マーケットレポート

マーケットの視点

日米中銀両首脳とも金融緩和姿勢を貫く方針強く、米国企業決算は好調、日本は先行きの増額期待は大きい

・大型連休を控えた先週は非常に密度の濃い1週間だった。日米企業の決算発表、米国の1~3月期GDP速報発表、米国FOMC、日銀・金融政策決定委会合とビッグスケジュールが連なりながらも、日経平均株価は9500円台、NYダウは1万3000ドル台、NASDAQは3000ポイント台を維持し、力強いマーケット展開が続いた。NYダウ、英FTSE、独DAXは27日まで4連騰、NASDAも3連騰で先週を終え、週明けの30日も堅調なままで終えている。むしろ、27日のNYダウ「1万3228ドル31セント」は年初来高値である4月2日「1万3264ドル49セント」に再び急接近するという好調ぶりだ。米国では27日までにS&P500対象のうち275社が12年1~3月期決算を発表したが、72%の企業は純利益が事前予想を上回る好結果を発表している。日本の決算発表も本格化、特に27日には主要企業の発表が相次いだが、総じて言えば13年3月期の業績急回復を示す企業が多かった。一方、FOMC開催後の25日に行ったバーナンキ議長の記者会見は微妙な内容で解釈が難しかったが、結果的にマーケットにとっては“中立”の判断になったようだ。27日の白川日銀総裁の記者会見に対しては、もっと踏み込んだ金融緩和策の提示を事前に期待する声が強かったが、現時点としては最大限の“デフレ対策”を主張したものと受け止めることが出来る。すなわち、日米双方の中銀首脳は今後も“金融緩和”姿勢を貫く方向性を示したことから、株式市場にとってはプラスであり、足下の米国マクロ指標の発表が斑模様となっていること、欧州不安が継続していることはあるものの、先行きの株式市場に対しては強気で臨みたいところだ。

・米国企業の決算の中では、24日発表のアップルはまさにビッグサプライズ。好調を予測してはいたが、桁違いなスケールの好決算を発表した。12年1~3月期は売上高が前年同期比59%増の392億ドル(3兆円強)、純利益が同94%増の116億ドル(9450億円)、iPhoneが88%増の3506万台、iPadが2.5倍の1180万台の実績だ。地域別売上高は米州132億ドル、同41%増、アジア太平洋102億ドル、同2.1倍、欧州88億ドル、同46%増、うち中国79億ドル、同3倍増、日本26億ドル、同91%増と、金融危機不安の欧州、景気減速懸念の中国をも含め万遍なく地球上の全てで売上高を大幅に伸ばしている。“規模が大きい上での高成長”という点は常識破りの凄まじい成長力を実現している。株価は4月10日に史上最高値644ドルを付けた後は600ドルを下回る水準にまで調整色を強めていたが、一気に600ドル台を回復、1000ドルを予想する強気も出現するなど、再び米国株市場を押し上げる大きな要因となっている。一時は業績、株価とも既に“峠”を越えたという見方もあっただけに、今後の新製品展開として予想されている「iPhone5」や「スマートTV」などの投入で、更に今後も歴史の常識を打ち破り続けることが出来るかどうかが大きな焦点だ。それが可能であれば、引き続き米国株市場を牽引するエンジン役であり続けよう。

<主要な日本企業の決算の注目点>

・日本企業の決算では予想通り、日本電産、ホンダなど13.3期の収益急回復を示す好決算が相次いでおり、第二ラウンドとなる5月7日以降の決算発表が一層、楽しみな展開となって来た。24日発表で25日午前に決算説明会を行った日本電産は次期見通しを営業利益950億円、前期比30%増と発表し説明会場内では物足りなさを感じるムードが漂っていたが、これに対し永守社長は「事務局が出してきたもっと強い数字を私が作り変えた。下方修正は私にとって“恥”だ。これは“経営者としての決意”であり、断固として下方修正はあってはならない」と語気を強めた。リーマン・ショック後の10.3期見通しに関して期初公表の営業利益450億円、前期比13%減を第1Q時に500億円、同4%減、第2Q時に580億円、同12%増、第3Q時に670億円、同29%増、そして最終的に783億円、同51%増と期初の減益見通しから一転して過去最高益を更新した10.3期のような展開を描いているように思える。もっとも今回は期初発表時点で既に2期ぶりに過去最高を更新する見通しとなっているが、為替動向次第で実力的には最終的に13.3期の営業利益は1200~1300億円程度まで跳ね上がっても不思議ではない。

・27日発表のホンダは13.3期の四輪車販売台数を大方の見方であった400万台を更に上回る430万台、前期比38%増、119万台も伸ばす計画を発表した。世界的な「CR-V」の売れ行き好調、国内での軽四輪車「N BOX」の成功、12年秋に米国投入する新柄「アコード」の自信など、この大幅な販売増加には確かな手応えを確信しているようだ。その上で、いつも慎重なホンダとしては珍しく13.3期の営業利益を6200億円、同2.7倍、16円増配の年間76円の配当金を打ち出した。営業利益は過去最高の08.3期9531億円に対して65%水準、配当金は08.3期の86円に次ぐ過去2番目の水準だ。なお、為替前提を80円/米ドルとし為替変動の影響はフラットとしており、1円/米ドル変動で170億円の影響があるだけに円安反転での利益上乗せ効果は大きい上に、今回の前提として研究開発費352億円の増加や販促費の大幅な増加を見込んでおり、米国市場での売れ行き次第ではインセンティブを抑えることが可能なことも利益上乗せとして期待される。すなわち、今回のホンダの見通し発表は意外に強気ながらも、なお、増額修正が期待される。

・25日発表のキヤノンは12.12月期見通しを、今回、売上高1500億円、営業利益600億円の増額修正を実施し、売上高3.9兆円、前期比10%増、営業利益4500億円、同19%増とした。為替想定を対米ドル75→80円、対ユーロを100→105円と変更したことが主な背景だ。各社とも、13.3期の為替前提は概ね80円/米ドル、105円/ユーロとしている。しかし、これ以上の円安となる可能性は高いため、この点での業績面での上乗せ効果への先行き期待は大きい。ましてや、TDKが77円/米ドルと想定したように、厳しいままに見ている企業も散見されるだけに、なおさら円安反転効果の収益寄与は大きいものと予想する。

・全日空の第4Q(1~3月期)は不需要期であり赤字決算となるのが通常だが、12.3期第4Qの営業利益は59億円の黒字で前年同期99億円の赤字から大幅黒転であり第4Qとしては史上最高となったとのことだ。燃油価格上昇を克服してのことで、収益体質が大幅に向上していることを表すもので、従来に比べて各段に収益安定性が高まっていることに注目すれば株価の評価は依然として低いままだと考える。

・また、コマツは13.3期予想の営業利益3150億円、前期比23%増を市場コンセンサス通りで期待外れだとされたが、足下の足踏みが続いたままの中国、金融不安が続く欧州、一向に住宅市場が回復しない米国という状況のなかでの連続二桁増益の提示であることをもっと評価すべきだろう。特に、依然として1年余りのバックオーダーを抱えたままの資源国向けの鉱山機械は極めて高採算であり、需要の陰りを全く感じていないことは心強い。

・海運3社とも13.3期の黒字転換を発表したが、営業異利益ベースで日本郵船が500億円(前期▲241億円)、川崎汽船160億円(同▲406億円)、商船三井160億円(同▲245億円)、当期利益は各々230億円(▲728億円)、110億円(▲414億円)、30億円(▲260億円)と商船三井がもっとも遠慮した公表値となったことを昨年に社長に就任したばかりの武藤社長は気にしていた。13.3期の業績回復度合いは海運市況の立ち直り状況によるが、社長就任早々に業績悪化し3度のもの下方修正を行ってしまったことから、13.3期は絶対に下方修正したくはないという、日本電産・永守社長と同様の“経営者の決意”なのだろうが、今回は他社比較で弱気になり過ぎたと思っていることが窺える武藤社長の発言だったことを考えると、商船三井に関しては結構な増額修正が期待されそうだ。

・東京エレクトロンの13.3期営業利益は470億円、前期比22%減と事前のクイックコンセンサス612億円、同3%増を大きく下回り二桁減益となったが、理由は明白で液晶・太陽電池製造装置の売上高が698億円→200億円と急落するためだ。半導体製造装置に関しては4778億円→4740億円と意外に堅調な見通しを示している。四半期受注高も1~3月期1093億円に対して4~6月期も1100億円程度に止まるとした。しかし、竹中社長は「受注高は4~6月期がボトムで秋口には3割程度上昇する」とコメントし、四半期受注高の推移とすれば7~9月期1200~1300億円、10~12月期1500億円、1~3月期1700億円とすれば年間5500億円、前期比21%増と上向く。実際に半導体製造装置は悪化してないし、14.3期の液晶・太陽電池製造装置の売上高は倍増するとコメントしており、今下期以降に回復感が強まりそうだ。

(中島)


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