マーケットレポート

マーケットの視点

イタリアに飛び火だが落ち着く気配、TPP・オリンパス問題で国内大揺れ、主要株の歴史的安値は異常と思える

・ パパレドレウ首相の辞任でギリシャ危機が収まりかけて一応のメドが立ち、欧州不安がようやく小康状態に入ると期待された途端、今度はイタリアで火の手が上がった。ベルルスコーニ首相が8日夜の議会で財政安定化法案が成立すれば辞任する意向を表明したこともあって安堵感が広がり、マーケットは落ち着きかけたが、欧州の証券清算・決済機関である「LCHクリアネット」がイタリア国債7‐10年物の当初取引証拠金率を5%引き上げ“11.65%”としたことがイタリア国債の一斉売りに繋がり、9日、イタリア10年国債が一気に危険水域の利回り7%超えまで急落、一時は7.5%に達した。ユーロ圏でドイツ、フランスに次ぐ経済No3のポジションにあるイタリアの“ギリシャ化”に対する現実感は投資家を恐怖に陥れ、9日の世界株価は欧州株市場が急落したのは勿論、NYダウが前日比“389.24ドル安”、NASDAQが同“105.84ポイント安”と暴落、明けて日経平均株価も同“254.64円安”の「8500円80銭」と節目の8500円割れ寸前、香港ハンセンも同“1050.54円安”の大幅安となるなど、世界株市場は同時暴落の様相を呈した。

・ しかし、10日に行われた12カ月物のイタリア国債の入札が利回り6.087%と97年9月以来の高水準とはなったものの順調だったこと、欧州中央銀行がイタリア短期国債を大量購入したこと、などで最悪の事態は回避されるとの見方が広まり、11日には無事にイタリア上院で財政安定化法案が承認され(下院でも12日に承認)、ナポリターノ大統領が9日に終身上院議員に任命したモンティ元欧州委員が次期首相となる方向で進んでいることもあり、世界株市場は落ち着きを取り戻した。先週1週間通じてはNYダウ“170.44ドル高”、NASDAQ“7.4ポイント安”、独DAX“90.87ポイント高”、仏“25.83ポイント高”、英FTSE“18.22ポイント高”と欧米市場は“小康状態”の結果となったが、不安が残ったまま週末を終えた日経平均株価が前週末比“286.93円安”の「8514円47銭」で終えるなどアジア株市場は全般に安く終わった。

・ 一方、12~13日に開催が迫っていたAPEC首脳会議に向けて、日本では「TPP(環太平洋経済連携協定)問題」が大詰めを迎え紛糾、更に、「オリンパス問題」が“財テク失敗の損失隠し”が明らかになり上場廃止の懸念まで発展するなど、悶々とした状態が続いた。「TPP問題」は野田首相が党内での慎重派に配慮し実に巧妙な“玉虫色会見”でAPECに臨み、結果的に『TPP交渉参加』を表明、米国はじめ他のTPP参加国からは歓迎ムードに包まれた。とりわけ、米国以外の国々からは米国と渡り合える存在として日本に期待しているようであり、米国は現時点での日本を含めた参加国の中では最も効果の大きな相手国として捉えているようだ。TPPは10年以内での関税完全撤廃を前提に21分野で詳細を協議中であり、日本国内では農業圧迫が特に大きな問題として議論が白熱しているが、日本の産業界全般にとっての事業拡大機会が広がる可能性が充分高いことと、アジア経済を主導する立場となる公算は大きい。また、現時点では中国、韓国のアジア内の両経済大国は参加してないが、いずれ参加して来る可能性はあり得ることから、日本が先んじることの意義は大きい。「オリンパス問題」は同社自身の上場が維持されるかどうかもさることながら、日本企業全体の信用問題へと発展しかねない。証券取引等監視委員会が金融商品取引法上の偽計取引に当たるとの見方を固めたようで、今後の調査結果を見守るしかない。

・ 個別銘柄での異常なまでの株価下落が目立つ。今期業績を大幅下方修正、TV事業の解体的リストラを実行するソニーが78年以来の33年ぶりの安値、パナソニックが81年以来の30年ぶりの安値、タイ洪水で再び12.3期予想の発表を取りやめたトヨタが96年以来の15年ぶりの安値、野村証券も80年以来の31年ぶりの安値、みずほFGが100円割れとなりそうなど、余りに歴史的な安値水準に追い込まれている株価が多い。果たして、実態がそこまで衰退しているとは考えられない株価が多いと思えてならない。


(中島)


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