マーケットレポート

マーケットの視点

欧州債務問題は峠を越えリスクマネーの市場回帰が続こう。小売好調に続き3月決算も意外に堅調と予想

・ 先週の世界株市場はほぼ全面高と楽観ムードが一層強まった。先週に指摘したように、ようやく欧州債務問題が打開に向けて大きく動き始めたことが大きい。11日に議会否決したスロバキアも13日にEFSF拡充策を議会承認、ユーロ17カ国全てが承認を終えたことで“ユーロ結束”が固まった格好となった。G20財務相・中央銀行総裁会議も「欧州債務不安の波及阻止と世界経済安定への協調」を謳った共同声明で15日に閉幕した。更に、23日に開催される“EU・ユーロ首脳会議”で欧州金融機関の資本増強策などセーフティーネットの構築を明確に示す見通しにあるなど、最大の不安要因だった欧州債務問題は峠を越えたものと考えられ、当面はリスクマネーの市場回帰が続くことが期待されよう。先週の日経平均株価も「9月の景気ウォッチャー調査」が盛り上がりに欠ける内容だったことやタイの洪水の影響が広く心配されたことで一進一退の動きではあったが、為替の円高進行に歯止めがかかりそうなこともあり地合いは強い。予想外の好調な内容となった小売業界の2月決算に続く3月決算発表を睨みながらの展開となるが、依然、強基調が続くことになると予想する。

・ 小売業界の2月決算は、デフレ環境が長引き、消費低迷が続いていると言われる中で東日本大震災の影響もあったにも拘わらず、予想外に好調な内容だった。日経新聞が先週12日までに決算発表した小売64社の業績を集計した結果、11年3~8月期の経常利益は24%増益と、とりわけ利益の回復ぶりが著しい。例えば、セブン&アイの11年3~8月期の経常利益は期初公表1136億円、前年同期比5%減から第1四半期決算発表時に1350億円、同13%へと上方修正したが、結果は1508億円、同26%増と更に大きく上回った。通期見通しは、期初公表2453億円、前期比1%増を第1四半期決算発表時に2700億円、同11%増、中間決算発表時に2840億円、同17%増と毎回上方修正している。しかし、下期の経常利益は期初1317億円→第1四半期決算発表時1350億円→中間決算発表時1331億円とほぼ期初計画のままにしてある。イオンは中間期の予想を発表していないが、中間期実績は829億円、前年同期比23%増で、通期見通しは期初公表1830億円、前期比0.5%増を今回、2000億円、同10%増~2100億円、同15%増へと上方修正した。但し、下期の経常利益は1170億円、前年同期比2%増~1270億円、同11%増と、やはり慎重な予想となっている。それでも、セブン&アイは07.2期2820億円、イオンも07.2期1883億円の過去最高益をともに5年ぶりに更新する見通しであり、更なる増額修整が期待されよう。

・ 収益好調の背景は、スーパーの節電製品の好調、コンビニでの猛暑効果、大震災後の品物不足で値引きが抑制されたこと、コスト面での節電効果、などだ。一時は店頭での商品不足が目立っていただけに意外に好調な決算と言えるが、猛暑や節電特需など環境面での後押しがあったこと以上に、ここ数年の企業努力の効果の方が大きいと思われる。すなわち、コンビニでのおにぎり、惣菜、弁当の充実やデザートの開発競争、スーパーでの衣料品、家電製品など売れない商品を排除するなどの商品戦略の転換など、“本物”、“こだわり”、“信頼・安全”を志向する消費者ニーズに応える商品戦略の展開で消費低迷を打破している。従来は、しまむら、ファーストリテイリング、ニトリ、ABCマートなど独自の商品戦略を展開する小売企業のみが業績好調を謳歌していたが、伝統的な小売企業もようやく長引く消費低迷を打破することに成功したと言える。これは、コンビニ、スーパーのみならず、百貨店の復活へと広がりつつあり、トンネル脱出の小売各社の今後の株価反転上昇が期待される。

・ 3月決算に関する観測記事が多くなっており24日の週から決算発表が本格化する。QUICKの10月の株式月次調査によると円高、海外景気減速を懸念し企業業績は「大幅下方修正」14%、「小幅下方修正」66%と80%が下方修正すると見ている。しかし、「日銀短観」の内容は比較的楽観が目立ち、最近の観測記事は7割がた上方修正気味だ。不透明感が強く下期を慎重に見る企業が多く「据え置き」は多いが下方修正はそれほど多くないと予想する。機関投資家等の見方が悲観に傾き過ぎていることもあり、3月決算発表が株価上昇要因になる確率は高そうだ。


(中島)


先週のマーケットの動き


各国マーケットの動き
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今週の主要スケジュール

今週のスケジュール
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◆内外経済指標より

先週発表 … 景気ウォッチャー調査の現状判断DI、先行き判断DIは共に下落

 先週は国内では11日に「9月の景気ウォッチャー調査」、12日に「8月の機械受注統計」、14日に「9月の企業物価指数」が発表された。機械受注の船舶・電力除く民需は市場予想の前月比4.6%増を上回り同11%増の8048億円となり08年10月の8215億円以来の8000億円超となったが、震災復興需要が含まれることを考えれば先行きを楽観視するには時期尚早だ。一方の海外では米国で13日に「9月の財政収支」、14日に「9月の小売売上高」、「10月のミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)」、中国では14日に「9月の消費者物価指数」が発表された。

 11日に内閣府から「9月の景気ウォッチャー調査」が発表され、現状判断DIは前月比2.0ポイント下落で2カ月連続の下落、先行き判断DIは同0.7ポイント下落で3カ月連続の下落となった。先月に続き想定以上の円高水準が継続していることが両DIの下落する主な要因だ。実際に北陸地域では「円高のため海外受注は厳しい状況である」とのコメントが見られ、非常に厳しい状態であることが窺える。一方の先行き判断については9月も下落は続いたが、不安感がやや薄れ始めたと思われる。確かに現状の円高推移が将来の受注に影響する懸念はあるが、自動車や自動車部品の関連企業は多忙な状態であり、百貨店では冬に備えてウォームビズや節電関連商品の売れ行きに期待する声も聞かれる。来月の結果を考慮する必要はあるが、これまでの悲観的過ぎる見方が多少は緩和されつつあるように思える。


「景気ウォッチャー調査」~現状判断、先行き判断の推移
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 米国では14日に「9月の小売売上高」が発表されたが、結果は前月比1.1%増と11年2月の同1.3%増以来となる高水準の伸び率となった。牽引役は自動車・部品で、東日本大震災直後の3~5月は前月比減少が続き、その後も低水準の増加率となっていたが、9月は同3.6%増と約1年ぶりの高い伸び率となった。他にも衣料品が同1.3%増、外食が同1.2%増と幅広い製品で前月比増加となった。ただ、同日に発表された「10月のミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)」では9月は前月比3.7ポイント上昇し10月予想も上昇が予想されていたが、結果は同1.9ポイント下落となった。従って9月の小売売上高もこれまでの節約疲れから一時的な増加の可能性も考えられる。持続的な伸びかどうかは、来月発表の10月分の結果で見極める必要があろう。


「小売売上高」~全体、自動車・部品売上高前月比伸び率の推移
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今週発表 … 主な統計指標発表は海外に集中、中国では18日にGDP成長率の発表

 今週は主な統計指標は海外に集中する。米国では17日に「NY連銀製造業景気指数」、「9月の鉱工業生産・設備稼働率」、19日に「9月の住宅着工・許可件数」、「9月の消費者物価指数」、20日に「10月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数」、中国では18日にGDP成長率など主要指標が発表される。NY連銀、フィラデルフィア連銀の景気指数のコンセンサスはそれぞれ-4.0、前月比4.8ポイント上昇、-9.0、同8.5ポイント上昇と景気停滞の傾向には歯止めが掛かりそうだが、指数自体は依然として判断の分かれ目である“ゼロ”以下であり、今後も予断を許さない展開が続くと思われる。

(浅枝)



主な決算発表予定

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