マーケットレポート

マーケットの視点

世界的な景気後退感を読み取って株価低迷が続きそうな中で決算発表シーズン到来、むしろ投資チャンスと捉えたい

・世界的な金融緩和の流れの中で、まず株式市場は世界的な景気後退を恐れている。先週は、ECBが5日に市場金利を0.25%引き下げて初めて1%を下回る0.75%とし、中国人民銀行も貸出基準金利(期間1年物)を0.31%引き下げて6%とし、預金基準金利(1年物定期預金)を0.25%引き下げて3%とした。中国の貸出基準金利の引き下げは3年半ぶりとなった6月に続き2カ月連続の引き下げとなった。更に、イングランド銀行は英国債を買い取る金融緩和策を500億ポンド(約6兆2000億円)増やし総額3750億ポンド(約46兆5000億円)とした。また、6日に発表した米国の「6月の雇用統計」は、非農業部門雇用者数が事前予想の平均である10万人増加を下回り前月比8万人増加に止まり、4、5月も合計1000人の下方修正、4~6月の月間平均は7万5000人と1~3月平均の22万6000人からは大幅に減少した。直前には雇用関係に関して比較的良好な統計が出ていたこともあって楽観視する見方も多かっただけに、そのギャップは大きい。7月31日~8月1日に開催されるFOMCにおいて追加的金融緩和策第三弾(QE3)が打ち出される期待が俄然、高まっている。

・しかし、足下の株式市場はこのような世界的な金融緩和への期待ムードよりも、世界的な景気後退を強く意識している。今週の13日に中国は4~6月期のGDPを発表する予定だが、日経新聞の調査によると22人のエコノミストの平均で“7.7%増”と3年ぶりに8%を下回る見通しとなっている。リーマン・ショック後の世界経済回復の最大の牽引役であった中国経済が足踏みすることに対する恐怖感は大きい。27日には米国が4~6月期のGDPを発表する予定で、米国の成長率も大幅に後退するとの見方が強まっている。欧州の4~6月期はマイナス成長に陥る見通しであり、ようやく欧州債務問題に対する対応策が見え始めた一方で世界経済への不安が高っていることで、7月は株式市場にとって受難の月になりそうだ。先週の6日に日本で講演したラガルドIMF専務理事が日経新聞のインタビューに答えて7月に発表する予定の「IMF世界経済見通し」は4月の予想に対して下方修正になるとしている。世界経済の減速は原油を中心とする商品市況の下落にも繋がり、米国株式市場での一つの柱であるエネルギー関連の株価が下落しマーケットを押し下げる。更に、為替市場で一層の円高が進む可能性が高まることで日本株市場にとっては大きな逆風になる。

・但し、このような状況の中でただ指を咥えて見ているようなまねをする訳はない、各国の政策担当者は景気浮揚に向けて動き出すはずである。その一歩が今回の世界的な金融緩和の流れであり、それがマーケットに認容されないのであれば、次なる一手を繰り出すことになろう。すなわち、例えば、中国では秋の政権交代に向けて再び大胆な景気浮揚策を講じる可能性があり得る。米国はQE3実施が現実味を帯びてくる。そのタイミングは7月後半から8月にかけてであろうか。その期待感が高まることで株式市場が浮上するか、あるいは経済指標に好転の兆しが表れるまではマーケット低迷が続くのか、当面は様子を見るしかないが、いずれにしてもマーケットの低迷状態が長引くことは考え難いことであり、夏場にかけて転機が到来することになりそうだ。今週の9日にアルコアが決算発表することを皮切りに米国企業の決算発表シーズンが始まる。13日にJPモルガン・チェース銀行、グーグル、16日にシティー・グループ、17日にインテル、ゴールドマン・サックス・グループと続く。今回は、足下の4~6月期の実績に減速感が漂っているのか、7~9月期以降の見通しを下方修正することになるのか、株式市場にとっては非常に重要な決算発表になるので要注目だ。

・更に、日本でも主要企業では24日に日本電産、25日に日立建機、26日に日産自、JFE、信越化学、30日に新日鉄、日立、31日にコマツ、ホンダ、パナソニック、東芝、TDK、8月2日にソニー、伊藤忠、三井物、三菱商などが決算を発表する。日本企業の今回の12年4~6月期決算は総じて回復色が強い内容となる可能性が高い。とりわけ、前年同期は東日本大震災の影響が大きかっただけに、その反動増が期待される。必ずしも決算発表の好結果が即、株価に反応しない傾向が強いだけに、先行きを見据えれば、仮に今週以降の株価低迷が続くようであれば、短期的な株価リバウンドを狙う意味でも大きなチャンスになりそうだ。

(中島)


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