マーケットレポート

マーケットの視点

野田内閣の誕生でようやく日本が前進することへの期待が高まり、相対的に日本株が注目される投資タイミング到来へ

・ 野田内閣誕生。民主党役員人事、新内閣の閣僚人事に注目が集まったが、ようやく“日本丸”をスムーズに航行させることが可能な布陣が出来たのではないかと考える。各方面から“手堅い人事”との評価が高い。一部に旧来の自民党のような“派閥人事”と同様との指摘もあり、余りにバランス重視となっていることから一瞬、そう思ったが、実際の顔ぶれを見ると“適材適所”であり、重要ポストの外務相が玄葉氏47歳、財務相が安住氏49歳と若く新鮮で、経験がない云々という指摘よりは新時代を切り開くことへの期待を抱かせる。これまで、衆参ねじれ、民主党内分裂、場当たり対応と、八方塞のような状況に入り込み、成長戦略もへったくれもない“希望の持てない日本”のようになっていたのが、一遍に晴れ渡るような野田民主党・新内閣の船出だ。野田新首相が即座に米倉経団連会長など経済3団体、連合の首脳に会ったことで経済界の参加を促し“優れた日本の企業力”との連携を高めようという姿勢、民主党になってから政治が沈滞する大きな問題点となっていた“脱官僚・政治主導路線”を軌道修正し官僚機構の力を充分に活用する仕組みを再構築、政官民一体で運営する「国家戦略会議」を立ち上げる構想であり、文字通り日本総力を挙げて国難の危機を乗り切る覚悟が充分に見える。東日本大震災復興、福島第一原発事故解決(「福島の再生なくして日本の再生はない」)が円滑に進むと同時に、今度こそ、課題である社会保障と税の一体改革による財政再建、法人税率引き下げ、TPP(環太平洋経済連携協定)などFTA(自由貿易協定)締結の推進など、財政・経済問題の解決を通じて日本を閉塞状態から脱出させることへの期待が高まる。まさに、野田新首相が唱える「政治を前進させる」ことの実現だ。

・ 一方、米欧景気が変調を来しているようだ。先週1日に発表された「8月のISM製造業景況感指数」が「50.6」と事前予想の49を上回り引き続き50を超えたことで一時は好感されたが、各項目を見ると新規受注が「49.6」と2カ月連続の50割れ、生産が「48.6」と09年5月以来の50割れ、一方で在庫が「52.3」と前月49.3から大きく上昇するなど先行きへの不安を感じる内容となっている。欧州でも、ユーロ圏17カ国の「8月のPMI(製造業購買担当者景気指数))は4カ月連続の低下となり「49.0」と09年8月以来の50割れを記録、国別でもドイツが7月52.0→8月50.9と急落、フランス50.5→49.1、イタリア50.1→47.0と50割れになるなど軒並み前月比低下し、欧州全体での冷え込みが目立ってきている。中国では「50.9」と前月比0.2ポイント上昇と5カ月ぶりに上昇したが、新規輸出受注指数が同2.1ポイント低下し「48.3」と09年4月以来の50割れとなった。新興国では物価上昇が続きインフレが懸念される中で金利上昇による景気圧迫への不安が募りつつあり、米国の景気不安、依然として燻り続ける欧州での財政問題の行方も懸念材料のままであり、世界経済の減速は免れず、少なくとも失速を回避し再び上昇トレンドに復帰する方向性が示されることを9月のG7(9~10日)、米FOMC(20~21日)、G20(22日)など今後の各国の金融政策、あるいは政治対応に期待するのみである。

・ 先週の世界株市場は週末にかけて総崩れとはなったものの、一時の世界同時急落を脱し小康状態を保っている。日経平均株価も9月1日までは6連騰を続けたものの、週末は前日比“110.06円安”の「8950円74銭」と反落、前日に11日ぶりに9000円台を回復したが維持出来ずに週末を終えた。もっとも6連騰でも“421.19円、4.9%上昇”と勢いに欠けた上昇に止まった。為替が70円/米ドル台に定着したままであり、主力のグローバル関連が大きく買い戻され続ける環境ではないものの、株価水準は今回の急落過程で相当に下押ししたままにある。日本株市場に対して外国人投資家は既に8月第4週(22~26日)まで5週連続の売り越しとなっており、外国人投資家の持株整理も一巡を迎える段階となりそうだ。欧米、新興国に不安が残る中で、震災復旧・復興を背景に経済指標がこれから上向きに転じて行く日本が相対的に浮かび上がって来る可能性は高い。日本株市場全体としても3月の震災急落の後も戻りは鈍いままに推移していたこともあり、結果的には個別株価のバリュエーションは極めて低いままに放置されている企業が多い。円高環境下ながら、あえてグローバル関連銘柄への投資タイミングが到来しているのではと考える。(中島)

先週のマーケットの動き


各国マーケットの動き
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今週の主要スケジュール

今週のスケジュール
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◆内外経済指標より

先週発表 … 8月の米雇用統計の非農業部門雇用者数増加幅はゼロと11カ月ぶりの低水準

 先週は国内で30日に「7月の労働力調査」、31日に「7月の鉱工業生産」、「7月の新設住宅着工戸数」、2日に「4~6月の法人企業統計調査」が発表された。総じて国内経済指標の回復基調が続いていることが認識できた結果であった。「4~6月の法人企業統計調査」では全規模全産業の経常利益は震災の影響により前四半期比12%減と2四半期連続の減益となったものの、貿易統計などからわかるように3~4月をボトムとして5月から回復傾向にあることは明らかであり、12月に発表される「7~9月の法人企業統計調査」では売上高、経常利益は増加に転じる公算が大きい。また、「7月の鉱工業生産指数」はサプライチェーンはほぼ正常に戻ったことで前月比0.6%増と4カ月の増加となった。

 一方、海外の経済指標では、米国で29日に「7月の個人所得・消費支出」、30日に「6月のS&Pケース・シラー住宅価格指数」、「8月のCB消費者信頼感指数」、31日に「シカゴ購買部協会景気指数」、1日に「8月の製造業ISM指数」、2日に「8月の雇用統計」が発表されたが、その内容はいずれも厳しい結果となった。中でも、CB発表の消費者信頼感指数は前月比14.7ポイント下落の44.5と市場予想の52.5を大幅に下回ったが、内訳をみると現状判断は33.3、同2.4ポイントの下落だが、先行き判断は51.9、同23.0ポイントの下落と、とりわけ先行きに対する判断の急落が目立つ格好となっている。


米国消費者信頼感指数の推移
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 31日に発表された国内の「7月の鉱工業生産」は、前月比0.6%増と4カ月連続の増加となった。業種別内訳では輸送機械工業が急ピッチな生産回復が続き同5.3%増と3カ月連続の増加、情報通信機械工業がノートパソコンの同20%増や携帯電話の同1.5倍が牽引し同16%増となったことが寄与しており、東日本大震災によるサプライチェーン寸断で生産が滞っていた自動車、電機の生産回復が顕著になってきている。しかし、7月実績と同時に発表された8、9月の生産予測では8月が同2.8%増と5カ月連続の増加となる見通しだが、9月は同2.4%減と6カ月ぶりの減少に転じる予測となっている。9月は鉄鋼業の同2.7%増、紙・パルプ工業の同4.3%増を除く業種がすべて前月比減少の予想である。一般機械工業が同1.1%減、電気機械工業が同3.3%減、情報通信機械工業が8月同10%減、9月4.2%減と2カ月連続減の予想となっている。スマホ効果で携帯電話の生産増が続くが、液晶テレビがアナログ放送終了前の駆け込み需要の反動や欧米需要の急ブレーキで生産調整が続く影響が大きい。また、ウエイトの大きい輸送機械工業が8月は同6.5%増に対して、9月は同6.4%減の予測となっているが、3月以降の大幅な減産を補うために一気呵成的な増産対応が続くため、9月は先行き上方修正される公算が大きいものの、円高の影響や欧米市場の動向によっては今回の調査予測通り9月が大幅な減産となる可能性もあり得よう。


「鉱工業生産」~生産指数、生産指数前月比伸び率の推移
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 一方、今回の最大の焦点であった米国の「8月の雇用統計」は失業率は9.1%、非農業部門雇用者数が前月比横ばいと市場予想の同6万人増を大幅に下回り10年9月以来の低水準となり、1日に発表された民間調査会社ADPの同9万1000人増で受けた安心感を掻き消す結果となった。業種別では、これまで雇用の大きな受け皿となったサービス業が8月は前月比2万人増と、7月の同10万4000人増から増加幅が大きく縮小した。これは、米通信大手のベライゾンコミュニケーションズのストライキによって給与の支払いが滞ったことがきっかけとなり、情報サービス業がこれまで前月比数千人規模の雇用者数増減幅で推移してきたのが同4万8000人減となったことが響いている。但し、この一時的要因を除いたとしても非農業部門雇用者数は同4万8000人増で増加に留まっており、米国の雇用回復は依然として力弱い状態にあると言え、今後、8日のオバマ大統領の雇用対策についての講演、バーナンキFRB議長の経済見通しについての講演、20~21日に開催されるFOMCの中で、政府と中央銀行が一体となる形でどのような対策が打ち出されるかを見守るしかない。


完全失業率、非農業部門雇用者数前月比増減幅の推移
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今週発表 … 8日に米オバマ大統領の雇用対策発表、9~10日にG7開催

 今週は国内で8日に「7月の機械受注統計」、「8月の景気ウォッチャー調査」、9日に「GDP成長率(第二次速報)」、海外では米国で6日に「8月の非製造業ISM指数」、8日に「7月の貿易収支」、中国では9日に重要指標が発表される。経済指標の発表も重要だが、それ以上に重要なイベントも相次ぐ。国内では6~7日に日銀金融政策決定会合、米国では8日にオバマ大統領の雇用対策発表、そして週末の9~10日には仏マルセイユでG7財務相・中央銀行総裁会議が開催される。

(浅枝)



主な決算発表予定

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