マーケットレポート

マーケットの視点

力強い米国株市場は先高感強く、好決算多い日本も新日鉄・住金合併の好ニュースで抜け出し1万1000円突破を予想

・ 先週の世界株市場は、米国株市場の力強さに先導されてエジプト騒乱という中東周辺異変を物ともしない好調な上昇トレンドを実現した。先週のNYダウは5連騰、ナスダック、S&P500も水曜日に小幅安となった以外は4日間上昇となり、NYダウは1~4日まで4日連続で昨年来高値を更新、ナスダック、S&P500も週末には昨年来高値を更新して引けた。とりわけ、NYダウは、28日の“エジプト・ショック安”を31、1日の2日間でリカバーし1日終値は「1万2040ドル16セント」と08年6月19日「1万2063ドル9セント」以来、2年7カ月ぶりに待望の1万2000ドル突破を実現、節目を突破してもその後3日続騰し週末には「1万2092ドル15セント」で引けている。株価好調の背景は、勿論、10~12月期決算が予想を上回る好決算が続出していることと好調な経済指標の発表が相次いでいることだが、単純にそれだけではないことに注目するべきだ。確かに、米国企業の10~12月期決算は先週末4日時点でS&P500社のうち308社が決算を発表しそのうち72%が市場予想を上回っている。しかし、7割程度が市場予想を上回るこの状況は10年度決算では7~9月期まで同様であったが、前四半期までは好調な結果が出た直後に株式市場が大きく調整するという違和感を繰り返してきたが、今回は違う。この点は、今回の決算シーズンが始まった直後の1月17日の「マーケットの視点」で予想した通りの展開となっている。すなわち、今回は前四半期までの時とマーケット環境が違い、先高感を意識した“強気の姿勢”で臨むべきだと言うことだ。

・ また、これまでと同様に好調な決算、経済指標であるとしても、その“質の違い”を認識するべきだ。例えば、決算では米物流大手UPSが1日に発表した10~12月期決算は、純利益が前年同期比47.8%増の11億1900万ドルと絶好調そのもの。注目すべきは、売上高が同8.4%増の134億2100万ドルとなったが、米国内配送事業が7.0%増、海外配送事業が9.2%増である点で、新興国経済の好調と同時に米国内の景気回復が貢献するようになっていることだ。更に、11年通期EPS見通しを4.12~4.35ドルとしたが、これはリーマン・ショック前のピークである07年を早くも上回る水準である。また、先週の経済指標では「1月のISM総合景況感指数」で、1日発表の製造業が「60.8」と6ヵ月連続で上昇し04年5月「61.4」以来の高い水準、3日発表の非製造業も「59.4」と5ヵ月連続で上昇し05年8月以来の高水準となった。すなわち、過去6年前後の中での最高水準に達してきており、あたかもリーマン・ショックの後遺症を脱したかのような数字となってきている。しかも、製造業指数の中の項目で「新規受注」が前月比5.8ポイントも上昇して「67.8」となっており、先行きも好調が続くことを示唆する内容になっている点に注目したい。

・ 日本株市場も、第3四半期決算と米国株の好調に支えられ、日経平均株価1万円割れとなりそうな前々週末の嫌なムードを断ち切り、先週末は前週末比“183.18円高”と2週連続の上昇で「1万543円52銭」と1月19日「1万557円10銭」以来の1万500円台乗せで引けた。決算発表の内容に関しては、11年度に向けて業績に自信を深めている企業が多く、決算発表で売られるような企業は内容吟味の上で要注意だ。機関投資家の中にはコンセンサス予想通りや足下が良くても通期見通しを変えない企業を、まるでプログラム売買のように“即売り”するようなところがあるらしい。内容を確認しないで売却することは確かに短期的には成功する可能性は高いだろうが、その会社の実力がマーケットに評価されることによって、大幅な買い直しに転じることは多い。例えば、先々週のキヤノン、先週のソニーなど。下方修正をしたことで決算発表後に売られていた新日鉄は3日に住友金属との合併を発表しことで4日は“26円、9.1%”上昇と急騰した。元々世界トップだった鉄鋼メーカーが世界第2位に浮上するという表現には疑問はあるが、日本企業を見直す大きなきっかけになるだろう。なお、新日鉄の決算説明会は、下方修正をしたにも係わらず悲観的な印象は全くなかった。まずは、日経平均株価が2月での1万1000円突破に向けての上昇トレンドを作る好ニュースだと判断している。


先週のマーケットの動き


各国マーケットの動き
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今週の主要スケジュール

今週のスケジュール
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◆内外経済指標より

先週発表 … 国内の「鉱工業生産」の基調判断を上方修正、米国のISM総合景況感指数も久々の高水準に

 先週は国内で31日に「12月の鉱工業生産」、「12月の新設住宅着工戸数」、海外では米国で31日に「12月の個人所得・消費支出」、「1月のシカゴ購買部協会景気指数」、1日に「1月の製造業ISM指数」、3日に「1月の非製造業ISM指数」、4日に「1月の雇用統計」が発表された。注目の米国雇用統計だが発表数字を見ると、完全失業率は大幅に改善、雇用者数は前月比で増加したが予想を下回る結果になった。

 国内では31日に「12月の鉱工業生産」が発表された。結果は前月比3.1%増、2カ月連続で増加となり、基調判断も前月の「弱含みで推移している」から「持ち直しの動きがみられる」へと09年4月以来、1年8カ月ぶりに上方修正された。しかし、今回の上方修正は前回の上方修正とは状況が異なる。09年4月はエコカー補助金制度の実施で同4.5%増と急激に上昇し政策に影響された面が強かったが、今回は補助金制度が終了した状況であり、内需の盛り上がりには欠けるが、外需が好調で全体を牽引した。このことは3日に発表された出荷内訳をみても明らかである。鉱工業出荷は同1.1%増だが、国内出荷は同1.0%減、輸出は同8.1%増となっている。業種別に輸出の出荷指数を見ると電気機械工業が同8.9%増、情報通信機械工業が同14%増、電子部品・デバイス工業が同16%増、輸送機械工業が同13%増とスマートフォンや自動車関連の輸出が伸び生産指数の増加にも繋がった。先行きは1月が同5.7%増、2月は1.2%減。2月は1月の反動や中国の旧正月が終わることで減少が見込まれているが、政策効果が薄らぐ中での自立的回復が感じられ、外需牽引とはいえ先行きは明るいといえる。


「鉱工業生産」~生産指数前月比伸び率の推移
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 一方、米国では31日にシカゴ購買部協会景気指数、1日に製造業のISM景況感指数が発表された。シカゴ購買部協会のPMI指数は前月比2.0ポイント上昇の68.8、製造業のISM景況感指数は前月比2.3ポイント上昇の60.8となり、シカゴ地区のPMI指数は88年7月の71.5以来の高水準、ISM総合景況感指数は04年5月の61.4以来の高水準となった。シカゴ地区の指数内訳では新規受注が同4.4ポイント上昇の75.7、生産は同1.5ポイント上昇の73.7、雇用は同5.7ポイント上昇の64.1、製造業のISM指数内訳では新規受注が同5.8ポイント上昇の67.8、生産が同0.5ポイント上昇の63.5、雇用が同2.8ポイント上昇の61.7と特別な項目に偏った上昇ではなく全体的にもバランスの取れた非常に強い上昇となっている。上昇要因の大部分はドル安によって外需の増大が押し上げている格好ではあるが、新規受注や生産に追随するように雇用指数も上昇傾向であるため、今後は所得上昇にも波及し米国内需の下支えになるであろう。

NY連銀製造業景気指数、フィラデルフィア連銀製造業景況指数、
 シカゴ購買部協会景気指数、製造業ISM指数の推移
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 4日には注目の「1月の雇用統計」が発表された。コンセンサスでは前月の完全失業率大幅改善の反動を予想して完全失業率が9.5%、非農業部門雇用者数は前月比15万人増だったが、結果は予想とまったく異なり完全失業率は9.0%、非農業部門雇用者数は予想を大きく下回り前月比3万6000人増となった。完全失業率については失業者が同62万2000人減少したが、同時に労働力人口が同50万4000人減少し、完全失業率が改善した理由は多くの人数が求職を諦め労働市場から撤退したからということがわかる。また、1月の悪天候が影響し一時的に労働市場から撤退したということも考えられる。非農業部門雇用者数の内訳は製造業が4万9000人増、建設業は3万2000人減、サービス業が3万2000人増、サービス業は10年8月から前月比10万人以上増加する傾向が続いており立ち直りを見せつつあったが、一時的な悪天候がサービス業の雇用者数増加傾向に水を差したともいえる。1月分はイレギュラーな要因でゆがんだ数字になっており、今月分だけで米国の雇用環境は判断できない。雇用者数の増減幅は10年11月以降、コンセンサスを下回る状態が続いているが、これで4カ月連続で増加しており緩やかではあるが雇用環境が回復していることには変わりはない。

完全失業率、非農業部門雇用者数前月比増減幅の推移
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今週発表 … 景気ウォッチャー調査に注目、上昇の持続性が焦点

 今週は国内で7日に「12月の景気動向指数(速報値)」、8日に「1月の景気ウォッチャー調査」、10日に「12月の機械受注統計」、海外では米国で10日に「1月の財政収支」、11日に「12月の貿易収支」、「2月のミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)」が発表される。コンセンサスでは景気先行指数の先行CIが前月比0.8ポイント上昇、一致CIが同0.7ポイント上昇、機械受注が同5.2%増、ミシガン大学消費者信頼感指数が前月比0.3ポイント上昇である。今週の経済指標では景気ウォッチャー調査に注目すべきであろう。リーマン・ショック後は急落したが、その後は急回復、09年11月にドバイショックの影響で下落したが、再度上昇に転じた。10年は円高基調やエコカー補助金制度の終了でまたもや下落したが、米国QE2発表によって再び上昇傾向に突入した。図に示すように山谷を繰り返しながらもブレイクイーブンポイントである50へ向かう勢いは衰えてはいない。8日発表の景気ウォッチャー調査には要注目だ。


「景気ウォッチャー調査」~現状判断DI、先行き判断DIの推移
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今週の主な決算発表予定


今週の主な決算発表予定
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