マーケットレポート

マーケットの視点

好調な米国株市場が世界同時株高を牽引、戻りの鈍い日経平均株価も9000円台回復へ、家電大手3社の底値買いを

・ 先週の世界株市場は特に週末にかけて欧米市場が力強い展開となった。牽引役は米国である。週末に発表された「1月の雇用統計」はマーケットに対する強気姿勢を増長する内容だったことが大きい。失業率は5カ月連続で低下し8.3%と09年2月に並ぶ水準にまで回復、非農業部門雇用者数は24.3万人と市場予想の13.5万人を大幅に上回るビッグサプライズとなった。年末商戦に注力するために12月の雇用者数を駆け込み的に増やしたことの反動で1月に対する悲観的な見方が多かっただけに、改めて米国の景気回復の確かな足取りを再認識する結果であった。先週末の3日のNYダウは「1万2862ドル23セント」とリーマン・ショック後の高値でもある昨年来高値の11年4月29日「1万2810ドル54セント」を一気に更新、NASDAQも「2905.66ポイント」とやはり同日の「2873.54ポイント」を更新、2900ポイント台は実にITバブル崩壊直後の00年12月以来の記録であり、NYダウも08年5月6日の「1万3020ドル83セント」、同年1月以来の1万3000ドルの大台突破に向かう動きになりそうだ。米国株市場以外でも軒並み株高が続いている。独DAXが年初来14.7%、昨年11月24日を起点とする24.7%の上昇となったことを筆頭に、ほぼ年初来では10%前後、昨年11月の安値からは15%前後~20%の上昇率を記録している。

・ 一方、日経平均株価に関しては相変わらず戻りの鈍さが目立っている。先週末の株価も、大手電機中心にショッキングな業績下方修正が相次いだこと、再び円高、なおかつ米国の「1月の雇用統計」発表直前の警戒心から前日比“44.89円安”で引けたことで週間ベースでは4週間ぶりの下落となって終わった。しかし、2月3日まで東証2部指数は14営業日連続、日経ジャスダック指数は13営業日連続での上昇を続けており、決して日本株に対する見方が弱気一辺倒という訳ではない。先週中に主要企業の決算発表はほぼ出揃い、結果的としては総じて厳しい内容が多かったが、むしろその内容が明らかになって来期業績の回復への期待感が高まることで、ようやく日本株市場も本格的なリバウンドを描き9000円台乗せを実現すると予想する。

・ 今回の決算発表の中で、シャープ、ソニー、パナソニックの大幅な下方修正は圧巻、12.3期の最終損益をシャープ2900億円、ソニー2200億円、パナソニック7800億円の赤字と公表した。リーマン・ショック時の09.3期には日立が製造業としては日産自の00.3期6843億円を上回る過去最大の7873億円、パナソニック3790億円、東芝3436億円、シャープ1258億円、トヨタ4369億円、日産自2337億円の最終赤字となったが、今回は日立2000億円、東芝650億円、トヨタ、日産自が各々3000億円程度の黒字を確保する見通しで、特に家電大手3社の厳しさが目立つ。更には、海運3社が郵船310億円、商船三井270億円、川崎汽540億円、高炉大手も新日鉄はゼロ予想としたがJFE400億円、住金550億円、神戸鋼100億円の最終赤字の見通しを公表した。

・ パナソニックの赤字幅は00.3期の日産自を抜き日立の09.3期に迫る。つい3カ月前に発表した見通しから大幅下方修正となった背景ははっきりしており、概ね①米ドル以外の円高進展、②タイ洪水の影響、③世界経済が欧州沈下と新興国停滞で急減速、④薄型TV需要の急ブレーキの4点だ。中でもタイ洪水の影響と液晶TV不振は意外に業績へのマイナスインパクトが大きかった。シャープ、ソニー、パナソニックの3社は、液晶TVへの過大な投資戦略が痛撃となり、加えてシャープ、パナソニックの場合は太陽電池の大幅赤字が響いた。ただ、今回の大幅な最終赤字は一過性の費用計上が大きなウエイトを占める。パナソニックは固定資産減損3150億円、三洋電機の暖簾代減損2900億円、早期退職金等1590億円の合計7640億円、シャープは液晶・太陽電池の事業構造改革費用・在庫評価減等830億円、和解金・繰延税金資産取崩1300億円の合計2130億円、ソニーはサムスン電子との合弁解消に伴うS-LCDの減損634億円、タイ洪水の影響700億円、構造改革費用50億円の合計約1400億円だ。13.3期にはこれらの一過性の費用が解消する上に構造改革効果が寄与することで収益急回復に転じることは間違いない。3社に対して日経新聞が“興亡の岐路”と評するなど悲観的な見方が多いが、3社とも12.3期に抜本的な改革費用を計上した上で再飛躍に向けた成長戦略を明確に打ち出していると判断している。かつて日産自は翌期に、日立は翌々期に史上最高業績を達成している。底値買いのチャンスでもあると考える。


(中島)


先週のマーケットの動き


各国マーケットの動き
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今週の主要スケジュール

今週のスケジュール
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◆内外経済指標より

先週発表 … 12月の鉱工業生産は前月比4.0%増、11月に急落した情報通信、輸送機械が牽引

 先週は国内で31日に「12月の労働力調査」、「12月の鉱工業生産」、海外では米国で30日に「12月の個人所得・消費支出」、31日に「11月のS&Pケース・シラー住宅価格指数」、「1月のシカゴ購買部協会景気指数」、「1月のCB消費者信頼感指数」、1日に「1月の製造業ISM指数」、3日に「1月の非製造業ISM指数」、「1月の雇用統計」が発表された。国内の完全失業率は季節調整済で前月に対し0.1ポイント上昇で悪化したが、原数値での完全失業者数は前年同月比2万4000人減、前月比5000人減と減少傾向が続いていることには変わりなく悲観的になる必要はなかろう。米国景況感関連指標については、31日発表の「1月シカゴ購買部協会景気指数」は前月比2.0ポイントの下落で2カ月連続下落、内訳は新規受注が前月比3.5ポイント下落とこちらも2カ月連続下落となり楽観的な見方に翳りが見られたが、1日に発表された製造業ISM指数は1.0ポイント上昇、3日に発表された非製造業ISM指数は3.8ポイント上昇となり、依然として景況感の回復傾向は維持していることには変わりないと判断される。

 31日に発表された国内の「12月の鉱工業生産」は前月比4.0%増で震災後の11年5月の同6.2%増以来の大幅な増加率で市場予想の同2.9%増も大きく上回る結果となった。11月分ではタイ洪水の影響で部品調達に支障をきたし情報通信機械工業が同24%減、輸送機械工業が同9.5%減となったが、12月はそれぞれ同35%増、同12%増と11月に急落した反動も含まれるが増加率1、2位となった。品目別では携帯電話が前月に対し約2倍、デジタルカメラが同66%増、液晶テレビも同7.2%増とアナログ放送終了後では初めて前月比増加となった。また、カーナビゲーションが42%増、カーオーディオが同40%増となり、自動車生産の回復傾向が情報通信機械の生産増を牽引していることもわかる。実際に普通乗用車、小型乗用車、軽乗用車はそれぞれ同17%増、同17%増、15%増と二桁の増加率となっている。問題は1、2月の見込みであるが、製造工業生産予測では1月が同2.5%増、2月が同1.2%増と増加傾向が続く見通しである。輸送機械工業の1月は同3.5%増、情報通信機械工業は同17%増の予測でり、その他の業種においても鉄鋼業が1月は同4.8%増、2月は3.6%増、金属製品工業も1、2月は増加の見通しであり、復興需要の本格化を睨んでの増産を計画している模様であり、当面は増加基調が続く可能性が高い。


「鉱工業生産」~生産指数、生産指数前月比伸び率の推移
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 3日に米国労働省から発表された「1月の雇用統計」は非常に力強い結果となった。失業率は8.3%で先月に続きリーマン・ショック後の最低を更新、非農業部門雇用者数は市場予想の13万5000人増を大幅に上回る24万3000人増となった。1月の失業保険申請件数は前週末比で2万7000人増、4万7000人減、2万4000人増、1万2000人減と一進一退を繰り返していただけに、意外に力強い結果であったといえる。雇用者数の業種別内訳においても建設が前月比2万1000人増、卸売が同1万4000人増、レジャーが同4万4000人増と先月に続きほぼ全般的に増加、中でも製造業が同5万人増と先月の同3万2000人増より増加幅を拡大し製造業雇用者数増加の勢いが増してきている。オバマ大統領が1月24日に行った一般教書演説で製造業の米国内への回帰に対する強い意気込みを示したこともあり、今後も製造業雇用者数の増加傾向が続くことへの期待は高い。また、7日にFRBバーナンキ議長の議会証言が予定されており、1月のFOMCでは慎重な姿勢を見せていただけに、今回の雇用統計結果を受けての今後の雇用環境についてのコメントに注目したい。


完全失業率、非農業部門雇用者数前月比増減幅の推移
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今週発表 … 「12月の機械受注」11月の反動で前月比5.0%減の市場予想

 今週は国内で7日に「12月の景気動向指数(速報値)」、8日に「1月の景気ウォッチャー調査」、9日に「12月の機械受注統計」、海外では米国で10日に「2月のミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)」が発表される予定だ。機械受注では船舶・電力除く民需が前月比5.0%減の市場予想だが、11月分が同15%増と予想外に上振れたこと、市場予想が外れやすいことを考えるとさほど気にする必要もなかろう。ミシガン大学のコンセンサスは前月比1ポイント下落の予想でFOMC記者会見から先行きに対し若干慎重な見方に傾いてきたことから妥当な予想だといえる。

(浅枝)

主な決算発表予定

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