マーケットレポート

マーケットの視点

世界経済への不安が強まり株式市場は停滞、今週も期待材料は乏しいが来週以降の決算発表を吟味し銘柄発掘を

・世界経済の減速懸念が現実のものになりつつある。先週末の13日に中国が12年4~6月期の実質GDP成長率を発表したが、前年同期比7.6%増と第1四半期の同8.1%増から大幅に鈍化、日経新聞社によるエコノミスト22人に対する調査の平均7.7%をも下回った。これで6四半期連続の成長率鈍化となり、減速傾向に歯止めがかからない。欧州向け輸出の低調が響き、鉱工業生産の伸びは4月が前年同月比9.3%増、5月が同9.6%増、6月は市場予想の同9.8%増を下回り同9.5%増となった。欧州債務危機の影響が世界経済にジワジワと出始めて来ている。12日にアジア開発銀行がアジア地域の経済見通しの下方修正を発表した。アジア地域は前回4月の予測では12年6.9%増→13年7.3%増だったが、今回は6.6%増→7.1%増、中国は8.5%増→8.7%増から8.2%増→8.5%増、インドが7.0%増→7.5%増から6.5%増→7.3%増へと下方修正された。ユーロ圏の成長率が12年にマイナス成長に陥る見通しなど、先進国経済の低迷が世界経済回復の牽引役となっていた新興国経済の足を引っ張るような格好となってきている。IMFも世界経済見通しを下方修正する予定であり、この先、12年の経済成長率が更に下方修正される可能性は高く、更には13年以降の回復テンポも鈍いものになりそうだ。

・このような世界的に経済停滞が広がって来ている中で、景気対策のために世界各国で金融緩和策を実施する流れが強まっている。具体的に、4月17日にインドが09年4月以来3年ぶりの利下げで政策金利を8.5%から8%とし、6月5日に豪州が3.75%から3.5%へと2カ月連続の引き下げ実施、6月7日に中国が08年12月以来3年半ぶりに貸出基準金利(期間1年物)と預金基準金利(1年物定期預金)の0.25%引き下げを発表。そして、先々週の7月5日にユーロ圏が政策金利を1%から0.75%の過去最低水準に引き下げ、イギリスが資産買い取り枠を500億ポンド拡大し総額3750億ポンドとし、中国が貸出基準金利を2カ月連続引き下げて6.31%から6%に、預金基準金利を3.25%から3%とし、先週もブラジルが11日に8会合連続して引き下げを実施し8.5%から8%の過去最低水準に、韓国が09年2月以来3年5カ月ぶりの引き下げで3.25%から3%にすることを発表した。ブラジルの政策金利は11年7月には12.5%にまで引き上げられたが、毎会合での引き下げで1年間に4.5ポイントもの引き下げとなった。韓国はサムスン電子、現代自動車など世界の勝ち組企業がウォン安の後押しもあり輸出拡大で韓国経済を牽引して来たが、12年1~6月期の輸出が前年同期比0.6%増と大幅に減速、5月の企業設備投資指数が5カ月ぶりのマイナスに転じるなど、危機感が募っている。世界的な金融緩和の一方で、日銀金融政策決定会合の後、12日の記者会見で白川日銀総裁は「堅調な内需が日本経済を下支えしており、景気や物価は見立て通りと判断」と追加の金融緩和策を見送った。この日本の“とりあえずの余裕”が円高再昂進を招きかねない。

・先週来、米国企業の4~6月期決算の発表が相次いでいるが、残念ながら従来のような勢いが失せて下方修正の傾向が強まっている。世界経済減速に加え企業業績への不安が、株式市場に圧し掛かり、NYダウ、S&P500は12日まで6営業日続落、NASDAQは5営業日続落となったが、先週末13日は大幅に反転した。理由は、さすがに下落が続いた反動と、中国のGDP成長率は思ったよりも堅調、JPモルガン・チェース銀行の決算は黒字を確保した、という“Positive thinking”の結果であり決して本来的な上昇ではない。何事にも悲観的な日本株市場に比べて羨ましい限りだ。日経平均株価も続落後、先週末の13日は7営業日ぶりの上昇に転じたがTOPIXは7営業日続落となった。日経平均株価が上昇したのは売られ過ぎ銘柄の買い戻しが目立ったためで前日比“4.11円高”とあるように上昇したとは言えないほどのか弱さで、むしろTOPIXの7営業日続落の方が実態に近い。今週は、目立った経済指標の発表もなく、わが国企業の決算発表は来週から本格化するので、マーケットを押し上げるような期待材料の乏しい1週間になりそうだ。17日に発表予定のインテルの決算が注目されるが、周辺情報から推察するには、これまでのようなプラス・サプライズを期待することは難しいものと予想する。ただ、世界経済の雲行きが怪しい状況になってきているとは言え、欧州、米国、そして中国経済が底割れする程の悪化にならない限り、ここしばらくの展開がマーケットにとっては最も厳しい状況だと考えられる。すなわち、いずれはこのところの金融緩和の効果が経済指標の好転となって現れるはずであり、その前に大胆な景気対策が講じられる可能性もあり得る。従って、ここ1、2週間が正念場、海外投資家がサマーバカンスに入るので不安定なマーケット展開が続きそうだが、来週以降の決算発表の内容を吟味して銘柄発掘のチャンスだと考える。

(中島)


今週の主要スケジュール

今週のスケジュール
クリックして拡大


国内株取引のリスク
株価の変動、および為替の変動等(外国株式の場合)により損失が生じるおそれがあります。
国内株取引の手数料について
国内株の手数料は多岐に渡っているため、このスペースに表示するのが難しいため、詳細は国内株の「手数料とリスクについて」でご確認ください。
株式は、クーリング・オフの対象にはなりません
詳しくは手数料とリスクについてをご覧ください。