マーケットレポート

マーケットの視点

NYダウ1万3000ドル突破と力強い展開、日本株市場も過熱感ある中でも力強い動きで1万円超えあっても違和感はない

・ 先週のマーケットは好悪材料が入り混じる中で力強い展開となった。いきなり27日にエルピーダメモリが会社更生法の適用を申請、負債額4480億円は製造業としては過去最大の規模。同社以前の大型倒産は98年8月の三田工業2056億円、01年11月の新潟鐵工所2270億円、03年11月の都築紡績2418億円であったので、これらのほぼ2倍の規模であり、改正産業活力再生特別措置法(産活法)適用の第1弾だったこと、「ルネサスエレクトロニクス」と並ぶNEC・日立・三菱電機を発祥とする日本再生を目指した “日の丸半導体”の1社であること、韓国企業との競合に打ちのめされたことなど、非常に重い内容の、日本企業の将来のあるべき姿を深刻に考えさせることになる重要な倒産劇である。更に、24日に明らかになっていたAIJ投資顧問の年金運用資金消失事件の概要が刻々と伝えられる中にあっても、日経平均株価は29日にザラ場高値「9866円41銭」を付けるなど9900円突破を窺う力強い動きを続け、結果的に週末株価は「9777円03銭」と前週末比“129.65円高”と、11年24日~2月18日以来の4週連続の上昇となった。

・ 米株市場も堅調で、NYダウは28日に「1万3005ドル12セント」とついに08年5月19日の「1万3028ドル16セント」以来の1万3000ドル乗せを達成、NASDAQは1日に「2988.97ポイント」と3000ポイント台に一段と迫った。28日発表のカンファレンスボード:「2月の消費者信頼感指数」が“70.8”と1月の61.5から大幅上昇、かつ市場予想の64.4をも大きく上回り、米国景気回復の力強さが改めて確認された。29日にはECBが期待通りに 5295億ユーロの3年物資金供給オペを欧州銀行800行に対して実施した。昨年12月に実施した500行への4892億ユーロと合わせ1兆ユーロ強の資金供給を実施したことから、当面は欧州銀行間での資金ショートを心配する必要はなくなり、金融不安が遠のくことがマーケットに与える安心感は大きい。一方、29日の米国下院金融サービス委員会でバーナンキFRB議長が議会証言、「米国GDPは11年後半の年率2.25%に近いかやや高いペースで成長する」と発言したことで量的緩和第3弾(QE3)の実施はないとの観測に至ったことで金先物市況が急落するなど米国の金融緩和期待が弱まった。

・ 国内経済指標では、29日に発表された「1月の鉱工業生産」が前月比2.0%増と市場予想の1.5%増を上回り、基調判断を「横ばい傾向」から「持ち直しの動きが見られる」へと11年5月以来の上方修正を行った。なお、「持ち直しの動き」という表現は11年2月以来であり、東日本大震災前の状態にまで戻った。一時は予想以上のスピードで東日本大震災から立ち直りかけていたが、その後、超円高とタイ洪水の影響が回復軌道を腰折れさせかねない状況に陥りそうになった。しかし、年明け以降、タイ洪水の影響を概ね脱しつつあり、自動車、電機を中心に国内の生産回復が軌道に乗りつつあるという証拠である。更に、生産予測調査の結果では、2月が前回調査時の1.2%増を上回る1.7%増、3月も1.7%増と順調な回復を辿る見通しとなっている。予想通りとなれば3月の鉱工業生産指数は11年2月を上回って東日本大震災前の水準を回復し、1~3月期は前期比5.3%増と回復テンポが高まることになる。更に、タイ洪水被害の修復が済みタイでの現地生産が正常化するメドが立つのは3月末としている企業も多く、4月以降にかけて挽回生産が本格化することになり、12年度に入っての鉱工業生産が好調なスタートを切る公算は大きい。

・ 為替は既に超円高状態を脱したものと判断され、12年度通じての為替見通しが6年ぶりの前年度比円安に転じる可能性も高まっている。従って、11年度決算自体が1~3月期の為替想定76円/米ドル前後に対して大幅に円安に転じる見込みであり、合わせて生産回復に弾みが増していることからも業績上振れが予想される。更には、12年度業績に関しても東日本大震災、タイ洪水の影響が解消するだけでの反動プラスの収益効果は大きく、これに円安反転が加われば、一層、業績回復テンポが高まることになる。つい1月頃まで続いた不安材料の多くが一斉に払拭され、現時点ではマーケットの大きな死角となりそうなものが見当たらない。そして、今回のエルピーダの破綻、先週発表されたソニーに続くパナソニックの社長交代、新生「新日鉄住金」の概要がようやく見えてきたことなど、新しい日本企業の胎動が始まっているとも言え、日経平均株価1万円を超えが充分に期待されるマーケット展開になっても不思議はない。


(中島)


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