マーケットレポート

マーケットの視点

債券市場から株式市場、新興国株から先進国株への流れに変化、海外投資家の連続買い越し続く日本株は未だ評価不足

・ 先週の世界株市場は、新たな段階に入っていることを強く感じさせる展開となった。すなわち、欧米株市場は軒並み昨年来高値を更新する好調を継続、その一方で新興国株市場は急落が目立つ展開となっており、カネの流れに変化が生じている。一つは、世界的に投資家のリスク許容度が高まり、新興国で利上げが相次ぎ、欧米でも景気の踊り場脱出を確信しつつあり英国で利上げが話題になるなど先行きの利上げが視野に入り、長期金利上昇、債券市場から株式市場へとマネー回帰が巻き起こっている。更に、米国企業の決算は7割強が市場予測を上回るというは好調な内容の発表が続き、独経済はユーロ安効果の恩恵で好調に推移している。その一方で新興国経済に対し利上げによる減速懸念が台頭、株式の市場選好が新興国株から先進国株に一層、シフトしている。NYダウは1月31日から2月9日まで8連騰かつ7日連続で昨年来高値を更新、ナスダック、S&P500もほぼ同様で先週末には3市場とも昨年来高値を更新、ナスダックは07年11月6日以来の2800ポイント突破を実現している。独DAXも先週は5営業日中4日間上昇かつ昨年来高値更新、英FTSE100も8日に更新、欧州株市場の中では出遅れ気味だった仏CAC40も先々週2月1日にようやく昨年来高値を更新、先週も7、8日と更新、9日に下落したが10、11日とすかさず上昇している。一方、韓国総合は11日まで4日続落、4日間で5.0%下落、香港ハンセン、印SENSEXは10日まで3日続落、各々3.6%、3.2%の下落、台湾、東南アジア株市場も軒並み下落した。唯一の救いは上海総合指数で、中国が春節明けの8日に12月26日以来の利上げを実施、株価は8日に下落したがわずか“24.90ポイント、0.9%”の下落に止まり、春節前に1日までに5連騰、利上げ後に9、10日と2連騰している。

・ 先週の日経平均株価は1週間で“62.13円、0.6%”上昇となり先週末は「1万605円65銭」と3週連続の上昇で引けたが、3連休を控えていたこともあり8、9日と続落、かろうじて“先進国型株価上昇”の仲間入りをしてはいるが、好決算発表が続出し白川日銀総裁が7日の日本外国特派員協会の講演で国内景気回復に対する強気なコメントをしており日銀が景気判断を昨年5月以来の引き上げをする感触にありながらも、日本株市場は今一つ波に乗れないような展開となっている。8日の値幅“25.10円”は1986 年2月10 日“20.35 円”以来、約25 年ぶりの「小波記録」となるなど、あたかも膠着感が強まっているような印象だ。しかし、9日のザラ場には10年5月6日以来の1万700円突破、7~9日と3日連続で「陰線引け」したが週末でありながらも10日は4日ぶりに「陽線引け」に転換、海外投資家が2月第1週まで14週連続で買い越し、それも第1週の1189億円に対して2342億円と再び買い越し額を急増させている。海外投資家の買い越し記録は『05年6~12月の26週連続』以来の連続記録であり、この時は05年後半だけで“39%上昇”となった大相場の時だ。海外投資家の日本株買いは、日本企業の回復力、グローバル展開力、潜在成長力を充分に理解した上でのことで、ファンダメンタル予想を考慮した場合の従来株価との水準比較、バリュエーション判断では依然として割安感が根強い。先週末の欧米株市場、特に米国株市場が軒並み高く終わっており、中国は利上げでイベント通過、エジプトの混乱収束、新興国経済は利上げラッシュで減速懸念募るが今直ぐに変調を来たすわけではない、米国経済の順調な回復、などを考えれば、当面の日本株市場の上昇トレンドが続くことは間違いないだろう。まずは1万1000円の節目突破への期待がかかる。

・ 先週の決算発表の中でトヨタ、日産自の株価が対照的な動きを見せた。両社とも4~12月期好調で11.3期通期見通しを上方修正してきたがトヨタ株上昇、日産自株下落の反応、更にトヨタは米国での電子制御システム欠陥なしという調査結果を受けて強気見通しが台頭、日産自は中国利上げで失望売りのような株価展開となっている。トヨタは今回、イメージ回復効果は大きいだろうが、決算説明会での印象はそれほど良くない。すなわち、日産自、ホンダに比べて輸出を含めて国内比重が高く国内販売低迷、国内生産のコスト高が収益の重石であり、しばらくは一時的な過大な品質管理費用が続く。日産自の中国販売の快走は不変であり「電気自動車戦略」は評価不足、来期予想PERもトヨタの15倍前後に対して日産自、ホンダは11倍前後だ。トヨタの株価上昇が続くよりも日産自あるいはホンダの株価の方が勢い付くと予想する。


先週のマーケットの動き


各国マーケットの動き
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今週の主要スケジュール

今週のスケジュール
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◆内外経済指標より

先週発表 … 景気動向指数の先行CI、一致CIは過去のピーク並みの水準、国内景気は順調に回復基調

 先週発表の経済指標は、国内で7日に「12月の景気動向指数(速報値)」、8日に「1月の景気ウォッチャー調査」、10日に「12月の機械受注統計」、海外では米国で「2月のミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)」と、重要指標の発表は主に国内に集中した。

 7日に発表された「12月の景気動向指数(速報値)」は、先行CIが101.4、前月比0.8ポイント上昇、一致CIが103.1、同0.7上昇となり、11月分上昇幅の同2.9ポイント増、同1.7ポイント増と比べるとそれぞれ鈍化したものの2カ月連続で上昇した。先行CIを構成する内訳では12月からのエコポイント縮小の影響で“耐久消費財出荷指数”の寄与度が前月の+0.17→-0.30と減少し大きなマイナス要因となったが、金融緩和以降の商品市況高騰の影響から“日経商品指数”は+0.21とプラスの寄与度を維持した。なかでも“中小企業売上げ見通しD.I.”の寄与度は前月の+0.21→+0.69と大きく貢献しており先行きに対し楽観的になりつつあることがわかる。一方、一致CIの内訳ではやはりデジタル家電駆込み需要の反動から“商業販売額(小売業)”の寄与度が-0.31と構成指数のなかで最大のマイナス要因となった。しかし、鉱工業生産指数や鉱工業生産財出荷指数の寄与度はそれぞれ+0.10→+0.36、+0.30→+0.40とどちらも大きく伸び、今後も好調さを持続する模様である。また、図からわかるように12月の指数は先行CI、一致CIともにピーク並みの水準となっており、リーマン・ショック直後の急落に対する反動による上昇傾向は続いているが、国内景気が回復基調を辿っていることには変わりはない。


「景気動向指数」~先行CI、一致CIの推移
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 8日には「1月の景気ウォッチャー調査」が発表された。現状判断DIは44.3、同0.8ポイント下落で3カ月ぶりの下落となったものの、先行き判断DIは47.2、前月比3.3ポイント上昇で3カ月連続の上昇となった。現状判断DIの内訳では、企業動向関連は同0.2ポイント上昇、雇用関連は同5.6ポイント上昇であったが、家計動向関連が同2.1ポイント下落と大きく足を引っ張った。家計動向関連では発表前からエコポイント制度対象製品の絞込みによる影響はある程度予測されていたが、1月分で大きく下落した理由としては成人式以降の大雪により客足が鈍ったことや突発的な鳥インフルエンザの流行、新燃岳の噴火による火山灰の影響など一時的な要因が挙げられる。しかし、家計動向関連において現状、先行きともに節約疲れに飽き高価格帯へシフトする消費者も見られるとのコメントが見られることから、徐々に消費の増加へ向かっていくと考えられる。企業動向関連では、“引き合いが強くなってきた”、“受注量が増加してきた”など前月までと大きく変わらないコメントが頻繁に見られたが、“円高による影響は、変化していない。しかし、今期末や来期に向けた販売予測は好転してきており、景気は回復する。”との非常に明るいコメントも現れてきていることから大きな外部環境の変化がない限り、当面は上昇トレンドを維持していくであろう。来月発表の2月調査においては調査期間である2月25~28日にはエジプトの情勢不安の影響も薄れつつあり大きなマイナス要因とはなりにくいことから先行き判断DIは上昇を続け、現状判断DIは反発してくるであろう。

「景気ウォッチャー調査」~現状判断DI、先行き判断DIの推移
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 10日には「12月の機械受注統計」が発表されたが、船舶・電力除く民需は前月比1.7%増と4カ月ぶりに増加した。また、四半期ベースでは前四半期比6.9%減となり09年7~9月以来、5四半期ぶりに減少した。しかし、9月調査発表時と同時に公表された10~12月見通しでは、エコカー補助金制度の終了や12月からのエコポイント縮小の影響が予想され前四半期比9.8%減と予想されていたが、実際には予想に対し減少幅を縮小した。業種別においてもウエイトの大きい一般機械、電気機械、情報通信機械、自動車・同付属製品はそれぞれ、同8.5%増、同3.9%増、同30.3%増、同19.5%増とそろって増加しており、今後の景気回復持続性を睨んで準備していることがみてとれる。下落した業種では鉄鋼業、非鉄金属が挙げられるが、鉄鋼業、非鉄金属は装置産業ゆえに設備投資額推移においてバラつきが大きく、さらに7~9月に大型案件があったことで10~12月にはその反動が見られたといえる。12月調査の発表と同時に1~3月の見通しが発表されたが、船舶・電力除く民需は前四半期比2.7%増、製造業は同16.1%増、船舶・電力除く非製造業は同5.8%減となり、製造業はリーマン・ショック後ろでは初の1兆円越となり受注額全体を牽引する見通しである。海外投資へ徐々にシフトしつつあるなか、国内投資がどの水準まで回復するか見極めたいところだ。

「機械受注統計」~船舶・電力除く民需の推移
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今週発表 … GDP成長率の前期比年率2.1%減は織り込み済み、早くも焦点は1~3月期の回復度合い

 今週は国内で14日に「10~12月のGDP成長率(第一次速報)」、海外では米国で15日に「1月の小売売上高」、「2月のNY連銀製造業景況指数」、「2月の住宅市場指数」、16日に「1月の住宅着工許可件数」、「1月の鉱工業生産・設備稼働率」、17日に「1月の消費者物価指数」、「2月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数」、「1月の景気先行指標総合指数」、中国では15日に「1月の消費者物価指数」が発表される。コンセンサスは国内の「10~12月のGDP成長率(第一次速報)」が前期比年率2.1%減、米国の「1月の小売売上高」が前月比0.6%増、「2月のNY連銀製造業景況指数」が前月比2.6ポイント上昇、建設許可件数が前月比9.1%減、住宅着工件数が同1.4%増、「2月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数」が前月比0.9ポイント上昇である。統計指標以外では14~15日に日銀の金融政策決定会合、18~19日に仏パリで『G20財務省中央銀行総裁会議』が開催される。国内のGDP成長率はエコカー補助金制度終了やタバコ値上げの影響から個人消費が前期比0.8%減、輸出も円高や海外メーカーの在庫調整から同1.6%減と予想されている。


今週の主な決算発表予定


今週の主な決算発表予定
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