マーケットレポート

マーケットの視点

この1週間でクライマックスが到来するが「欧・米・中リスク」が一気に晴れることは難しく波乱転換が続きそう

・先週の株式市場の動きが日米で明暗を分けたことに注目したい。まず米国のNYダウは7日に前日比“286.84ドル高”と本年最大の上昇幅を記録するなど8日まで4連騰、週間では“3.59%上昇”と一転して明るいムードで終えた。一方、日経平均株価は5~7日と3連騰し3日間で“344.09円高”と7日までは米国株市場と同様に一気に節目の8500円、8600円を越えて勢いのある戻り展開だったが、8日は前日に発表された中国の3年ぶりの利下げニュースもあって上昇期待があったにも拘わらず、前日比“180.46円安”と下落に転じた。ザラ場で一時は“212.52円安”まで急落し、危うく75年7~9月以来の10週連続の下落という戦後最長記録に並ぶところだったが、週末株価は前週末比“19.01円高”の「8459円26銭」と、かろうじて“10週間ぶりの上昇”で終えた。

・米国株市場が急反発したのには、基本的に米国株市場がポジティブ思考を強く映した展開が多いことに支えられていることが大きい。NYダウは5月1日の年初来高値「1万3279ドル32セント」から5月中はほぼ一貫して下落が続き1万2000ドル割れ寸前となり割安感が台頭していたところへ、6日のECB理事会後に金利は予想通りに据え置いたもののドラギ総裁が金融緩和の用意があると発言、7日のバーナンキ議長の議会証言での発言に対する期待、19~20日のFOMCで金融緩和策が打ち出されることへの期待を織り込むような展開となっていたためだ。一方、日本株市場はどちらかと言えば悲観的な見方を反映しやすい展開が多く、今回も7日に中国人民銀行が商業銀行の貸出金利と預金基準金利をともに0.25%引き下げると発表、08年12月以来の3年半ぶりの利下げを実施した。中国の重要な経済指標の発表を9日に控えていたこともあり、この唐突な利下げに対して疑心暗鬼ムードが広がったことでの8日の下落となった。象徴的なのは中国関連の代表銘柄であるコマツの株価で、取引開始早々に1915円、前日比31円高まで跳ねたが、その後はほぼ一日中ジリ安が続いて結局はザラ場安値に近い1843円、同41円安で引け、一日での高安の下落率は約4%という波乱展開だった。もっとも、中国利下げというマーケットの好材料に対してネガティブに反応したのは日本株市場だけではなくて、18日の金融政策決定会合で4月17日の0.5%引き下げ以来の利下げに踏み切るとの観測が強まっているインド株市場が5連騰となった以外、アジア株市場はほぼ全面安の展開となった。

・世界株市場は「欧・米・中リスク」の地雷の上に浮かんでいるような状態で、身動きが取れずに波乱展開が続きそうだ。スペイン問題は9日のユーロ圏財務相による緊急電話会議で銀行への資本注入のために最大1000億ユーロ(10兆円)の支援を行うことで合意に達したが、17日のギリシャ議会再選挙の結果が出るまで落ち着かず、仮に弥縫策が講じられ続けられたとしても抜本的な債務問題の解消には時間がかかることから欧州不安は払拭されないままの状態が長引きそうだ。米国は19~20日のFOMCで「QE3」(追加金融緩和策第3弾)が打ち出されたとしても、現実の雇用回復、景気浮揚への効果がどれほどになるかは未知数だ。中国は最近の経済指標全般に停滞傾向が続いていることに対する不安感が高まっており、今回の利下げ措置に続きインフラ投資や住宅政策などの大型の景気対策が打たれるのではという観測がある反面、中国政府は大型対策には慎重という見方もある。18~19日にメキシコでG20が開催されることもあり、今後1週間で2012年前半のクライマックスを迎えることになる。センチメントを劇的に改善するようなことが起きることに期待したいものだが、今回はリーマン・ショック時とは違ってダラダラと停滞感が長引く展開になりそうなことが気懸りだ。

・日本では、大飯原発再稼働の今週決定が既定路線となり、原発に関する根本問題は棚上げされ解決先送りとはなるが、当面の今夏の西日本電力危機は回避されることになることはプラス材料。一方、21日に今国会の会期末となるが、その前の15日前後に消費税を引き上げ問題が最大の山場を迎えることになる。どのような決着となるのかは予測がつかず、成り行きを見守るしかない。原発再稼働、消費税引き上げという二大問題のこれまでの推移を見ていると経産省、財務省と野田首相の“二人羽織”を見ている気がしてならない。力強いリーダーシップがないと日本に対する期待感の醸成は難しく、日本株に精彩がないのももっともなことだと思う。

(中島)


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