様、足下の実績は好調な結果、11年も堅調ないしは好調持続の見通しを発表することになりそうだ。インテルが決算発表する直前には、昨年が事前予想を上回る決算発表が転機となって株式市場が下落に転じたことが続いたので、今回もそうなるとの指摘が多かった。しかし、今回は昨年とはマーケット環境が違う。昨年は、世界経済の二番底リスクが存在し続け、欧州の金融・財政問題が常に横たわっていたため、上値を追い続けるには先行き不安が強く、インテルを起点とする米国企業の好決算発表が“材料出尽くし”とこじつけられて“利益確定売り”が繰り返されたのが実態だろう。しかし、足下は、新興国経済は高成長持続、米国経済は依然としてもたつきはあるもののゼロ金利策・金融緩和策、ブッシュ減税の継続などの下支えや新興国需要の寄与で確実に回復途上にあり、世界経済の二番底リスクは払拭され、欧州の財政問題に関しても、先週、ポルトガル、スペイン、イタリアが相次ぎ国債入札で成功を収め、かつ需要が旺盛だったことで安心感が広がっている。更に、日本政府がアイルランドのために欧州金融安定基金が発行する「欧州金融安定化債」を1000億円規模購入することを打ち出したこと、中国政府が今回、ポルトガル国債を10億ユーロ購入したらしいと伝えられていること、なども欧州財政不安を和らげる要因となっている。年末年始に強気な新年相場見通しが相次いだ後でもあり、先週来の米国企業の好決算、そして24日の週から本格化する日本企業の好決算は、今回は株式市場の上値を追う展開を後押しすることになるのではないだろうか。

・ 先週発表された日本の経済指標も株式市場に対して強気になっても不思議はない好調な数字が続いた。11日発表の「11月の景気動向指数」、12日発表の「12月の景気ウォッチャー調査」だ。前者は先行指数が5カ月ぶり、一致指数が3カ月ぶりに上向きに転じ、後者は『内外経済指標より』で詳細をご覧の通り、現状判断、先行きとも2カ月連続で上昇、11地域のうち現状判断は8地域、先行きは11地域がプラス判定、内閣府は景気の基調判断を9カ月ぶりに上方修正している。経験則上、この2指標の好転は明らかにマーケットに強気になれるシグナルだ。もちろん、大きなポイントは引き続き為替動向だが、米国の堅調ぶり、欧州の財政不安払拭を背景とすれば、少なくとも円高に歯止めがかかった状態が当面は続くことになろう。

・ 13日に日本工作機械工業会が発表した「工作機械受注額の2010年実績と11年見通し」に注目したい。10年は9783億円、前年比2.4倍増とV字回復、11年は1兆1000億円、同12.4%増と3年ぶりに1兆円の大台を回復する。国内も回復しているが、圧倒的に中国、東南アジアを中心に海外受注が急拡大している。過去最高の07年と比較して内需は42.3%水準に止まっているが、外需が77.7%水準にまで回復していることで全体が61.5%水準にまで回復している。同工業会の発表する見通しは、増勢に転じると上方修正される傾向にある。新興国では電機、自動車分野を中心に猛烈な増産ラッシュにあり、しかも、今後は製品の高性能・高機能を追及するため高度な日本製工作機械のニーズが高まりそうであり、工作機械メーカーの業績が様変わりとなることが期待されよう。


先週のマーケットの動き


各国マーケットの動き
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今週の主要スケジュール

今週のスケジュール
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◆内外経済指標より

先週発表 … 景気ウォッチャー調査では現状、先行きDIが上昇、国内消費は回復に向かう見通し

 先週、国内で11日に「11月の景気動向指数(速報値)」、12日に「12月の景気ウォッチャー調査」、13日には「11月の機械受注統計」、海外では米国で13日に「12月の卸売物価指数」、14日に「12月の消費者物価指数」、「12月の小売売上高」、「12月の鉱工業生産・設備稼働率」、「1月のミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)」が発表された。経済指標以外では米国で25~26日に開催されるFOMCの準備段階としてのベージュブックが発表された。

 12日に発表された「12月の景気ウォッチャー調査」の結果は、現状判断DIが前月比1.5ポイント上昇の「45.1」、先行き判断DIは同2.5ポイント上昇の「43.9」となりどちらも2カ月連続の上昇、さらに内閣府の基調判断も前月の「景気は、これまで緩やかに持ち直してきたが、このところ弱い動きがみられる」から「景気は、このところ持ち直しの動きがみられる」へと9カ月ぶりに上方修正された。現状判断の内訳は家計動向関連DIが同2.1ポイント上昇、企業動向関連DIが同0.6ポイント上昇、雇用関連DIが同0.1ポイント下落であり、家計動向が現状判断上昇の主要因となった。家電量販店は12月から発行エコポイントが縮小したことが影響し、予想通り、前月に対し46.2ポイントの大幅な下落となったが、コンビニエンスストアの同11.9ポイント上昇、乗用車・自動車備品販売店の同7.1ポイント上昇がカバーした。なかでもコンビニエンスストアはたばこ値上げ前の9月の駆け込み需要の反動で10月分は同24.8ポイント下落となったが、11月分、12月分はそれぞれ同12.4ポイント上昇、11.9ポイント上昇となり10月分の下落幅をほぼフルに回復させている。一方、先行き判断DIの内訳は、家計動向関連DIが同2.3ポイント上昇、企業動向関連DIが同3.5ポイント上昇、雇用関連DIが同1.6ポイント上昇となった。企業動向関連DIは5カ月ぶりに「43.4」となり5カ月ぶりに40台へ回復しており、判断理由は“販売価格では依然として厳しいが、受注数量は増加傾向”といった好転を示す内容の声が多くなったと感じられる。12月は年末の一時的な需要増加が考えられ、来月発表の1月分ではその効果はなくなると予想されるが、消費は緩やかな回復傾向を辿るという方向性に変わりはなく、上昇トレンドが続くと予想する。


「景気ウォッチャー調査」~現状判断DI、先行き判断DIの推移
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 13日には「11月の機械受注統計」が発表されたが、船舶・電力除く民需の結果は前月比3.0%減、3カ月連続の減少となった。ブレの大きな機械受注統計においての3カ月続落だが、そう悲観する必要はない。船舶・電力除く民需からさらに変動幅の大きな携帯電話を除いた数字では11月分は0.6%増、12月分は0.8%増となり、企業の設備投資が再び下降トレンドに入ったとは考えにくい。実際に、12月15日に発表された「12月調査の日銀短観」の大企業製造業の設備投資額では10年度の通期計画が前年度比2.9%増であり、9月調査の4.0%増から下方修正されたが、これは10年度上期の設備投資額が9月調査の前年同期比4.1%増の計画から、12月調査の実額では同9.3%減と大きく下ぶれたことが原因であり、逆に10年度下期の設備投資額は3.8%増→14.7%増と大きく上方修正されている。日銀短観の調査時点が12月であったことを踏まえると、過去の結果である10、11月の数字に捉われず、来月以降の結果を確認したいところだ。

「機械受注統計」~船舶・電力除く民需の推移
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 米国では13日に「12月の卸売物価指数」、14日に「12月の消費者物価指数」が発表された。卸売物価指数は前月比1.1%増、食品・エネルギー除くコア指数では同0.2%増、消費者物価指数は同0.5%増、食品・エネルギー除くコア指数は同0.1%増となり、卸売物価指数では10年1月以来、11カ月ぶりの1%を超え、消費者物価指数では09年6月の同0.7%増以来、1年6カ月ぶりに0.5%以上の増加率となった。しかし、どちらの指数もコア指数ではそれぞれ0.2%増、0.1%増の微増にとどまり、原油価格の上昇に影響されたエネルギー価格の上昇が総合指数を押し上げる結果となっている。卸売物価指数のエネルギーは同3.7%増、ガソリンは6.4%増、消費者物価指数のエネルギーは同4.6%増、ガソリンは同8.5%増となりエネルギー関連面の物価が大きく増加していることがわかる。今後は物流費などのコストアップにも波及し企業側も販売価格に転嫁することで物価指数全体が上昇してくるであろうが、あくまでも外部環境が要因となるインフレ傾向であり労働市場の現状が失業率9%以上で高止まりしていることを考えると、もうしばらくは様子を見続ける必要があろう。


米国消費者物価指数、卸売物価指数伸び率の推移
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今週発表 … 米国では1月の景況感を表す指標が発表される1週間、現状の景気動向を再確認

 今週の経済指標は海外に集中する。米国で18日に「1月のNY連銀製造業景気指数」、「1月の住宅市場指数」、19日に「12月の住宅着工・許可件数」、20日に「1月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数」、「12月の中古住宅販売件数」、中国では20日にGDPなどの重要な経済指標が発表される。コンセンサスではNY連銀製造業景気指数が前月比1.4ポイント上昇、住宅市場指数は前月比1ポイント上昇、住宅着工件数は前月比0.9%減、建設許可件数は同2.0%増、フィラデルフィア連銀製造業景況指数は前月比2.3ポイント減、中古住宅販売件数は4.6%減となっている。経済指標以外では、国内で17日に「1月のさくらレポート」、21日に「1月の月例経済報告」が発表される。米国では1月の景況感を表す指標が発表される週であり、昨年末からの明るい見通しが継続するかを確認する週になるといえる。


今週の主な決算発表予定


今週の主な決算発表予定
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