マーケットレポート

マーケットの視点

“リスク・オン”強まり世界同時株高、10年11月以降に投資環境は似てきており当面は上昇トレンド続きそう

・先週末29日の日経平均株価は「9006円78銭」と、予想通りに5月10日「9009円65銭」以来の9000円台を力強く回復した。前週末比では“208.43円高”とこれで4週連続の上昇、6月は毎週の上昇となり月間ベースでは“464.05円、5.43%”の上昇と4、5月の長いトンネルを抜け出した。但し、今回は3月27日の年初来高値「1万255円15銭」から6月4日の年初来安値「8295円63銭」まで“1959.52円、19.11%”の下落となった後、その安値から6月29日までは“711.15円、8.57%”、下落分の36%を取り戻したに過ぎない。29日時点で東証1部の騰落レシオ(25日移動平均ベース)は「122.88%」と買われ過ぎのメドとなる120%を超えてきてはいるものの、日経225ベースの予想PERは「11.73倍」、PBRは「0.96倍」と依然として割安感は強い。

・何よりも世界株市場全般に“リスク・オン”の様相を呈してきていることが大きい。中国株市場は厳しい展開が続いているが、米NASDAQ、独DAX、英FTSE、仏CAC、インドSENSEXも4週連続の上昇を記録している。更に、先週末の前日比上昇幅は、米NYダウが“277.83ドル高”と今年に入ってからは6月6日の“286.84ドル高”に次ぐ水準、米S&P500“33.12ポイント高”、米NASDAQ“85.56ポイント高”、独DAX“266.37ポイント高”、仏CAC“144.97ポイント高”、印SENSEX“439.22ポイント高”は今年最大の上昇幅を記録している。

・今週初、月曜日の日経平均株価は前週末比上昇となる可能性は極めて高いが、そうなれば10年の11月4、5、8日、11年の4月27、28日、5月2日以来の2日連続3桁上昇後にも上昇することになる。今回もそうなる可能性は高い。また、11年の時は日本のGW中に新興国利上げ、米国景気変調、欧州問題の懸念が集中し、その後は大きく調整したが、10年の時は11月2~3日開催の米FOMCで追加金融緩和策第2弾(QE2)が打ち出されたこともあり世界同時株高が続き、日経平均株価も3日連続3桁上昇後の11月8日「9732円92銭」から11年2月21日「1万857円53銭」までほぼ一貫して上昇トレンドを辿り、3カ月余で“1124.61円、11.55%”の上昇を記録している。環境的には、世界的に金融緩和の方向へと向かっており、欧州問題が28~29日のEU首脳会議で解決に向けてスピード感が高まる結論を導いたこともあり、わが国の企業業績も当時はリーマン・ショック大不況からの急回復(11.3期は経常55%増益)、今回は大震災・タイ洪水・超円高からの立ち直りでの急回復(13.3期は経常21%増益予想)と、総じて11年の時と似ており、今後暫くは順調な戻り展開が期待される。

・先週28~29日のEU首脳会議は、独メルケル首相の“一人芝居”が終わってみれば“独り舞台”を演じたような見事な結果となり、マーケットにとってはドラマチックな展開となって世界中に安堵感をもたらした。27日に、同首相が下院の演説で「首脳会議では連帯債務に関する案に協議が集中し、規制や構造政策に関する議論が不足することを懸念している。ユーロ圏共同債や債務償還基金などは、ドイツ憲法違反であるばかりでなく、経済的に誤った、非生産的なものだ」と批判、新たな財政規律で合意する前にユーロ共同債の導入を求めることは本末転倒だと言い放ったことでEU首脳会議では実効性のある結論を導き出すことは無理と期待が一気に萎んだ。しかし、同首相の下院での発言は多分に不満が高まる国内向けの部分が大きく、EU首脳会議では危機感が相当高く是が非でも危機回避に向けた態勢作りをしようという意気込みから、最終的にマーケットの期待を大幅に上回る着地となった。具体的には、①7月発足のESM(欧州安定メカニズム)が銀行に対し救済のために直接資本注入を可能とした(このことで債務問題国の一層の債務悪化を防ぐことが可能になる)、②銀行監督をECBに一元化する(「銀行同盟」設立に向けて前進)、③成長戦略のために雇用促進、インフラ整備に1200億ユーロを投入する、④「財政統合」に向けて工程表を作成する、など。欧州問題は突き詰めれば、短期的には債務問題国の債務破綻及び欧州主要銀行の破綻による金融システム崩壊をどう防ぐか、長期的にはユーロ体制を共同債発行、財政統合、銀行の統一管理などによってユーロ、EUの一体化を一層推進することだ。今回のEU首脳会議でこれらの問題解決への道筋を明確に定めたことで、これまで世界を揺るがした欧州問題は一応決着、マーケットの重石が外れたことは大きい。

(中島)


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