マーケットレポート

マーケットの視点

世界株市場は危機回避モードで当面は厳しい展開が続くがメガバンク、自動車株、ソニーなどのリバウンドは大きそう

・世界株市場は完全に危機回避モードに入っている。日経平均株価は先週で7週連続の下落、すなわち新年度入りとなった4月以降は毎週下げっ放しである。この間の7週間で“1472.25円、14.6%”(3/30→5/18)の下落となった。32営業日のうち上昇10営業日に対して下落22営業日となっている。海外株市場も軒並み急落となっているが、NYダウは5月に入って5月1、10日以外は12営業日下落で2~9日、11~18日と6営業日続落、5月に入っての下落率は“6.4%”、S&P500“7.3%”、NASDAQ“8.8%”、英国FTSE“8.2%”、独DAX“7.2%”日経平均株価“9.6%”、アジア市場では韓国総合“10.1%”、香港ハンセン“10.2%”インドSENSEX“6.7%”と上海総合“2.2%”以外は大幅な下落率となっている。上海総合も下落率こそ大きくないが、7日以降は“2勝8敗”と下落歩調が続いた。一方で、日本国債10年物利回りが先週18日に一時「0.815%」と03年7月1日以来、9年ぶりの低水準、ドイツ、米国の国債利回りが戦後最低を記録、為替が78円/米ドル台、100円/ユーロ近くまで円高が進み安全資産への退避が鮮明である。

・最大の要因は、欧州問題がクライマックスを迎えることを想定している。ギリシャの銀行で預金流出が進行、パプリアス大統領は6日の総選挙後の流出額が7億ユーロに上るとギリシャ中銀のプロボポラス総裁が訴えたことを明らかにし、取り付け騒ぎに発展する可能性を指摘した。17日に格付け会社フィッチ・レーティングスはギリシャ長期国債を「B-」から「CCC」に格下げ、ムーディーズはスペインの銀行16行の格付けを引き下げた。引き下げの根拠を「ユーロ圏の危機が続く中、スペイン政府の財政赤字は拡大し再び景気後退に陥り、政府の信用力が低下している」としている。また、一部国有化された大手銀行のバンキアから大量の預金流出が起こり、スペイン国内では財務内容が比較的健全とされていたサンタンデール、BBVAなども格下げされたことで不安が募っている。世界最大の紙幣印刷会社である英デ・ラ・ルー社がギリシャのユーロ導入前の紙幣である「ドラクマ」の印刷準備に入ったと伝えられるなど、ギリシャのユーロ離脱、更にスペイン、イタリアへの波及を視野に入れ、リーマン・ショック以来の金融システム危機に陥り、それが世界的なマネー収縮を通じて世界不況を促すことになりかねないとの流れになっている。

・18~19日に米国キャンプデービッドで開催されたG8の結論は財政赤字からの脱却を目指す緊縮一辺倒から“成長重視”を盛り込む形に転換した。オランド仏新大統領の登場が大きいが、元々、オバマ米大統領が望んでいたことでもあり、11月の大統領選挙に向けて米国経済を巡航速度の成長に引き上げるためにも世界経済を失速させるわけにいかない。世界的に成長重視に舵を切ることは歓迎されることだが、米国、日本、英国とも財政赤字問題は深刻化しており、成長重視ムードになったからと言って一気呵成的に財政出動が加速するとは思えない。掛け声は上がるものの、現実には難しい舵取りを強いられることになろう。米国の失業率が依然として8%台の高水準にあるなど、現在はリーマン・ショック不況から立ち直りかけている段階に過ぎない。ショック後の世界経済回復を牽引してきた中国経済の減速感は明白であり、ここから先の世界同時不況への突入はリーマン・ショック不況以上に被害が大きくなりかねない。それだけに、危機回避に向けて世界中が最大限の努力を行うことに対して大きな期待したいところだ。ただ、今回のG8にプーチン大統領が欠席、オバマ大統領が9月8~9日にウラジオストクで開催されるAPEC欠席を表明するなど、米ロ関係に亀裂が生じ世界的な協力体制にもヒビが入る可能性は否定できないため、今後の成り行きを見守るしかない。

・ただ、日経新聞の集計によるとわが国企業収益は除く金融で13.3期が経常22%増益になるとされている。12年度の実質GDP成長率は平均2.2%になると予想されている。もちろん、欧州問題の成り行き次第でこれらの数字が下方修正される可能性もあるが、大震災、タイ洪水の影響からの反動、再び円高に向いてきているとはいえ11年度79円/米ドルからは大きく円高になるとは考え難い。相対的な日本、日本企業の優位性には変わりないものと予想する。中でも、世界的な金融機関へのダメージで株価下落が著しいメガバンクはようやく収益回復が軌道に乗り財務健全性も高い。また、ソニー、パナソニックはまさに歴史的な安値水準に追い込まれている。業績急回復に転じる自動車はもちろん、メガバンク、ソニーのリバウンドは大きいものと考える。

(中島)


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