マーケットレポート

マーケットの視点

ギリシャ問題解決への道のりは険しく不安定な相場展開が続く中、売られ過ぎの日本株の下値拾いを狙いたい

・ ギリシャ問題がマーケットを圧迫し続けている。先週半ばにようやく潮目が変わるかに見えたが、厳しい状況は簡単には解決しないことが改めて浮き彫りにされている。先週14日にメルケル独首相、サルコジ仏大統領、パパンドレウ・ギリシャ首相が3首脳電話会談を実施しギリシャがユーロ圏から離脱することはないと確認、同時にギリシャへの金融支援を継続する代わりにギリシャが財政赤字削減など義務を確実に実行することを迫った。更に15日に米欧日の中央銀行が欧州債務問題で民間銀行が危機的状態に陥ることを防ぐために、10月以降、年末までにドル資金を無制限に供給することによってリーマン・ショック時のような金融機関の突然死を是が非でも避ける態勢を整えた。これで、ギリシャの債務不履行が回避され、欧州の金融不安も遠のくとの安心感が一旦は広がり、先週の欧米株市場は一気に値を戻し、日経平均株価も14日に年初来安値「8518円57銭」を記録した後、木、金曜日と急騰して週末は「8864円16銭」と週末高値引けで終えた。

・ しかし、残念ながらギリシャ問題の解決への道のりの険しさが改めて認識され19日の世界株市場は再び急落している。16、17日にポーランドで非公式に開催されたEU財務相会議でギリシャに対する金融支援を確認はしたものの、確実に実行されるかどうかの保証が確保されないままに会議を終了したためだ。このため、もしもギリシャが有効な財政赤字削減策を打ち出せなければギリシャへの金融支援が見送られることでギリシャの債務不履行が現実化するのでは、という懸念が再び高まっている。18日に行われたドイツのベルリン特別市議会選挙で、メルケル首相率いるキリスト教民主同盟の国政与党連合が社会民主党に敗北したことでユーロ圏の要であるドイツのメルケル政権基盤の揺らぎが増幅しかねないことも欧州不安を強める結果となっている。パパンドレウ首相は臨時閣議を開催するために訪米を延期、EU、ECB、IMFで構成するギリシャ調査団が19日に予定したギリシャ訪問を延期し電話会議を行うとするなど、事態は一層、緊迫化している。IMFの見通しではギリシャの経済成長率は11年「-5.5%」、12年「-2.5%」と景気後退が続くことから財政再建は容易ではない。22~23日の「G20財務相中央銀行総裁会議」、23~24日の「IMF、世界銀行の年次総会」においてギリシャ問題、欧州問題の打開策が打ち出されるかどうかが焦点ではあるが、現在の世界経済情勢は欧米の景気二番底懸念と財政問題、新興国のインフレ懸念と経済息切れと厳しい局面に差し掛かっているだけに、株式市場を大幅にサポートするような結論を期待することは難しいと予想する。

・ 今週は20~21日に米FOMCが開催され、その成り行きがまず注目される。バーナンキ米FRB議長は8月26日のジャクソンホールでの講演で「金融政策には限界があり財政政策の出動に期待する」と時間稼ぎをし、これに応えるようにオバマ米大統領が8日に4470億ドルの景気・雇用対策を打ち出し、更に19日に今後10年間で3兆ドルの財政赤字削減策を発表した。次はバーナンキ米FRB議長の番である。QE3実施までは踏み込まないにしても、例えば短期債を売って長期債を買うなどの実質的な金融緩和策を打ち出すとの見方が有力であり、限られた範囲ではあるが米国の財政、金融政策支援が揃い踏みする可能性は高い。もっともオバマ米大統領が今回打ち出した財政政策は議会での共和党の反発を乗り切るまでは評価されるに到らないが、米国を景気後退に陥らせないためにはそれなりの妥協に達するものと予想する。一方、日本においては野田新政権が動き出し、すったもんだの末に臨時国会の会期を9月30日まで延長することとなったことで、危ぶまれた「第3次補正予算」の議論が進む見通しが立った。「第3次補正予算」は、本格的な震災復興を目的とした内容となり、円高対策、台風12号被害対策などを合わせ総額11~13兆円程度になるとの観測がある。その効果は11年度後半以降に国内景気を大きく押し上げることとなり、とりわけ12年度の日本経済、企業業績は上期に震災の影響から大幅リバウンドすることもあり、欧米景気の減速、新興国経済の息切れがあったとしても、11年度を上回る成長率、増益率を達成することになろう。従って、今週も週初めから乱高下する相場展開となりそうだが、有望銘柄に関しては引き続き下値拾いを狙って行きたいところだ。(中島)

先週のマーケットの動き


各国マーケットの動き
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今週の主要スケジュール

今週のスケジュール
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◆内外経済指標より

先週発表 … 「7~9月の法人企業景気予測調査」は自動車業界が牽引し予想以上の回復ぶり

 先週は国内で12日に「7~9月の法人企業景気予測調査」、「8月の企業物価指数」、海外では米国で「13日に「8月の輸出入物価指数」、「8月の財政収支」、14日に「8月の小売売上高」、「8月の卸売物価指数」、15日に「9月のNY連銀製造業景気指数」、「9月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数」、「8月の消費者物価指数」、「8月の鉱工業生産・設備稼働率」、16日に「9月のミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)」が発表された。

 12日に内閣府から発表された「7~9月の法人企業景気予測調査」の“貴社の景況感調査”では大企業全産業が6.6、前四半期比28.6ポイント上昇、製造業が10.3、同33.6ポイント上昇、非製造業が4.6、同26.0ポイント上昇となり、震災で急落した4~6月から予想通りV字回復し、全産業、製造業においては4四半期ぶりのプラスの状態となった。また、前回発表の7~9月見通しでは全産業が4.4、製造業が5.6、非製造業が3.8であったことから想定以上に復旧活動が進み予想以上の回復ぶりとなった。製造業を業種別に見ると、やはり自動車・同付属品製造業の回復ぶりが凄まじい。前回調査ではサプライチェーンの断絶の影響が多くの素材や部品を使用する自動車業界を直撃し、前四半期比80.8ポイント下落となったが、7~9月調査では同146.8ポイント上昇、下落幅を超過する上昇幅を見せ、さらに前回時の7~9月見通しの17.3を大幅に上回る結果となった。同時に発表された全産業の10~12月見通しは8.1、同1.5ポイント上昇、12年1~3月が6.0、同2.1ポイント下落で国内復興需要のポジティブ材料と海外景気回復鈍化懸念のネガティブ材料との拮抗状態が続き12年1~3月で下落が予想されているが、景況感のプラス状態は維持しており極度に不安視することは必要ないだろう。


「法人企業景気予測調査」~大企業全産業、製造業、非製造業の“貴社の景況判断BSI”の推移
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 一方の米国では、失業率の高止まりや政府の財政不安に苛まれる中で15日に「9月のNY連銀製造業景気指数」、「9月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数」、2つの最新の景況感指標が発表された。結果はNY地区が-8.8、前月比1.1ポイント下落と2カ月連続の下落となったが、フィラデルフィア地区は-17.5、市場予想の-15.0を若干下回る結果となったが、前月比13.2ポイント上昇となり2カ月連続の急落は免れ、ひとまず安心感が広がった。フィラデルフィア地区の内訳では出荷が前月比8.9ポイント下落したが、8月分で新規受注が同26.9ポイント下落したことが影響していると考えられ、悲観的になる必要はない。一方、先行きを予想する上で重要な新規受注だが9月は同15.5ポイント上昇し、先行きへの期待感がわずかながら回復してきたと考えられる。ただ、11年6月から前月比11.6ポイント下落、10.9ポイント上昇、33.9ポイント下落、13.2ポイント上昇と一進一退を繰り返し、方向感の見えづらい状態が続いていることから、来月発表の結果では2カ月連続の上昇となり回復への期待感が強まるか、それとも再び下落し停滞感が続くかを見極めるために9月以上に重要視されるはずだ。


「NY連銀、フィラデルフィア連銀製造業景況指数の推移
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今週発表 … 20~21日に米国FOMC、22日にG20財務省中央銀行総裁会議の行方に注目

 今週は国内で21日に「8月の貿易統計」、海外では20日に「8月の住宅着工・許可件数」、21日に「8月の中古住宅販売件数」、22日に「8月の景気先行指標総合指数」が発表される。コンセンサスでは国内「8月の貿易統計」が2010億円の貿易赤字で3カ月ぶりの赤字、米国の住宅着工件数が前月比2.3%減、建設許可件数が同1.2%減、中古住宅販売件数が前月比1.7%増となり、大きな変化はなさそうだ。今週はむしろ重要イベントが相次いで行われることが焦点だ。20~21日にはFOMC、さらに22日からワシントンでG20財務省中央銀行総裁会議、IMF・世界銀行年次総会が開催される。まずは20~21日開催のFOMCでバーナンキFRB議長がどのような緩和策に踏み切るかが注目される。

(浅枝)



主な決算発表予定

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