マーケットレポート

マーケットの視点

スペイン発で欧州不安が一気に再燃、27日に米国GDP速報発表も控えており今週の世界株市場は停滞が続きそう

・世界株市場は再び不安定な状態に陥りつつある。理由は、欧州不安の再燃、世界経済の減速懸念、そして日本株市場にとっては円高が一層進む可能性が高まっていることが響く。先週20日にスペイン10年債利回りが急騰、一時7.317%にまで上昇しユーロ導入後の最高水準となったが、きっかけは同国バレンシア州が中央政府に金融支援を要請したことだ。19日にスペイン中央政府は地方政府向けに180億ユーロの緊急融資枠を設定したが、これに対して不動産バブル崩壊の影響が最も深刻なバレンシア州がすかさず支援要請するほどに逼迫している状況が明らかになった。同州は6月までに既に中央政府の与信枠を使い切った上、12年末までに28億5000万ユーロの債務返済に迫られている。また、スペインのモントロ予算相が20日の定例閣議後に同国の13年のGDP成長率に関して4月27日時点の見通しの“+0.2%”から“‐0.5%”へと下方修正、13年の政府の利払いが91億ユーロ増加すると発表した。更に、根深い問題となりそうなこととして、スペインの銀行が発行した劣後債の問題が指摘されている。同国の中央銀行であるスペイン銀行によると、劣後債は総額670億ユーロにも上る規模でその6割を個人投資家が保有しているという。この劣後債のデフォルト懸念が台頭し、例えばバンコ・ポプラール・エスパニョールが発行した2020年償還債の利回りは19日に16%を突破している。

・欧州金融不安の闇は思いのほか深そうだ。6月28~29日のEU首脳会議で債務問題の収束に向けて大きく前進したかに見えたが、「セーフティーネットの構築、銀行管理の一元化、成長戦略の打ち出し」という大枠の決定には漕ぎ着けたものの、一朝一夕に解決出来る問題ではないという認識が高まりつつある。なおかつ、要となる欧州安定メカニズム(ESM)は7月1日に発足する予定だったが、ドイツでESM、財務協定に関して違憲かどうかの判断を9月12日にドイツ憲法裁判所が下す予定となっており、この判定が済むまで設立が延期されることになったことで不透明感が強まっている。先週のスペインに止まらず、ギリシャのデフォルト確率は依然として高いままであり、イタリアはモンティー首相の辣腕によって問題解決に向けて順調そうに見えるが予断は許されず、ポルトガルも控えている。このような状況の中ではユーロ安が一層進みそうだ。20日のNY市場で95.35円/ユーロとユーロがスタートした翌年の2000年11月以来の水準にまでユーロ安が進み、更に88円/ユーロ程度までユーロ安・円高が進むという見方も出ている。米国経済の減速懸念が強まっていることから追加金融緩和策(QE3)への期待が高まっていることで米ドルに対しても円高は進み、再び98円/米ドル台に突入している。

・先週の米国株市場は米国企業の4~6月期決算が総じて市場予想を上回ったと楽観視して17~19日と3日続伸したが、週末の20日には欧州不安の再燃で急落した。企業決算に関しては、市場予想が足下の内外情勢で厳しい指標が相次いでいたことで悲観に傾き過ぎたことに対する反動の楽観視であり、現実の内容は決して楽観出来るような状況ではなくなってきている。例えば、17日に発表されたインテルの決算は、EPSは0.54ドルと市場予想の0.52ドルを上回りIT関連銘柄の株価上昇を誘ったものの、4~6月期売上高は135億ドルと前年同期比3.6%増と増収を確保したが市場予想の135億6000万ドルを下回り、更に12年後半は欧米の消費者向けの回復が遅れるとして12年通期の増収率を従来の「一桁台後半」から「3~5%増」へと引き下げた。18日発表のIBMの4~6月期売上高は258億ドル、同3%減で市場予想の262億7000万ドルをも下回り、インテルのライバルAMDの4~6月期売上高は1~3月期比で従来予想の3%増を大幅に下回る11%減となった模様だ。米国の“グローバル内需株”の代表であるコカ・コーラ、J&Jの業績にも陰りが見え始めている。米国企業はスピード感のある経営判断で新分野開拓、新興市場深耕、素早いコストセーブで業績を伸ばし続けてきたが、さすがに世界経済減速には打ち勝てない。12年後半の業績が今回の慎重な見方を上回るように盛り返すか、更なる下方修正となるかは微妙なところであり、如何に“Positive Thinking”な米国株市場といえども買い上がり続けることは難しいだろう。

・今週からわが国企業の決算発表が本格化するが、まずは今週発表の中で24日の日本電産、25日のキヤノン、26日の日産自の決算発表に注目したい。パソコンの出荷台数が予想外に停滞していることからHDDの生産回復が鈍いものとなっている模様で、その影響がHDD用モータで世界シェア8割を持つ日本電産の業績にどう出て来るか、キヤノンはデジタル一眼レフカメラが絶好調なもののHPなどOEM先を含めてプリンタ事業の回復テンポが計画通りとなっているかどうか、更に下期に向けて足下の円高影響をどのように想定するか、日産自の4~6月期の営業利益は前年同期の大震災の反動増を期待することに対してコンセンサス予想は減益見通しとなっており、マーケットがネガティブに反応する可能性がある。また、鉄鋼大手2社であるJFEは26日に、新日鉄は30日に決算発表するが、22日に日経朝刊の観測記事で4~6月期決算に関して中国の増産の影響でアジア向け輸出価格が軟調に推移していることから収益回復が遅れており、7~9月期以降も厳しい見方をしてくる可能性は高い。総じて、足下の為替が円高に振れており、IMFの世界経済見通しの下方修正に象徴されるような世界経済の減速懸念が強まる中では、どのような決算内容が発表されたとしても好反応を期待することは難しそうだ。また、IT関連を中心に市場予想を上回る利益の発表に好反応した米国株市場に関しても、売上高が弱含みとなっていること、そして27日に「12年4~6月期GDP速報」の発表を控えていることもあって様子見展開が続きそうであり、今週の世界株市場は全般的に停滞した推移となりそうだ。

(中島)


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