マーケットレポート

マーケットの視点

膠着相場極まりタイ洪水や円高最高値更新などもあり日本株忌避ムード、まずは日電産の決算に注目

・ 先週は一段と膠着相場の色彩が濃い展開が目立った。日経平均株価の1日の変動幅(高値‐安値の幅)が100円未満というのが先週末までに11営業日連続。これは本年1月4~20日までの12営業日連続、直近では7月15~29日までの10営業日連続以来の記録だ。しかも7営業日連続して陰線引け(終値が始値を下回る)で終わっている。この記録は10年4月12~20日の同じ7営業日連続以来の記録。更に、東証一部の売買高が先々週の4日連続の15億株台から先週はついに5日連続で15億株割れとなり、売買代金も細り週末21日は7755億円と年末年始を除くと03年8月以来の低水準だと言う。決算シーズンに入り、先行する米国企業の決算は足下好調だが先行きを読み切れず、わが国企業の決算発表は今週以降に本格化するために様子見気分が高まった。なおかつ、欧州債務問題がEU・ユーロ首脳会議での結論を23日から26日に持ち越したことで不安が拭い切れない。加えて、タイの洪水被害のダメージが予想外に大きく長引きそうなニュースが伝わっていること、対米ドル為替レートが21日のNY市場で75.78円まで上昇し史上最高値を更新するなど“超円高”が定着してしまっていることも日本株忌避のムードを高めている。

・ 欧州債務問題に関しては、22日のEU財務相理事会で欧州銀行に対して1000億ユーロの資本増強を行うことで合意した反面、銀行の狭義の中核的自己資本比率を9%と定め12年6月30日までに達成することを決めたことが財務健全性を追求する一方で欧州銀行への不安懸念が強まることにもなった。欧州銀行へのより具体的な資本増強策、ギリシャへの第二次金融支援策、欧州安定化基金(EFSF)の拡充策などの重要案件の決定を26日に先送りしたことで、今週も週半ばまでは様子見気分が継続することになりそうだ。EFSFの大増強など欧州債務問題に対するスッキリした解決策が期待通りに定まれば、一気に世界株市場は強気、上昇ラッシュに傾くだろうが、独仏の不協和音が聞かれるなど不安要素があることも確かだ。

・ 今週から日本の決算発表が本格化するが、24日発表のKDDIは新発売の「iPhone4S」の効果をどう業績に織り込むかが注目される。25日には日立建機、ファナックの発表で新興国の変化が語られるかどうか、過去2四半期に亘って上方修正を続けたキヤノンの第3四半期決算でも強気姿勢が崩れないかどうか、最大の注目は日本電産の決算発表だ。第1四半期決算発表時には第2四半期以降でも上方修正が続くとの含みがあったが、タイの洪水の影響が大きいことからその方向性が継続するかどうか、特に26日の決算説明会では強気で鳴らす永守社長のタイの洪水の影響に対するコメントに耳目が集まることになろう。タイはHDDの生産集積地域となっており、世界トップの米ウエスタンデジタルなどの現地生産など世界全体の4割が同国で生産されている。タイにはHDDの重要部品である日本電産のステッピングモータ―、ニッパツのサスペンションの主力工場もある。HDDの重要部品では日本電産のモーターが世界シェア8割、ニッパツのサスペンションが同4割、TDKの磁気ヘッドが同3割強と高シェアを握っているだけに影響は大きいはずだ。HDDはパソコン、サーバー、DVDレコーダの重要部品であり、パソコン、サーバーの生産が滞ることによる日本の電子部品メーカー、更には米インテルの業績に影響を与えかねない。日本電産・永守社長の発言からその概要が相当明らかになるだろう。26日には新日鉄、JFE、今週末には自動車部品の決算発表が目立つものの、主要企業は31日以降に集中しており、日本企業の決算動向は来週に入れば鮮明なものになって来よう。31日にホンダ、パナソニック、1日に日立、2日に日産、ソニーなどと続く。


(中島)


先週のマーケットの動き


各国マーケットの動き
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今週の主要スケジュール

今週のスケジュール
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◆内外経済指標より

先週発表 … 景気ウォッチャー調査の現状判断DI、先行き判断DIは共に下落

 先週の国内では「8月の景気動向指数(改訂値)」などが発表されたが、主要な経済指標の発表は海外に集中した。米国では17日に「10月のNY連銀製造業景気指数」、「9月の鉱工業生産・設備稼働率」、18日に「10月の住宅市場指数」、19日に「9月の消費者物価指数」、「9月の住宅着工・許可件数」、20日に「10月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数」、「9月の中古住宅販売権数」が発表された。米国の消費者物価指数は前年同月比3.9%上昇となり8月の同3.8%上昇から上昇率を拡大させたが、季節調整済では前月比0.3%上昇となり、7、8月の同0.5%上昇、同0.4%上昇から上昇率は縮小しインフレ警戒感はやや落ち着き始めた様子だ。米国鉱工業生産は前月比0.2%増と増加基調を維持し、設備稼働率は77.4%でリーマン・ショック後で最大の稼働率を記録した。総じて述べれば、確かに雇用面では回復速度が遅く先行きに対し不安にならざるを得ない展開が続いているが、先々週発表の小売売上高も10年7月から15カ月連続で前月比増加が続いていることから、必要以上に景気停滞懸念に神経を尖らせることはないと思われる。

 米国では17日に「10月のNY連銀製造業景気指数」、20日に「10月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数」が発表された。NY地区は前月比で改善はしたが市場予想を下回り依然として判断の分かれ目であるゼロ以下の水準だが、予想外だったのはフィラデルフィア地区の景気指数である。市場予想では前月比8.5ポイント上昇の-9.0であったが、結果は8.0となり3カ月ぶりのプラス、上昇幅は26.2、80年10月の30.4以来、31年ぶりの大幅な上昇幅となった。先行きを予想する上で重要な新規受注も7.8、前月比19.1ポイント上昇となり2カ月連続の上昇となった。90年以降で最高を記録した11年3月の40.3に比べれば、まだ低水準にあるが2カ月で34.6の回復であり、また、受注残も6カ月ぶりにプラスに転じ雇用増加へ繋がることも考えられる。ただ、景況指数の変化が激しいフィラデルフィア地区であり、8月に急落した反動も考えられるため、今週発表のリッチモンド地区、来月発表のISM製造業指数など一連の景気指数で再確認したい。


NY連銀、フィラデルフィア連銀製造業景況指数の推移
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 国内では20日に日銀が地域経済報告「さくらレポート」を発表した。10月の判断は国内9地域中、北海道、東北、関東甲信越、東海、九州・沖縄の5地域が上方修正、北陸、近畿、中国、四国の4地域が横ばいとし、依然として国内全体では震災からの復旧が続いていることが確認できた。前回7月調査では9地域中7地域が上方修正したことに比べると回復速度がやや鈍化したように見えるが、原因は長期にわたる極度の円高推移と海外経済の停滞懸念による影響で海外受注が減少していることであり、震災からの復興速度が鈍化しているわけではないと思われる。下表に地域別の鉱工業生産のポイントを示したが、一部地域や業種では在庫調整などが原因で弱含みの見方もあるが、全体的に回復傾向が続いていることが見て取れよう。特に自動車関連などの輸送機械では今上期の減算分を取り戻す動きが際立っている。注目すべきは次回の1月の地域経済報告であろう。現状の極度の円高水準が長期的に続くとすると生産回復の足を引っ張る可能性もあり、前回との景気判断を横ばいとする地域が10月判断より増えることも考えられる。


全国9地域の景気の変化
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今週発表 … 27日発表の「経済・物価情勢の展望」では13年度の実質GDP成長率に注目

 今週は国内、海外ともに重要な経済指標の発表が相次ぐ。国内では24日に「9月の貿易統計」、28日に「9月の全国消費者物価指数」、「9月の鉱工業生産」、海外では米国で25日に「8月のS&Pケースシラー住宅価格指数」、「10月のCB消費者信頼感指数」、26日に「9月の耐久財受注」、「9月の新築住宅販売件数」、27日に「7~9月のGDP成長率(速報値)」、28日に「10月のシカゴ購買部協会景気指数」が発表される。また、国内では27日に日銀から「経済・物価情勢の展望」が発表され、13年度のGDP成長率、物価見通しが新たに発表される。7月中間発表では12年度実質GDP成長率は前年度比2.9%増であったが、震災による落込みの反動が含まれゲタをはかせた成長率であり、実態をより率直に表した13年度の成長率予想は非常に注目されるであろう。

(浅枝)



主な決算発表予定

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