マーケットレポート

マーケットの視点

3月決算発表の11年度見通しを固唾を飲んで見守っている膠着状態、意外な堅調見通し発表で上放れの可能性は高いと予想

・ 先週末の日経平均株価は、前週末比“176.56円安”の「9591円52銭」で終え、東日本大震災後のリバウンドが一服し4週間ぶりの下落となった。先週は、12日の前日比“164.44円安”が響いた格好だが、この日の大幅下落は、リバウンド一服で様子見姿勢が高まっていたところに、円安気味に推移していた為替が一旦、83円/米ドル台の円高に振れたこと、福島第一原発事故の深刻度を表す国際評価INES(国際原子力事象評価尺度)が従来の「レベル5」から最悪の「レベル7」に引き上げられたことなどが背景。為替の反転は、11日に米FRBのイエレン副議長が講演会で米国の金融政策について「緩和政策が引き続き妥当だと思う」と発言したことや、原発リスクの高まりで投資家のリスク回避姿勢が強まったことで円買いに向かったことが背景。海外株市場も、NYダウが12日の“117.53ドル安”を他の4日間の上昇でもカバー出来ずに1週間通じては“38.22ドル安”とやはり4週間ぶりの下落となるなど軒並み下落となった。

・ 日経平均株価は、暴落した3月14日の週の後の4週間は原発関連、為替変動、企業収益などのニュースに一喜一憂しながら、終値ベースでは9600円を挟んで高値「9768円08銭」、安値「9449円47銭」とほぼ上下150円のレンジでの膠着相場が続いている。本来であれば、被害を受けた主要企業の工場生産の再開にメドが立ち始めていることもあり復旧・復興に向けた道筋が見えることで上値回復に進むはずなのだが、依然として大勢の行方不明の方々がいること、余りにも大津波の被害が広範囲で甚大なこと、原発事故の新たな事態悪化を告げるニュースが続いたこと、サプライチェーン寸断や電力不足、消費者マインドの冷え込みが企業収益にどの程度の影響を与えるか見定めが付かないこと、などで株価の頭が押さえられる。一方、下値に関しては、ほとんどの海外株市場が大震災前の水準まで戻していることや、大震災の影響を過度に織り込み過ぎた株価も多いことで割安感を強く感じる外国人投資家の買いが4月4~8日の週で23週連続買い越しとなるなどが支えとなり終値では9400円を割り込むことなく堅調に推移している。この状態から、上値追いで1万円を突破する展開となるか、崩れて9000円割れまで再び突っ込むかの段階に差し掛かっているように見える。あたかも今週から出始める決算発表を見据えるような膠着状態だ。

・ 国内の決算発表に関しては、早い企業は21日のJFE、25日の日本電産、任天堂などで、主要企業が集中するのは27、28日以降となり、27日のTDK、日電硝子、コマツ、JR東日本、28日の新日鉄、村田製作、日東電工、パナソニック、東京エレク、デンソー、アイシン、ケーヒン、ホンダ、三菱重工あたりの12.3期見通しに対する注目度は高い。今回は、東日本大震災の影響で次期見通しを発表しない企業や、ダイキン工業など予定していた新・中期計画の発表を見送る企業も出てくるだけに不透明感は強まる。次期見通しに関して悲観的な発表が多いのではというのが一般的な従前の見方だが、意外に堅調な見通しを発表する企業が多いのではと予想する。11年度決算見通しの発表スタンスを占う手掛かりとして「小売業界」の決算発表が先週までにほぼ終了した。次期見通しは、震災被害の影響を特損計上し純利益が大幅減益となるところは多いが、本業面での大震災の影響は限定的で“増収・営業増益を確保する堅調見通し”を発表するところが意外に目立った。デフレ環境が続くことに消費者マインドの冷え込みが追い打ちをかけて“業績浮上せず”となるのではと思ったが、意外に強気な印象を持った。この傾向は3月決算の中でも現れてくる可能性が高いのではないかと予想する。とりわけ、株価下押しが強い自動車、電機を中心とするグローバル関連業種は、現時点で海外経済好調に加えて、07年央以降続いた円高に歯止めがかかることもあり、海外需要の拡大に支えられて実質的には11年度も業績回復基調が続く可能性は高い。IMFは先週11日に世界経済見通しを発表したが、東日本大震災が起こった後も「11年4.4%増、12年4.5%増」という11年1月公表見通しを据え置いた。株価は、ある程度の「厳しい11年度見通し」を織り込んでいるだけに、今回は決算発表が株価浮上のきっかけになるのではと予想する。


先週のマーケットの動き


各国マーケットの動き
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今週の主要スケジュール

今週のスケジュール
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◆内外経済指標より

先週発表 … 日銀「さくらレポート」、工作機械受注で外需の旺盛さを認識、被災地の今後の復旧に期待

 先週は震災の影響を織り込んだ地域経済報告「さくらレポート」や米国版の「ベージュブック」、ワシントンで開催された「G20、G7財務省中央銀行総裁会議」が注目された週であった。それ以外に主な経済指標としては国内で発表された「2月の機械受注統計」、海外米国の3月の輸出入物価指数」、「3月の卸売物価指数」、「3月の消費者物価指数」、中国の「3月の消費者物価指数」などが挙げられる。

 国内では11日に「2月の機械受注」が発表されたが、東日本大震災前の結果であることから今回の大震災の影響はここには出ていない。2月の船舶・電力除く民需は7488億円、前月比2.3%減となり3カ月ぶりの減少となった。内訳では製造業が3626億円、同11%増、船舶・電力除く民需が3990億円、同4.5%減と、2月までは製造業の受注は順調に回復しており、内閣府の基調判断も「機械受注は、持ち直し傾向にあるものの、非製造業で弱い動きがみられる」と前月の判断を据え置いたものの持ち直しの見方を示している。来月発表される3月分では震災の影響で大幅な落ち込みが予想されるが、その後は生産設備や物流が早期に回復すれば震災前の回復傾向が揺らぐ可能性は小さい。実際に機械受注に対しては規模が小さく集計対象も若干異なる工作機械受注の3月分の速報値をみると受注総額が1133億円、前月比0.6%増、そのうち内需は319億円、同14%減と震災の影響が見られるが、一方の外需は同7.6%増の814億円となり08年3月の779億円以来過去最高の受注額を記録し外需の牽引力は非常に力強い。機械受注の外需においても1月に08年8月以来、2年5カ月ぶりに1兆円台へ回復し、2月は1兆1161億円、同10%減と二桁の減少となったが、1兆円台をキープしており国内の供給能力が回復すれば震災前のトレンドは維持されると再度強調したい。


機械受注、工作機械受注の推移
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 11日に4月の地域経済報告「さくらレポート」が発表されたが、やはり大震災の影響から、3カ月前に比べた景気判断は近畿、四国を除く7地域で悪化したと判断された。10年10月、11年1月と海外の在庫調整で景気回復の一服や極度の円高から2四半期連続で概して悪化傾向が続いたが、11年に入り政府や日銀が景気の基調判断を上方修正したことで踊り場脱出が期待されていたが、東日本大震災の影響で引き続き4月の景気判断も悪化傾向が続くこととなったことはやむを得ない。各支店の判断理由としては、設備の棄損やサプライチェーンにおける障害や電力不足による生産面での制約によるものが多く見られ、それに伴う消費マインドの低下も理由として挙げられている。しかし、生産面では今後も資材や部品の調達難が懸念されるものの、生産低下は短期的との予想や地域によっては既に持ち直しに転じているとのコメントも見られ、中国、四国、九州地域では海外の旺盛な需要や被災地の生産代替によって高操業を続けていることから、被災地の復旧次第では次回、7月のさくらレポートで景気判断を上向きとする地域が多くなってくる可能性は高い。


全国9地域の景気の変化
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 一方、米国では景気の回復度合がより確かなものになってきている。13日に地区連銀報告「ベージュブック」が発表されたが、総括判断としては前回の「小幅なペースで拡大を続けた」から「前回報告から概して改善を続けた」へと“小幅なペース”の文言を取り除きしっかりとした足取りになってきたことが強調された。今回の景気判断の最も大きな要因となったものは製造業であろう。すべての地区で前回より生産活動が活発になってきており、例えば、ダラスでは食品、プラスチクス、建設資材が良好、リッチモンド、シカゴでは自動車・自動車部品が堅調、前回報告では工場閉鎖が相次いだセントルイスでは自動車部品や電機で増産計画に入っているとのことだ。ただ、現状最も警戒されているのがインフレ懸念であり、今回の報告でも綿花などの商品、原油関連製品、金属、さらには燃油サーチャージの加算にも及んでいる。先週は輸出入、卸売、消費者それぞれの物価指数が発表されたが、輸出入物価指数ではドル安が影響し前月比2.7%増と大幅な増加となったが、コア指数では同0.3%増、また、卸売物価指数は同0.7%増、消費者物価指数では同0.5%増、コア指数ではそれぞれ同0.3%増、同0.1%増となり食品・エネルギーなどの資源や商品の価格上昇が米国インフレ懸念の最大の要因となっているが、利上げに関しては時期尚早であり金融緩和は予定通り6月まで続くことになろう。

消費者物価コア指数、卸売物価コア指数、
 原油除く輸入物価指数前月比伸び率の推移
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今週発表 … 20日発表の貿易統計では生産低下や復興需要の影響に注目したい

 今週発表の主な経済指標は国内では「3月の消費動向調査」、「3月の貿易統計」、海外では米国の「4月の住宅市場指数」、「3月の住宅着工・許可件数」、「3月の中古住宅販売件数」、「4月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数」が挙げられる。米国住宅関連指標のコンセンサスは住宅市場指数が前月比横ばいの17、住宅着工件数が前月比9.6%増、建設許可件数が同1.1%増、中古住宅販売件数が前月比2.5%増となっているが、前月分では着工件数が同22%減、許可件数が同8.2%減、中古住宅販売件数が同9.6%減と大幅な減少であったことから予想には反動が織り込まれていると考えられ、特別に驚く予想ではない。注目すべきは国内の貿易統計で、コンセンサスの中心値では6300億円の黒字であり、予想レンジは962億円の赤字から9798億円の黒字である。ただ、今回は突発的な生産低下や復興需要が存在するため輸出額、輸入額に注意してみたい。



今週の主な決算発表予定


今週の主な決算発表予定
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