マーケットレポート

マーケットの視点

円安反転、海外要因安定、来期業績急回復を背景に1万円台の推移が続き、個別には株価上昇余地の大きい企業は多い

・ ついに日経平均株価1万円台が定着しそうだ。14日終値が一気に“151.44円高”の「1万50円52銭」と11年7月27日「1万47円19銭」以来の1万円台乗せを実現、先週末の株価は前週末比“200.09円高”の「1万129円83銭」で終え6週連続上昇となった。週間連続記録は10年11月1日の週~12月13日の週の7週連続「1101.38円、12.0%上昇」、そして10年2月8日の週~3月29日の週の8週連続「1229.00円、12.2%上昇」以来の記録だ。今回は、「1297.90円、14.7%上昇」と上昇幅、上昇率ともその2回を既に上回っている。10年11~12月の時はリーマン・ショックから回復後の一時的な踊り場脱出を契機とする株価回復で、この時はやはり5カ月ぶりに1万円台回復を達成し、その後、2月21日終値「1万857円53銭」まで上昇した後、東日本大震災に見舞われた。その前の8週連続記録の時は世界的にリーマン・ショックからの立ち直りが鮮明になって来たことを背景とする上昇で、この時もリーマン・ショック直後の08年10月2日以来の1万1000円台乗せを実現したが、翌週の月曜日に「1万1339円30銭」とリーマン・ショック後の高値を記録後、中国の金融引き締めやギリシャ問題深刻化を背景に急落に転じた。なお、今回は、週間ベースのローソク足が10週連続の「陽線」となっており、この記録は87年2月から6月にかけての17週連続以来、25年ぶりの記録である。

・ 更に、今週に入って祝日を控えながらも19日は5営業日続伸となり、終値は「1万141円99銭」と震災後の高値7月8日「1万137円73銭」を超え、いよいよ東日本大震災以前の株価水準を窺う展開となって来た。個別の株価では既に震災前の水準を回復する企業や、接近する企業が目立ってきている。日経225ベースのPBRがようやく1.13倍となったものの、米国2.3倍、中国1.9倍、韓国1.6倍、ドイツ1.5倍、世界平均1.8倍、先進国平均1.5倍と比較してなお低水準であり、なおかつ個別には東証1部企業全体の約6割が依然として1倍割れに放置されたままになっている。東日本大震災の復興は瓦礫処理が未だに全体の10%以下という進捗度で遅々として進まぬ厳しい状況が続いているが、大震災、タイ洪水と短時間のうちに2度もの歴史的な天災に見舞われた日本企業の“復活”に向けた動きはむしろ予想以上に力強く進んでいる。

・ しかも、今週に入り円/米ドルは円安への反転が一服気味となっているものの、対ユーロが110円台まで戻るなど、多くの他国通貨に対しても円安への反転ムードは継続しており、米国の景気回復が一層明確なものになりつつあることから、対米ドルも80円台での円安反転がジワジワと続きそうだ。足下の11年1~3月期はほぼ76円/米ドル程度と想定している企業が多かったことから、12.3期に対する増額修正要因として働きそうだし、年度ベースでは07.3期117円/米ドルから12.3期79円/米ドルまで5年連続の円高が続いて来たものが、13.3期に6年振りの円安に反転することが自動車、電機を中心とするグローバル業種の業績に与えるインパクトは大きい。例えば、自動車大手8社合計の営業利益は1円/米ドルで790億円変動するので、計算上、12.3期は大手8社合計で約5000億円のマイナスだったものが、13.3期は84円/米ドルと想定すれば逆に4000億円のプラス効果を享受することになる。大震災、タイ洪水の反動増、更には液晶TV関連のリストラ処理の反動増などもあり13.3期業績はまさにV字回復となることは間違いない。4月末以降に発表される決算発表では、例年は慎重な見通し発表が多いが、今回はプラスサプライズが頻発するような好結果が期待されそうだ。金融相場から業績相場へのスイッチが意外に早く到来する可能性がありそうだ。

・ 第1図を見ての通り日経平均株価は、年初来、急ピッチな上昇が続いて来ただけに過熱感から騰勢一服を指摘する声も多いが、日本企業を再評価し来期以降の業績急回復を見越した海外投資家の買い意欲が続くことに加えて、年初来10週連続で売り越しが続いている個人投資家がマーケットの強さに押されて「ヤレヤレ売り、逆張り買い」のスタンスから本格的な“リスクオン”に転じることも期待される。更に、銀行や生損保などの金融機関は運用資産の期末整理や「バーゼルⅢ」の自己資本規制強化を睨んで株式売却を積極的に行っているが、それが一巡すれば、債券運用益の悪化を補うために再び株式運用を積極化する可能性もあり得る。

・ また、このところ、証券会社のマーケットストラテジストが相場見通しを引き上げるケースが目立っている。第1図の年初来の上昇ぶりを見ると、確かに日本株市場は相対的に高いパフォーマンスを実現してはいるが、第2図に見るように東日本大震災、歴史的な円高で出遅れた日本株市場は依然として充分に挽回しているようには見えず、まだまだ挽回余地、株価の上昇余地はまだまだあるものと考えられる。また、日経平均株価としては現時点、今後の上昇余地が限られているかも知れないが、個別には“株価挽回余地”が未だに充分に大きい企業は多いと思う。例えば、来期業績がスケールの大きな回復になると予想される自動車セクター、世界的な金融システム不安に巻き込まれて株価沈下が続いた一方で、収益水準がピーク並みまで回復しているメガバンクなど、これからでも高いパフォーマンスを期待できる企業群は少なくないと考える。


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