マーケットレポート

マーケットの視点

独DAX・NYダウは上昇継続で史上最高値も視野、日本株に対する目線を上に、特に業績好調の個別株は大幅見直し期待

・ 先週の日経平均株価は久々の5連騰を記録した。10年6月10日~16日の5連騰以来で、6連騰となれば09年11月30日~12月7日以来の記録となる。また、それ以上続けば09年7月14日~27日の9連騰以来の連騰記録となる。また、10年は4連騰の記録が4回あるが、この過去7回の4連騰以上の記録はいずれも直前に大幅下落し、節目の株価に達した後の底入れ的な反騰局面の時の連騰記録であった。しかも、5連騰以上の時はいずれも9000円台から1万円台を復活する上昇で、特に09年7月13日終値「9050円33銭」、同年11月27日終値「9081円52銭」と、9000円の大台割れを覚悟した直後に切り返し一気に“1万円台回復”という局面だった。これらは好・悪材料が交錯する中で「大幅下落/急反発」を繰り返すという“回復段階”特有の連騰記録。しかし、今回の連騰記録は背景が違う09年11月30日を起点とする上昇トレンドを続けながら株価水準を切り上げ、更に“1万1000円”の大台突破を窺うような連騰記録である。高値警戒、利益確定売りなど、“もう下がるだろう”と言われながらも持ち堪えて連騰を重ねているという、明らかに上値を追い続ける格好の連騰記録であり、本格的な株価上昇トレンドに入っていることを予兆させる動きだ。

・ すなわち、意識するべき高値水準の目線を切り上げるべきなのではないだろうか。大胆な言い方をすれば、1万1000円が節目と言うよりは、世界株市場のほとんどが昨年来高値の更新を続け、かつリーマン・ショック前の株価を回復し続ける中で、日経平均株価も最早、昨年高値「1万1339円30銭」(4月5日)、そしてリーマン・ショック直前の株価「1万2214円76銭」(08年9月12日)を超えた水準を意識するような段階に入って来ているのだろう。先週は、米国3市場とも後半に3日連続で、独DAXも17日の小幅安以外は、そして日本株同様に出遅れていた仏CAC40も4日連続での昨年来高値更新となっており、先進国の中では既に利上げが視野に入っている英FTSE100も再び昨年来高値に迫っている。それどころか、先週末のNYダウ「1万2391ドル25セント」は史上最高値の07年7月19日「1万4000ドル41セント」まで残り“1609.16ドル、13.0%”、独DAX「7426.81ポイント」は同じく07年7月16日「8105.69ポイント」まで残り“678.88、9.1%”の株価まで詰め寄っている。10年夏はASEAN、インドなど新興国株市場が軒並み史上最高値更新に沸いたが、米国を中心に先進国経済が順調な回復軌道に乗っていることから、この11年は米欧株市場が史上最高値にトライするような展開となる可能性は充分にあるだろう。その中で、日経平均株価は史上最高値に対しては未だに四分の一レベルの水準にあるどころか、07年当時の高値7月9日「1万8261円98銭」までも残り“7419.18円、68.4%”とはるかに遠い。確かに、日本はデフレ脱却や国家としての成長戦略の道筋が見えないこと、少子高齢化問題など先進国の中でも抱える弱点は小さくなく、ましてやこの体たらくの政治が尚更、日本株市場を圧迫しているのだろう。しかし、日本企業が描き始めている成長戦略は明確である。日本株市場は勿論、日本国がベースではあるが、買うべきは“日本国以外の収益源/成長核”を取り込んだ『日本企業』であるはずだ。先週、クレディスイス証券が日本株のウエイトを5%から20%に引き上げたという。また、毎月実施しているメリルリンチ証券のファンドマネージャー調査で、今後オーバーウエイトしたい市場で日本株は「‐4%→‐11%」と依然として不人気であり、現在の資産配分は05~07年当時は50%前後あったのが「5%→4%」と低水準に止まっている。その一方で、2月第2週(2月7~10日)まで15週連続で海外投資家の買い越しが続いている。ファンドマネージャー調査の結果で日本株選好が高まるのはむしろこれからであり、その点でも上昇余地は大きい。

・ 先週で3月決算会社の決算発表は一段落した。11.3期の経常増益率は期初34%→第ⅠQ41%→第ⅡQ46%→第ⅢQ52%と更に拡大している。今回発表後でも慎重姿勢の企業は多く、最終的には60%前後に達する公算が高いだろう。しかも、全体ではリーマン・ショック以前に対して75%水準までの回復だが、個別にはリーマン・ショック以前、すなわち過去最高水準を回復する企業が全体の三分の一程度となっており、個別株価はもっと見直されてよいだろう。象徴的なのは07年3月以来の株価を回復したソフトバンク、NTTの株価堅調、そしてトヨタの株価復活。全般的に、個別株価に対しても目線を上に上げる必要がある展開が続くと予想する。


先週のマーケットの動き


各国マーケットの動き
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今週の主要スケジュール

今週のスケジュール
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◆内外経済指標より

先週発表 … 国内10~12月GDPは住宅投資の伸びと年末の輸出増加が牽引し予想を上回る結果

 先週は国内で14日に「10~12月のGDP成長率(第一次速報)」、海外では米国で15日に「1月の小売売上高」、「2月のNY連銀製造業景気指数」、「2月の住宅市場指数」、16日に「1月の住宅着工・許可件数」、「1月の鉱工業生産・設備稼働率」、「1月の卸売物価指数」、17日に「1月の消費者物価指数」、「2月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数」が発表された。

 国内では、14日に注目の「10~12月のGDP成長率(第一次速報)」が発表され、当初は自動車やタバコの駆け込み需要の反動が大きく前期比年率2.1%減と予想されていたが、結果は同1.1%減と減少幅は予想を大きく下回った。予想と大きく異なった背景は、住宅投資と輸出である。コンセンサスでは住宅投資が前期比2.1%増、輸出が同1.6%減であったが、結果ではそれぞれ同3.0%増、同0.7%減とであった。住宅投資についてはエコポイント制度住宅版の効果も含まれるが、個人の消費意識が最近では高額商品にも手を伸ばしつつあることから上向きに転じつつあると判断でき、住宅投資にも波及して来たと考えられる。また、輸出についても貿易統計の輸出額では10年2月の前年同月比45%増から円高影響によって鈍化傾向が続いていたが、10年10月を底とした後は、11、12月と増加率は上昇している。1~3月のGDP成長率は、引き続き輸出の伸長、在庫調整が完了したことによる生産回復などで再び前期比年率プラスに転換することが期待される。更に、このところ、内閣府、経済産業省、日銀が相次いで景気見通しの基調判断を上方修正しており、11年度も堅調な伸びになる可能性は高い。


「GDP成長率」~個人消費、住宅投資、輸出の前期比年率換算伸び率の推移
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 米国では、15日に「2月のNY連銀製造業景気指数」、17日に「2月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数」が発表され、両指数ともに堅調に上昇した。なかでもフィラデルフィア地区の景況指数は前月比16.6ポイント上昇の35.9と04年1月の37.1以来の高い水準を記録した。フィラデルフィア地区の景況指数の内訳では在庫以外のすべての項目で上昇したが、出荷が同21.8ポイント上昇し35.2と特段に上昇し米国製造業の好調さが見て取れる。一方のNY地区の景気指数は前月比3.5ポイント上昇の15.4となった。内訳では新規受注や出荷はそれぞれ同0.6ポイント下落、同14.1ポイント下落となったが、受注残が同6.8ポイント上昇、入荷遅延が同6.3ポイント上昇し、現状では生産が追いついていない状態であると考えられる。NY地区では若干の鈍化気配が見えるが、より重要度の高いフィラデルフィア地区では好調さを持続していることから、米国の景気回復傾向は続いていることが再確認できたといえる。

NY連銀製造業景気指数、フィラデルフィア連銀製造業景況指数の推移
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 16日に「1月の卸売物価指数」、17日に「1月の消費者物価指数」が発表された。卸売物価指数は前月比0.8%増、食料・エネルギー除くコア指数では同0.5%増、消費者物価指数は同0.4%増、コア指数では同0.2%増となり、コア指数について卸売物価指数では08年10月の同0.8%増以来27カ月ぶり、消費者物価指数では09年10月の0.2%増以来、15カ月ぶりに大きな伸びになった。しかし、卸売物価コア指数では処方箋が同1.4%増と上昇分の約4割に寄与しており全体的に物価が上昇したとは言い難い。他にもタイヤ・チューブが同1.7%増、宝飾品が同2.1%増となり、1月の物価上昇は天然ゴム価格や貴金属価格の高騰など外部的要因に左右されている。このことは消費者物価指数から見ても同じことが言える。綿花やポリエステル市況の上昇でアパレル商品が同1.0%増、原油市況上昇の影響で交通サービスが同0.6%増となっているからである。また、卸売物価指数では原材料、中間品がそれぞれ同3.3%増、1.1%増で最終品の同0.8%増を上回る状態となっており、雇用環境の改善も遅れているなかで企業も価格転嫁に踏み込めない状態が続いていると考えられ、しばらくは様子を見る必要があろう。

消費者物価コア指数、卸売物価コア指数前月比伸び率の推移
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 16日に「1月の住宅着工・許可件数」が発表されたが、住宅着工件数は同14.6%増、建設許可件数は同10.4%減と対照的な結果となった。住宅着工件数はコンセンサスの同2.1%増を大きく上回った結果となったが、変動の大きい集合住宅が同78%増となったためであり、主力の一戸建ては同1%減であることから、先行きを楽観的に見るにはまだ早過ぎるといえる。また、建設許可件数では2011年から施行される新建築規制を控えて前月に申請を急いだ結果、12月分が同15.3%増と急増した反動が影響し1月は大幅減となった。1月は悪天候や新建築規制などの一時的な影響で、季節調整後の数字は実態を正しく反映していない可能性が非常に高い。2、3月の結果で再確認したい。

住宅着工件数、建設許可件数の推移
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今週発表 … 注目の政府月例経済報告、基調判断を2カ月連続で上方修正するか

 今週は国内で23日に「1月の貿易統計」、25日に「1月の全国消費者物価指数」、海外では米国で22日に「12月のS&Pケース・シラー住宅価格指数」、23日に「1月の中古住宅販売件数」、24日に「1月の耐久財受注」、「1月の新築住宅販売件数」、25日に「10~12月のGDP成長率(改定値)」が発表される。コンセンサスでは国内の生鮮食品除く消費者物価指数が前年同月比0.3%減、米国の中古住宅販売件数が前月比0.6%減、新築住宅販売件数が同5.8%減、GDP成長率が前期比年率3.4%増である。また、21日には「2月の政府月例経済報告」が発表される。基調判断を2カ月連続で上方修正するか、もしくは判断を据え置いたとしても生産面や輸出面などの個別項目判断の変化については注目すべきであろう。


今週の主な決算発表予定


今週の主な決算発表予定
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