マーケットレポート

マーケットの視点

中東情勢の不安定が続くが、円安反転を背景とするグローバル関連、業績回復が顕著な内需関連の両睨みで日本株堅調へ

・ 先週の日経平均株価は堅調な推移のままに1週間を終えた。ただ、3月2日の下落幅が“261.65円”と昨年の安値をつけた8月31日の“325.20円”以来の大幅な下落となったために、1週間通じては先週末株価が「1万693円66銭」と前週末比“166.90円高”の上昇にとどまった。1万1000円の大台にチャレンジしかけて、なかなか突破出来ない状態が続いている。2日の大幅下落は、今回のアラブ民主化騒乱の波が中東産油国全般に広がり、原価格の高騰が継続することで世界経済が失速するのではという懸念が再燃、リスクマネーが債券市場や金への再シフトする傾向が強まったため。実際に、1日にイランでデモ隊と治安部隊が衝突、サウジアラビアでもネット上で3月11 日を「怒りの日」としてデモ参加が呼びかけられた。1日にNYの金先物価格が4月物で「1433.4ドル」と10年12月7日の過去最高値「1432.5ドル」を上回り、原油価格も北海ブレント原油価格は120ドル/バレルに迫り、中東産ドバイ原油価格は110ドル/バレル、WTI原油先物価格も2日に102.23ドル/バレルとついに終値としては2年半ぶりに100ドル/バレルを突破し、その後も強基調のままに推移している。バーナンキFRB議長が1日の議会証言で原油高の影響を注視すると発言したことで追加緩和策終了、そして利上げへ転換が意識されたことも響き1日の米国株市場もNYダウが1万2000ドルの攻防となるほどの大幅下落となったことも影響している。

・ しかし、欧州株市場は2日も続落したものの米国株市場は反転、日経平均株価も3日“93.64円高”、4日“107.64円高”と持ち直している。3日は2日の急落に対する買い戻しの色彩が強く、4日はトリシェECB総裁が3日のECB理事会後に「4月にも利上げする可能性がある」と発言したことでユーロ急騰、昨年11月4日以来の115円/ユーロ台前半となったことでグローバル関連の株価が見直されたことを中心に2日連騰となった。更に、先週は重要な米国経済指標の発表が相次いだが、「2月のISM製造業、非製造業景況感指数」がともに予想を上回り、その水準も歴史的にも高い水準に達し、週末に発表される「2月の雇用統計」に対しても2日に発表した「地区連銀経済報告(ベージュブック)」の中で「景気は小幅なペースで拡大を続けている」との認識が示され、雇用情勢についての判断が引き上げられており改善期待が高まった。米国景気の持続的な回復に対する安心感が米国株市場の中で広がり、結果的に日本株市場をも堅調に押し上げることにもなっている。07年以来の3000円突破となったソフトバンクの株価上昇に弾みが増しており、NTTなど個人への人気が高い銘柄の株価上昇が目立つ好循環パターンとなってきた。

・ 中東情勢は依然として予断を許さない緊迫した状態が続くことになり、原油価格の神経質な動きと好調な経済指標の発表の綱引きで株式市場は不安定な状況が続く見通しだ。ただ、原油価格の高止まりが新興国のみならず欧米諸国のインフレ懸念にも火を着ける格好となり、結果的には円安への反転機運が高まることが日本株市場を支えることにもなりそうだ。ガソリン価格の上昇が米国新車販売の好調を冷やしかねないが、ホンダ、日産自、そしてトヨタと小型車の世界戦略に拍車をかけてきており、むしろ追い風となることもあろう。中でも米国市場での信頼を取り戻したトヨタが年間1000万台の世界販売を再び目指すことを打ち出しており株価上昇に弾みをつけそうだ。その一方で、ホンダ、日産自の業績回復テンポはトヨタを大きく上回っており、自動車関連株が相乗効果でマーケットを牽引することになりそうだ。更に、先日の11.3期第3四半期決算の結果によると、意外に電力・ガス、鉄道、通信、放送など典型的な内需業種の業績回復が顕著になってきていることが分かる。ソフトバンク、NTT、メガバンクなど長期低迷を続けた“内需関連銘柄”の株価が復活する動きが広がることも期待されよう。PBR水準が極端に低いままに放置されている銘柄は依然として多く存在しており、グローバル関連、内需関連の両睨みでの底上げ的なマーケット上昇が続いても不思議はない。いずれにしても中東情勢、原油価格の動きが許容範囲であれば、いよいよ待望の1万1000円突破実現が期待されそうだ。


先週のマーケットの動き


各国マーケットの動き
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今週の主要スケジュール

今週のスケジュール
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◆内外経済指標より

先週発表 … 米国のシカゴ購買部協会景気指数、製造業ISM指数は歴史的高水準

 先週は国内で28日に「1月の鉱工業生産」、1日に「1月の労働力調査」、3日に「10~12月の法人企業統計調査」、米国では28日に「2月のシカゴ購買部協会景気指数」、1日に「2月の製造業ISM指数」、3日に「2月の非製造業ISM指数」、4日に「2月の雇用統計」と日米とも重要指標の目白押しとなり、特に米国の経済指標では非常に強い結果の連発で、米国の景気回復が鮮明になってきたといえる。

 28日に「1月の鉱工業生産」が発表され、結果は前月比2.4%増と3カ月連続の増加となった。前月発表の1月見込みでは前月比5.7%増、事前のコンセンサスでは同4.0%増であったことから幾分、物足りない結果となったが、経済産業省の基調判断は「持ち直しの動きがみられる」から「生産は持ち直しの動きで推移している」へ上昇修正されたことから着実に回復しているという安心感が広まった。業種別では鉄鋼業が前月比5.7%増の1月見込みに対し結果は5.6%増、非鉄金属工業が同2.1%減の見込みに対し結果は4.4%増とポジティブな面も見られたが、一般機械工業が同10%増の見込みに対し4.6%増、輸送機械工業が同16%増の見込みに対し7.5%増と大きく下ブレしたことが予想を下回った主要因となった。なかでも情報通信機械工業は見込みでは同8.6%増であったが、結果として同9.0%減と事前の予想をひっくり返し大幅な減少となった。情報通信機械工業では携帯電話が同23%減、液晶テレビが同7.0%減となったことが主因となったが、輸出ウエイトが増大してきたアジア諸国の旧正月が一時的に影響したと考えられ、この先の生産動向については不安となる必要もなかろう。1月の生産と同時に2月、3月の生産見込みが発表されたが、2月は同0.1%増、3月は1.9%増であり、予想通りに推移すると5カ月連続の増加となり、09年3月から10年1月までの11カ月連続の増加以来、リーマン・ショック後の急回復過程を除くと06年6月から06年12月までの7カ月連続の増加以来の連続増加となり、国内製造業が本格的に回復、拡大してきたといえる。


「鉱工業生産」~生産指数前月比伸び率の推移
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 米国では28日に「2月のシカゴ購買部協会景気指数」、1日に「2月の製造業ISM指数」が発表された。シカゴ地区の景気指数は前月比2.4ポイント上昇し71.2と1988年7月の71.5以来の高水準となった。内訳では新規受注が75.9、同0.2ポイント上昇とわずかながらの上昇であったが、前月の75.7を上回り1983年12月の78.1にさらに近づいた。生産は同4.5ポイント上昇の78.2と過去一度も記録したことがなかった80を上回りそうな勢いだ。一方のISM指数でも前月比0.6ポイント上昇し61.4。これは04年5月の61.4に6年9カ月ぶりに一致し来月発表の指数で増加すると83年12月の69.9以来、約30年ぶりの高水準となる。内訳では新規受注が同0.2ポイント上昇、生産が2.8ポイント上昇し、米国製造業の好調さが伺える。注目すべきは雇用項目で、同2.8ポイント上昇の64.5となり、これは1973年1月の67.8以来、約40年ぶりの高水準。シカゴ地区の景気指数も製造業ISM指数もコンセンサスではどちらも前月比下落であったが、結果ではそのナイーブな予想を覆し上昇した。このところ米国経済指標には“~年ぶりの高水準”が多く見られ、悲観的な見方はもはや必要ない。


製造業ISM指数、シカゴ購買部協会景気指数の推移
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 4日には市場関係者すべてが注目する「2月の雇用統計」が発表されたが、ほぼ直前のコンセンサス通りとなり、期待を大きく裏切ることはなかった。完全失業率は22カ月ぶりに9%を下回り8.9%、非農業部門雇用者数は前月比19万2000人増となり直前コンセンサスの20万人増へは若干の未達となったが、十分な結果である。民間部門雇用者数は前月比22万2000人増で12カ月連続の増加、さらには10年4月の同22万9000人増以来の、10ヶ月ぶりに20万人超の増加となった。先週は2日に民間調査会社ADPが2月の民間部門雇用者数は前月比21万7000人増と発表、3日に米労働省が2月26日締めの新規失業保険申請件数が36万8000件と発表し、リーマン・ショック以前の08年5月31日締めの36万5000件以来となる低水準に落ち着いた。しかし、1月の極寒の影響によって雇用環境の回復に停滞感が生じたため、企業が2月にまとめて雇用したとも考えられ、米国労働市場はまだ予断を許さない状況が続いていると思われる。市場では毎月10万人以上の雇用者数増加を期待しており、4月1日発表の3月分で回復トレンドが続くかどうかを見極めたい。


完全失業率、非農業部門雇用者数前月比増減幅の推移
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今週発表 … 米国小売売上高で米国個人消費の動向を見極めたい

 今週は国内で7日に「1月の景気動向指数(速報値)」、8日に「2月の景気ウォッチャー調査」、9日に「1月の機械受注調査」、10日に「10~12月のGDP成長率(第二次速報)」が発表される。海外では米国で10日に「1月の貿易収支」、「2月の財政収支」、11日に「2月の小売売上高」、「3月のミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)」、中国で11日に2月の主要指数が発表される。コンセンサスでは景気動向指数の先行CIが前月比0.9ポイント上昇、一致CIが同2.5ポイント上昇、機械受注の船舶電力除く民需が前月比3.0%増、GDP成長率が前期比年率2.1%増で第一次速報に対し0.1ポイント下方修正、米国の小売売上高は前月比0.8%増、自動車除く売上高では同0.6%増、ミシガン大学消費者信頼感指数は前月比0.7ポイント下落の76.8となっている。米国の経済指標では非常に力強い展開が続いており、今週発表の小売売上高で米国内の個人消費動向を確かめたい。


今週の主な決算発表予定


今週の主な決算発表予定
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