マーケットレポート

マーケットの視点

悲観ニュースが続いてもマーケットは堅調推移、今週以降は決算発表が本格化するが裏腹に好内容が多いと予想する

・ 先週は不安を募らせるような厳しい見方を示す重要イベントの発表が続きマーケットの楽観ムードは一服しているが、大勢に大きな変化はないと判断され今週の世界株市場も堅調な推移を辿ろう。先週のイベントとは具体的に、24日…①白川日銀総裁が金融政策決定会合後の記者会見で国内の実質GDP成長率を10月予想に対して11年度を0.3%→‐0.4%とマイナス成長とし12年度も2.2%→2.0%と下方修正、海外経済減速と円高で国内景気の回復は12年1~3月期から12年度前半にずれ込むとした、②IMFが世界経済見通しの見直しを発表、前回の昨年10月発表に対して軒並み下方修正となり世界全体は12年4.0%→3.3%、13年4.5%→3.9%、特にユーロ圏を1.1%→‐0.5%、1.5%→0.8%と12年をマイナス成長とし、日本も2.2%→1.7%、2.0%→1.6%とした、③第180通常国会で野田首相が施政方針演説で改めて消費税を14年4月より8%、15年10月より10%に引き上げることを宣言した(IMFは日本の消費税10%への引き上げでも不十分と指摘)、25日…④財務省が貿易統計で日本の11年の貿易収支が2兆4927億円の赤字と第2次石油危機の1980年以来、31年振りの赤字になったと発表、⑤バーナンキ米FRB議長がFOMC後の記者会見で経済見通しを下方修正した上で長期的な物価上昇率の目標を2%にし同時にゼロ金利政策は14年終盤まで続けると発言、27日…⑥米商務省が11年10~12月期の実質GDP成長率を2.8%増と発表、これは7~9月期の1.8%増を上回り10年4~6月期3.8%増以来の高い伸びでこのところの米国経済指標の好調を裏付ける結果となったが、市場予想の3.0%増は下回った。

・ 欧州債務問題が世界経済に与える影響の大きさを改めて確認することになる発表が相次いだ。足下の経済指標の内容が比較的力強い米国に対してさえも先行きの景気見通しに関しては警戒感が強い。また、米国が14年終盤までのゼロ金利政策継続を宣言したことでドル弱基調が続く見通しなことから“超円高”脱却へのイメージが描き難い。その一方で、FRBが金融緩和策第3弾“QE3”実施に踏み切ると予測する声が高まっている。それだけ世界経済減速への警戒感が強いことを表しているが、反面、QE3に対する期待感、そして実際にQE3が実施されれば投資マネーの流動性増大がマーケットを押し上げることになろう。中国、インド、ブラジルなど新興国では既に利下げ局面に入っており、最近の一連の世界経済見通しの下方修正は各国に対する“警告”的要素が強いが、各国とも利下げ実行などで既に対処策を講じている段階であり、“後追い的な念押しの警告”のようでもある。マーケットはそのことを認識していると考えられることから、結果的に堅調な推移が続くと予想する。

・ 先週から日本の3月決算会社の決算発表が始まったが、象徴的な下方修正が続いた。日本電産は12.3期の営業利益を7月時点予想の900億円、前期比0.6%減から今回700億円、同23%減へと横ばいから一転、二桁減益とした。しかし、永守社長はもちろん全く元気そのもので鼻息は益々荒い。浸水したタイ工場は新鋭設備への総入れ替えを行っており、この際、今期中に出来る限り前倒しして費用計上する計画だ。来期は、生産効率が格段に高まった工場での大幅増産、しかも品薄を理由にHDD価格の値戻しが進むと同時に同社製モータなど多くの部品の価格是正も進み、収益のリバウンド効果は大きそうだ。任天堂は今期3度目の下方修正で12.3期の営業利益見通しを前回の10億円の黒字から450億円の大幅赤字へとした。さぞや岩田社長はうな垂れているだろうと思い決算説明会に出席したが、意外に元気だった。3DSの戦略間違いを素直に反省、それを生かし12年に投入する「新型Wii」での巻き返しを誓った。3DS自体にもようやく手応えを掴んでいるようだ。負け惜しみと聞こえないでもないが、やはり12.3期のV字回復の可能性は高いと感じる決算説明会の内容だった。また、日立国際電気は営業利益を前回予想の70億円、前期比77%増を80億円、同2倍へと上方修正。TV不振で映像・無線事業は厳しいが半導体製造装置が予想外に回復しており、これは東京エレクトロンでも同様。半導体設備投資に回復傾向が表れるということはハイテクが持ち直すことを意味しており、液晶TV苦境と円高で痛手を被っている電機セクターにとって吉兆だ。但し、大幅下方修正、大規模リストラを発表したNECの不振は構造改革の遅れが目立つ同社固有の問題と考える。今・来週とほとんどが決算発表を終えるが、表面上の下方修正とは裏腹に好評価すべき内容が多いと予想する。


(中島)


先週のマーケットの動き


各国マーケットの動き
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今週の主要スケジュール

今週のスケジュール
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◆内外経済指標より

先週発表 … 2011年は80年以来31年ぶりの貿易赤字だが、震災等一時的な要因が大きい

 先週は国内で25日に「12月の貿易統計」、海外では米国で26日に「12月の耐久財受注」、「12月の新築住宅販売件数」、「12月の景気先行指標総合指数」、27日に「10~12月のGDP成長率(速報値)」、「1月のミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)」が発表された。経済指標以外では国内で23~24日に「日銀金融政策決定会合」、米国で24日に「大統領一般教書演説」、24~25日に「FOMC」が開催された。米国の「12月の新築住宅販売件数」は前月比2.2%減と4カ月振りの減少となったが、冬場の需要低迷シーズンでありブレが大きく気にする必要はなかろう。「10~12月のGDP成長率(速報値)」は前期比年率2.8%増で市場予想の同3.0%を下回ったが、7~9月の同1.8%増から大きく増加率を拡大、米国経済が着実に回復に向かっていることに注目すべきだ。

 25日に発表された「12月の貿易統計」は輸出額が5兆6236億円、前年同月比8.0%減、輸入額が5兆8287億円、同8.1%増で収支が2050億円の赤字、10月から3カ月連続の貿易赤字となり、また、年ベースでも速報段階だが1980年の2兆6128億円以来、31年ぶりの貿易赤字となった。貿易赤字となった主因はやはり自然災害によるサプライチェーン寸断と生産停滞、輸入燃料の増加だろう。月次輸出額の前年同月比伸び率の推移を見ると、大震災直後11年3月の前年同月比減少2.3%減から7月の同3.4%減まで5カ月連続の減少が続き、その後8、9月と前年同月比増加に戻ったが10~12月はタイ洪水で再び減少に転じた。一方、11年の月次輸入額伸び率は一貫して前年同月に対して増加が続いた。東日本大震災後の福島第一原発事故より国内電力源が火力発電にシフト、火力発電原料の燃料であるLNGの輸入量が増加、さらに資源価格高騰も追い討ちをかけ輸入額の上昇が続いた。新聞等では貿易赤字定着からわが国の経常赤字が仄めかされているが、少なくとも2010年代には赤字状態に陥ることはなかろう。確かに資源価格の高止まりが続き現状の輸入額で推移すると思われるが、11年の輸出額については、“超円高”、“相対的に高い人件費・法人税率・電力料金”、“サプライチェーン寸断”、“外需停滞”と国内製造業の輸出面にとっては非常に厳しい環境であったことを忘れてはならない。このうち“サプライチェーン断絶”は自然災害による一時的な影響であり、“外需停滞”と“超円高”も永続的ではなくEU、米国の回復につれていずれ解消されるだろう。“相対的に高い人件費・法人税率・電力料金”がネックとなり生産の海外シフトが始まっているが急速にシフトするわけでもなく、技術流出を懸念して生産を国内に留めておく企業も考えられる。むしろ、これほどまでに厳しい環境の中で11年の輸出額伸び率が前年比2.7%減と1桁台の減少に留まったことを評価すべきであろう。


「機械受注」~船舶・電力除く民需受注額と前年同月比伸び率の推移
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 一方の米国では24~25日にFOMCが開催され、政策金利については現行の0~0.25%で据え置いた。FRBは今回のFOMCから透明性の向上を図るため政策金利の見通しを公表し、事実上のゼロ金利政策を少なくとも14年終盤まで継続するとの見方を示した。また、足元で回復している米国経済については“着実に回復しているが、いらだたしい程遅い”との見方を変えず現状の回復基調にあっても非常に慎重な姿勢を示していることから、必要とあらば、いつでもQE3を実施する意思があることが感じられる。

今週発表 … 国内の鉱工業生産、米国の景況感、雇用統計とも景気回復基調の予想

 今週の国内では31日に「12月の労働力調査」、「12月の鉱工業生産」、米国では30日に「12月の個人所得・消費支出」、31日に「1月のシカゴ購買部協会景気指数」、「11月のS&Pケース・シラー住宅価格指数」、2月1日に「1月の製造業ISM指数」、3日に「1月の非製造業ISM指数」、「1月の雇用統計」が発表される。コンセンサスは国内の鉱工業生産が前月比2.9%増、完全失業率が4.5%、有効求人倍率が0.70倍、米国のシカゴ購買部協会景気指数が前月比0.5ポイント上昇、製造業ISM指数が前月比0.6ポイント上昇、非製造業ISM指数が同0.7ポイント上昇、雇用統計の失業率が8.5%で前月比横ばい、非農業部門雇用者数が前月比15万人増で7カ月連続10万人以上の増加となる見通しで、日米共に景気回復基調の予想となっている。

(浅枝)

主な決算発表予定

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