マーケットレポート

マーケットの視点

一気に晴れ渡った海外株市場、国内指標のV字回復と日本株センチメントを大きく押し上げサマーラリー到来へ

・ 海外株市場の低迷を尻目に堅調な推移を続けていた日本株市場に大きな支援要因が加わった。先週の海外株市場が、全般的にようやく5~6月の下落トレンドを脱して本格反転に向かったことだ。欧米主要株市場は独DAXが月曜日に小幅下落となったのを除けば1週間上げっ放し、新興国株市場も上海総合指数が21~28日まで6連騰と既に先々週から大幅反転上昇に転じており、印SENSEXも23~30日まで6連騰を記録、一気に世界株市場が晴れ渡ったことによる日本株市場へのセンチメント押し上げ効果は大きい。海外株市場の大幅反転の背景は、①ギリシャ問題が一定の解決方向となった、②米国経済指標の好転。今週は8日に発表される米国の「6月の雇用統計」が最大の焦点となるが、どちらに転ぶかは微妙である。しかし、仮に悪化方向の数字が発表されたとしても、極端に予想を大幅に下回る内容でない限りはマーケットへの影響は限定的なものになると予想する。今週の欧米主要株市場は、先週大幅上昇の反動もあり一進一退の動きとなりそうだが、「6月の雇用統計」の内容次第では上昇に弾みがつく可能性もあり得よう。

・ ギリシャ議会で29日に「中期財政計画法案」が定数300に対して賛成155票で可決したことでギリシャのデフォルトが回避される道が開けた。EUのユーロ圏財務相が2日に電話協議を行い、第1次金融支援策1100億ユーロの一環である第5弾融資120億ユーロ(EU分87億ユーロ、IMF分33億ユーロ)の実施を決定、更に、11~14年の第2次金融支援策に関しても11日の会合で決定する予定であり、世界的な金融不安の暗雲が払拭された。なお、新IMF専務理事として仏クリスティーヌ・ラガルド経済・財政・産業相が圧倒的勝利で選任されたことで、IMFが機能停止に陥る事態も回避されたことも大きい。また、このところ連敗が続いていた米国経済指標では30日に発表された「6月のシカゴ購買部協会景気指数」が5月の“56.6”に対して市場コンセンサス“54.0”との悪化予想に反して“61.1”と4.5ポイントの改善、1日に発表された「6月のISM製造業景況感指数」も5月“53.5”に対して市場コンセンサスは“51.8”と4カ月連続下落の予想だったのを上回り“55.3”と逆に4カ月ぶりの上昇に転じた。NYダウは年初来高値「1万2810ドル54セント」(4/29)から「1万1897ドル27セント」(6/15)と“913.27ドル”もの下落となっていたが、先週1週間で“648.19ドル”の急上昇、再び年初来高値更新を窺う株価水準まで戻した。ナスダックも同様で年初来高値「2873.54ポイント」(4/29)→「2616.48ポイント」(6/17)→「2816.03ポイント」(7/1)の推移だ。

・ 一方、今週以降の日本株市場上昇への期待は高まる。先週29日に発表された「5月の鉱工業生産」が記録的な上昇となり、今週発表の日銀の「7月の地域経済報告」、「6月の景気ウォッチャー調査」など国内景況感の“V字回復”を示す内容のものが暫くは続くことになりそうだ。この傾向は7、8月と続き、とりわけ7月末以降に発表が相次ぐ「12.3期第1Q決算」発表での上方修正期待、「6、7月の貿易収支」の改善など、海外株市場低迷という重石が取れれば、東日本大震災の発生以降に膠着展開が続いたままだった日本株市場に対して本来あるべき評価がなされることで、短期的にも本格的な出直り相場となっても不思議はない。7月1日時点の日経225ベースの予想EPSは「656.56円」、予想PERは“15.03倍”であった。センチメントを押し上げる効果によってPER上昇が期待され、仮に16~17倍程度への上昇があると考えれば、日経平均株価は「1万500円~1万1000円」程度は充分にあり得る。一気に猛暑となった気候に合わせサマーラリー相場の到来が期待される。一部に電力問題が危惧されているが、7月1日から始まった37年ぶりの「電力使用制限令」に対して独自の“サマータイム”導入や自動車業界の休日シフト、その休日シフトに電車ダイヤを合わせたり保育所を合わせたり、その柔軟かつ俊敏な対応力が素晴らしい。また、ニュースで報道される多くの“節電に対する知恵と工夫”を見ると停電懸念は全くの杞憂に終わりそうに思える。改めて、日本人の勤勉さ、真面目さ、日本企業の対応力の高さを強く感じる。今や“子供の喧嘩”のようになってしまっている政治の混乱が続いても『日本』は安泰であり、その『JAPAN』を評価するようなマーケット展開になるような気がしてならない。(中島)

先週のマーケットの動き


各国マーケットの動き
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今週の主要スケジュール

今週のスケジュール
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◆内外経済指標より

先週発表 … 日銀短観では先行き回復の見通し、11年度下期の設備投資計画は大幅に上方修正

 先週は国内で29日に「5月の鉱工業生産」、1日に「5月の労働力調査」、「5月の全国消費者物価指数」、「6月調査の日銀短観」、海外では米国で28日に「4月のS&Pケース・シラー住宅価格指数」、「6月のCB消費者信頼感指数」、30日に「6月のシカゴ購買部協会景気指数」、1日に「6月の製造業ISM指数」、「6月のミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)」、ユーロ圏では30日に「6月の消費者物価指数(速報値)」が発表され、国内では震災後の回復状況、海外では景気の現状や物価動向が焦点となった。

 29日に経済産業省から発表された「5月の鉱工業生産」は、前月比5.7%増、1953年3月の同7.9%増以来、58年2カ月ぶりの大幅な増加となった。各企業の製造拠点も復旧し供給網も整いつつあることを勘案し、市場予想では同5.5%増であったが、夏場の電力不足を懸念して前倒し生産での在庫積み増しや企業の想定以上の生産状態回復が影響し予想を上回ったといえる。5月の大幅な増加を牽引した業種は輸送機械工業で同36%増と2カ月ぶりの増加となった。また、ショベル系掘削機械が同25%増、半導体製造装置が同24%増、FPD製造装置が同65%増となり一般機械工業が同5.3%増、液晶テレビが同54%増で情報通信機械工業が同14%増と輸送機械工業以外の業種でも急回復が見られる。先行き予想では6月が同5.3%増、7月が同0.5%増と回復は続く見通しで、6月の急回復に続き7月も前月比増加を維持する見通しとなっている。7月1日以降、37年ぶりの「電力使用制限令」が発動されているが影響はほとんどないものと予想される。業種別に見ても多くの電力を必要とする輸送機械工業の6月は同20%増と2桁の増加が続き、7月も同4.0%増と増産傾向が続く見通しである。今後、8、9月も大震災の影響による3~5月の減産を挽回するために高水準な生産を続けることになると予想される。


「鉱工業生産」~生産指数、生産指数前月比伸び率の推移
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 1日には「6月調査の日銀短観」が発表され、大企業製造業の業況判断DIは前四半期比15ポイント下落の「-9」、大企業非製造業のDIは同8ポイント下落の「-5」と大幅な下落となった。しかし、前回調査の対象企業では約4分の3が震災前に回収した企業であることから前四半期との比較に関しての今回の結果はやむを得ない結果であり、むしろ先行きの見方が重要だ。その先行きだが、製造業では同11ポイント上昇で「2」、非製造業は同3ポイント上昇で「-2」と回復する見通しである。業種別では自動車が同58ポイントもの上昇で過去最高の上昇幅となる見通し。その他の業種においても電気機械が同18ポイント上昇、鉄鋼が同19ポイント上昇、非鉄金属が同23ポイント上昇と主要産業は急回復に転じる見通しである。一方、設備投資は、大企業全産業の11年度計画が前回の前年度比0.4%減から同4.2%増と上方修正され、かつ増加に転じた。上期と下期に分けると上期が前年同期比12%増、下期が同2.1%減と下期は減少する見通しだが、前回調査では下期が同9.1%減であったことから減少率は大幅に縮小されている。6月14日に発表された「4~6月の法人企業景気予測調査」においても11年度下期の大幅な上方修正があったことから、上記の2つの経済指標の調査期間に多少のズレがあったといえども、企業の今年度下期に対する考えは変わっておらず、下期の設備投資への期待はより高まったといえる。


「日銀短観」~大企業製造業、非製造業の業況判断推移
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 一方、海外では米国で1日に「6月のISM製造業景況感指数」が発表された。直近では景況感指数の悪化が続き先行きの景気回復の鈍化が不安視されていた。しかし、前日に発表した「6月のシカゴ購買部協会景気指数」が市場の悪化予想とは反対に前月比4.5ポイント上昇と改善したことに続き、ISM指数も前月比1.8ポイント上昇で4カ月ぶりの上昇、景気の停滞懸念は多少薄らぐ格好となった。ISM指数を構成する主要項目は、新規受注が同0.6ポイント上昇、生産が同0.5ポイント上昇、雇用が同1.7ポイント上昇、入荷遅延が同0.6ポイント上昇、在庫が同5.4ポイント上昇と全て上昇となり、先行きに楽観的な見通しが広がる展開となった。しかし、先行きを予想する重要なキーとなる新規受注に関して回答構成比をみると「良くなった」が前月の30%から34%、「変わらず」が54%→43%、「悪くなった」が16%→23%と「良くなった」の比率も上昇したが、「悪くなった」の比率も上昇しており予断の許さない状況が続くものの、このところ大きく後退していた米国景気回復期待が再び持ち直す可能性が出てきたとも言えよう。


ISM製造業指数の推移
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今週発表 … 米国雇用環境の回復は難しい状況、国内ではさくらレポートに注目

 今週は、国内で7日に「5月の機械受注統計」、8日に「6月の景気ウォッチャー調査」、米国では6日に「6月の非製造業ISM指数」、8日に「6月の雇用統計」が発表される。コンセンサスでは機械受注が前月比2.7%増、非製造業ISM指数が前月比1.1ポイント下落、雇用統計においては完全失業率が9.1%で前月に対し横ばい、非農業部門雇用者数は前月比8万3000人増の予想である。週次で発表される米国の新規失業保険申請件数の6月は前週比で4000件増、10000件減、9000件増、1000件減と一進一退の展開となっており、雇用環境の改善は難しい状況だ。経済指標以外では4日に「7月のさくらレポート」が発表されるが、地域別の生産状況について注意深く見ていきたい。

(浅枝)



今週の主な決算発表予定


今週の主な決算発表予定
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