マーケットレポート

マーケットの視点

日経平均株価1万円台定着、ようやく本格上昇トレンドに突入し大震災前の水準に戻り1万500円越えの展開へ

・ 先週の日経平均株価は6日まで7連騰を記録、7日も前日比“11.34円安”と小幅安に止まり、8日も米国の「7月の雇用統計」の発表が控えているにも拘わらずに“66.59円高”と週末の日経平均株価は「1万137円73銭」と3日連続して1万円台をキープして終えた。8日のザラ場高値は「1万207円91銭」と東日本大震災が起きた3月11日以来の1万200円台乗せを実現した。3週連続での週間ベースの上昇となり、3週間での上昇幅は“786.33円”に達し、ようやく日本株市場も海外株市場に追い付き本格上昇トレンドに突入したような展開となってきた。

・ 鉱工業生産、法人企業景気予測調査、日銀地域経済報告、景気ウォッチャー調査など、国内の景気動向を探る経済指標等が軒並み“急好転”を示す内容となってきている。今後は貿易収支など輸出急回復の数字も出てくる。一方、注目の米国経済指標は好悪入り混じってはいるが、どちらかと言えば好転指標が多くなってきており、一時の米国景気の回復鈍化懸念は後退している。「6月の雇用統計」が下振れたが、東日本大震災の影響での慎重姿勢が反映されたものと思われ、米FRBも“一時的な低調”と判断している。また、今週以降は米国企業、来週以降は日本企業の4~6月期決算の発表となるが、日本は大震災の影響で厳しい実績数字となるが、米国企業の4~6月期の純利益は前年同期比7%増と一桁の伸びにはなるが、7・四半期連続増益と堅調な見通しだ。実績に関してはともかく、むしろ7~9月期以降の見通しに注目したい。日本企業に関しては4~6月期の業績急落からは早くも立ち直り、下期はむしろ好調な決算となることが示されることになるだろう。米国企業に関しても、7~12月期は再び二桁増益に回帰する見通しとなっている。世界株式市場全体に、5~6月の株価低迷期を抜け出したばかりであり、このような業績好転に関するニュースには好反応するような展開になろう。

・ とりわけ、日本株市場は、日経平均株1万円台が定着し、主要な海外株市場と同様に東日本大震災前の水準にまで戻り、更には2月21日の年初来高値「1万857円53銭」を超えて行けるかどうかが焦点になる。マクロ経済指標の観点からの条件は整いつつある。企業業績に関しても、大震災の影響による陥没部分はは残ったままだが、先行きの大幅好転の方向性は明らかであり、その延長線上にある来期業績を睨めば充分に年初来高値を更新し、更なる上値追いも期待されるところだ。

・ 焦点は上値追いに向けたきっかけが何になるかだ。幾つか考えられるが、①足下で一旦はしぼみ掛けている円安期待が再び高まるかどうか、②今回の決算発表等で逆境を跳ね返し予想を大幅に上回る業績を実現する企業が出現するかどうか、③菅首相がようやく退陣し新政権の下で復興事業が本格化し、止まっていた多くの政策課題の解決に向けて日本の政治が再起動するかどうか、など。

・ いずれにしても、ドン底を抜け出した日本株市場のセンチメントは大きく好転、日経225ベースの予想PERはこれまでの15倍台から16~17倍となれば日経平均株価1万500円~1万1000円は見えて来ることを改めて指摘したい。(中島)

先週のマーケットの動き


各国マーケットの動き
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今週の主要スケジュール

今週のスケジュール
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◆内外経済指標より

先週発表 … 景気ウォッチャー調査、さくらレポートから震災後の想定以上の回復を再確認

 先週の経済指標については、国内では6日に「5月の景気動向指数(速報値)」、7日に「5月の機械受注統計」、8日に「6月の景気ウォッチャー調査」、海外では米国で6日に「6月の非製造業ISM指数」、8日に「6月の雇用統計」が発表された。経済指標以外では国内で4日に震災後2回目となる「地域経済報告(さくらレポート)」の公表、海外では欧州でECB理事会が開催された。ECB理事会では予想通り、政策金利を25ベーシスポイント引き上げ、さらに今後も物価動向を注視するとのことだった。

 国内で8日に発表された「6月の景気ウォッチャー調査」では、現状判断DIは49.6、前月比13.6ポイント上昇、先行き判断DIは49.0、同4.1ポイント上昇とどちらも3カ月連続で上昇かつ震災前の2月DIを上回る結果、さらには現状判断DIは過去最高の上昇幅と非常に好感の持てる結果となった。現状判断のコメントではアナログ放送終了を目前に控えていることや電力供給不足の懸念から、デジタルテレビや扇風機などの販売が増加している家電量販店からの明るいコメントが多く、外部環境によって現状判断DIが押上げられた面も見られるが、被災地となった東北では商店街の代表者から「人通りは明らかに増えている。飲食、物販、ファッション、食品、家庭雑貨等において、大きな消費から身の回りの着実な消費へと転換している様子が見られる。高級店よりも一般店の方がより追い風を受けている。」との声も聞かれ、震災後のDI急落の反動も見られるが、非常に力強い自律的回復の雰囲気も感じられる。一方、先行き判断DIに関しては上昇したが、上昇幅は4月の11.8ポイント、5月の6.5ポイントに比べれば小幅で減速感が漂ってきた。主な理由はやはり夏場の節電対応であり、勤務シフトの変更や休日出勤などの対応策がとられているが、今後どのような展開になるか読みきれず先行きは不透明とのことである。しかし、自動車業界に関係する企業のコメントでは、震災後に減産せざるを得なくなった分を下期に取り戻す模様で明るい声も聞かれることから、先行き不安がる必要もなかろう。


「景気ウォッチャー調査」~現状判断、先行き判断の推移
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 景気ウォッチャー調査と同様の内容は4日に発表した「さくらレポート」でも見られる。結果としては9地域中、近畿地域、四国地域を除く7地域が4月判断に対し上方修正、判断内容としては下表のとおり“厳しい状況だが、持ち直している”と回復基調が近畿や四国以外の地域に広がってきたといえる。個人消費では節電意識が省エネ製品の販売増加へ影響している面もあるが、消費マインドが改善し自粛ムードが和らいでいることも挙げられる。実際に一部地域では国内観光客数が持ち直している声も聞かれ消費の水準も平常時に戻りつつある。生産面では部品供給の制約が徐々に緩和されつつある自動車業界や輸出向けが好調である一般機械の生産回復や増加が目立ち、このことが素材業界に波及し鉄鋼の操業度上昇にも繋がっている。懸念される面は景気ウォッチャー調査と同じく今後の電力不足に関してだが、自家発電設備の導入でこの難局に対応する企業も見られることから過度に心配する必要はなかろう。


全国9地域の景気の変化
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 米国では8日に「6月の雇用統計」が発表されたが、失業率は9.2%、前月比0.1ポイント悪化、非農業部門雇用者数は同1万8000人増で市場予想の同10万5000人増を大幅に下回り、さらに5月の増加幅5万4000人も2万5000人へ下方修正される散々な結果となった。雇用統計発表前日まで、「6月のADP雇用統計」では前月比15万7000人増、「6月27日~7月2日の新規失業保険申請件数」では市場予想の42万件を若干下回る41万8000件と雇用関連の経済指標では良好な結果が相次ぎ、「シカゴ購買部協会景気指数」や「製造業ISM指数」など景況感関連の結果からも先行き好転の兆しが見えつつあっただけに、冷や水を浴びせられた格好となった。非農業部門雇用者数増減幅の内訳は建設が同9000人減で2カ月連続の減少、製造業は5月の同2000人減から増加に転じ同6000人増、4月まで大量の求職者の受け皿となっていたサービス業は同5万3000人増で2カ月連続の10万人以下と全体的に雇用者増加の気配は見られなかった。しかし、景気回復速度の鈍化懸念が和らいだといえども企業側は先行き慎重な見方で雇用には二の足を踏んでいること考えると、6月の結果だけで今後を不安視するのもいささか早計であろう。


完全失業率、非農業部門雇用者数前月比増減幅の推移
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今週発表 … 国内景気の基調判断、米国のバーナンキ議長の議会証言に注目

 今週発表の経済指標は国内で12日に「6月の企業物価指数」、米国で12日に「5月の貿易収支」、13日に「6月の財政収支」と「6月の輸出入物価指数」、14日に「6月の小売売上高」、「6月の卸売物価指数」、15日に「7月のNY連銀製造業景気指数」、「6月の鉱工業生産・設備稼働率」、「7月のミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)」、「6月の消費者物価指数」と米国に重要な指標が集まる。コンセンサスではNY連銀製造業景気指数では改善が期待され前月比11.8ポイント上昇、鉱工業生産は前月比0.4%増、小売売上高は前月比横ばいと悲観的な予想にはなっていない。また、米国の物価指数では輸入物価指数が前月比0.8%減、卸売物価指数が同0.2%減、消費者物価指数が同0.1%減の市場予想であり、商品市況やエネルギー価格が急騰の反動で下落したことが影響し6月分の物価は減少する見通しだ。経済指標以外で注目すべきは、国内では11~12日の「日銀金融政策決定会合」、13日の「7月の政府月例経済報告」での基調判断、米国では13、14日に行われるバーナンキ議長の下院、上院での議会証言だ。米国の景気回復、雇用環境、物価動向、FRBの今後の方針などを再度確認したい。

(浅枝)



主な決算発表予定


今週の主な決算発表予定
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