マーケットレポート

マーケットの視点

高値警戒強く上昇一服だが世界的な金融緩和期待が下支え、日経225ベースの予想EPSは今期急落だが来期急回復へ

・ 先週は、週末にかけて再びギリシャ問題に揺さぶられたものの、基本的には堅調なマーケット展開が続いた。但し、NYダウは9日まで3営業日連騰でリーマン・ショック後の高値を更新したが1万3000ドルの大台を目前に上昇幅は8日“5.75ドル”、9日“6.51ドル”と小幅に止まり、NASDAQも同じく3営業日連騰、8、9日とリーマン・ショック後の高値更新となったが3000ポイントの大台を前にして上げ渋っている。日経平均株価も先週予想した通りに8日に「9015円59銭」と10月28日「9050円47銭」以来の9000円台回復となったが、日本時間の10日、欧州時間の9日未明にギリシャの連立与党が緊縮策「債務残高の大幅削減、赤字体質脱却し企業の競争力を高める」ことの合意に達したと発表、為替も10日に77円/米ドル台、103円/ユーロ台と円安気味に振れたにも拘わらず、9、10日と続落し週末株価は結局、大台を維持出来ずに「8947円17銭」で終えた。

・ ギリシャでは9、10日に2大労働組合がゼネスト決行、4月に議会選挙を控えていることもあり、過去の経緯からしても緊縮策を厳密に遂行して財政改善の方向に確実に向かえるかどうかに対する信頼感が薄い。欧州時間の9日夜に開催されたユーロ圏財務相会議で追加支援の結論を15日に再協議して決めることに先送りした。おそらくは追加支援1300億ユーロの供与は決まり、3月20日の145億ユーロの国債償還を乗り切り、デフォルトを回避する可能性は高いとは考えられるものの、ギリシャ不安は完全には消えず尾を引くことになりそうだ。今回の一連のドタバタ劇の中で10日の欧米株市場は急落して引けた。もっとも、欧州債務問題に対する緊張緩和、米国景気の予想以上の回復ぶり、米国企業の業績好調で続いた世界同時株高に対して決算シーズンが終わったこともあって、高値警戒が強く上昇一服状態から反落だ。従って、世界株全般に次の上昇の強いきっかけが出てくるまでは再び膠着状態が続き、むしろ悪材料に反応して下落する展開が続くと予想する。

・ 9日に英国中央銀行は金融政策決定会合で英国債等を買い取るなどの量的金融緩和策の枠を2750億ポンドから3250億ポンドに拡大、インドネシア中央銀行が政策先金利を6%から5.75%に引き下げた。また、米国FOMCで投票権を持つメンバーが交代し、次回の3月13日の会合から地区連銀総裁5人のうち金融緩和反対派が3人から新布陣では1人になった。このため、米FRBが量的金融緩和策第3弾(QE3)などの政策措置を実行し易くなったと言えることから、世界的な金融緩和期待が継続することが世界の株式市場を支えることになろう。ところで、世界最大の投資持株会社であるバークシャー・ハザウェイの年次報告書の「株主への手紙」でウォーレン・バフェット氏は、債券など通貨連動資産を「最も危険な投資先」と位置付けるとともに、高値圏で推移する金についても「用途が少なく何も生産しないという2つの大きな欠点がある」と酷評し、自身が率いる同社の目標は「一流企業の保有を増やすことだ」と明言して株式相場になお強気の姿勢を示したという。

・ 日経平均株価は、11年10~12月期決算発表で液晶不況、超円高、世界経済減速の影響が予想以上に大きく、繰延税金資産の取崩費用の計上もあって大幅下方修正が相次ぎ予想PERが20倍台まで上昇している。野村証券の試算によると、法人税率引き下げに伴う繰延税金資産の取崩費用の総額は、上場企業全体で3兆円に達するとのことだ。このため、日経225ベースの11年度予想EPSは急落している。日々発表されている日経225ベースの予想PERと日経平均株価から算出される予想EPSは、7~9月期決算発表直後の11月30日の「597.78円」に対し12月30日「572.86円」、1月31日「549.13円」と10~12月決算発表が本格化するまでは緩やかに落ちていたが、主要企業の決算発表が終えた先週末の2月10日に「446.02円」と急落している。これは11月30日のEPSに対して“25.4%”もの下方修正、前期実績の「566.64円」に対して“21.3%減益”の見通しとなっている。このため、今期予想PERは“20.06倍”にまで跳ね上がった格好だ。しかし、来期は大震災、タイ洪水の影響が解消し、家電3社などの巨額の特損計上もなくなり、繰延税金資産の取り崩しも一巡することで大幅増益、来期予想EPSは700円程度になる公算が大きい。このため、収益急回復が明らかになってくれば700円×15倍などの水準である日経平均株価1万円台乗せは充分にあり得る。


(中島)


先週のマーケットの動き


各国マーケットの動き
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今週の主要スケジュール

今週のスケジュール
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◆内外経済指標より

先週発表 … 「景気ウォッチャー調査」先行き判断は7カ月ぶりに上昇、12年の回復に期待

 先週は国内で7日に「12月の景気動向指数(速報値)」、8日に「1月の景気ウォッチャー調査」、9日に「12月の機械受注統計」、海外では米国で7日に「12月の消費者信用残高」、10日に「12月の貿易収支」、「1月の財政収支」、「2月のミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)」が発表された。統計指標以外で重要であったのが9日に開催された「ECB理事会」と同日夜の「ユーロ圏財務相会合」だ。会合ではギリシャに財政緊縮関連法案の提出を要求、その後の2月15日に再び財務相会議を開催し追加支援の最終決定に踏み切る模様だ。米国経済指標では消費者信用残高に注目したい。前月比193億ドル増と11月の同203億ドルに続き2カ月連続200億ドル前後の増加で借入れによる消費意欲と余力が上昇してきたと考えられる。しかし、12年1月のCB消費者信頼感指数は前月比3.7ポイント下落、ミシガン大学消費者信頼感指数では1月は同5.1ポイント上昇したが、2月速報値では同2.5ポイント下落したことから年明けから消費者心理の回復がもたついているため、信用残高についても今後の1、2月の推移を確認する必要があろう。

 8日に「1月の景気ウォッチャー調査」が発表されたが、現状判断は前月比2.9ポイント下落と2カ月ぶりの下落となった。震災後に急回復し7月には52.6と07年3月以来、50を上回ったが、その後は欧州債務問題を背景とする世界経済減速懸念で下落基調が続き12年1月は昨年7月以降で最低値となった。内訳では家計動向が年末・正月商戦が盛り上がった反動、且つ1月中旬以降の天候不順から同3.7ポイント下落、企業動向では「円高影響で受注量が減った」などのコメントが多く見られ、以前よりも円高に対する不安が深刻化している模様だ。一方の先行き判断は前月比2.7ポイント上昇、7カ月ぶりの上昇となり、10年8月の47.1の水準にまで一気に回復した。内訳でも家計動向、企業動向、雇用とも全ての項目で前月比上昇となった。コメントでは新年度に向けて消費が活発化する季節的要因やエコカー補助金復活、企業動向では建設や鉄鋼などで復興需要の本格化に期待する声が多く聞かれる。また、「外国為替市場でユーロが少しずつ戻っているので欧州からの受注に期待ができる。また国内も本格的な復興需要が出ると見ている」や「取引先と話をしていても、どの業界の雰囲気も明るくなっている。一部の得意先では、2~4月の受注は既に前年の1.5~2倍となっているため、景気は良くなっていく」など海外景気の回復や心理的な明るさが見られるコメントもあり、12年の回復にかける思いは非常に大きいといえる。


「景気ウォッチャー調査」~現状判断、先行き判断の推移
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 9日に「12月の機械受注統計」が発表されたが、今回は四半期ベース、暦年ベースも同時に発表された。船舶・電力除く民需の11月は前月比14.8%増と市場予想以上に増加した反動で12月は同7.1%減、市場予想の同5.0%減を下回ったが企業の設備投資意欲次第なのであまり大きな影響はないと考えられる。また、四半期ベースで10~12月は前四半期比2.6%減となり4四半期ぶりの減少となったが、10~12月は欧州や中国などの景気停滞や減速感などから企業が慎重な姿勢をとったに過ぎず、12年からは警戒感が薄れ始めていることから再び緩やかな回復基調に戻ろう。暦年ベースで11年は前年比7.2%増と10年の同8.3%増に続き2年連続で増加した。11年は前半に東日本大震災、後半には欧州債務問題、中国では利下げによる景気回復の鈍化、さらにはタイ洪水など内外需が冷え込んだ年であり、補修や修繕、設備更新なども下支えとなったがリーマン・ショックからは順調に回復しているといえる。先行きについては、12年1~3月見通しは前四半期比2.3%増を再び増加に転じる見通しとなっている。


「機械受注」~船舶・電力除く民需受注額の前四半期比伸び率の推移
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今週発表 … 10~12月GDP成長率は2四半期ぶり減少の予想、住宅投資・輸出減が主因

 今週の国内では13日に「10~12月のGDP成長率(第一次速報)」、海外では米国で14日に「1月の小売売上高」、15日に「2月のNY連銀製造業景気指数」、「1月の鉱工業生産」、「2月の住宅市場指数」、16日に「1月の住宅着工・許可件数」、「2月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数」、17日に「1月の消費者物価指数」と、重要指標が相次いで発表される予定だ。米国経済指標のコンセンサスは小売売上高が前月比0.7%増、輸送機器を除くと同0.5%増、NY連銀製造業景気指数は前月比0.6ポイント上昇、フィラデルフィア連銀製造業景況指数は同1.1ポイント上昇、住宅市場指数は前月比1ポイント上昇、建設許可件数は前月比1.3%増、着工件数が同2.0%増と、景況感、住宅、個人消費は前年からの回復傾向が続く見通しだ。注目すべきは国内のGDP成長率だが、やはり10~12月は海外経済の停滞と住宅金利優遇政策の打ち切りが足を引っ張った模様で実質成長率は前期比年率1.4%減で2四半期ぶりの減少の予想だ。内訳では個人消費は前期比0.2%増で震災以降は増加を続け3四半期連続の増加、設備投資は2四半期ぶりに増加し同0.6%増だが、住宅投資が同1.2%減、輸出が同2.5%減となっている。しかし、住宅ではエコポイント制度、住宅金利優遇政策の復活、輸出では米国経済の復活と欧州財政再生へのメドが突きつつあることから、どちらも1~3月では増加に転じると推測される。

(浅枝)

主な決算発表予定

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