マーケットレポート

マーケットの視点

TOPIX終値は28年ぶりの700ポイント割れ目前、日経平均株価も厳しく外需型企業の業績次第の瀬戸際にある

・ 欧州が暗闇から脱出する道標を見失っている。債務問題はギリシャからイタリア、スペインへと波及、更にはフランスをも飲み込む段階へと発展しかねない様相を呈してきている。10日に実施されたイタリア国債の入札は利回り6.087%だったが、17日に行われたスペインの10年債の平均利回りは6.975%と前回から1.5ポイント上昇し97年来の高水準であり、自主的な財政再建が困難とされる7%に限りなく近い水準にまで跳ね上がり危機感が募っている。格下げが取り沙汰されているフランスの国債の利回りも上昇傾向が目立ってきており、欧州債務問題は歯止めが利かない状況に陥りつつある。ギリシャ、イタリアの首相交代に続き、スペインも20日投票の上下院選挙の結果、7年半ぶりに政権交代が実現することになり、政治の変化によって危機打開を目指すことになるが、多大な金額であるだけに短期間での収束は難しいとの見方が強まっている。また、フランス・ベルギー系大手銀行「デクシア」の解体に引き続き、同問題が他の欧州金融機関の破綻へと発展する可能性は充分にあり得ることで、当分はこの問題に悩まされる状況が続くことになりそうだ。

・ なおかつ、欧州債務問題が長引くことで欧州域内の経済活動が停滞し続け、更に欧州金融機関の新興国への投資が制約されることで新興国経済の先行きにも影響を与えかねない。一方、住宅市場低迷、高水準な失業率が続く米国も来年に大統領選を控えながら、上院下院の議会のねじれの中で決定的な政策を打ち出すことは困難であり、12年の米国経済成長率が予想外に伸び悩むリスクは小さくない。となると、欧米通貨に対する「円高」の構図が変化する可能性も低く、日本株市場へのマイナスイメージの好転への期待は一段と萎むばかりとなる。

・ 東証一部の売買代金は14~18日と5日連続の1兆円の大台割れ、しかも15日の7287億円は10月21日の7755億円を下回り本年に入って過去最低を更新した。1兆円割れは10月17~26日まで8日連続を記録したが、来週中にこの連続記録を更新することもあり得、日本株離れがいよいよ鮮明になっている。先週の世界株市場は欧州で独DAX、英FTSEが5日連続下落、仏CACも16日の15.77ポイント高以外は下落、アジア株市場でも印SENSEXは18日まで7日連続下落、香港ハンセンは4日連続下落、上海総合は3日連続下落、日本ではTOPIXが16日、そして週末の18日と年初来安値を更新、18日終値のTOPIXは「719.98ポイント」とリーマン・ショッ後の安値である09年3月12日「700.93ポイント」を更新しそうな下落トレンドだ。

・ もしもTOPIXの終値が“700ポイント割れ”となると、実に83年12月以来、28年ぶりのことになる。ソニー、パナソニックの株価が30年以上も前の安値水準となっていることと符合する。日経平均株価以上に後退が目立つのは、メガバンク株、電力株、海運株が歴史的な安値水準にまで追い込まれていることが大きい。なお、日経平均株価自体も18日終値は「8374円91銭」と9月26日の「8374円13銭」の年初来安値ギリギリの水準で今週はこれを更新する展開になりかねない。バブル後の安値だった09年3月10日の日経平均株価は「7054円98銭」だったが、この株価より18.7%高い水準にあるのは、意外に機械、ゴム、卸売、電機、自動車、化学など外需型産業が日経平均株価を支えている格好となっている。

・ これに対して、ソニー、パナソニックなどが先行して歴史的な安値水準にまで下落しているが、これが他の外需型企業の株価にまで波及して行くのかの瀬戸際にある。それを握る鍵は12.3期下期の業績見通しに対する回復期待が完全に剥落するかどうかにかかっている。金融関連を除く東証一部1094社を16日に集計した結果によると、全産業ベースで上期実績は8月19日時点の集計の「経常26%減益」に対して「21%減益」と上回ったが、下期見通しは「22%増益」から「1%増益」へと回復期待が大幅に後退している。しかし、悲観的に見過ぎていることと、上期実績が予想以上であっても下期を変えない企業が多いこと、タイ洪水の影響が東日本大震災と同様に急ピッチで改善し予想外にマイナス影響が小さくなる可能性は高いと言えそうなことで、むしろ増額修整されると予想している。この先、12.3期業績が更に下方修正されることになれば、その中心は外需型企業となり日経平均株価は大幅に下押しするが、実際にはそうならない可能性が高いと予想する。


(中島)


先週のマーケットの動き


各国マーケットの動き
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今週の主要スケジュール

今週のスケジュール
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◆内外経済指標より

先週発表 … 米国消費者物価指数は前月比減だが、エネルギー価格除くと増加傾向が続く

 先週の主な経済指標は国内では14日に「7~9月のGDP成長率(第一次速報)」、海外では米国で15日に「11月のNY連銀製造業景気指数」、「10月の小売売上高」、16日に「10月の消費者物価指数」、「10月の鉱工業生産・設備稼働率」、「11月の住宅市場指数」、17日に「11月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数」、「10月の住宅着工・許可件数」、18日に「10月の景気先行指標総合指数」が発表された。米国の経済指標ではNY連銀製造業景気指数は前月比9.1ポイント上昇の0.5となり半年ぶりにゼロ以上へ回復、フィラデルフィア連銀製造業景況指数は先月の急上昇の反動で今月は前月比5.1ポイント下落したが、指数自体は3.6でゼロ以上をキープした。小売売上高は前月比0.5%増、自動車除く小売売上高は同0.6%増、鉱工業生産は前月比0.7%増、設備稼働率は前月比0.5ポイント上昇し実体経済が悪化しているとはいえない。また、住宅関係指標も11月の住宅市場指数が20で10年5月の22以来、1年8カ月ぶりに20台へ回復、住宅建設許可件数は市場予想の前月比1.9%増を大きく上回り同10.9%増、住宅着工件数は前月比0.3%減で減少したが、市場予想の同7.3%減と比較すると微減に留まり、回復の兆しが見え始めたとも受け取れる結果となった。総じて述べると米国経済に関しては、政府部門は財政不安で苦しい展開だが民間部門では悪くなっているわけではなく、緩やかではあるが着実に回復しているといえる。

 国内では14日に「7~9月のGDP成長率」が発表された。結果は年率換算で前期比6.0%増、4四半期ぶりの増加で市場予想通りとなった。内訳では震災直後の消費自粛ムードが和らぎ民間消費が前期比1.0%増、住宅版エコポイント制度の効果で住宅投資が同5.0%増、自動車業界の回復が牽引する形で輸出が回復し同6.2%増となった。ただ、市場予想との比較では民間消費と住宅投資はそれぞれ予想の前期比年率0.6%増、同3.5%増を上回ったが、輸出は予想の同7.0%増を下回り、実体経済では現在の円高推移とユーロ圏などの海外経済停滞が予想以上に深刻化している形となった。10~12月の成長率が来年の2月13日に発表されるが、現状の為替推移と外需の減少が輸出に大きな影響を及ぼすと考えられ当面は海外経済の動向を注視すべきであろう。


「GDP成長率」~個人消費、輸出の前期比年率換算伸び率推移
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 米国では16日に発表された「10月の消費者物価指数」では前月比0.1%減で11年6月以来、4カ月ぶりの減少、さらに前年同月比では3.5%増と増加はしたものの前月の同3.9%増から増加率が縮小しインフレへの警戒感が薄らぐ形となった。WTI原油価格が下落したことでガソリンが同3.1%減、またそれに関連して交通サービスが同1.1%減となったことが全体指数が下落した主要因だ。しかし、食料・エネルギー除く物価指数では前月比0.1%増で10年1月の同0.1%減以来、21カ月連続で増加傾向が続き、また、前年同月比ベースでは2.1%増と前月の同2.0%増から増加率が拡大した。前月比減となった前回の6月においても下落した主要因はガソリン価格が前月比6.8%減となったことであり、エネルギーを除くその他の物価指数についてはインフレへの警戒感は完全には消えていないことから、当面は次回の量的緩和政策QE3を実施する可能性は低いと考えられる。

米国消費者物価指数、食料・エネルギー除く消費者物価指数前年同月比伸び率の推移
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今週発表 … 24日には「政府月例経済報告」が発表、欧州経済停滞の深刻化で下方修正のあり得る

 今週は国内で21日に「10月の貿易統計」、25日に「10月の全国消費者物価指数」、海外では米国で21日に「10月の中古住宅販売件数」、22日に「7~9月のGDP成長率(改定値)」、23日に「10月の個人所得・消費支出」、「10月の耐久財受注」、「11月のミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)」が発表される。経済指標以外では国内で24日に「11月の政府月例経済報告」が発表される。10月分では「持ち直しのテンポが緩やかになっている」と基調判断を下方修正したが、欧州財政問題ではギリシャより規模の大きいイタリアの不安が焦点となり欧州の停滞が深刻化していることから2カ月連続の下方修正も考えられる。


(浅枝)



主な決算発表予定

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