マーケットレポート

マーケットの視点

フランス、スペインの国債入札が順調で安心感、米国決算も概ね好調、日経平均株価9000円超への戻り展開へ

・ 世界株市場はユーロ9カ国のS&P格下げを乗り越えて楽観ムードが続いている。格付けそのものに対する批判的な声も高まっており、現実には格下げがマーケットに与えた影響はほとんどなかったようだ。欧州各国の格下げは、既に昨年中に問題視されていたこともあって投資家の間では冷静に受け止められた。格下げ直後に実施された先週のフランス、スペインの国債入札が順調だったことが、安心感を与える格好となっている。16日にフランスで行われた2014、15、16年償還債の入札は調達目標額65~80億ユーロに対して79億6500万ユーロを調達することに成功、しかも応札額は189億ユーロと倍率2.4倍、利回りも前回入札結果を下回った。19日にスペインで行われた2016、19、22年償還債の入札も調達目標額45億ユーロに対して66億ユーロを調達することに成功、倍率も2.0~3.2倍と良好だった。これらの結果は、まさに先々週にS&Pが行った格下げの影響が杞憂に終わったことを示すものであり、欧州債務問題に対する楽観的な見方が広がりつつある。今後2~4月にかけてイタリア、スペイン、ギリシャ国債の大量償還を迎える正念場となるものの、充分に乗り越えることが可能と期待される。ユーロ9カ国格下げ、EFSF格下げのニュースを受けて16日には96円/ユーロ台まで進んだユーロ安も、その後は急速に反転し再び100円/ユーロ台を回復した。

・ 一方、米国企業の10~12月期決算は概ね予想を上回る好結果が発表されている。金融機関の決算が出揃い、債券・株式取引関連の市場部門の不振から軒並み大幅減益とはなっているものの、不良債権コストが大幅に改善するなど、評価出来る内容となっており、結果的に米国金融株の上昇に結びついている。例えば、バンク・オブ・アメリカの11年10~12月期の最終利益は19億9100万ドルの黒字で前年同期の12億4400万ドルの赤字からは大幅黒字転換を達成した。また、19日に発表したIBMの決算は11 年10~12 月期の純利益が54 億9000 万ドル、前年同期比4%増、特別項目を除くEPSは4.71 ドルと市場予想の4.62 ドルを上回った。同時に発表した特別項目を除く12.12期通期のEPS見通しは14.85 ドルと市場予想の14.82ドルを上回った。19日に発表された注目のインテルの決算は、売上高138 億8700 万ドル、同21%増、純利益33 億6000 万ドル、同6%増、EPS0.64ドルと、売上高、EPSともに市場予想を上回った。12.12期に関しては、1~3月期売上高、粗利益率が市場予想を上回る見通しを発表、通期の設備投資は125億ドル±4億ドルと前期実績の108億ドルを大きく上回る積極姿勢を示した。更に、19日発表の米国の新規失業保険申請件数が前週比5万件減少の35万2000件と市場予想の38万件程度をも大きく下回っており、一層、楽観ムードを後押ししそうだ。

・ 先週の日本株市場は、18~20日と3日連続で東証一部の売買代金は1兆円を上回り、売買高も久々に20億株を上回り続け、市場エネルギーがようやく甦った。NYダウがリーマン・ショック後の高値である11年4月29日の「1万2810ドル54セント」まで先週末時点であと“90.06ドル”と迫っており、更新するのは時間の問題だ。これに合わせて日経平均株価も9000円超への上昇が期待される。18日に日本自動車工業会が12年の国内販売見通しを501万5500台、前年比19.1%増と発表した。大震災、タイ洪水の影響を脱する上に11年末からのエコカー補助金の再開、エコカー減税の延長、自動車重量税の軽減などが寄与するためで、超円高が定着しているだけに、今のわが国自動車業界にとって国内販売、生産が大幅に増加する効果は極めて大きい。株価が長期低迷していた金融株、インテルの好決算に支えられる半導体関連を中心とするハイテク株、そして自動車株に対する注目度が高まることで日本株市場が押し上げられることになろう。日本株全般に異常に割安放置されていただけに、円高に歯止めがかかることも支援材料となり、暫くは戻り展開が続こう。


(中島)


先週のマーケットの動き


各国マーケットの動き
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今週の主要スケジュール

今週のスケジュール
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◆内外経済指標より

先週発表 … 米国経済は回復傾向が顕著、特に住宅市場回復の前提は整いつつある

 先週の国内では16日に「11月の機械受注統計」、景気回復基調がより強くなってきた米国では景況感を示す「1月のNY連銀製造業景気指数」が17日、「1月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数」が19日、「12月の鉱工業生産・設備稼働率」が18日に発表された。また、米国景気回復においてこれまで最大のネックであった住宅関連指標である「住宅市場指数」、「住宅着工・許可件数」、「中古住宅販売件数」が18、19、20日にそれぞれ発表されたが、どれも11年後半の流れを引き継ぎ好調であった。一方、経済指標以外では国内で16日に「1月の地域経済報告(さくらレポート)、17日に「1月の政府月例経済報告」が発表されたが、さくらレポートでは“海外経済減速”の文言が多く見られ、9地域中、東北と四国を除く7地域が下方修正、月例経済報告では基調判断は据え置きとなったが、輸入が“緩やかに増加している”から “このところ増勢が鈍化している”、輸出が “横ばいとなっている”から “このところ弱含んでいる”へと修正され、円高や海外経済の減速感から国内経済が弱含み状態であることが判断できる。

 16日に発表された「11月の機械受注統計」の船舶・電力除く民需は市場予想の前月比5.6%増を大きく上回る前月比14.8%増で3カ月ぶりの増加、08年1月以来の増加率となったが、驚く結果ではない。8月に同11%増と2桁の増加を記録したが、その後の9、10月はそれぞれ同8.2%減、同6.9%減と2カ月連続の減少となり、11月は大幅な増加率となったが、受注額自体は7889億円で8月の8048億円を下回っている。基調判断も据え置きで“一進一退で推移している”と3カ月連続で同じ判断だ。リーマン・ショックがあり季節調整に若干の歪みが生じた可能性があるため原系列で見ると、設備更新が集中しやすい3、6、9、12月を除いて概ね6000億円台の後半で推移していることがわかる。主要な業種別では一般機械、電気機械、自動車、情報通信からの受注額が増加した。しかし、9、10月で投資を抑制していた反動、タイ洪水の代替生産への設備投資が重なったと考えると大幅増でもおかしくはない。海外景気動向や円高基調から当面の機械受注額は現状レベルで推移しよう。


「機械受注」~船舶・電力除く民需受注額と前年同月比伸び率の推移
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 米国では17日に「1月のNY連銀製造業景気指数」、19日に「1月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数」が発表された。NY地区は前月比5.3ポイント上昇の13.5、フィラデルフィア地区は市場予想の前月比4.2ポイント上昇と下回ったが、同0.5ポイント上昇と上昇基調は維持し、年末商戦は終わったが足元の状態は好調な様子だ。NY連銀製造業景気指数では、先行きを占う上で重要な“新規受注”が前月比7.7ポイント上昇で12月よりも上昇幅を拡大、年末の繁忙時期が終了したとはいえ、回復の勢いは翳りを見せない。一方のフィラデルフィア連銀製造業景況指数の“新規受注”は前月比3.8ポイント下落となったが、回答の構成比を見ると対前月で「増えた」が30.3%→34.5%、「横ばい」が46.0%→37.8%、「減った」が20.6%→27.6%と両極化していることから業種によって判断が分かれた可能性も考えられる。しかし、6カ月後を予想する先行き指数は前月比9.0ポイント上昇、5カ月連続の上昇となり楽観的な見方が広がっている。先行き指数の内訳で注目したいのが“設備投資”で前月比12.1ポイント上昇と大幅な上昇となった。回答の構成比も「減らす」、「変わらず」が減少、「増やす」が増加し、米国経済は回復路線をしっかりと歩み始めたといえる。


NY連銀、フィラデルフィア連銀製造業景況指数の推移
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 18日から20日に立て続けに発表された住宅関連指標、「1月の住宅市場指数」、「12月の住宅着工・許可件数」、「12月の中古住宅販売件数」は着工件数、許可件数は減少したが、概ね好調。まず18日に発表された「1月の住宅市場指数」は前月比5ポイント上昇の25、4カ月連続で2ポイント以上の上昇となり07年6月の実績である28以来の25以上となった。地域別でも北東部、中西部、南部、西部全ての地域で上昇、且つ20以上の結果を残し12年に入っても回復の勢いには翳りがなく逆にその勢いは強まっている様子だ。19日に発表された「12月の住宅着工・許可件数」では着工件数が前月比4.1%減、許可件数が前月比0.1%減と減少したが、どちらも集合住宅がそれぞれ同28%減、6.3%減と大きく減少したためで、一戸建ては同4.4%増、1.8%増と3カ月連続増加となり客足は再び一戸建て住宅に戻りつつある。そして20日に発表された「12月の中古住宅販売件数」は前月比5.0%増、3カ月連続増加で新築住宅のみならず中古住宅市場も好感の持てる結果となった。発表元であるNARのチーフエコノミスト、ローレンス・ユン氏は「最近の販売件数傾向は住宅市場が回復する裏づけとなっている」とコメントしている。これは最近の住宅価格のバーゲンプライス状況や住宅ローンの30年固定金利が統計開始以来4%を下回る低水準で推移していることからもわかろう。仮に住宅購入意欲が高まりすぎて住宅価格が上昇したとしても、雇用環境が着実に改善しつつあることから住宅販売件数が再び減少傾向に陥る可能性は小さく、いずれにせよ米国経済回復への歯車は回り始めたと理解してよかろう。


住宅市場指数、一戸建て住宅着工件数の推移
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S&Pケース・シラー20都市住宅価格指数、中古住宅販売件数、住宅ローン30年固定金利の推移
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今週発表 … 米国で一般教書演説、スイスで世界経済フォーラム開催とビッグイベントが目白押し

 今週は国内で25日に「12月の貿易統計」、27日に「12月の全国消費者物価指数」、海外の米国では25日に「12月の仮契約住宅販売指数」、26日に「12月の耐久財受注」、「12月の新築住宅販売件数」、「12月の景気先行指標総合指数」、27日に「10~12月のGDP成長率(速報値)」、「1月のミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)」が発表される。国内貿易統計のコンセンサスは1500億円の赤字で3カ月連続の赤字は免れそうにないが11月の貿易赤字額6876億円からは赤字幅が大きく縮小する見通しでタイ洪水の影響も底を打ち輸出額の持ち直しが考えられる。米国のコンセンサスは新築住宅販売件数が前月比1.6%増、GDP成長率は前期比年率で3.0%増と11年末の好調さを表す予想となっている。また米国では24~25日にFOMC、24日に大統領一般教書演説、25~29日にはスイスのダボスで世界経済フォーラムが開催され、いずれもユーロ圏財政状態についての見方を述べることが予想できるため、今週は目が離せない展開になりそうだ。

(浅枝)

主な決算発表予定

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