マーケットレポート

マーケットの視点

欧州問題は着実に解決の方向を目指し日本株市場は順調な戻り歩調が続く。前進する日本企業を評価する展開へ

・日本株市場に勢いが戻っている。日経平均株価は先週で3週連続の上昇、しかも、週間ベースの上昇幅も19.01円高→110.06円高→220.03円高と拡大傾向が続いた。先週末の22日は3日ぶりの下落となったが、21日のNYダウが前日比“250.82ドル安”と今年2番目の下落幅となった割には小幅な下落に踏み止まっている。NYダウの急落は、原油先物価格が8カ月ぶりに80ドルを下回ったことで「S&Pエネルギー株指数」が4%下落とエネルギー・資源関連株が崩れたことに加えて、ゴールドマン・サックス証券がS&P500の目標値を1285ポイントと20日終値1355.69ポイントよりも5.2%低い水準に設定し売り推奨したことが響いた。但し、先週末のNYダウは前日比“67.21ドル高”と3日ぶりの上昇に転じて引けている。また、欧州危機は和らいだものの、21日に米ムーディーズが欧米15金融機関の格下げを一斉に実施したことや、10年債利回りでスペインは18日の7.12%から21日には6.54%にまで下落し一旦は落ち着いているが、6月1日に1.17%と史上最低の1.2%割れまで低下していたドイツが20日には1.61%まで上昇するなど依然、不安定な状態が続いていることで欧州株市場も先週末は2日続落となったが、この欧米株市場の動揺にも拘わらずに日本株市場は順調な戻り展開が続いたと評価できる。

・今週も上値を追う展開を予想する。22日の東証一部市場の騰落レシオが「111.13%」まで上昇して来たものの、極端な加熱感が出ているとは言えず、日経225ベースの予想PERは「11.44倍」、PBRは「0.94倍」と依然として割安感は根強い。先週末の日経平均株価「8798円35銭」に対して、200日移動平均線の「8944円」が視野に入っており、5月10日「9009円65銭」以来の終値ベースでの9000円台回復が期待される。為替が対ユーロで100円台、対米ドルで80円台が定着しそうなことが日本株市場を底上げすることになろう。対ユーロに関しては、依然として紆余曲折はあるとは思うが28~29日にEU首脳会議が開催されることもあり欧州問題の解決への糸口が見えつつあること、対米ドルに関しては、米国経済指標で斑模様の発表が続きそうだが先週19~20日の米FOMCで『QE3(量的金融緩和策第3弾)』が見送られたこと、などが円高進行に歯止めがかかる背景だ。

・最大の懸念事項であった欧州金融危機に関する一連の流れを整理すると、まず、19日に閉幕したG20で欧州危機を回避するために最善策を講じることを確認したことに加え、緊縮財政のみならず経済成長を重視する両輪策を実行することで合意に達した。これを受けて、22日にローマで開催された初の独仏伊西首脳会議においてEUのGDPの1%に相当する1200~1300億ユーロ(12~13兆円)を注ぎ込んで経済成長を促す方針を固めた。財源としては、低所得地域の域内格差是正のための補助金である『構造基金』から約550億ユーロを“雇用対策”に、欧州の政策金融機関である「欧州投資銀行(EIB)」が増資し最大600億ユーロ程度を交通やクリーン・エネルギー分野への“インフラ投資”で使う形を整えることになるという。また、このところ大胆な政策転換を次々と実現しているイタリア・モンティ政権は今夏から最大800億ユーロ規模の経済対策を実施しイタリア国内の経済活性化を促進することを表明した。今回の独仏伊西首脳会議では欧州金融安定化基金(EFSF)、欧州金融安定メカニズム(ESM)などで南欧国債を購入して金融不安を回避することも議論しており、最終的には28~29日にブリュッセルで開催されるEU首脳会議で具体的な決定がなされると同時に、中期的な課題である「銀行同盟」や「ユーロ共同債」に関する議論も進展するものと予想され、欧州問題は徐々にではあるが複雑に絡まり付いた糸が解れる方向に向かっている。

・国内では、いよいよ消費税引き上げ問題を巡り民主党分裂の瀬戸際まできており、今週にも政局に発展する可能性が高まっている。しかし、わが国政治は呆れてモノが言えないほどまで脆弱化しており、いっそのことなら“新展開”があった方が日本の閉塞感打開に繋がるかもしれない。その一方で、トヨタ、日産自が改めて国内減産/海外増産、ホンダが米国の輸出拠点化、パナソニックがハイブリッド車向け車載用電池の東欧現地生産化を打ち出し、ソニーはオリンパスに500億円出資することで成長分野である医療関連への足掛かりを取り込む。欧米不安、国内政治の停滞があろうと、わが国企業はグローバルベースの成長を目指しての戦略展開の手綱を緩めることなく進んでいる。業績どん底からの回復途上ではあるが、これらの動きは高く評価されるべきだと考える。

(中島)


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